樹木同定に必要な専門用語集

樹木鑑定サイト「このきなんのき」にて、鑑定結果を回答する際によく登場する専門用語を五十音順に並べてみました。葉の形態、樹木の生態、樹木の名前に関する用語を中心に収録しています。ここで表記している解説は、厳密な定義ではなく、簡単にかみくだいて説明したもので、日本の樹木の場合を基準にしています。専門家の間で使われるこれらの用語は、一般向けに分かりやすく説明された資料も少なく、植物を知る上で障害になっていると私は感じています。この用語集が少しでもお役に立てれば幸いです。(現在118語収録/2006.12.23更新)



用語
読み
意 味
亜種とは
あしゅ

種(しゅ)をさらに細かく分類したときの一単位。さらに下の階級に変種、品種がある。学名で記載する場合は subspecies, またはその略号 ssp. を付記する。

亜高木とは
あこうぼく 厳密な定義は存在せず、文献によりまちまちだが、一般的には樹高3〜10mになる木のことを指す。本サイトでは、成木の標準的な樹高が5〜10m前後になる樹木のことを指している。小高木(しょうこうぼく)、中木(ちゅうぼく)などと呼ばれる場合もある。(←→高木、低木)
維管束痕とは
いかんそくこん 葉が落ちた痕(葉痕:ようこん)にある点状の模様のこと。これは、道管(どうかん)や師管(しかん)などが束になった維管束(いかんそく)の痕で、冬芽で樹木を見分ける際の重要なポイントになる。
逸出とは
いっしゅつ 栽培等の目的で植えられた外来植物が、勝手に逃げ出して野生化すること。広義の「帰化」に含まれる。草の場合はよく使われる用語だが、木の場合はあまり使わない。
陰樹とは
いんじゅ 日陰でもよく育つ樹木のことで、常緑樹に多い。(←→陽樹)
羽状複葉とは
うじょうふくよう
葉の形態の一つで、鳥の羽の形ように小さな葉(小葉)が集まって1枚の葉を構成するるもの。ウルシ科やマメ科の木などが代表的。
園芸品種とは
えんげいひんしゅ 人工的に品種改良して作られた種類。通常、花や葉の色形のバリエーションを増やすために作られたり、丈夫な木、果 実の美味しい木を作るために開発されたりする。様々な園芸品種が出回っており、これらを厳密に見分けるのが困難な場合もある。
雄株とは
おかぶ 雌雄異株の樹木で、雄の樹木のこと。実はならない。(←→雌株)
科とは
植物を分類する際に基本となる階級の単位。種名だけでなく科名も覚えておくと、類似植物を見分ける場合にも役に立つ。科の上は目(もく)、下は属、種と続く。
花芽とは
かが →はなめ。
学名とは
がくめい 学術的に表記した世界共通の植物の名称。個々の種名は、ラテン語で「属名+種小名(しゅしょうめい)」の2つの単語で表記される。さらにその後に命名者名を付記することもあるが、ふつうは省略される。正式な発音は決まっていないが、ほぼローマ字読みしたのでOK。趣味のレベルでは学名までを覚える必要はないが、プラタナスやピラカンサなど外国産種や園芸種ではしばしば学名が一般的な呼称として普及している。
株立ちとは
かぶだち 1本の木で、根元から複数の幹が生えている樹形。低木に多い形態。「株立ち状」と使う場合も多い。
夏緑樹林とは かりょくじゅりん 落葉樹林の中の一つで、夏に葉をつけ、冬に葉を落とす樹木が集まった樹林。日本の落葉樹林はすべて夏緑樹林と考えてよい。これに対し、熱帯では乾期に葉を落とす雨緑林などがある。
芽鱗とは
がりん 冬芽の外側を覆っている皮のようなもの。ウロコのように何枚も重なっていることが多い。冬芽の中の葉や花が開くときには、外側にむけて落ちる。鱗片(りんぺん)とも呼ぶ。
灌木とは
かんぼく 低木と同じ意味。やや古い呼称で、最近は「低木」を用いることの方がふつう。
帰化とは
きか 人間の影響によって、外国の植物が日本国内に野生化すること。このような植物を帰化植物と呼ぶ。草本では多くの帰化植物が見られるが、木本ではあまり多くない。
極相林とは
きょくそうりん 植生遷移の結果、最後にたどりつく林のこと。ブナ林もその一つだ。極相林になると倒木や自然災害等がない限りずっとその極相林が持続する。
鋸歯とは
きょし 葉のふちなどにあるギザギザのこと。確かにノコギリの歯のようだ。鋸歯のあるふちのことを鋸歯縁、ないものは全縁と呼ぶ。
鋸歯縁とは
きょしえん ふちに鋸歯があること。(←→全縁)
近縁種とは
きんえんしゅ

