Business Forum Kobe 21
トップページ >経営 >孫子の兵法に学ぶ経営戦略>〜九変編より〜

【孫子の兵法に学ぶ経営戦略 パート8】
〜九変編より〜
 
『将、九変の利に通ずれば、兵を用うるを知る。将、九変の利に通ぜざれば、地形を知るといえども、地の利を得ることあたわず。』
(訳)臨機応変の効果に精通している将軍は、軍隊を上手く指揮することができる。臨機応変の効果に精通していなければ、地の利を得ることはできない。
 
 臨機応変意志決定できる経営者部下を上手に働かせることができる。臨機応変に意志決定できない経営者はマーケット優位性すら利用することが難しくなる。
 
『智者の慮は必ず利害に雑(まじ)う。利に雑うれば、務め信なるべし。害に雑うれば、憂患解くべし。』
(訳)智者は必ず物事を利益と害の両面から考慮する。利益になる事でも害の面からも考慮すれば、やろうとしている事を実現することができる。害になる事でも利益の面からも考慮すれば、無用な心配がなくなる。
 
 知恵のある経営者意志決定の際にメリット(利益、成果等)とデメリット(費用、リスク等)両面から検討する。メリットになりそうな事でもそのデメリットの大きさ・回避可能性・縮小可能性等を慎重に検討する事で目標を達成する事ができる。逆にデメリットになりそうな事でもそのメリットの大きさ・実現可能性・拡大可能性等を検討する事で無用な心配がなくなり、ビジネスチャンスを逃しにくくなる。
 
『用兵の法は、その来たらざるを恃(たの)むことなく、吾の以て待つあることを恃むなり。』
(訳)軍隊を指揮する鉄則は、敵が来ないことに期待するのではなく、敵を待ち受ける準備を自軍が万全に整えることを頼りにすることである。
 
 企業は様々なリスクに囲まれているが、リスクが発生しないことを期待するのではなく、リスクが発生しても対応できる準備をすることが経営管理の上で重要である。
 
『将に五危(ごき)あり。必死は殺さるべきなり。必生は虜(とりこ)にさるべきなり、忿速(ふんそく)は侮(あなど)らるべきなり。廉潔(れんけつ)は辱(はずかし)めらるべきなり。愛民は煩(わずら)わさるべきなり。およそこの五者は将の過ちなり。兵を用うる災いなり。』
(訳)将軍に五つの危険がある。過度に必死になると殺されやすくなる。過度に保身になると捕虜にされやすくなる。過度に短気で怒りっぽいと侮られて策にはまりやすくなる。過度に清廉潔白であると侮辱されて勝敗より名誉を重んじてしまうようになる。過度に思いやりが強すぎると心労が絶えなくなる。この五つは将軍が冒しやすい危険であり、軍隊を指揮する上で災いになる。
 
 経営者には五つの危険がある。を追いすぎるとリスクが見えなくなる。保身に走ると弱みを握られることになる。短気になると冷静な判断ができなくなる。清廉潔白すぎると大義にこだわり過ぎて実利を失うことになる。思いやりが強すぎるとストレスが絶えなくなる。この五つは経営者が冒しやすい危険であり、企業経営において大きなリスクになる。
経営のトップページへ
トップページへ
Copyright (c) 2006 Business Forum Kobe21 All Rights Reserved.