ホンダ CR-X EF8 1991年式
2000年春に同じCR-X(EF7)から入れ替えました。またCR-Xですか?と、お思いでしょうが,、実はCR-Xは3台目なんです。初代のCR-XはEF6、次にEF-7、そしてEF8。てなわけです。
よくも飽きもせずにCR-Xばかり3台も乗り継いだとお思いでしょうが、実はこの3台は形こそ同じに見えますが型式が違うように、それぞれエンジンが別物なんですね。EF6が1カム4バルブのキャブ仕様で1.5リッターエンジン。EF7がDOHCのインジェクションの1.6リッター。EF8がよく言われるVTEC(ブイテック)。つまりバルブ可変機構を持ったエンジンで同じく1.6リッターです。
VTECは、ある回転域に達すると、カムに仕掛けがしてあってバルブのタイミングが変わります。何でそんな複雑なことをしなくてはいけないかと言うと、エンジンはご存知のとおり高回転で最高出力を得ようとすると、低回転ではどうしてもトルクが不足になってきます。
そこで低回転を使う街乗りでトルクを犠牲にしないで、かつ高回転で本来の馬力出してしまおうと考えたのがVTECなわけです。詳しくはこちらでどうぞ。
では3台中EF8が、さぞかし楽しかっただろう。と言うことになるのが普通ですが、車というのは不思議なものでエンジンの効率が良くなって、馬力が上がれば、それに比例して車の運転が楽しくなるかと言えば、必ずしもそうじゃないのが不思議なところです。
これはかなり個人の好みで意見が別れるところでしょうが、私個人としてはキャブ車のEF6がもっともCR-Xらしく車を運転する楽しさを満喫できたと感じています。勿論、自分の腕が悪いので非力なEF6が好きだという理由も成り立ちますが。馬力は3台中、最下位の105馬力で、車重が840Kg。かたやEF8は160馬力で1020Kg(サンルーフ車)
EF8はEF6と比べると約200Kgも重くなっていますが、その殆どはエンジンの重量増加だと言われています。簡単に200Kgといいますが、言い換えると70Kgの成人3人が常に同乗していることにもなりますよね。しかも、運転席より前のエンジンルーム内に集中しています。車検証の前後輪の軸重のバランスを見ると確か、フロント側に全体の70%が集中していたはずです。
それが原因してるのか分かりませんが、EF6と較べると動きがもっさりしているように感じます。例えばハンドルを切ってもスッと頭が向きを変えてくれない。つまりタイヤが向きを変えようとすると、1拍間をおいてフロントがロールする。サスペンションが縮んで、タイヤに重さが加わって、やっと本格的に曲がりたい方向へ向かう。この動作は総ての車に共通するのですが、EF8の場合は常に、このもっさり感と言うか重さがつきまとっているように感じました。
そこでサスペンションやタイヤを替えると、一見改善されたように見えますが、やはり基本的に、この「もっさり感」は変わらないように感じました。ましてや無闇に車高を下げたり、LSDを入れても、ますますアンダーが強くなるし、それを補おうとタイヤ幅やグリップを上げると、ドライブシャフトに負荷がかかり寿命を短くすることになるでしょう。わりとテールハッピーに持ち込み易い性格なので、ジムカーナでは、まだまだ活躍しているEF8ですが、一般道での運転とは別だと割り切るべきだと思います。つまり一般道でのドライブと競技の運転技術と車のモディファイの仕方が一緒ではないと言う意味で。
そんな理由から、非力で車重の軽いEF6が自分としては楽しかったと思うわけです。しかし、モデル違いのCR-Xも、それぞれ魅力的な部分があって、EF7は全体的にトルクがあって乗り易かったし、ヘッドカバーなんかは、あの当時のF1をイメージさせてくれて、いいデザインでした。そしてEF8のVTECは、カムが変わって排気音が変わるのは快感だったし、何よりサーキットでは本当に楽しかったのも、また事実でした。
そんな楽しかった最後のCR-Xも、走行距離が21万キロを超えて、最近はあちらこちらがくたびれてきました。何せ1991年製ですから、かれこれ16年も経過しているので。この車でのサーキット走行は2000年からになりますが、今まで大きな故障もなく、エンジンを降ろしてオーバー・ホールせずにこれたのが、殆ど奇跡に近いと言っても過言ではないでしょう。さりとて、今のままサーキットに持ち込んでは車を傷めてしまうだけなので、17年間お世話になったディーラーの整備士さんに相談した結果、手放すことにしました。普通に街乗りや、ドライブに使う程度なら、まだまだいけるので、誰か好きな人に乗ってもらば、というわけです。
本当はCR-Xよりシビックをおしていた自分ですが、家内の好みもあってCR-Xと付き合ってきたわけです。しかも3台も乗り継ぐとは思っていもいませんでした。初めてEF8に乗った頃は前評判ほど回頭性が良くなかった印象があり、結局これを最後まで引きずることになるのですが。それでも程よい大きさと軽さの車体を考えると、他にそれにかわる車も殆どないのも事実ですし、あのデザインはまるでアルファロメオのジュニアザカートのようで、貴重なデザインと思います。(時代的に当然アルファのデザインが先行しています)
これからは二度と作れない車の部類に入るCR-Xを手放すのは、至極残念ではありますが、約11年間のCR-Xとの関わり合いは楽しく、またFFの運転を教わったのもCR-Xからと言っても過言ではないと思います。
本当にいい車でした。
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