コースケのクリスマス



 

その年のクリスマス、伝言ダイヤル、テレクラなどで珍しくナンパに成功したコースケは図らずも3人の女のコとデートすることになった。

一人目の女の子、ミキちゃんとは朝から遊園地に行き、夕方ホテルに寄り、7時にバイバイした。8時からバイトだと言っておいたのだ。

二人目の女の子、ユキコちゃんとは午後7時半の待ち合わせで食事に行った。そしてその後ホテルへ。その2時間後、夜の11時にバイバイした。そのコの門限が11時だったのである。

そして三人目の女のコ、マユミちゃんには、午後の11時までバイトで忙しいといっておき、その晩一緒にホテルに泊まることになった。

午前1時くらいのコースケの心の中では、二人の男が激しい会話を交わしていた。

ブライト艦長「主砲、発射用意! 弾幕薄いぞ!!索敵、警戒怠るなよ」

トーレス「艦長、もう主砲のエネルギー限界です!もう撃てません!!今日、もうすでに7発撃ってます。エネルギーが限界ですッ」

ブライト艦長ユンケル隊!何をしている!!補充やらせ!!」

トーレス「1時間まえに投入してます」

ブライト艦長ナンパオはどうした!」

トーレス「3時間前に5錠投入済みです!!」

ブライト艦長「モビルスーツ隊はどうした!出れるのか? 主砲発射までそれで保たせろ」

指を使え!ということですね?

トーレス「了解!」

モビルスーツ隊、左右前後上下に展開。激しいモビルスーツ戦が繰り広げられる。

トーレス「敵機、撃沈しました」

ブライト艦長「よし、いったか。主砲発射まであとどれくらいかかる?」

トーレス「あと約30分です」

ブライト艦長「よし・・・、本艦は一時戦線を離脱する。各員第二次戦闘配置のまま待機。」

音楽でも聴いとけ、ということですね、艦長?

ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ、・・・。

トーレス「艦長、右舷より強いレーダー反応です!」

なんでこんな時間に携帯だと?!

ブライト艦長「敵か? 確認急げッ」

トーレス「ミノフスキー粒子がこんなに濃くっちゃわかりませんよ」

ブライト艦長「泣きごとはいい、やるんだ」

トーレス「この着信音?!・・・わかりました、先ほどの戦闘で撃沈したはずのユキコちゃんです!」

ブライト艦長「なんだと?! 逃げ切れるか?」

トーレス「ダメです! 正面の敵にも察知されてます」

ブライト艦長「なんとかやりすごせ」

トーレス「例の作戦でいいですか?」

ブライト艦長「やってみろ」

トーレス「『ただいまおかけになった電話番号は現在つかわれておりません。もう一度電話番号を確認の上。おかけなおしください』」

ブツッ。

ブライト艦長「どうだ? いけたか?」

トーレス「はい、電話のほうはなんとか・・・。でも正面の敵に不穏な動きが見られます!」

ブライト艦長「気付かれたか?」

トーレス「ダミー、射出しますか?」

ブライト艦長「よし、やってみろ」

「ハハハ、まいっちゃうよ、いっつも悪ふざけの好きなツレがクリスマスだってのにジャマするんだよね。せっかくの僕とキミのホーリーナイトなのにね。ずっと愛してるよ、大好きなんだ、マユミ。結婚しよ♪ ずっとまえから結婚はキミと、って決めてたんだ。」

「・・・昨日、伝言ダイヤルであったばっかりじゃない。フフ、、、へんなの(笑)」

トーレス「敵機、笑ってます」

ブライト艦長「よし、まあいいだろう。今のうちに主砲にエネルギー、充填しておけ」

・・・・・・。

次の日の昼ごろ、コースケとマユミは海辺の公園を散歩していた。

彼らには朝のお散歩だった。

トーレス「艦長、主砲に異常アリ。エネルギーが充填されてます。このままではオーバーロードします!」

ブライト艦長「なに?! 今は撃つときではない! ここは戦闘空域ではないというのに!」

トーレス「昨日のユンケルとナンパオの投入のせいかもしれません」

ブライト艦長「今ごろになって!」

トーレス「ダメです! もう限界です! このままでは暴発します!」

ブライト艦長「よし、撃て」

・・・・・・。

喫茶店の席についたコースケは、さりげなくコップを倒した。

コースケ「ああ、まいったな、水こぼしちゃった」

マユミ「あ〜あ〜、コースケ君って意外と子供なのね。ダメじゃない、はい、ハンカチ」

こうしてコースケの一日は過ぎていくのであった。

ソマリアでは一日に何百人もの人々が飢餓で命を失っていた。

アンゴラでは政府軍、反政府軍の設置した対人地雷によって一日に何十人もの民間人が脚を失っていた。

イラクではたった一錠の薬剤がないために、一日に何人もの子供が死んでいる。

その一日、日本は限りなく平和だった。


教訓「人間ってなんだろう?」





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