近い仲間の種類の総称。

茎とは
くき 説明するまでもないが、草本の支柱となる部分。ただし、樹木の場合はこれを枝や幹と呼ぶので、茎は存在しない。
交雑とは
こうざつ

遺伝子の異なる個体同士が交わること。交配(こうはい)すること。一般には異なる種同士が交わることを言い、その結果発生した個体を交雑種(こうざつしゅ)と呼ぶ。交雑種は雑種(ざっしゅ)とほぼ同義である。

高木とは
こうぼく

厳密な定義は存在せず、文献によりまちまちだが、一般的には樹高10〜15m以上になる木のことを指す。本サイトでは、成木の標準的な樹高が15m以上になる樹木のことを指している。かつては喬木(きょうぼく)とも呼ばれた。(←→低木、小高木)

広葉樹とは
こうようじゅ 細い葉を持つ針葉樹に対し、広い葉を持つ樹木のこと。葉の形以外にも様々な性質の違いがある。日本に生育する樹木のうち、9割以上は広葉樹である。
互生とは
ごせい

葉の付き方の一つで、枝の両側に1枚ずつ葉が交互につくこと。多くの樹木は互生である。(←→対生)
混芽とは
こんが 冬芽のうち、葉と花の両方になる芽のこと。つまり、葉の赤ちゃんと花の赤ちゃんの両方が入っている。一部の樹種で見られる。
雑種とは
ざっしゅ 2つの種類の木がかけ合わせてできた種類。交配種(こうはいしゅ)ともいう。自然に雑種ができる場合と、人為的に作り出される場合がある。
三出複葉とは
さんしゅつふくよう 葉の形態の一つで、葉柄の先に小さな葉(小葉)が3枚ついて、1枚の葉を構成するもの。木本ではあまり多くない形態である。ミツデカエデ、メグスリノキ、ヤマハギ、ツタウルシなどが代表的。
自生とは
じせい 自然界で元来その地に生育していること。人為的な影響が加わっていない状態。(←→野生化、植栽)
斜面林とは
しゃめんりん 斜面地に立地する林のことだが、特に都市部では斜面地だけが開発されずに樹林として残ることが多いので、これを指す場合が多い。
雌雄異株とは
しゆういしゅ

雄の木と雌の木が異なる樹木のこと。雌雄異株の樹木は、雄株と雌株の2本の木がないと実がならなず、実は雌株のみにつく。雌雄別 株ともいう。 また、雄株、雌株に加え、両方の性質をもつ両性株も存在する木のことを雌雄混株という。(←→雌雄同株)

雌雄同株とは
しゆうどうしゅ

1本の木に雄花も雌花も咲く木のこと。1本の木だけで受粉ができ、実もなるが、これに対し、雌雄異株の木では雄株、雌株の2本の木がないと実がならない。 (←→雌雄異株)

