レモンチェロが名産 ペペロンチーノの並ぶ店先 順調に旅は進み、あとはバスの時間が許す限り途中下車して、ソレント経由でナポリへ戻るだけ。ナポリ発の夜行列車でベネツィアへ向かうので、乗り遅れは許されません。途中下車したエメラルドの洞窟のバス停前のバールでチケットを買おうとすると、「ごめんね。きらせているの」とバーマン。バスに乗って運転手に言うと大丈夫だから、と言ってくれたので、売り切れなら仕方ないよね。と手ぶらでバス停へ。予定だと30分でポジターノの町に着くから、ソレント行きのバスまで1時間くらい遊べるみたい。ポジターノはどんな町かな・・・。楽しみだなぁ。
バスに乗り込み、運転手さんにその旨を伝えようとすると、どうも様子が違う。英語が通じないのかな、って思っていると、「僕じゃなくて彼に言え」と。見ると車掌らしき親父が。英語を話す人だったので、説明をして切符を売ってもらおうと思ったら、何と彼は検札係(罰金取り屋さん)。乗車運賃の何倍もする罰金を払え!!と言って、私たちがいくら説明しても聞いてくれない。
左:レモンチェロ(レモンのリキュール)が名産
右:ペペロンチーノ(トウガラシ)の並ぶ店
「売り切れだ、って言った」、「バスの中で買えばいい、とバーマンが言った」何を言っても、「ノン」の一言。運転手さんは運が悪かったね、みたいな顔でミラー越しに見てるし。この運転手さんだけだったら、絶対大目見てくれたはず。まったく、運が悪いったら。
言い争うこと、しばらく。とうとう、友人が「そんな額を払うのならバスを降りるーー!」と叫んでしまいました。すると、「じゃ降りれば」と、あっさりバスは臨時停車。おいおい、どうするのさ。その前にここはどこ?。次の町までバスで20分というところで降ろされてどうするのよ。
結局、停まってくれる車を探すことになっちゃいました。10分くらい歩いてた頃、1台のトラックが通りがかりました。でも、どう見ても2人乗り、荷物積んでいて重そうだし、あれはダメだねって見送っていたら、なぜか向こうから停まってくれました。「ポジターノまで行きたいの」と言うと、ちょうど自分も行くところだから乗せてくれるって。坂道を歩くのがくたびれてきた頃だし、お礼を言って乗せてもらうことになりました。
至福のひととき??
バイバイ アマルフィ ただ、2人乗りなので非常に狭いのです。でも文句は言えません。が、古い車でどうやら自分で修理しているらしく、足下に配線が裸で見えているのを確認したときは、断ればよかったかなぁと不安になりましたが。
とっても人なつっこいお兄ちゃんで、いろいろと話しかけてくれるのですが、全く言葉が通じない。こうなれば万国共通語のボディランゲージ、なのですが、「日本から飛行機でやって来たのか」と“飛行機”を伝えるのに、ハンドルから両手を離しての身振り手振りだけはどうも・・・。道は断崖絶壁の急カーブだし、対向車線からはバスがやって来るし。日本はものすごく遠いところにあること、私たちは独身だ、ってことを何とか伝えられたところで、無事ポジターノ到着。
お兄ちゃんホントにありがとう。これで、ナポリに帰ることができます。お礼のバッチョ(キッス)でお別れ。
やれやれ、と思ったのも束の間。「ポジターノに行きたい」、と言ったのでご親切にポジターノの町に連れていってくれました。町は海岸沿い。バス停は山の上。バス停まで行くバスはないのか!!と、ぶつぶつ言いながら結局上まで歩くハメに。バスに乗り遅れると何にもならないので、脇目もふらず恐ろしく急な坂道を上ること20分。
バス停前のバールで、今度こそはちゃんと切符を手に入れ、冷た〜いジュースでも・・・といきたいところが、ここはイタリア。氷の入っていない生温いジュースをすすっているとバスが到着。疲れたけど、まぁ、いい思い出にはなりました。もう2度と体験したくないけどね。
さぁ、ナポリだ。夜行列車だ。明日はヴェネツィアだぁ。

1995.07


 

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