ビッグモーター事件が世間を騒がせています。同社は、顧客の車両を故意に傷つけたり架空の作業で修理代を水増し請求し、過大に保険金を受け取っていました。こういった不正行為は全国の工場で行われていたようです。保険契約を多く獲得したい損害保険業界とのもたれ合いの構図も浮き彫りになりました。
また、不正が相次いだ原因として、従業員への過剰なノルマも挙げられています。従業員に高額報酬を示す一方で、車両の修理1台当り14万円前後のノルマが課されていました。『アメとムチ』で従業員を金儲けのための道具として支配し、不正な方法で会社を成長させてきた実態が白日の下に晒されました。
なぜ、このような企業不祥事が後を絶たないのでしょうか。その大きな原因の一つに、多くの経営者が正しい経営を学んでいないことにあるのではないでしょうか。
経営の「経」には、筋道・法則といった意味があります。正しい道理・原則に基づいて人の営みをなすことを「経営」というのです。つまり、経営は、人の道理・社会の道理・自然の法則にしたがって、世のため人のために、筋道を通して原則的に行われる必要があるのです。
ドラッカーの言葉に「企業は、社会や経済の許しがあって存在しているものであり、有用かつ生産的な仕事をしていると見なされるかぎりにおいて、存続を許されているにすぎない」とあります。
ビッグモーターの経営者が、不正を許さず人を大切にする真っ当な経営を行っていたならば、このような事態にはならなかったはずです。
社会や経済が求めている責任を正しく認識し、社会に有益な事業を正しく経営できる経営者が、世の中に一人でも多く増えることを願う今日この頃です。
2023.10.01
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