重鋸歯とは
じゅうきょし 鋸歯の形態の一つで、大きな鋸歯にさらに小さな鋸歯があり、二重のギザギザになっている鋸歯のこと。
主幹とは
しゅかん 主だった幹、最も太い幹のこと。株立ちの木の場合、主幹ははっきりしない。
樹冠とは
じゅかん 1本の樹木のうち、葉っぱが茂っている部分全体のこと。
樹形とは
じゅけい 1本の樹木の全体の外形のこと。樹姿にも似たような意味がある。
樹高とは
じゅこう その樹木の地上からの高さのこと。
樹姿とは
じゅし その樹木の全体の姿。見た目。業界人が使う用語で、一般にはほとんど使われない。
樹種とは
じゅしゅ 樹木の種類のこと。人の場合は人種、魚なら魚種と言うでしょ。
樹皮とは
じゅひ 幹や枝の表面の皮。
主脈とは
しゅみゃく 葉脈のうち最も太い葉脈のこと。ふつうは中央の脈(中央脈)を指す。
小高木とは
しょうこうぼく 厳密な定義は存在せず、文献によりまちまちだが、一般的には樹高3〜10mになる木のことを指す。本サイトでは、成木の標準的な樹高が5〜10m前後になる樹木のことを指している。亜高木(あこうぼく)、中木(ちゅうぼく)などと呼ばれる場合もある。(←→高木、低木)
掌状複葉とは
しょうじょうふくよう 葉の形態の一つで、葉柄の先に手のひら状に小さな葉(小葉)が集まって1枚の葉を構成するもの。樹木の中では極めて少ない形態で、トチノキ、コシアブラなどが代表的。
小葉とは
しょうよう 複葉の葉を構成する小さな葉。複葉は、複数の小葉が集まって1枚の葉を構成するで、小葉は厳密には1枚の葉でなく、葉の一部分である。
照葉樹林とは
しょうようじゅりん 常緑樹林の中の一つで、葉の表面につやがある樹木が集まった樹林。日本の常緑樹林はすべて照葉樹林と考えてよい。これに対し、欧州などでは硬葉樹(オリーブなど)がある。
常緑樹とは
じょうりょくじゅ 一年中葉をつけている樹木。針葉樹では大半が常緑樹である。(←→落葉樹)
植栽とは
しょくさい 人為的に樹木を植えること。(←→自生、野生化)
植生とは
しょくせい 一定の広さをもつ地域に自生するすべての植物の集合体のこと。住宅の庭のような狭いエリアや、単体の植物のことを指しては言わないので注意。
植生遷移とは
しょくせいせんい 植生が年月を経て変化していくこと。単に遷移ともいう。裸地→草原→灌木林→陽樹林→陰樹林という流れが代表的。最終的な樹林のことを極相林と呼び、これが成立するまでに通 常200年以上を要するといわれる。
新芽とは
しんめ 新しい芽。若葉。
針葉樹とは
しんようじゅ 広い葉を持つ広葉樹に対し、細い針状の葉をもつ樹木のこと。ほとんどが常緑樹で、特に寒冷地に多自生するものが多い。
星状毛とは
せいじょうもう 葉に生える毛の形態の一つで、星のような形をした毛のこと。肉眼では砂粒のように見え、触るとざらつく場合が多い。
成木とは
せいぼく 「成人」と同じで、大人になった樹木のこと。厳密な定義はない。(比較→幼木、老木)
全縁とは
ぜんえん ふちに鋸歯などのギザギザがなく滑らかこと。(←→鋸歯縁)
先駆植物とは
せんくしょくぶつ 他の植物がまだ生えていない裸地などに、真っ先に侵入してくる植物のこと。生育力が旺盛で、生長が早く、日当たりを必要とし、貧弱な環境にも耐えるといった共通の性質をもつ。先駆性植物。樹木の場合は先駆樹木、先駆性樹木。
腺体とは
せんたい 蜜などの分泌物を出す腺が突起状になったもの。葉の付け根や葉柄に、1mm前後のゴマ粒のようにつくのが普通。多くの樹木の葉では腺体はないが、サクラの仲間など特定の種類だけに見られるので、同定のポイントになる。腺点、蜜腺も似たような意味。
雑木林とは
