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【ドラッカーに学ぶ経営マネジメントPart16】

〜「経営者の条件」より、"どのような貢献ができるか"〜


1.貢献へのコミットメント

 成果をあげるには、自らのはたすべき貢献を考えなければならない。手元の仕事から顔を上げ目標に目を向ける。組織の成果に影響を与える貢献は何かを問う。そして責任を中心に据える。

 ところがほとんどの人が下に向かって焦点を合わせる。成果ではなく努力に焦点を合わせる。組織上司が自分にしてくれるべきことを気にする。そして何よりも、自らがもつべき権限を気にする。その結果、本当の成果をあげられない。

 貢献に焦点を合わせることによって、自らの狭い専門やスキルや部門ではなく、組織全体の成果に注意を向けるようになる。成果が存在する唯一の場所である外の世界に注意を向ける。目的である顧客の観点から物事を考えざるをえなくなる。その結果、仕事や仕事の仕方が大きく変わっていく。

 なすべき貢献には、いくつかの種類がある。あらゆる組織が三つの領域における成果を必要とする。すなわち、直接の成果価値への取り組み人材の育成である。これらすべてにおいて成果をあげなければ、組織は腐りやがて死ぬ。

 組織としての生身人間限界を乗り越える手段である。したがって自らを存続させえない組織は失敗である。

 

2.人間関係のあるべき姿

 仕事上の関係において成果がなければ、温かな会話や感情も無意味である。貧しい関係のとりつくろいにすぎない。

 われわれは貢献に焦点を合わせることによって、コミュニケーションチームワーク自己開発人材育成という、成果をあげるうえで必要な四つの基本的な能力を身につけることができる。

 部下は、上司がいうことではなく、自分が聞きたいことを聞き取る。ところが仕事において貢献する者は、部下たちが貢献すべきことを要求する。「あなたの知識や能力を最もよく活用できるは何か」を聞く。こうして部下とのコミュニケーション容易となる。

 果たすべき貢献を考えることによって、へのコミュニケーションが可能となり、その結果チームワークが可能となる。自らの生みだすものが成果に結びつくには、にそれを利用してもらうべきかとの問いが、命令系統の上でも下でもない人たちの大切さを浮き彫りにする。

 自己開発は、その成果の大部分が貢献に焦点を合わせるかどうかにかかっている。組織に対する自らの貢献を問うことは、いかなる自己開発が必要か、いかなる知識技能を身につけるか、いかなるみを仕事に適用するか、いかなる基準をもって自らの基準とするかを考えることである。

 貢献に焦点を合わせるならば、部下、同僚、上司を問わず、他の人の人材育成を触発することにもなる。属人的な基準ではなく、仕事のニーズに根ざした基準を設定することになる。

 人、特に知識労働者というものは、自らが自らに課す要求に応じて成長する。自らが成果や業績とみなすものに従って成長する。自らに少ししか求めなければ成長しない。

 

3.会議の成果をあげる

 会議成果のあるものにするには、会議の冒頭に、会議の目的と果たすべき貢献を明らかにしなければならない。そして会議をその目的に沿って進めなければならない。

 思考検討のための会議を誰かのプレゼンテーションの場にさせてはならない。出席者全員刺激し、全員を挑戦させるものにしなければならない。

 貢献に焦点を合わせることによって、基本的な問題の一つについて解決に近づくことができる。混乱混沌に対する対応であり、それらのうち意味あるものと雑音にすぎないものとの識別である。

 貢献に焦点を合わせることによって、組織の中にあって他の人たちに依存しているという組織に働くに特有の弱み強みにすることができる。すなわち、チーム形成を可能とする。

 貢献に焦点を合わせることによって、組織の内部における努力、仕事、諸々の関係から、組織の外部すなわち組織の成果に目を向けることができる。市場、顧客、地域の患者、一般市民など外部の世界と直接関係をもつことができる。

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