男と女の虚飾の物語

〜離別編〜

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ミユキの心の声

外では子供たちがボールを中心にあそんでいるのが見えた。ここは海岸公園がよく見えるところにあったカフェレストランだった。コースケとミユキはここに好んで来ていた。ミユキはこの店のアイスコーヒーが好きだったし、コースケはここから見える風景が好きだったのだ。

ミユキはいつものように飲み終わったアイスコーヒーのストローで遊びながら、たまにコースケの顔を見て微笑んでいた

「…ごめん。もう、ミユキとは付き合えない

途切れ途切れの低い言葉が、そういう意味をなしているとミユキがわかったのは数秒たってからだった。

「え…?」

ミユキはこわばった顔をしてコースケの顔をのぞきこんだ。

「ごめん。もう、ミユキとは…。おれのわがままだ。ミユキは悪くない…」

ミユキはほんの少しだけ悲しそうな顔をした。少なくともコースケにはそう見えた気がした。

しばらくの沈黙のあと、ミユキが口を開いた。

「ねえ。もうちょっとだけ、付き合おうよ。あたし、嫌われないように、コースケに好かれるようにがんばるから…」

ミユキはコースケの目をじっと見つめてそう言った。これまで聞いたことのない、真剣さを湛えた視線と言葉だった。

コースケはミユキの目から視線を外し、外を眺めた。夕方の4時。外は黄昏時にかかっていた。学校帰りの時間帯らしく、学生が多数、おしゃべりをしながら通りすぎていった。

テーブルの上には、すでに飲み干されたアイスコーヒーのグラスと、カプチーノのカップ、そして二枚のケーキ皿が残されていた。いつも二人はここではそれを注文していた。

夕方を過ぎるころ、この店はディナータイムになるために、だんだん混んでくる。チリーンという鐘が鳴った。新しいお客が入ってきたのだろう。

「ちょっと、外、歩こうか」

コースケは会計票をもってたちあがった。

「うん」

いつもはコースケから手をつないで外にでる二人だったが、今日はコースケの手は動かなかった。

それを見たミユキは、そっと腕をとって、

最後…なのかな」

とつぶやいた。

外は、涼しい風がそよいでいた。キレイな夕陽が海の向こうに沈んでいく時間帯だった。海岸公園を歩く二人の影が長く伸びていった。

コースケはジーンズのポケットに手を突っ込んだまま、ベンチに座り脚を組んだ。

ミユキもそのとなりに座る。1組のカップルが二人の前を仲睦まじげに歩いていった。何の話をしているのかはわからなかったが、とても楽しそうだった。

二人にもかつてこういうときがあったのだ。数ヶ月前、偶然出会い、そして少しの間だったけど、高校時代を思い出させるような、陽炎のような時間を過ごしたのだった。

「コースケ、全然かわってなかったね。」

ミユキはつぶやくように言った。

「おまえも、高校のときのままだったよ」

コースケも答える。

「コースケ、短いあいだだったけど、楽しかったよ。ありがとね。ねぇ、これからも、『友達』として、会ってくれるかな?」

ミユキはコースケの腕から手をすでに離していた。コースケは何もいわず、少しだけうなずいただけだった。

「じゃあ、最後に、キス、していい?」

ミユキは唇を差し出した。コースケは少し戸惑った表情をしながら、自分の唇を持っていった。夕陽が作る二人のシルエットが一瞬だけ重なった。唇を合わせただけの、小さなキスだった。しかし、それは悲しいことに、最後のキスだった。

コースケの心の声

コースケのアレって、ほんっとにストローサイズなんだよね。もう大笑い。コースケがストロー級なら一応マコトはフライ級(笑)?

え?もう付き合えないって…?もしかしてフタマタがバレた?!こいつバカだからちょっとのことではバレないと思ったのに。なにが原因だ? 毎回トイレのふたは下げてるし、マコトのハブラシは毎回下駄箱の奥だし、ん〜と、あとキスマークは毎回念入りにファンデーションで隠してるし…

な〜んだ。バレてないんじゃん。でも困ったな。来月あたしの誕生日なんだぞ。グッチの時計ねだろうとおもってたのに〜!!

