アカネの恋愛


好きな人がいます。

それはウチの高校の生徒会長の真崎先輩です。

あれは4月。入学式の日の出来事でした。

私が慣れない校舎で迷っていたら、声をかけてくれたのが3年の真崎先輩でした。

メガネがとても知的に見えて、いつも何か本を抱えている、そういう雰囲気。

真崎先輩: 「ねえ、どうしたの?迷った?」

低いけど透明感のあるその声に、私は一瞬でカチカチに緊張してしまったのを覚えてます。

小学校のときとか中学のときとか、好きな男子はいたけど、それとは全然別の感情。

心臓をつかまれて、動けなくなってしまうような、そんな強い力をもって心を支配したその感情。

私: 「はい、えっと、図書館に・・・」

真崎先輩: 「ああ、僕も今から行くから案内してあげるよ」

そのあと、どの廊下を通ってどの階段を上がったのか、よく覚えていません。

なんかすごくフワフワした気持ちだったことだけ覚えてます。

真崎先輩が生徒会長で、学校中の女子の憧れの存在だと知ったのは、それから数日後のことでした。

きっと私なんかじゃ、相手にされないんだろうな・・・。

東大合格間違いなしとか言われてるみたいだし・・・。

アタマいいんだろうナァ・・・。

それに引き換え私なんて。

子供っぽいとか言われるし、ドジだし、アタマもそんなに良くないし。

こんな風にヌイグルミ抱えてないと眠れないなんて、言えないナァ・・・。

きっと真崎先輩は頭が良くて、大人っぽくて、キチンとした女の人が好きなんだろうな・・・。

あ、副会長のあのオンナの先輩とつきあってるのかな。

私なんかじゃ絶対勝てっこない。

キレイだもんなァ、副会長の先輩は・・・。

・・・。

あ、お月さまだ。今日は満月なのか〜。

キレイだな〜。

もしかして今、真崎先輩も見てるのかなあ。

それとも勉強中なのかな。

あー、もうヤダヤダ!私も好きな人に好き、って言える女のコになりたいよー。

カッコよくて、頭良くて、すごく素敵な真崎先輩の彼女になりたいな〜。

*****

同時刻。

真崎の家の真崎の部屋で。

真崎は満足そうに月を見上げていた。

そして一つの人形を手に取った。

真崎: 「月に代わってオシオキよ!

別の人形を手に取って、

真崎: 「火星に代わってセッカンよ!

二つの人形に自分をパンチさせながら、とてもうれしそうだった。

そして最後に、おもむろに二つの人形のスカートを下から見上げた。

真崎:
 「ハァハァ・・・うさたん萌え萌え〜」

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