〜第一の習慣「主体性を発揮する」〜
1.選択の自由
人間は刺激と反応の間に選択の自由を持っています。この選択の自由の中にこそ、人間の人間たる四つの独特な性質<自覚・想像力・良心・自由意志>があるのです。
自覚は自分自身を客観的に見つめる力です。想像力は現在の状況を超えて頭の中で想像する力です。良心は善と悪を区別し、正しい原則を知る能力です。自由意志は他のあらゆる影響に縛られることなく自覚に基づいて行動する能力です。
2.主体性を持つ
主体性を持つということは率先力を発揮するだけではなく、人間として人生の責任をとるということです。私たちの行動は周りの状況からではなく、私たち自身の選択によって決まるのです。私たちは感情を価値に従わせることができます。そして、物事を成し遂げる率先力を発揮する責任を負っているのです。
自分の人生に対する責任を放棄すると、反応的になります。反応的な人の多くは周りの環境に大きな影響を受けます。他人の行動や言葉に左右され、振り回されることになるのです。
一方、主体的な人は自分の価値観に基づき行動します。深く考え、選択し、内面化した価値観に基づいて自らを支配することができます。
3.自己達成予言
反応的な言葉 |
主体的な言葉 |
どうしようもない |
他に方法はないか |
しなくてはならない |
そうすることに決めた |
できない |
できることを選択しよう |
でないとだめだ |
の方がいい |
でさえあればできるのに |
であろうともやりきる |
反応的な言葉の背景にある精神は、責任を転嫁することです。責任は自分にはない、自分の反応は選ぶことができないというものです。
反応的な言葉がなぜ重要な問題なのかというと、それが自己達成予言になるからです。ますます被害者意識に陥り、生活のコントロールを失い、自分の人生を自分で作り出す能力をなくしてしいます。そして、自分の状況をすべて外的な要因のせいにするのです。
4.影響を及ぼす
私たちの直面する問題には三種類あります。それは、
・直接的にコントロールできる問題(自分の行動と関係している問題)
・間接的にコントロールできる問題(他人の行動と関係している問題)
・全くコントロールできない問題(誰も影響できない問題、過去の出来事など)です。
直接コントロールできる問題は、習慣を変えることによって解決できます。
間接的にコントロールできる問題は、影響を及ぼす方法を変えることによって解決できます。
全くコントロールできない問題については、自分の態度を変える必要があります。変えられない状況に対しては、穏やかにそれを受け入れるのです。
5.自分のあり方
自分の悩みを他人の行動、条件づけ、あるいは周りの状況のせいにするのはとても簡単です。しかし、私たちは自分の行動の責任をとることができます。私たちには、反応を選択する能力があります。自分の人生をコントロールし、自分のあり方や人格そのものに集中することにより、自分の周りの状況に大きく作用を及ぼすことができるのです。
状況を改善する最もよい方法は、コントロールできる唯一のもの=自分自身に働きかけ続けることなのです。
6.結果と間違い
行動を選択する自由はあるものの、その行動の結果を選択する自由はありません。
私たちの行動の結果は原則に支配されています。原則に沿って生きることが良い結果をもたらし、原則に違反するとき望ましくない結果を受けることになるのです。
主体的な人はすぐに間違いを認めて自己修正を図り、そこから得られる教訓を学びます。このアプローチによって、失敗は成功のもとになるのです。
間違いを認めず、行動を修正もせず、そこから何も学ぼうとしなければ、全く異なった次元の間違いになります。そうなれば、人は自分を欺き、正当化を繰り返し、嘘を重ねることになります。この二つ目の間違い、つまり自己背信は、最初の間違いに異常な力を与えることになり、必要以上の意味を持たせ、自分自身にさらに深い傷を負わせることになるのです。
7.主体性を育てる
日々の平凡な出来事の中で主体性を育てることができます。
小さな約束をつくり、それを守る。裁く人より光を与える人になり、批判者より模範になる。問題をつくり出す人ではなく、問題の解決に貢献する人になる。他人の弱点について争うことをやめてみる。自分の弱点を弁護することもやめてみる。間違いを犯したときに素直にそれを認め、修正し、そこからすぐ学ぶようにする。他人のせいにしたり、彼らを批判したりしないようにする。自分自身を変えるようにし、自分のあり方に集中してみる。
このように、主体性の原則を実践することを通して、主体性を育て、自らの自由を拡大することができるのです。
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