なんとか引き伸ばさないと。

とりあえず誕生日のプレゼントくらいは餞別としてもらわないと割にあわない。これまでコイツのバカさ加減につきあってきたんだぞ。どうせ今だって女子高生の生足見てるんだろーが。

このセクハラ野郎!。いつもセクハラビームとばして、でも自分ではセクシービームだと思ってんだよな。

あちゃ、まずい。たしかマコトの友達がここの夕方からのバイトに入ったとかいってたっけ。そろそろ出ないとな…。

グッタイミン!

あ〜あ、いつもここでタダメシにありつけてたのに、今日でおごりは最後か。いいや、今度はマコトにおごらせよっと。ここのチーズケーキ、最高なんだよね。

う〜ん、やっぱりもうコイツのサイフはあきらめるかな。いや、友情にかこつけてプレゼントをもらうってテもあるか。それならHしないで済むし。

いいな。あの女の人のバッグほしい。

そういえば数ヶ月前にここで偶然コースケにあったんだよね。あれが間違いの元(笑)?だってコースケ、高校のときとまったく変わってないんだもん。相変わらずのバカでさ(笑)。また裸にエプロンつけてルーズソックスを要求されるとは思わなかった。やっちゃった自分がとても恥ずかしい。親には見せられない姿だ。

だいたい、いい年してなんでトランクスが『チャルメラ』なワケ? 高校のときと同じじゃん。あのときはセーラームーンだったか?

よし、今度あたしの誕生日に、『友達』として会って、プレゼントもらおっと。まさか『友達』にHしようなんて言わないわよね?

あ、あたし今日の昼にガーリックライス食って口臭いんだ。

ま、いっか。どうせ最後だし。

今日はイチャついてるカップルは…いないか。クソ。ここからだとかなりきわどいことしてるカップルがよく見えるんだよね。ケケケ。

さて。そろそろ言うかな。

レイコのやつ、ほんとにカネのかかるオンナだから、まずはカネのかかるヤツから処分していかないと。ミユキはいいカラダしてんだけど、カネかかるんだよね〜。来月のコイツの誕生日までカネがまわらないんだよ。

よし、一応ここは謝り倒しておこう。いつもいつもおれが悪者だったんだよね。コイツ、自分が遅刻してきてもなんとも言わないのに。おれのときだけおれが悪者

どんなにがんばってもらっても、おまえはカネがかかるっちゅうねん。

お!!あんなにスカートの短い女子高生が自転車!!風吹かないかな〜。ケケケ。

う〜ん、あんまり修羅場は他人に見られたくないな〜。まさかコイツに限って泣き出すことはないけど、ウソ泣きとかしそうだからな。都合の悪いときには必ず泣いてごまかしやがる。

あ、マズい。レイコとおそろいで買った指輪が薬指にはまったままだ!! ポケットから手が出せない!

レイコ…。あいつ、巨乳なんだよね。もう歩くたびにタプンタプン。クケケケ。最近ナンパしたなかでは最高の成果っす。今日はこれからデートだ。

ミユキもスタイルはいいんだけど、Cカップ、普通なんだよね。

時代は今、Jカップ2002年はWカップ。なんちゃって。やっぱしおれってバカなのかなぁ?

なんか思い出したら勃ってきちゃった。イテテ。位置なおそっと。

考えてみたら、別に完全に別れる必要はないんだよな。ヤリたいときにヤル。それでいいじゃん。

しっかし、ミユキも変わってなかったよな〜。あの形のいいおっぱいと、腰のくびれ。

思い出しただけで、おっとヤバイ…またオレの『暴れん坊将軍』が…

何? これからも『友達』? それはもしやSEX FRIENDってことか? そんなにオレの『暴れん坊将軍』が恋しいのか? ケケケ。

あ、今日の昼に納豆たべて口のなかまだネトネトだ。

ま、いっか。どうせ最後だし。

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