ぞうきばやし 広義では多くの種類の木が交じって生えている林、狭義では薪炭などを採るために人為的に樹木を植え、伐採などの定期的管理をしている林。薪炭林(しんたんりん)。
草本とは
そうほん いわゆる「草」の専門的な呼び名。茎があまり木質化しないこと、冬に地上部が枯れることなどで木本と区別されるが、厳密な境界はいまだに曖昧な部分もある。(←→木本)
属とは
ぞく 種(しゅ)よりも一つ上の階級単位。一般の図鑑などではあまり表記されないが、学名で区分する場合などは重要な単位 となる。(→科)
側芽とは
そくが 冬芽のうち、枝の途中に付いている芽のこと。葉腋(ようえき)につくことがほとんどなので、腋芽(えきが)ともいう。これに対し、枝の先端についているのが頂芽(ちょうが)。
束生とは
そくせい 葉の付き方の一つで、枝の先端から複数の葉が束になって生えること。互生の樹木の一部に、この束生が見られる場合がある。樹木を見分ける上では、互生の一形態と言える。クロモジ、アオハダなどが代表的。
側脈とは
そくみゃく 葉脈(ようみゃく)のうち、中央の主脈(しゅみゃく)から左右に分岐した葉脈のこと。側脈の形状や本数が見分けポイントになることも多い。
対生とは
たいせい 葉の付き方の一つで、枝に2枚の葉が対になってつくこと。多くの樹木は互生なので、樹木を見分ける上では対生ということは大きな特徴になる。(←→互生)
托葉とは
たくよう 葉柄と枝の付け根に見られる小さな葉のようなもの。多くの樹木では托葉はないが、ヤナギ科の樹木などでは様々な形の托葉が見られる。
単葉とは
たんよう もっとも多く見られる葉の形態で、葉身一つで1枚の葉を構成する葉のこと。こう説明すると分かりにくいが、複数の葉身(小葉)を持つ複葉に対する用語と考えるとよい(←→複葉)。単葉のうち、葉身に切れ込みが入るものを特に分裂葉と呼ぶ。
虫えいとは
ちゅうえい 葉や枝の一部に、虫が寄生してできるコブのこと。ゴール。一般には「虫(むし)コブ」と呼ばれる。(参照→虫コブ)
中央脈とは
ちゅうおうみゃく 葉脈のうち、葉の中央を通る太い脈のこと。中肋(ちゅうろく)とも言う。
頂芽とは
ちょうが 冬芽のうち、枝の先端についている芽のこと。ふつうは側芽より大きくよく目立つ。
つる植物とは
つるしょくぶつ しっかりした幹がなく、他のものに巻き付いたり、地面をはって伸びる植物。つる植物にも草本と木本がある。木本の場合は、つる性木本
低木とは
ていぼく 厳密な定義は存在せず、文献によりまちまちだが、一般的には樹高5m以下もしくは3m以下の木のことを指す。本サイトでは、成木の標準的な樹高が5m以下にしかならない木のことを指す。灌木(かんぼく)ともいう。(←→高木、小高木)
同定とは
どうてい 生物の種類を分類学的に見分けること。本サイトではこれを一般化して「鑑定」と表現している。
徒長枝とは
とちょうし 通常の枝より勢いよく伸びた枝のこと。幹の根元や剪定(せんてい)した場所から生えてくることが多い。徒長枝につく葉は、大ぶりで異形なものが多いのでやや見分けにくい。また、徒長枝には花や実がつかない場合が多い。
はちまきとは
はちまき 葉のついている枝に見られる、枝を一周する輪。モクレン科やクワ科の一部など、特定の樹種でしか見られないので、樹木を見分ける手がかりとなる。
花芽とは
はなめ 冬芽のうち、花になる芽のこと。葉芽(ようが)よりも大きく目立ち、形も異なることが多い。「かが」とも読む。
ひこばえとは
ひこばえ 幹の根元から新たに生えてきた枝のこと。勢いよく伸びる徒長枝(とちょうし)である場合が多い。
皮目とは
ひもく 枝や幹の表面に見られる小さな樹皮の模様。点状、線状、菱形など形は様々で、ここから気体が出入りして植物体が呼吸をする役割がある。
標準和名とは
ひょうじゅんわめい

