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【確証バイアス】

 

 認知心理学の用語に「確証バイアス」という言葉があります。自分の考えや思い込みにしばられて、それに肯定的な情報のみを集めてしまう傾向のことです。

 現代においては、スマホの爆発的普及により、個々人の好みにより選別された情報がいとも簡単に得られるようになった結果、確証バイアスの罠に陥りやすくなったような気がします。

 人は、得てして、客観的真実より、自分が主観的直感的信じたいと思うことを信じようとします。そして、自分に都合のよい情報のみを集めて、自分の信じることを正当化し、他の考えを排斥しようとします。

 このように思考に歪み(認知バイアス)が生じたまま、寛容さを失い、独善的になってしまうと、自らの人格を傷つけ周囲の信頼を失うことにつながるのでしょう。

 このことは、特に、中小企業のワンマン経営者が陥りやすい罠だといえるのではないでしょうか。ワンマン経営者は、周囲がイエスマンであることが多く、耳に痛いことを率直に意見してくれる者が少なく、日々、多くの意思決定を一人で即座にしていく必要があるため、それがどれだけ独善的であったとしても、冷静に客観的に自覚することが困難であり、「裸の王様」になってしまう危険性が大きいのでしょう。

 真のリーダーは、認知バイアスを排し冷静に合理的に意思決定をするためにも、広く衆知を集め、絶えず自らの言動を自戒する「度量」と「謙虚さ」が必要になるのではないでしょうか。

2023.09.01

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