いきなり結論から
CD-DA作成に最適なCD-Rメディアは以下の3点です。残念ながらいずれも店頭での入手は困難。
・太陽誘電
CDR-63PY実売230〜300円前後
550MB、63分メディア。
音質ではこれが最高です。妙な癖がなく素直。
ディスクの品質管理がイマイチで、数%程度、ホコリや汚れが付いたものが混じっているのが惜しいです。
ほとんど店頭では売られていませんが、こちらの通販サイトで購入可能です。・三井化学
GOLD PROFESSIONAL実売270(直販)〜350円(店頭)
650MB、74分メディア。
若干高域が落ちておとなしいサウンドになる印象もありますが、厳密に比較しないとわからないと思います。
とにかく品質が良く、安心して使えます。耐候性にも優れています。
やはり店頭では見かけないメディアですが、三井化学の直販サイトから購入可能です。・次点:TDK
CD-R63S(生産中止)
550MB、63分メディア。
高域がキラキラする独特の音質。クラシックには厳しいが、ポップスだととても良いです。音楽の持つ躍動感を上手に再現します。
どういうわけか、うちのCD-Rではファイナライズできないことがありました。(記録自体には問題なし)CD-DA作成に推奨できる入手容易なCD-Rメディアは以下の3点です。
・TDK
CD-RXA74実売200〜300円
650MB、74分、DA専用メディア。
CD-R63Sと同様の傾向。高域だけでなく低域も若干強調されます。明らかにロック・ポップス向きのチューニング。J-POPをこれにコピーすると音質が良くなったように聞こえるけれども、クラシックピアノなどは金属的な響きに感じることもあります。・太陽誘電
CDR-A74CP実売150〜200円
650MB、74分、DA専用メディア。
容量の差のためか、解像度でCDR-63PYにやや劣っています。しかし特定の帯域が強調されることがなく、素直な特性だと感じました。
DA用としては値段が安いので、シビアな用途でなければこれで十分ではないかと思います。・AXIA
CD-R PRO for AUDIO 74min実売350〜400円
650MB、74分、DA専用メディア。
高域がヒステリックに強調される感じがありますが、650MBとは思えないほど解像度が高く、繊細なサウンドもよく再現されます。しかし高い。300円以上では頻繁に使えません。
レーベル面の印刷が濃い緑色で、書き込んだ文字が読みにくいのがマイナス。その他のCD-Rメディア
※上記以外にもいろいろ試しましたが、傾向は太陽誘電と同じなので省略します。
・太陽誘電
CDR-74TY実売 〜100円
650MB、74分
IMATIONほか多くのメーカーにOEM供給している太陽誘電ですが、これは最も標準的なメディアとされます。どんなCD-Rでも書き込める安定性がウリです。音質はロー強調タイプで、高域は少し落ちます。・太陽誘電
CDR-80TY実売 〜120円
700MB、74分
分解能が悪いです。高域特性も低下しており、一聴しただけでオリジナルとの音質差が分かってしまうレベルです。スタインウエイのキラキラ感が再現できません。・TDK
CD-R74TFN実売 〜100円
650MB、74分
タフネスコートがウリのTDKですが、音質は低音強調型。ピアノの低音や、ティンパニ、コントラバスがいい塩梅に強調されるので、低域不足なスピーカーを使っている自分には合ってるかもしれません。・三井化学
GM74 Digital Audio実売 300円程度
650MB、74分、DA専用メディア
DA専用を謳っているのにめっちゃ音質悪いですぅ(笑)。とにかく高域が足りない。鼻をつまんだようなサウンドになってしまいます。また、Dレンジも狭まる感じで、閉塞感が強いです。
検証1.記録容量について
CD-Rには550MB(63min)、650MB(74min)、700MB(80min)など、様々な記録容量が存在します。記録容量によって音質差が出るのか?答えは明確にYESです。非圧縮デジタル記録のため、媒体の記録密度がどうなろうともバイナリにおけるデータに差異は出ないのですが、実際に再生される音はびっくりするほど違います。