植物学の分野で最も一般的に使われている和名。しかし、厳密な標準和名というのは定められていない。例えば、ニセアカシアとハリエンジュ、ムシカリとオオカメノキなどは、いずれも標準和名として使われている。

品種とは
ひんしゅ

種(しゅ)をさらに細かく分類したときの一単位。亜種、変種の下にあたる最も低い階級。学名で記載する場合は forma, またはその略号 f. を付記する。園芸品種を略して品種と呼ぶ場合もあるが、品種は自然界に存在する。

斑入りとは
ふいり 葉に白や黄色などの色模様が入っていること。ふつうは品種改良して人為的に斑入りの園芸品種が作られるが、自然界でも稀に出現する。
複葉とは
ふくよう 葉の形態の一つで、小さな葉(小葉)が複数集まって1枚の葉を構成する葉のこと。羽状複葉、掌状複葉、3出複葉などが含まれる。(←→単葉)
冬芽とは
ふゆめ 冬の間に枝についている芽。春に開くの葉や花がその中に収納されているわけだ。冬の落葉樹を見分けるにはこの冬芽が重要な情報となる。冬だけではなく、晩夏には既に冬芽が形成されている樹種も多く、もちろん常緑樹にも見られる。「とうが」と読むこともある。
分裂葉とは
ぶんれつよう 葉の形態の一つで、いくつかの裂け目が入る葉のこと。単葉の一形態に含まれる。単に「裂葉(れつよう)」という場合もある。カエデ科の樹木が代表的。左のイラストのように5つに裂ける葉なら「5裂する」「5裂葉」と表現し、裂けた一つ一つの部分を裂片(れつへん・れっぺん)と呼ぶ。
変種とは
へんしゅ 種(しゅ)をさらに細かく分類したときの一単位。同一の種であっても、地域的な差で葉や花に違いが見られるものを変種とする場合が多い。亜種の下、品種の上の階級にあたる。学名で記載する場合は varietas, またはその略号 var. を付記する。
萌芽とは
ほうが
新しく芽吹くこと。特に、切り株や枝を切り落とした場所から新しい芽が生えてくること。「ぼうが」とも読む。
幹とは
みき 説明するまでもないが、樹木の支柱となる太い部分。中でも一番太い幹を主幹(しゅかん)という。草本の場合は幹ではなく茎と呼ぶ。
幹肌とは
みきはだ 人の肌と同じように、幹の表面の部分のこと。木の種類によって特徴があり、滑らかだったり裂け目が入ったりする。樹肌(じゅはだ)と言う人もいる。
実生とは
みしょう 種(たね)から生えた植物のこと。特に生えたばかりの小さな個体を言う。
蜜腺とは
みつせん

蜜を出す穴、器官。通常は花の中にある蜜を出す器官をいうが、葉の付け根や葉柄にもついている樹種があり、同定のポイントになる。小さなイボ状の突起になることも多く、これを蜜腺体と呼ぶ。略して「腺体」と呼ぶ場合も多い。(参照→腺体)

