サトシ君の罪と罰





僕がバイトしていたホストクラブには同年代のスタッフもいた。

彼の名前はサトシ。

年齢は20歳。彼女アリ

顔は少し萩原流行に似ていた。

彼はとてもHが好きならしく、いつも彼がテーブルで披露するトークは下ネタが多かった。

家が近所なのもあり、いつもよくバイトの帰りにラーメンを食べに行く。

二人とも天下一品のラーメンが好きなのだ。

そんなラーメンを食べながらのお話。

サトシ「なあ、○○(お店での僕の名前)、今日すっごいショックなことがあってんか・・・」

そのセリフで始まったオフトーク(お客さんのいない時のスタッフ間の会話)は、僕にホームページ上へのアップを強いるくらいのお話だった。

今回はその話をしてみたいと思う。

*****

彼の携帯電話はドコモのiモード。iモードにはメールフレンド募集なりメール交換相手探しに類するサイトがある。

彼はそこでとある女子高生とメル友になったらしい。

サトシ「んでな、そのコと会ってん。このあいだの10月のことや」

「どういうメールとかしてたの?」

サトシ「ホラ、こういうテのやつ。昔のはもう消去しちゃったけど」

『今日は四条周辺ドコモ混んでてお店まで全然ツーカーないからIDOに困ったって感じ。でもそんなときでもキミに愛モード』

脳ミソ腐ってるのですか?

っていうかそんなメールでOKなの?

「はあ・・・。そんで?」

サトシ「会ったんだよ、ついこのあいだ(ニヤ)。ホラ、このコ」

彼が見せてくれたプリクラには彼とそのコが写っていた。

女の子は少しガッツ星人に似ていた。

「ヤっちゃった?」

サトシああ。ただな・・・」

熟れたキュウリをぬか壷に漬けたのですか?(イメージ表現)

「ただ?」

サトシ「そのときが初めてやったらしいねん、んで・・・」

フタのまだ開いてない壷だったのですか?(イメージ表現)

「んで?」

サトシ「つきあってくれ、って言われた・・・」

そりゃ言われるだろう。

「どう答えた?」

サトシ「ああ、いいよ、って」

「ユキちゃんいるじゃん」

サトシ「そんなん、いるって答えなかったらHできひんやんけ」

さすが本職のホストだと思った。

っていうか、それ、外道!

「なるほど。で、まだ続いてるの?(かわいそうな気もするけど・・・)」

サトシ「話はこっからだ」

彼がプライベートでのフタマタ(もしかしたらそれ以上)を始めてしばらくしてからのこと。

彼の携帯電話に新たなメールが入った。

登録しておいたメル友募集のサイトからだ。

17歳の高校生。

「そんなんよく来るん?」

サトシ「まあ、まあかな。だってそこではオレ、同志社高校ってことになってるし」

それ経歴詐称です。

「はあ、なるほど」

サトシ「んで、このコとも昨日会ってきたんや(ニヤ)」

「ヤっちゃった(汗)?」

サトシ「ああ」

また17年モノのワインのコルクを抜いてしまったのですか?(イメージ表現)

・・・いや、コルクを閉めた、っていうほうが正解か?

「うらやましい・・・、いやなんでもない。それで、そのあとなんかあったのか?」

サトシ「会ってバイクで送った直後のことや、ホラおれその日バイトってことになっとったし。二通のメールが届きよってん」

「なんて?」

サトシ「一人目のコから、『ウソツキ野郎、フタマタなんてかけんな!信じてたのに…』って。二人目のコから『女の子をだまそうとするから自分がだまされるんやで。このホーケイ野郎』って。どうやらその二人、示しあってオレを試したらしい」

「そういうオチか、まあそういうもんだろ。でもダマすのが本職のホストを逆にダマすなんてその女子高生もすごいなあ」

サトシ「おしいことしたなあ」

「二人目のコはかわいかったの?」

サトシ「ん?…えっと、このコだ」

彼が見せてくれた次のプリクラには、彼と一緒に色黒のコが写っていた。

egg系だが顔はなかなかかわいいコだった。

「へ〜、こっちはなかなかかわいいじゃん。ひと時のこととはいえ、なんともうらやましい…」

サトシ「…」

「どうしたん?」

彼の目は遠くを見ていた。

そのときの彼の心の瞳には一体なにが映っていたのだろうか。

サトシ淋病やった…

やっぱりこの世に神様はいるんだな。

悪いことをしてはいけません、ということなのだろう。

それでも、少しだけこいつがうらやましいと思ったのはやっぱり罪なのでしょうか、教えてください神様。


教訓「いつも神様は見ています」



 
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