先日、大阪地検特捜部の前田恒彦検事が証拠隠滅罪の容疑で最高検に逮捕されました。社会正義を実現するために国家権力があるべきはずなのに、独善的な権力を振りかざすために特捜部という正義の仮面と検事の地位が使われ、エース検事の名声を得ていたとなると、真実な社会正義が期待できるのか疑問になります。
論語の言葉に「位なきを憂えず、立つゆえんを憂えよ。己を知られていないことを憂えず、知られるべきを為すことを求めよ。」とあります。地位のないことを憂うのでなく、地位に相応しい人間であるかを憂うべきである。人に認められないことを憂うのでなく、人に認められるだけの正しい行いができるように努力すべきである、という意味です。
地位と名声に相応しい正しい行動こそが本来の目的であるはずなのに、地位には権力が伴い、名声は自尊心を刺激するため、それらに対する欲望はエスカレートしやすく、また、腐敗も生みやすいようです。
ビジネスにおいても同じことが言えるでしょう。役職には権限と報酬がついてきますが、それらは健全な企業活動を継続するための手段であって目的ではないことを、改めて認識させられました。
(2010.10.01)