先進国において、社会の進歩とともに人々の労働環境が改善され、職業選択の自由も保障され、生産性も向上して経済的にも豊かになり、歴史的にみて極めて恵まれた労働環境を享受しているにもかかわらず、多くの人が「生活の糧を得るためにやむなく働く」、「働くことは苦役である」と考えているような気がします。
確かに、よほどの財産がないかぎり生活のために働くことは当然でしょうし、働くことは楽しいことだけでなく苦しいこともあるのも事実でしょう。しかし、それでも働くことに喜びを見出すことができる人々も存在していますし、本来そうあるべきではないでしょうか。では、その分れ目はどこにあるのでしょうか。
ドラッカーの言葉に「人にとって働くことは、自己実現である。自らを定義し、自らの価値を測り、自らの人間性を知るための手段である。・・・働くことが人と社会をつなぐ絆となる。社会における位置づけまで決める」とあります。
自己の能力を他者への貢献に活かし、社会との絆を作り、自らの価値を高めて、生き生きと働くことができる人間となれるか。その人間性こそ、働くことが「喜び」となるか「苦」となるかの分れ目になるのではないでしょうか。
経営者には、自らその人間性を磨くとともに、働く者たちからその人間性を引き出すことが求められるのではないでしょうか。
2023.11.01
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