うちの姉

 
うちの姉は今年で26歳になる。某私立短大英米語科を卒業したのち、事務職・秘書を転々とし、いまは某I○M社の秘書室勤務だ。英語検定やら秘書検定、コンピュータ関連の資格をいくつか持っているおかげで、短大出身にもかかわらず、なかなかの仕事をとっているらしい。

しかし不幸なことに、ジジィの秘書である上に一般社員とは勤務時間が微妙にズレているらしく、周りにいいオトコがいないらしい。したがって、適齢期であるにもかかわらず、当面結婚の予定はないとのことだ。弟の僕からしてみたら、さっさと結婚して家から出ていってもらいたいのだが、世の中うまくいかないものだ。

どんな姉なのか。キビシイの一言に尽きる。はっきりいって、うちの母親よりも母親らしいだろう。そして、その攻撃の矛先はいつも僕に向けられるのだ。僕が家にいないときはよく父がしかられているらしい(笑)。でもお金の管理は、相当しっかりしている。いや、しすぎだ。

姉「あんた、もうちょっとお金の使い方考えなさいよ」

僕「ん? PCのソフトか〜?」

姉「全部にきまってんじゃない」

確かに、僕はゲートウェイのタワー、そして現在イギリスに持ってきているメビウスノートの2台のPCを持っている。そして、気に入ったソフトがあるたびに衝動買いを繰り返している、ように写っているらしい。

僕「でもコンピュータなんてソフトいれなきゃタダの箱じゃないか」

しかし、そんな理屈は通用しないのだ。

姉「ウィンドサーフィンとかいうムダ遣いしてる上に、3DCGの12万円? あんた、ウチがアラブのお金持ちだとでも思ってるの?」

ウィンドサーフィンは僕が大学に入ってから始めたスポーツで、そう、サーフボードにマストとセイルがついたようなマリンスポーツだ。しかしこの道具はめちゃくちゃ高くて、ワンセット30万円ほどする。しかも、セイルのサイズは風力に合わせて変わるので、数枚のセイルは必要になってくる。だから、現在までにかかったお金は50万円ほどだろう。

僕「だから中国人から買おうと思っててんけど、摘発受けてて一人もいなかったんだってば。いいじゃないか、結局買ってこなかったんだから!」

秋葉原に再び台湾人や香港人が現われるのは、数ヶ月先だろう。

姉「だいたい、ウチのなかで働いてないのはアンタだけなんだからね。もうちょっと立場ってものを考えなさいよ。働いてない人が一番お金つかってどうするの?」

僕「学生は勉強するのが本分だろ? ちゃんとそれはしてるだろ」

姉「勉強するのになんで3DCGが必要なのよ」

なんという的確な指摘。そして僕は言葉に詰まるのである(笑)。なんという、すばらしい論理構成。そして相手の会話のワナにはまった未熟な僕。どうして女というのはこういうふうに口がたつのだろうか。しかもなんと小生意気なことか。

僕「いや、それは、ホームページで…

姉「遊びじゃないの」

完全に姉の思う壺で話が展開していく。

僕「じゃあ、遊んじゃいけないっていうのかよ。学生はみんなPCで遊んじゃダメなのかよ」

姉「限度を考えろっていってるの。このゴクツブシ!

ゴクツブシ…。とりあえず、(某国立)大学に行っている僕である。しかも、一応はちゃんと単位もそろえ、留年することなく院浪することもなく、そして留学中である。これまでの人生を振り返るにあたって、そう後悔するような事柄はあまりない。ゴクツブシはひどいだろう?! そりゃたしかに稼ぐことなく消費しかしていないが。

しかも、ひどいのは、自分のことを棚にあげていることだ。たしかに、現在親から小遣いをもらうこともなく、自分の遊ぶお金、欲しいものはすべて自分の給料でまかなっているらしいが、家賃も食費も水道も電気代も払ってないのだから、月給まるごと自分の自由に使えるお金なのだ、小遣いなどないのがあたりまえちゃうんか!

貯金などサラサラない僕に引き換え、現在姉の貯金は300万円弱あるらしい。
ちなみに、ウチでは学歴など全然関係がない。誰も興味ないのだ。学歴ではパンも買えない。これが標語である。したがって、完全被扶養者である僕は、一番立場が低いのだ。お金をもらう側が、くれる側よりも立場が弱いのは世の常である。

姉「文句があるんなら、稼げるようになってからいいなさいよ」

姉は勝ち誇った顔でそういうのだ。僕は口をつむぐしかない。僕がウチのなかでどんな扱いを受けているか、わかってもらえただろうか。

誰か、この姉を引き取ってくれ!
 


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