サラリーマンの憂鬱


 
ここ大都会東京。

私はかれこれ30年、このコンクリートジャングルで戦ってきた。

東京という街は、大きいけれど、とても冷たく、無愛想で、そして寂しいところである。

今日もこの雑踏の中、私は一人である。

いつからだろうか。私は毎日、帰宅前に小さな公園に行くようになった。




18で東京に出てきてからがむしゃらに働き、そして24の時に今の妻と結婚した。

子供は娘と息子が一人ずつ。

高い学費を払ってまで娘を私立の女子校に入れたが、悪い友達と渋谷に入り浸るようになった。最近の言葉では“コギャル”というのだろうか。

息子は、学校にも行かず、一日中部屋のなかに閉じこもって「エヴァン」なんとかというアニメを繰り返し見ている。出席日数が足りないせいで、中学校の卒業は4年間かかるそうだ。

妻は子供の面倒をほったらかしにして、テニスクラブに毎日通っている。お目当てはどうやらそこの若いインストラクターのようだ。




私は、たしかに学歴はない。

しかし、これまで一生懸命会社のために尽くしてきたのだ。

少なくとも私はそのつもりだった。

私がなにか特にこれといって大きな失敗をしたというのだろうか。

私にはいっこうに覚えはないのだ。

不況とリストラは私には関係ないと思っていた。

しかし、現実はいとも簡単に期待を裏切ってくれる。

私は多少の金額だが生命保険に入っている。

いっそ自殺してしまいたいと思うときもあるが、そういう勇気がないことも知っている。

昔は後ろを振り返ることなく、いつも力づくで前に前に進んできたのだ。

そして家族も、会社でも万事うまくいっていたのだ。

それが今はどうだ?

いったい全体、なにがおかしくなってしまったのだろう?

私はいまだに理由がわからないのである。



…ニンニク食べれば?



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