“パリオ”の続き?
翌朝、なにやら外が騒がしい。まどろみのなか私の耳に聞こえてきたのは、遠くの方から響く鐘の音。あぁ、古都にいるんだぁ。という感動とともに時計を見るとまだ7時。日曜日なんだし、ちょっぴり寝坊することに。夕べ、暗闇のなか不安でドキドキしながら歩いた道を、朝のさわやかな日差しのなか、るんるん気分で町の中心へ。天気もいいし、なんだかんだいって順調に(本当か!?)旅は進んでいるし。

まずは、腹ごしらえを。ゆっくり見ようと思って昨日は足を踏み入れなかったカンポ広場へ向かいます。ガイドブックによれば、世界一美しいカンポ広場。そしてその広場に建つプッブリコ宮殿は世界一エレガントな宮殿だとか。期待は高まります。「Piazza del Campo(カンポ広場)」と書かれた標識を目印に、細い路地を曲がると目の前に広がるのは、世界一美しいはずのちょっと埃っぽい(?)大きな広場。あっ、そうか。裏に出たんだ。方向音痴な私はそう思い、首をかしげて地図を傾けながら裏へ回ってみました。結局、プブッブリコ宮殿を1周する羽目に。やはり広場はここだけでした。朝食をとるため、開店直後で慌ただしく広場にテーブルを並べているBAR、その名も“パリオ”へ。
テーブルについてぼんやり、宮殿を眺めていると・・・いいじゃないですか。確かにエレガント。中世にタイムスリップしたみたい。このあたりの時間は、そのころから、まったく進んでいないよう。確かに、ルネッサンスやゴシックの絢爛豪華さ、華やかさはありませんが、私は好きだなぁ。
スプレムータ・ダランチャ(オレンジのフレッシュジュース)とフォルマッジオ(チーズ)のパニーニ(サンドイッチ)という私の定番の朝食を済ませ、宮殿へ近づきます。
カンポ広場を取り囲む土産物屋に並ぶ、絵はがきに写るカンポ広場のきれいなこと。そうか!。やっと分かりました。4、5日前に“パリオ”というお祭りがあったんです。中世の衣装を着てのパレード。そのハイライトで盛り上がるのが、競馬。地区の代表が裸馬に乗って広場で競争をする。死人だって出ちゃうこともあるというお祭りです。そうだ、そうだ。確か、馬が走るために広場に砂を敷いていたはず。それで、こんなに砂っぽいんだ。そういう風に、自分自身を(無理矢理!?)納得させました。絵はがきで見るカンポ広場は、世界一というのも理解できるほどの美しさです。扇形の広場に放物状のグラデーション。これなら世界一美しいというのも納得。私の足下にあるのは、ちょっと土色で1色きり。グラデーションはどこに?。次に来たときもこの色だったらショックだけどね。
宮殿横にある“Torre del Mangia マンジャノの塔”に登れるらしいので、早速。なんとかは高いところが好き、というけどここまで来たら登らなくちゃね。50cmくらいの幅の私ひとりがやっと通れるくらいの階段を頂上目指してひたすら登ります。こんなに狭いということは、どこかに下り用の道もあるのよね・・・。あれ?ホントかな?ともかく、息を切らせながら、登る登るのぼる・・・・・。
記念撮影
これって、何百年も前からあるんだよね。黒衣の僧が蝋燭を片手に鐘を撞くため、朝夕登っていたんだろうか、などと考えつつ、しかし、疲れた。上を見上げると先はまだ長そう。と、上から人が下りてきました。やっぱり、同じ階段を上り下りするんだね。かなり上がったところで窓を発見。カンポ広場にマンジャノ塔の影が落ちて本当にきれい。塔に登るのならこの時間がベストかもね。
休憩を入れながら、やっとの思いで頂上に到着。ここから見る町並みは絶景。苦労してここまでやって来たんだから、ゆっくりしていこうとぐるっと1周すると、なんとはしごを発見。これを登れということ?。ということはここは頂上じゃないのね。今まではちゃんとした、両側を壁に囲まれた階段。ここからははしご。ちょっとイヤな予感がしつつも、ここまで来たのだからとはしごに手をかけます。はしごを1段階登って、ぐるっとしたらまたまたはしご。
何度か繰り返すと到着しちゃいました、今度こそ本当の頂上に。ひえーっ。屋根がない。ホントに本当の頂上です。ご丁寧に鐘の真下まで登れるようになっている。こ・怖い。私は、高所恐怖症じゃありませんし、どちらかというと高いところ好きな方ですが、足がすくんじゃいました。写真を撮るのに手すりから手を離すのが怖かったんですもの。7月だというのに、少し寒くて風の強い日でした。風が吹く度、手すりにしがみついたりして。少々、疲れますがシエナに来たら、絶対に登ってみてください。高所恐怖症の人にはオススメ出来ないですけどね。

チケット売場に張ってあった説明によると・・・(日本語の張り紙がありました。これなら私でも意味が分かるもんね)。
“この塔は、高さ102mで階段は全部で400段あります。ペルージアのリナルド兄弟の作品です。塔は1334年に建てられました。鐘は6,764kgで1664年に設置されました。時計は1360年のものです。”

1997.07
マンジャの塔、頂上より
マンジャの塔、頂上より


 

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