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【怨みに報ゆるに徳を以てす】

 中国の古典「老子」の言葉に「怨みに報ゆるにを以てす」とあります。「怨みに対して怨みで応えるのでなく、善意思いやりで応えるのがよい」という意味です。

 怨みに対して怨みで応えようとすれば、その負の連鎖が増幅し、自分の心も相手の心も焼き尽くし、更には周囲をも巻き込み、平和が破壊されていくのです。

 怨みを抱く相手に対し、独善的な正義を振りかざして攻撃したり、作為的に支配しようとしても、火に油を注ぐことになるでしょう。このようなさかしらな作為こそが人々のを乱すのだと老子は説いているのです。

 その相手の怨みの原因や背景を理解し、善意や思いやりで対処し、お互いの利害調和させるためには、(原理・原則)に従った人徳が必要になるという先人の教えを、乱世の今だからこそ、活かすべきではないでしょうか。

 近年、世界的に社会の分断が深まり、至る所で争いが絶えません。怨みや憎悪で応酬する限り、争いが止むことはなく、そのことがグローバル経済におけるサプライチェーンを寸断し、各国経済にも大きなダメージを与えています。

 怨みや憎悪で応酬する指導者を生み出すのは、我々の心に潜む「怨みには怨みを」という報復の誘惑ではないでしょうか。我々一人一人が、怨みや憎悪の連鎖を乗り越え、があってもに対しても、善意と思いやりの心をもって冷静対応することを積み重ねていくことこそが、混迷の時代に平和豊かな社会を再創造する礎になるのではないでしょうか。

2026.05.01

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