●レールが一本余計にあると、できることも増えてくる!
豆知識そのUでは、リバースを応用されることこそ、三線式ならではの楽しさを引き出す方法の1つであることをお知らせしましたが、本欄では、運転することのみに飽き足らない方のために、簡単な加工で遊びの幅が大きく広がる「コンタクター・トラック」の作り方と使い方をお知らせしましょう。
 
§1★コンタクター・トラックを作る

理屈や使い方は読み進んでいただければお解りかと思いますので、早速製作にかかりましょう。製作と言うほど大げさなものではなく、ごく簡単にまとまります。
ありていに申せば、2本ある走行レール(車輪が乗るレール)のうち1本を、枕金や隣接するレールから完全に絶縁した線路(トラック)を作る、ということになります。

←ライオネルO、027などのチューブラートラック(ガラレール)は、まず走行レールの1本を枕金のツメをドライバーで起こすなどして外すことから始めます。1ミリ厚のボール紙を適当な大きさに切り(線路1本あたりの枕金の数にもよりますが、同じものが少なくとも3個必要)サードレールと同様にレールを巻き被ってから、再び枕金にはめ、ツメをドライバーの先でしっかりとカシメます。コンタクター・レールの両端には、市販のプラ製絶縁ピン「ファイバーピン」を差し込んでおきます。(写真でレール先端に黒く見えるのがそれ)なおボール紙の幅は、枕金よりも広く取ります。写真では目立つように白いままのボール紙を使っていますが、体裁を良くするなら、ラッカーで黒く塗ってからはめ込むと良いでしょう。
←MTH・リアルトラックスの場合は、道床がプラ製で、枕金による左右の走行レールの通電が無いため、チューブラートラックより簡単です。まず左写真の右側に見えるように、コンタクター・レールの両端の接点を、内側に折り曲げてしまいます。
次にこの接点を、やはり写真のように粘着テープで被い、線路を接続したときに相手の接点に触れないようにします。
最後にレールの断面にも小さく切った粘着テープを貼り、レール同士が短絡しないようにします。これでリアルトラックスのコンタクタートラック化はお終い。

§2★実験してみよう

次に簡単な装置を使って、「コンタクター・レール」を備えた「コンタクター・トラック」が、どのような働きをするのか、実際に見てみましょう。豆ランプとロックオン各1ヶ、線路若干と動力車、それに電源一式を用意して下さい。チューブラートラックを例にとって図解しましょう。

コンタクター・トラックを、普通の線路のあいだに組み込みます。小判型エンドレスでも、直線のみのポイント・ツウ・ポイントでもかまいません。豆ランプとロックオンをFig.1のように配線します。ロックオンの向きは、コンタクター・レールのある側ですから気をつけて下さい。図示しませんが、電源を供給するロックオンは、別の場所に設けてあることは言うまでもありません。
さて、車輌を線路に載せて、電源のハンドルを回し、コンタクター・トラックに向けて走らせてみましょう。如何ですか?
Fig.2のように、コンタクター・トラックに車輌が乗った瞬間、豆ランプが点灯し、車輌が通り過ぎると豆ランプが消えましたね!
もうお解りのように、これは車輪を利用した簡単なスイッチなのです。三線式はご存知のとおり、言うなれば「中央のサードレールから電気を取り、外側の2本ある走行レールに返す」のですから、走行レールのどちらか1本が通電していなくとも(全区間が通電しないと困ることがありますから、一部区間に限りますが)、運転にはさしたる支障が無いことを利用したもので、コンタクター・レールに車輌が乗った瞬間、非絶縁の車輪が橋渡しの役目を担い、豆ランプに通電させるわけです。このとき車輌のモーターと豆ランプは並列の配線となり、良く観察していただくとわかりますが、豆ランプの負荷の分だけ電力が余分に要りますから、列車の速度は若干下がります。また、コンタクター・レールをあまり短くしますと、台車や車輪の間隔によってランプがちらちらしますから、ある程度の長さが必要であることが解ります。かといってあまり長くしますと、動力車の速度が落ちる区間が長くなりますから、これも考えものです。用途によってちょうど良い長さは変わるものと考えてよろしいでしょう。
簡単ながら、さまざまな可能性を秘めた仕掛けだとは思いませんか?カラクリ好きの方の中には、もうすでにいくつかの楽しい仕掛けの構想が、脳裏に浮かんでいるのではありませんか?


§3★実践編・「ゲートマン」を作動させてみよう

ライオネルのギミック付きストラクチャーの中でもロングセラーを誇る「オートマチック・ゲートマン」を題材に、コンタクター・トラックの実践編と参りましょう。この製品は、列車が近づくと扉が開いて、踏切警手が飛び出してくるという、単純ながらユーモラスな動きがうけて大ヒットとなったもので、登場より半世紀を経た現在でも製造されています。

まずFig.3では、製品に付属しているコンタクター・スイッチ、すなわち線路の下に挟み込んで、上を通過する列車の重量で断続を行うスイッチを使った配線を示しました。図は列車がスイッチの上を通過して、番小屋の扉が開き、ゲートマンが飛び出した状態です。
なお、図では番小屋の屋根を取り去った状態で配線を見せています。
←これがライオネルのコンタクター・スイッチです。鉄板でできていて、いかにも機械らしいなかなか味のあるものです。信号器や踏切警報器など、さまざまな製品に付属しており、枕金との絶縁をしっかりすれば、別電源でギミックを作動させることができる長所があるのですが、構造を見てもお解りのように固定レイアウト向きではなく、また通過する列車の重量によって、スイッチのスプリングを調整してやらねばならない欠点もあります。

ではいよいよ、コンタクター・トラックを使ってゲートマンを動かしてみましょう。この製品はゲートマンを動かす電磁石のほかに、番小屋の電灯もついていますから、電源からは赤・黒2本の線が導かれています。青の線はコンタクターによって断続され、電磁石を作動させます。
Fig.5では車輪がコンタクター・レールに乗って、電磁石のジジーという音とともに、みごとゲートマンが飛び出してきた状態です。ゲートマンの電磁石はかなりの電流を食いますので、列車の速度もそれなりにダウンしますから、コントローラーのボリュームを少し上げてやる必要がありますが、その手間を補って余りあるカラクリの楽しさと可能性が、コンタクター・トラックには秘められています。
さあ、あなたならコンタクター・トラックで、どんな楽しい仕掛けを作動させてみたいですか?


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