550MBメディアは音質に重点をおいてCD-DAを作成する場合には最良の選択と思われます。
このメディアは作っているメーカーが少なく、生産量も少ないため低価格競争から逃れていて、製造ラインも大量生産品とは異なっているようです。したがって、音質差が一概に記憶容量だけの差とは言い難い面もありますが、太陽誘電CDR-63PYなどはコピー元との区別がほとんど不可能な音質になります。650MBと700MBメディアは数多く販売されており同一ブランドで比較できますが、音質差が非常に大きく驚かされます。優秀な650MBメディアは550MBメディアに肉薄する音質ですが、700MBでは高域の解像度が低下し、Dレンジも落ちて平板なサウンドになります。特に高域特性の劣化はわかりやすいので、少し注意深く聴けば誰もがオリジナルとの音質差を認められるのではないかと思います。したがってCD-DA用途において、700MBメディアを使うべきではありません。700MBメディアを使って比較試聴をしているオーディオ専門誌の姿勢は非難されて当然だと思います。
検証2.CD-DA専用メディアについて
CD-Rには著作権補償金が上乗せされたオーディオ用(CD-DA専用)メディアがあります。補償金の分だけ価格が割高になっていることと、コピーガードに対応していることなどの違いはありますが、記録方式そのものはデータ用と同じです。DA専用ということで各社とも音質に気を遣った点をアピールしていますし、曲目を記載・整理しやすいようにレーベルなども工夫されている製品が多いのが特徴でしょう。
音質については、同メーカーのデータ用よりも素直な特性のものが多いと思います。私のCD-R作成環境での一般的な傾向として、データ用メディアでCD-DAを作成すると低域が持ち上がって聞こえる現象が認められましたが、同メーカーのDA専用メディアではほとんどフラットになる例もありました。
検証3.その他の差異
記録色素としてシアニン系とフタロシアニン系があります。CD-R開発元の太陽誘電がシアニンを採用していることもあり、シアニン系が主流になっています。音質差は大きく、フタロシアニン系メディアは高域特性が悪いものが多く、レンジも狭いです。要するに三井プロフェッショナル以外のフタロシアニン系メディアはDAには使えねーよ、ということ(笑)。なおフタロシアニンはシアニンと比較して耐候性に優れ(光・熱に対して安定)、長期保存したい場合に有効です。また最近では、16倍速以上の高速書き込み対応を謳い、感度を上げたシアニン色素(スーパーシアニンなどと呼ばれる)を使用したメディアが出ていますが、これらは光安定性が悪いので保存時は極力光源の影響を避ける等の注意が必要です。太陽誘電メディアの場合、数時間直射日光に晒すだけでディスクの読み込みができなくなる等の報告がされています。
そのほか、書き込み速度の影響などもありますが、私が使用しているレコーダーは等速書き込みしかできないため、速度差による音質の変化についてはレポートできません。等速よりも2倍、2倍よりも4倍の方が音質が落ちていく(解像度が甘くなる等)という報告がされています。CD-DAはデータ用と記録フォーマットが違い、書き込み速度の高速化によるジッターの影響が出やすいと考えられますので、2倍速までが実用範囲と考えた方が良さそうです。
2001.05.27
2006年8月追記
上の文章を書いて5年ほど経ちました。携帯音楽市場はiPodの台頭もあって大きく様変わりしました。
結論から言いますと、自分は未だに太陽誘電CDR-A74CPを使っています。その後もいろいろ使ってみたのですが、音質から使い勝手の良さや安定性など、これに勝るメディアはないと思います。現在のところ、Amazon.co.jpで10枚入り1000円程度で購入できます。1枚あたり100円ですね。CD−Rレコーダーのハードウエアはそれほど進歩していないようです。