塗装をしよう

晴れた風の静かな日を選び、いよいよ車体の塗装とまいりましょう。
塗装にかかる前に、車体についたホコリを、清潔なハケなどでよく払い、角のケバ立ちがあれば、目の細かいサンドペーパーで軽くヤスったり、ピンセットの先でつまんだりして、丁寧に取り除いておきましょう。
ベランダや屋上で作業される方は、周囲を汚さないためにも、ダンボール箱を利用して、臨時の塗装ブースを作ることをお勧めします。写真は、店主がダンボールで作ったバラック塗装ブースで、上部には不要の小型扇風機を利用した、排気ファンまで付けたシロモノです。
塗装中の車体が周囲に触れないよう、空き箱や割り箸を使って、塗装台を作っておきましょう。写真のような、空き箱の周りにガムテープで割り箸を何本か立てた、ガサツなもので充分役に立ちます。
塗装中にひっくり返ったりしないよう、箱の中に重りを入れたり、割り箸が車体をしっかり支持するように、実験しながら調整して下さい。
前後しますが、塗装を行う場所や部屋は、あらかじめ清掃して清潔にしておくと、塗装面にホコリがついたりするのを防ぐことができます。
塗料は、市販の鉄道模型用缶スプレーを使用しました。1本で充分塗れます。
まず車体の内側から塗装しましょう。
なぜ内側からかといいますと、紙製の車体は湿気を食らうと反ったりしやすいため、長持ちさせる意味でも内側の塗装は必要なのです。
箱に立てた2本の割り箸を、側板の窓から突っ込むようにして、車体をうまく横向きに固定しましょう。
ごく薄く、2〜3回程度、紙の地の色が透けるくらいでよろしいのです。1回に多く吹き付け過ぎて、外側にタレたりしないよう、注意して下さい。
内側が塗り終わって、よく乾燥させたら、車体を塗装台の上に立たせて、外側を塗ります。割り箸が少し開き加減に立っていれば、室内の対角線上に割箸の先端が来て、車体がうまく固定されるはずです。
一つの面に対して、斜め上から2回、斜め下から2回…という風に、車体の凹凸で影を作らないよう、まんべんなく吹き付けます。
1回の吹き付け量はごく薄くでよく、1ラウンドを終了したら、1時間は乾燥させましょう。
だいぶ塗りあがってきました。5〜6回塗装と乾燥を繰り返すと、生地の色も隠れて、機関車らしくなってきます。
乾燥中に、ライトを当ててよく観察し、塗装面にホコリが付いていないかどうか確かめましょう。目立ちそうなホコリは、生乾きのうちにピンセットでそっと取り除き、充分乾いてからサンドペーパーで痕を平滑にして、再び数回塗装すれば目立たなくなります。
屋外で塗装する場合、乾燥中は、蚊帳のようなものを箱の上からかけておくのがよいかもしれません。(かえって蚊帳のホコリがついてしまうかな?)
車体の塗装が済んだ状態です。イヤ、こんな簡単な機関車でも、塗装はなかなか大変ですね。お疲れさまでした!
指で触ってみて、もうすっかり乾いているようでも、あと一晩は乾かしておきましょう。その間、まだしなければならない作業が残っています。
カプラーを筆塗り塗装しているところです。
カプラーは塗料の一番はがれやすいところなので、ネオリューブという塗料を使ってみました。
この塗料は、本来台車やロッドなど、軸穴のあるところに塗る、潤滑性のある通電性塗料で、もちろんぶつかればはがれますが、ノビが効くため、皮のようにはがれず、少しづつ薄くなるようなはがれ方をします。
色はガンメタルに近く、このカプラーのような、ホワイトメタルの生地によく合います。皆さんもお試しになって下さい。
例によって写真を撮り忘れましたが、パンタグラフも、台座側面のレタリングを、細かいサンドペーパーで落とした後、ネオリューブで塗装しました。
ガイシを白く塗ります。写真のように、あらかじめ楊枝に刺しておいてから塗るとよいでしょう。
金属製のパーツは、切削油や離形剤が付着していますので、塗装前にぬるま湯と中性洗剤でよく洗い、乾燥させてから塗装にかかって下さい。


各部を仕上げて、完成です!

