まずはタネ車の分解から…

タネとなる車輌は、ライオネルのヘンテコ電動巡察車、レールボンダーです。コイツの下周りを活用して、紙で作った車体をかぶせ、小さなB凸を誕生させましょう。
まず、床下の4隅にある取り付けボルトを+ドライバーで外し、車体と下周りを分離します。屋上にあるポールは事前に外しておきましょう。
車体を外して中をのぞくと、前後にケーシングに覆われた基盤があり、前方の基盤からは、ヘッドライトに向かって配線が伸びています。コードは短いので、車体を外すとき基盤を引っ張らないように注意しましょう。
ライトの配線をニッパーで切断します。今回製作する機関車の配線は、別のところから新たに起こしますので、このコードは不用です。
車内前後の、機械室のケーシングをドライバーで外します。中には、自動逆転器や整流装置などの基盤が入っていますので、注意して外して下さい。
駆動輪側の片方には、ダミーのチェーンドライブのパーツが、ダボにはまって接着されています。これも横に倒すようにすれば、難なく外れます。何かに使えるかもしれませんから、これも注意して外しておきましょう…。
取り外したパーツを並べてみました。人形は今回使ってもよさそうですね。これを流用して、もうひとつ面白いモノが作れそうですナ…。いろいろアイデアが浮かびますが、それはまたのお楽しみにして、大事にしまっておきますか…。


車体の設計をしよう

分解して取り出した下周りを、ノギスやデバイダーで実測しながら、方眼紙上に実物大のラフ画を描いて、構想をまとめてゆきます。 ラフ画というとエラそうですが、要は落書きをしながらアイデアを形にしようといった程度のものです。(…出来上がりとこのラクガキとはかなりカタチが異なります。念のため)
車体内法は、床板ギリギリの寸法にし、小ぶりにまとまるよう心がけました。
アウトサイドフレームにしますと、軸承などパーツ点数が増え、上回りと分けて切り出さねばならない上、どうしても凝りたくなってしまいますので、インサイドフレームで、下周りは側板と面一の防音カバーという想定にしました。
とにかく気楽に作るのが目的ですので、窓や輪郭のラインはできる限り直線にしましょう。…まあ、そんなことを考えながら、細部を煮詰めてゆきます。

ラフ画から細かい寸法を決めて、車体の主な部分を寸法図に起こしてみたのが上の図です。
側板・側板内張は、大きいので半分しか描いてありませんが、左右対象ですのでおわかりでしょう。側板内張の下周り部分は、開口部を少し大きめに切り抜いておいた方が、後で貼り重ねるときに楽になります。
妻板の屋根が乗るカーブは、コンパスで中心を求めて引くのも、もちろんよいのですが、適当な丸い器物を定規にして引くなど、気楽にやっていただいてもちっとも支障はありません。私は、直径152ミリのステンレスの灰皿で引きました。皆さんも近い直径のお皿などを探してみて下さい。
屋根の幅は「実測」とありますが、これは少し長めに切り出しておき、車体に乗せてから、側面側の両端をヤスったりして調整するという意味です。ボンネットも同様、前後方向を気持長めに切り出しておきましょう。
ほか、窓の形など、どしどしあなたのオリジナルデザインを取り入れてみて下さい。
拡大された寸法図は、以下をクリックしてご覧下さい。なお、この寸法図は、このまま印刷しても型紙にはなりません。悪しからずご了承下さい。
側板・側板内張
妻板・妻板内張
ボンネット・エンド
屋根


車体を切り出そう

車体の材料は、t1(1ミリ厚)の白ボール紙です。
Hくらいの硬めの鉛筆か、シャープペンシルで、白ボールの上にケガいてゆきます。写真のように、垂直の線をスコヤーで引いておいてから、水平の線を定規で引くと、歪みのないケガキができます。
スコヤーは太い真鍮の部分を、机の角にピッタリとつけて引っ掛け、紙も同様に、真鍮の部分から離れないように心がけつつ使用します。
鉛筆は、軸を垂直に立てるより、芯を定規に当てるように斜めにして使うとより正確に線が引けます。
(手先モデルは店主でなく某君)
ケガキが終わったら、カッターナイフなどで切り出します。窓など開口部を先に切り抜き、終わったら外側を切り出す、という順番で切りましょう。窓はつい手前を切り過ぎてしまいがちなので、終わり近くまで切ったら、紙をひっくり返して、反対側から残りを切るようにします。
慌てて切ると、切り口にシワが寄りやすくなるので、同じところに数回刃を当てる気持で、少しづつ切ってゆくようにします。
また、下に敷く台も、事務用品のカッティングマットですと、やわらか過ぎて切り口にメクレが出ますから、なるべく硬い、目のつんだ板にしましょう。(店主はガサツに、直に工作台の上で切りました。当然後で修正に追われましたです。)
切り出された車体各部です。(ナゼか屋根が写っていませなんだ)うまく切り出せましたか?
側板内張と側板を貼り合わせます。単に私の好みから、接着剤は木工ボンドを使いましたが、使い慣れたもので構いません。セメダインCなど、あなたのお好みでお使い下さい。接着剤は、ボール紙の切れ端をパレット代わりにして、必要なだけ出しておき、やはりボール紙で作っておいたヘラを使って、薄く一気に塗りつけます。
貼り合わせたら、接着剤が乾かないうちに、紙片の角やチリ紙で、はみ出した接着剤をぬぐってしまいましょう。
貼り合わせたら、重石をして数時間は乾かします。写真は直にバイスを載せるという適当ぶりですが(まあ、そのくらい気楽にやっている、という表現でもありますです)、きれいな板などで挟んで重石をした方が良いのは言うまでもありませんです。
内張と表面の窓が、少し斜めになっていたり、紙の切り口にメクレが出ているようでしたら、ヤスリをかけて修正しましょう。「紙にヤスリをかける?!」と驚く方もおられるでしょうが、かけ方のちょっとしたコツを覚えれば、少々の修正は簡単にできるようになります。もちろん金属のように盛大にヤスるわけにはいきませんが…。
目の細かいヤスリで、紙のめくれない目の方向(いらない紙片で実験してみれば解ります)のみに、やさしく撫でるようにかけるのです。これがクリアできれば、切妻の車輌は、表面処理なしでも充分見られる仕上がりにすることができます。
この後にも出てきますので、ひとつ練習なさってから、本番に臨んで下さい。
写真のように、側板の上端を屋根のカーブに合わせたり、ほかにも切り出したパーツが少し長めのときなどは、40〜50番くらいの荒めのサンドペーパーを、丸めて直径3cmくらいの筒にしてヤスります。
かけ方は、普通のヤスリの「斜進がけ」の要領で、ペーパー筒を前進させつつ、左から右方向へ振り、力を入れずに軽くシャッシャッとかけるのです。これも不要な紙で良く練習してから行って下さい。
(写真は見やすくするために、小さく丸めて親指に巻きつけたりしていますが、もっと大きく筒を丸めたほうが持ちやすいです。)


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