ブルセラビデオ

〜淡い恋とブルセラ〜

 しかし、その彼女とは、2回ほど“渋谷でデート”をしただけで終わってしまったのだ。

ちなみに、これはBOYS BEを読み過ぎてたり、

Angel Beatを読み過ぎてたりしたわけではないのだが、

当時の僕は、

デートの終わり際にするキス

というものにあこがれていた。

よくドラマにあるアレである。

女の子「それじゃ、今日はありがと♪」

オトコ「…ああ、うん、そうだね、そろそろ門限だっけ?!」(←思いっきり歯切れが悪い)

女の子「うん、パパ、怒ると恐いから」

(ああキスしてーよキスできねーかなキスしたいんだけど何の前触れもないよね?やっぱムリか?)

女の子「コワイ顔してどしたの?」

オトコ「い、いや、なんでも…」

女の子「何か悪いコト企んでるんでしょ〜?」

(うわぁめっちゃかわいいこの表情!やめてくれこれ以上ボクの脆い自制心を刺激するなぁ〜)

もはや“エヴァ初号機、暴走してます!”状態である。

でも、

女の子「じゃあ、また映画に誘ってね」

とか言っておきながらちゃっかり彼氏がいたりするんである(涙)。

女の子って、わかんないよね。

そう、女の子ってわかんない部分が多い。

あれは僕が高校2年になったときだったか。

当時、まだコギャルという言葉はあることはあったがいまだに市民権は得ていなかった。

せいぜいあったのは「ブルセラ」という言葉である。

記憶が正しければ、こちらのほうが先にメディアに登場していた。

クラスのO君は、そういうのがめっちゃ好きやった。

男子校だったためか、うちのクラスではオープンにそういう話が花を咲かせていたのだ。

そして彼がうちのクラスのアダルトサイト=情報発信源だった。

ある日、彼は新たに入手したブルセラビデオを一泊300円で貸し出すために、

学校に持ってきていた。

僕は10枚綴り2000円のチケット(手製)を買っていたのだが

それは今回本編には関係のないことであった。

O君「お代官サマ、今日のはひさびさの上物です、グヘヘヘヘ」

僕「そちも好きよのぉ、ヨシ、見せてみい、ゲハハハハ」

アホまるだしであった。

しかし、ある一点に僕の目は奪われたままであった。

この女の子、見たことあるぞ?!

知らないヒトに言っておこう。

ブルセラビデオの類は、個人でダビングされることが多いので、

パッケージも手製である。ただ写真が貼ってあるだけなのだ。

その写真。

どう見ても、どこから見ても「由佳ちゃん」だった。

なんでこんなのに出演してんねん?!

しかたなく、チケットを3枚渡して3泊も借りてしまった僕だった。

その夜、由佳ちゃんが3年間のうちに「巨乳」になっていたことを発見したのであった。

ちなみに言っておくと、あのテのビデオでは、当然「違う学校」の制服を着ている。

間違っても自分のそのままの制服を着ることはない。

そしてもうひとつ、その夜、由佳ちゃんに電話したけど、

「おかけになった電話番号は現在つかわれておりません」

なんてメッセージを聞いた、なんてこともない。

誤解しないように。

なんだかよくわからないうちにブルーになってしまった僕でした。

教訓「人生いろいろ」

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