アムステルダムの夜


それはアムステルダムでの最後の晩のことだった。

ユースホステルで同室になったフィンランド人、スコットランド人と一緒にディスコクラブに繰り出すことになったのだ。

つまり「ゲイ専用」クラブに行こうということにきまった。

女のコと一緒だとノーマルだと思われ、そういうところには入れないのである。

ちなみに、通常の3倍のスピードで音楽がかかっていることは、ない。

入ったところは、有名なところらしかったが、どうも狭かったような気がする。

案の定、そこはホモ&レズばっかりで、みんな大麻を吸って、ビールを飲んで腰を振って踊っていた。

雰囲気は、“怪しい”の一言に尽きる。おれたちも乗り遅れないようにスパークせねば!

師匠曰く、「考えた途端、萎えてしまう」からだ。

おれもビールを飲んで、踊り出した。

どれくらい時間が経ったのだろうか。深夜になるにつれ、人が増えていった。

ふと気がつくと、背中に人の気配を感じる。

これくらい混んでたら当たり前なのだが。

でも気になって振りかえってみると、
ヤツがいた。

目が合うと、
ヤツは微笑んできた。

スキンヘッドで頭に刺青。

上半身は裸で、首輪をつけているだけだった。

背中にも刺青。

数は数えてないが、ボディピアスも多かった。

下半身は、革の半ズボン“のようなもの”をはいていた。

その瞬間は気がつかなかったのだが、ヤツが左腿のベルトをパチンと外した瞬間にわかった。

股の部分には何もなかったのだ。

その代わり、革製のコンドームが装着されていた。

そしてそれにおおわれたペニスを左のももにベルトで固定してあったのだ。

ヤツがその固定ベルトを外した瞬間、長さ30〜40センチはあろうかという長大なモノがぶら〜んとぶら下がったのだ。

まるで人間びっくりショーだ。


ヤツはソレをぶんぶん振りまわして踊り始めた
(笑)

あたるから、もうちょっとそっち行ってくれ!

調子に乗ったやつはステージの方に向かっていった。

どうやら、ここでは常連の人気者であるらしく、ステージに上った瞬間、歓声があがった。


ヤツはその長大なモノを前後に振りまわし、あるときはぐるぐる振りまわし、
艶かしい踊りを披露していった。

ほんとに人間びっくりショーだ。

ここから先、調子に乗りすぎたのがいけなかった。

ヤツは音楽に合わせて、
ソレで横にあったドラムを叩き始めたのだ。

初めは思いつきでやったんだろうし、すぐに終わらせる予定だったのだろうが、曲が一向に終わらないのだ。

結局、客に躍らされたヤツは一曲の間ずっとソレでドラム・シンバルを叩いていた。

ようやく曲がチェンジしたあと、ヤツはすごすごとステージを降り、トイレのある奥へと向かった。

きっと「確認」しにいったのだろう、腫れていたに違いない(笑)

通りすぎる瞬間、ヤツの目に涙が浮かんでいたことは誰にも言うまいと思った。

そして、革のコンドームに包まれたヤツ自慢のそれも心なしかしぼんで小さく見えた。

教訓 「そりゃ、叩きゃ痛いに決まってる。」


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