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【行動経済学に学ぶビジネス戦略】

 

T.マーケティング戦略@

1.アンカリング効果

 アンカリング効果とは、最初に与えられた情報に引きずられることをいいます。

 例えば、定価が1万円の商品を5千円で販売する際に、値札を単に5千円とするのではなく、1万円の半額の5千円と表示することで、定価がアンカー)となり、それに引っ張られて、販売価格が安く感じられるのです。

 高価な腕時計を販売する際に、店頭のショウウインドウに100万円の腕時計が展示されていて、店内に10万円の腕時計があると、100万円がアンカーとなって、10万円が安く感じられ、販売しやすくなります。

 このように、最初に目に入る情報に引きずられる人間心理を、マーケティングに活かすことができるのです。

 

2.極端回避性

 人には、極端を避けようとする心理が働きます。

 和食店のメニューでよく「松竹梅」の3種類を並べているのを見ますが、例えば、「松」5千円、「竹」3千円、「梅」千円と表示されていれば、多くの人は、「松」は贅沢過ぎるし、「梅」では物足りないと思い、真中の「竹」を注文してしまうようです。

 それをマーケティングに利用して、店側が、「竹」を注文して欲しいときに、それより高価格の「松」と低価格の「梅」をメニューに加えることで、中間価格帯の「竹」を注文することを促すという方法が取られるのです。

 様々な商品でも応用が可能であり、利益率販売単価購入率のアップにもつなげやすいマーケティング手法といえます。

 

3.損失回避性

 人は、をしたときの喜びより、をしたときのショックの方が大きいといわれています。

 それを利用したマーケティング手法に、期間限定セールがあります。例えば、3日間限定半額セールを行う場合、3日間のうちに買わなければ、元の値段に戻ってしまい損をすると思っていまい、購買行動が促されてしまう手法です。

 数量限定先着何名限定在庫一掃セールなども同様の手法で、早く買わないと損をすると思わせる手法です。

 利益を削ってでも、短期間のうちに販売したいときに、とられるマーケティング手法といえます。

 

4.サンクコスト効果

 サンクコストとは、回収できないコストのことですが、人は、すでに支払ってしまったコストに引きずられて、なんとか元を取りたいと思う心理が働きます。

 プラモデルのパーツ付き分冊書籍は、サンクコスト効果をマーケティングに利用している例といえるでしょう。創刊号を買ってしまうと、完成するまで続けないと、創刊号のコストが回収できなくなるという心理が働き、最終号まで買ってしまうのでしょう。

 多額の初期投資をかけて新店舗をオープンしたが、赤字続きで業績の回復が見込めないときに、何とか初期投資だけでも回収したいと思い、営業を続けて、赤字を膨らませてしまうということが、ビジネスではよくあります。その出店にマーケティングの誤りがあったのなら、即時に撤退すべきなのですが、回収できないコストを都合よく回収しようとを出せば、大きな失敗につながるのでしょう。

 

5.保有効果

 自分の持っているものに実際より高い価値を感じて、手放すことに抵抗を感じることを保有効果といいます。

 返品保証つき商品販売は、保有効果を利用したマーケティングの手法といえるでしょう。

 返品保証がついていると、気に入らなければ返品できる安心感で購買しやすくなり、一度手にした商品は愛着も生まれ手放しにくくなり、返品の手続きも面倒なので、以外に返品率は高くならないようです。

 消費者に安心信頼を与えることができるマーケティング戦略といえるでしょう。

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