イギリス紳士会議







京都、木屋町。

土曜の深夜、いやもう日は明けて日曜日の午前4時。

大学生が多いせいか土曜日ともなると人手は多い。

不景気はどうやら学生にはあまり縁がないようだ。

ある日のこと、僕はなんとなくお酒が飲みたくなって、ウチを出た。

ここ最近、友達と事前に示し合わせて飲みに行くことよりも、こうしてフラッと気分次第で飲みに行くことの方が多い。

とはいえ、いつも行くBARは決まっていて、そこにいけば必ず誰かはそこにいる。

知ってる常連客がいなければカウンターの中にいる同年代のバイトと下らない話をしていれば済むだけの話だ。

僕がその店に到着すると、どうやら宴たけなわの状態は過ぎ去ったようだった。

空気が疲労感を伴って、ドアを開けた僕の顔をなでていった。

きっと数時間前にはここでテキーラが何本も空けられてしまうような、そんなお祭り騒ぎの状態だったのだろう。

テーブルの上に散乱したショットグラスがそれを伝えていた。

僕「チンザノロッソをロックで。レモンを多めに絞ってね」

ちょっとだけ、酔いたいだけなのだ。

本気で酔いたいときには迷わずボンベイサファイアのジンライムを注文する。

ふと見ると、僕が座っているカウンターからちょっと離れた場所のテーブル席で、一人の女のコがうつぶせで寝ていた。

髪はブラウンのメッシュ。

デニムのジャンバーに、トロピカル系のスカート。足元はミュールだ。

スカートから伸びた脚はスラッと伸びていて、きっと僕の好みのタイプかもしれない。

チンザノのロックが効いたのだろうか?

僕の頭の中では、会議が始まった。

・・・・・

イギリス「なあ、あの女のコ、カワイイかな〜」

イギリス「そこらへんはようわからんで? 起きてみたらダダ星人! なんてことはようある話や。自分、もう何回おんなじ間違いをしてると思うとんのや? あかんで〜」

イギリス「そういう話をするべきではないだろう。女のコは顔じゃないんだ。やっぱりハートだろう。心さえキレイでなかったら付き合うとかデートするとか一緒に食事するとかには値しないよ。」

イギリス「顔とカラダがよかったらいいんだよ。カッコつけんなよ、ボケ」

イギリス「ん〜、でも、そういう議論ってさ、顔見てからじゃなきゃできないんじゃない?」

イギリス「いや、一般論としてだね、人権を害するようなそういう発言は慎むべきじゃないか、とそう思うんだが」

イギリス「タクシー連れこんでホテル横付けして犯ッちまえ」

イギリス「キミ、それは暴言だな。」

イギリス「ワシもそう思うな」

イギリス「僕もさすがにそこまでは言えないよ」

イギリス「オレだけ仲間外れかよ。ケッ! かっこつけやがって」

イギリスジークジオン!!

その他全員「ガンダマニアは黙ってろ」

イギリス「で、そうするの?」

イギリス「もしかしたら彼氏がこの中にいるのかもしれないし、顔を見たらこの議論も意味をなさないのかもしれないよ?。様子を見るというのはどう?」

イギリス「ワシ、時間がかかることは好きちゃうねんけどなあ。」

イギリス「あせって失敗したことがかつて何回もあった!」

イギリス「・・・あえて言おう地球のヤツらはカスであると!!」

その他全員「もうええっちゅうねん」

イギリス「私が提案するのは、そろそろ帰ってホームページの更新と、勉強をしたほうが良いのではないか、ということだ」

イギリス「その前に彼女作るのが先じゃない?」

イギリス「マスターグレードのZガンダムだって作らずに置いてあるだけじゃん。早く作らなきゃダメじゃん」

イギリス「法律の勉強と産業経済の勉強と医療経済の勉強はどうするつもりなのだ? 彼女なんてし司法試験に合格したら好きなだけ作ったらよいのではないか?」

イギリス「ホームページの更新も止まってるよねえ・・・」

イギリス「いいじゃねえか、そんなこと。それよりもあのオンナ、さっさとトイレ連れこんで犯っちまえよ!」

イギリス「そういうの、ちゃんとした彼女としたほうがいいと思うよ。それよりもやっぱりホームページだよ」

イギリス「読まなきゃいけない教科書だってたまってるではないか。それを熟読してからだろう。」

イギリスワシ、ウンコしたい

その他全員「おまえ、先に家に帰れ!!

・・・・・

僕はちょっと頭痛がしたので、その一杯を飲んで、家に帰ることにした。

どうしたというのだろう?

つい最近の出来事である。





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