これはお好みですが、窓ガラスを貼ると、簡素なディテールの機関車でも、ぐっと引き締まるものです。t0.2の透明プラ板で、窓ガラスを作りましょう。
写真ではわかりにくいかもしれませんが、妻板および側板の窓用に、4枚のプラ板を切り出したところです。
内側に補強として貼った角材や、はみ出した接着剤をよけて寸法を割りだし、カッターナイフで切断します。透明プラ板は、表面に傷がつきやすいので、切る際には添付の薄紙と一緒に切るようにしましょう。
切り出した透明プラ板のフチに木工ボンドを薄く塗り、車体内側に貼り付けます。
貼る前に、ハケなどでプラ板表面のホコリを軽く払いましょう。また、接着剤がはみ出さないように気をつけ、貼った後は楊枝の先などで、フチが浮き上がらないよう、よく押さえます。
下周りに残っている作業を終えてしまいましょう。
厚手の両面テープ(カーペット等を貼るのに使うもの)を小さく切って、基盤やダイオードを固定します。
基盤とダイオードを固定したところです。
繰り返しになりますが、この時点で試運転をしてみて、絶縁処理は充分か、ムギ球の点灯方向は進行方向と合っているかなど、入念にチェックして下さい。ムギ球を車体に接着してから気付いても、修正が難しいからです。
車体の内側から、ナットで留めなければならない関係上、パンタグラフを先に取り付けます。
ネジ・ナットは1本づつ硬く締めてしまうのではなく、最初は緩めに締めておき、全てのネジにナットをはめてから、順次締結するようにします。
全てのネジがしっかり固定されたのを確認したら、緩み留めとして、ごく少量の塗料をナットに垂らしておくとよいでしょう。
下周りを、車体にネジで固定します。パンタが既に取り付けれられていますから、ここへ来てパンタを壊したり、屋根を凹ませたりしないようにご注意!
ムギ球はあらかじめ、ライト用の開口部から出しておきましょう。
車体前面の穴から出しておいたムギ球を少し引っ張り出し、ライトリムの穴に接着します。
あまり球の先を飛び出させると、出目金のようになってしまいますから(それはそれで面白そうですが…)、ほどほどにしましょう。
店主はなにげなく瞬間接着剤でつけてしまいましたが、ムギ球が切れたときのことを考えると、セメダインCなど、後で簡単にはがせる接着剤の方がよいかもしれませんね。
球とライトリムの接着剤が乾いたら、穴にはめて車体に固定します。
ライトリムがきっちりはまるくらい、穴が丁度よく仕上っていれば、接着剤を用いなくとも固定されますが、走行中の振動で抜けることも考えられますので、やはり少量の接着剤をつけて固定しておきましょう。
塗り終わったカプラーを、ピンを落とし込んでカプラーポケットに取り付けます。
前にも書いたとおり、北米式ナックルカプラーの固定自連を用い、またピンは落とし込んであるだけで、先端を曲げたりしていません。
ピンを落とし込みにしたのは、国産旧製品の固定自連や、ケーディタイプカプラーとも連結する際、カプラーを交換できるようにするためです。

これで作業はおしまいです!早速運転してみましょう!


お疲れさまでした!!

さあ、これで完成しました!
初めての方は、うまくゆかないところもあったと思いますが、完成した姿を眺めてみると、なかなかオツなものではないですか? カタチがちょっとゆがんでいても、継ぎ目が目立ってしまっても、やはり自分で作り上げた機関車! 愛着は格別ですね。
市販の小型機は、断面が大き過ぎるものが多いので、できるだけ小ぶりにまとまるようにしたせいか、こうしてパンタを上げて見ると、車体の小ささが際立ちますね。
よりおとなしいタイプにしたい方は、パンタをカツミ製PS100などにするとよろしいでしょう。
当店店頭にて、早速試運転に及ぶB凸を写しました。二つのライトを煌煌と輝かせ、小粒ながら勇ましい走りぶりです。
下周りは、一軸駆動と聞くと少し不安になる方もおられるかもしれませんが、一輪にゴムタイヤを装備しており、牽引力は充分です。ブリキやペーパー製の軽量貨車なら、6〜7輌引いても余裕があります。
グリスを封入したギヤボックス、ダイカスト製フレームは頑丈でまさにメンテナンスフリー、磨耗や油切れを心配することなく、気兼ねなく遊べます。

最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
なお、本記事に使用したパーツは、全て当店で揃います。お気軽にご用命下さい。


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