ぶどう畑 水曜日。半分だけモザイクコースを取っていたMomoさんは、今日が最後の授業です。いつもは車で送り迎えしてもらっている約10分の道のり。ヒマワリ畑やらブドウ畑やらオリーブ畑。窓の外はトスカーナそのものです。とりあえずの作業は終わってしまったので(まだ目地を塗る作業が残っていますが)授業が早く終わりました。こんな所に来るのはもう2度とないだろうとモンテプルチアーノの町まで歩いて帰ろう!ということになりました。シニョール・ジーノの奥さんには、「6キロもあるのよ!!絶対無理だからやめなさい」と止められましたが、上り坂とはいえ2時間もあれば着くよね、と笑顔で出発決定。出発地点の丘の下のバールでミネラルウォーターを買って、丘の向こう遙か!!彼方にあるモンテプルチアーノの町をバックに記念撮影。あそこまで歩こうなんて思うバカは私たちだけよね、などと言いながら出発。すれ違う車が怪訝そうに私たちを見ています。途中で、乗せていってあげようかと親切なお父さんが止まってくれましたが、私たちは歩くのが目的。でも、ありがとうね。気にかけてくれてちょっとうれしかったです。

予想通り約2時間で、モンテプルチアーノ到着。あぁ疲れた。足はパンパン、もうクタクタ。でも、最高に素晴らしい風景でした。映画「魅せられて」そのもの。気分だけは、すっかりリブ・タイラー。ホントにシニョール・ジーノの家といい、モザイク作りといい、二度と出来ないような体験だものね。町に着いたときは、すでにあたりは薄暗く。夕食は20:00から、シニョーラが待っているから、急がなくっちゃ。バールでカフェでも飲んで、ホッとしたいところですが、私の家は町のはずれ。遠かったりするんだな、ここからは。とにかく、今日はぐっすり眠れそう。
木曜日には、モンテプルチアーノの町にメルカート(市場)が立ちます。ここでは魚だって買えちゃいます。ただ、日本生まれ、しかも海のすぐそば育ちの私にとっては、この魚くん達はどれくらいかかってこの山の上までやって来たのだろう・・・なんて事を考えてしまいますが。お世辞にも活きがいい、とは言えませんよね。もちろん冷凍ですけどね。

そういえば、ある朝シニョーラが「今晩の食事はスパゲッティ・アッレ・ボンゴレよ」と言いました。私の大好物です。が、ここは山の上。一体どんなアサリがやってくるのだろう・・・とドキドキしながら食卓へ。何のことはない。缶詰のアサリでした。やはり、魚を食べることは少ないようです。その代わりというか、トスカーナの人はコニーニョ(ウサギ)を食べるようです。おいしそうなお肉がお皿に乗っていて、最初チキンだと思ったのですが、尋ねると「コニーニョ」という返事。意味が分からず、辞書で引くと、な・なんとウサギ。ウサギって学校の飼育箱にいたよね・・・。味付けのせいか、おいしく頂きましたが、ちょっぴり小骨が多かったかな・・・。だって、うさぎ・・・。ひっくり返すと、アバラがうさぎ・・・。

というわけで、木曜日の2時間目はメルカートでの課外授業(?)です。1時間目に野菜やら果物の名前のお勉強をしました。担任のリタが、売っているものの名前などを説明してくれます。でも、気がついたら生徒はみんなバラバラに買い物をしてて、授業になってなかったですけどね。いつも思うのですが、こちらのは野菜にしても果物にしても、本当にいい色をしていておいしそうです。実際、とてもおいしいです。日本で食べるとどうしてあんなにおいしくないんでしょうか。やっぱり、あの強烈な日差しを浴びていると食べ物もおいしくなるんでしょうか。人間だってハッピーになっちゃっていますものね。
お花屋さん

美味しそうだぁ〜
右がサラダ用で、左がソース用。
う〜ん、おいしそぅ〜。
通学途中に・・・ あ〜っという間に、1週間が過ぎてしまいました。あと半分なんて・・・。寂しいなぁ。あと5日なんてすぐ終わっちゃいそう。ぐすん。モザイクの授業も無事終了し、今週は午後がフリーなので今まで出来なかった分、いっぱい遊ぶことにしよう〜っと。
お昼ご飯が終り、商店が開く16:00位まで、この町は恐ろしいほど、人がいなくなります。みんな一体どこで何をしているんでしょうか。遊びに行くのなら私も誘って欲しいな。私はと言えば、隣町に映画館があるというのを聞きつけ行ってみたり、プールのある町までバスが出ていると言われ、泳ぎに行ったらお休みだったり。お昼に懐かしの日本料理を作ってもらったり。予想通り、1週間なんてあっという間でした。イタリアでは、アメリカの映画でも全部イタリア語の吹き替えなんですって。私たちが行った映画館では、毎日日替わりで映画を上映していました。数日前は、「マイルーム」。「Ciao〜」とイタリア語のレオナルド・ディカプリオを見たかったものです。私たちが行った日は、マドンナ主演の「エビータ」を上映していました。この映画はミュージカルだったため、さすがに吹き替えはなし。英語の歌にイタリア語の字幕がついていました。なんだか、自分が何人だか分からなくなりそう!?。

一番楽しかったのは、何といってもやっぱり、温泉。イタリアで温泉。しかも露天風呂。自分でもびっくりしちゃいました。学校の先生の車に乗せてもらい、当初の予定はプールへ。しかし、残念ながらその日はプールはお休み。近くにお湯が出ているところがあるというので、そちらへ連れていってもらうことに。「森の中だけど構わない?」と聞かれて、もちろん!!。だってそっちの方がプールより楽しそう。
地元の人しか知らないような、もちろんガイドブックにも載っていないような所に到着しました。車を降りて歩くことしばらく。硫黄らしき匂いが鼻につくように。これこそ温泉の匂い。森の中をなおも進むと先客が。イタリア人らしき2人連れが気持ちよさそうにお湯に浸かっています。目的地はもう少し先らしくさらに下流の方へ。入るのに少しためらいもありましたが、水着になって恐る恐る白濁色のお湯の中へ。まさか、こんな所に来て温泉に浸かれるとは思ってもみませんでした。久々にのんびり、幸せな気分です。やっぱり日本人は、お風呂よね。でも、このお湯に入った日本人って後にも先にも私たちだけでは?なんて話をしながら極楽気分。心なしか、肌がつやつやになった気が。ただ、家に戻って洗っても洗っても水着が硫黄臭いのには閉口しちゃいましたが。近くの町には大きなホテルもあって、観光地らしいところでしたが、なにしろ、連れていってもらったので場所が分からない。おまけに地名もよく分かってなかったりして。“Bagni S.Filippo”というところなのか、その近くかです。もし、行かれるのなら頑張って探してください。そして、私に行き方を教えてください。ぜひぜひ、もう1度行ってみたいので。

そんなこんなで、私のモンテプルチアーノ滞在も今日で最終日。ステイ先のシニョーラにお花をプレゼントして、お世話になりました。楽しかったよ、って。すごく、すごく、よくしてもらったので(食事もおいしかったし、すごく気を使ってもらったし)ちゃんとお礼を言いたかったのだけど、そこまでイタリア語が話せないのが我ながらもどかしい。いい思いでばっかりのモンテプルチアーノ。もっと、もっとイタリア語勉強して、話せるようになって、また来るからね(おっと、2年前も同じこと言ってなかったっけ?)。

1997.07
噂の温泉!
噂(?)の温泉


 

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