2019年にベストセラーとなったビジネス翻訳書に「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」という書籍があります。著書の中で、ネガティブ本能・恐怖本能・過大視本能・犯人捜し本能・焦り本能など10の思い込みを乗り越え客観的なデータに基づき世界を見る習慣の必要性が説かれています。
コロナ危機で、不安や恐怖が連鎖し社会が大混乱しましたが、こんな時こそ冷静沈着にファクト(事実)を見極め、正しい判断・正しい行動を心掛けるべきであると痛感させられました。
新型コロナウィルスによる日本での死亡数が、5月28日現在で867人となっています。この数字を多いと見るか少ないと見るか様々な意見があるでしょう。また、新型コロナウィルスにばかり注目が集まっていますが、どんな原因であっても一つの尊い命が失われることの重みは同じではないでしょうか。
そこで、日本における一年間の死亡数のファクトを、厚生労働省が発表している2018年の死因別死亡数から抜粋して紹介します。総死亡数1,362,470人の内、感染症等(結核等)=24,127人、悪性腫瘍(ガン)=373,584人、呼吸器疾患(肺炎等)=191,356人、循環器疾患(心不全・脳梗塞等)=352,525人、自殺=20,031人、交通事故=4,595人、老衰=109,605人、等々。
一年間で、約120万人の人が老衰以外の原因で亡くなっています。その内の数十万人の人が生活習慣が原因の疾病で亡くなっています。どれだけ悪い生活習慣が蔓延し、どれだけの死者を出しても、当事者以外からは見向きもされません。ニュースになることなど皆無でしょう。
ネガティブニュースに過剰反応して一つのファクトだけを過大視し、思い込みにより不安・恐れ・焦りを増幅させて、冷静に正しい行動がとれなければ、大切な生活・大切な命を守れなくなるでしょう。様々なファクトを多角的に冷静に分析し、適切に対応していくことが、あらゆる危機を乗り越え、本当に大切なものを守るために、益々必要になるのではないでしょうか。
2020.06.01
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