虫こぶとは
むしこぶ 葉や枝、芽などの一部に虫が寄生してできるこぶのこと。虫瘤。特定の植物に特定の虫(ハチ、ハエ、アブラムシなど)が寄生してできる場合が多く、特にイスノキの虫こぶは有名。大きさは数ミリから数センチまで様々。「虫(ちゅう)えい」や「ゴール」とも呼ばれる。
雌株とは
めかぶ 雌雄異株の樹木で、雌の樹木のこと。実がなる。(←→雄株)
木本とは
もくほん いわゆる「木」の専門的な呼び名。幹が木質化すること、冬にも地上部が残り、そこに冬芽(休眠芽)をつけることなどで草本と区別されるが、厳密な境界はいまだに曖昧な部分もある。(←→草本)
野生化とは
やせいか その地に元来存在しなかった植物が、人間の影響によってその地に根付き、自然状態で繁殖すること。草本の場合は「帰化」ともいうが木本ではあまりいわない。(←→自生、植栽)
葉腋とは
ようえき 葉(葉柄)と枝の付け根の上側部分のこと。言ってみれば、葉の「わき」。ふつうはこの部分に芽ができる。
葉縁とは
ようえん 葉の縁のこと。鋸歯がある場合は鋸歯縁、ない場合は全縁と呼ぶ。
葉芽とは
ようが 冬芽のうち、葉になる芽のこと。ふつう花芽より数は多いが、小さくて地味である。
葉痕とは
ようこん 葉のついていた痕が枝に残ったもの。冬芽と共に、冬の落葉樹を見分けるポイントとなる。半円形、円形などの他、U字形、T字形など様々な形も見られる。
葉軸とは
ようじく 羽状複葉の葉のうち、小葉と小葉をつないでいる中心の軸の部分。
陽樹とは
ようじゅ 日なたを好んで生育する樹木のことで、落葉樹に多い。日陰では生育しにくい。(←→陰樹)
葉序とは
ようじょ 葉の付き方、付く順序のこと。互生、対生などがある。
葉身とは
ようしん 葉の本体にあたる、面的に広がった部分。1枚の葉は原則として葉身、葉柄、托葉からなる。
葉柄とは
ようへい 葉身と枝をつなぐ柄の部分。種類によってはほとんど葉柄がないものもある。
幼木とは
ようぼく 「幼児」と同じで、幼い樹木のこと。厳密な定義はないが、高木の場合は人の背丈に満たないぐらいの個体を言う。「幼樹(ようじゅ)」も同じ意味。
葉脈とは
ようみゃく 葉の表面に見られる細いすじのこと。人間でいえば血管みたいなもの。常緑樹では、ほとんど葉脈が見えない樹種もある。針葉樹では広葉樹のようなはっきりした葉脈は見られない。
翼とは
よく 葉の柄の部分や、枝、実に現れる板状の突起物のこと。葉や枝に翼が見られる樹木はごく限られており、葉ではヌルデ、枝ではニシキギが代表的。
落葉樹とは
らくようじゅ 冬に葉をすべて落とす樹木。例外的に夏に葉を落とす種類もある。(←→常緑樹)
裸芽とは
らが

冬芽のうち、芽鱗(がりん)を持たない冬芽のこと。春に芽吹く葉が裸出して見えるのでこう呼ぶ。(←→鱗芽)

裸地とは
らち

植物のまったく生えていない場所。土だけの更地のこと。

林縁とは
りんえん

林のふちの部分一帯のこと。林とそれ以外の開けた空間との境界部。暗い林内に比べて、林縁は日が射し込みやすいので多くの植物が生育でき、ヤブのようになっていることが多い。

鱗芽とは
りんが

冬芽のうち、芽鱗(がりん)に包まれた冬芽のこと。有鱗芽(ゆうりんが)とも呼ぶ。(←→裸芽)

林床とは
りんしょう 林の中の床、つまり地表面のこと。主に草本やコケが茂る。林床に生える植物を林床植物という。
輪生とは
りんせい 葉の付き方の一つで、枝の1カ所から3枚以上の葉が輪を描くようにつくこと。木本では稀な形態で、対生の木で時に出現することがある程度。草本では比較的多く、ヤエムグラなどが典型的。
輪生状とは
りんせいじょう 葉が枝先に集まってつく様子を例える場合によく使われる表現。「車輪状」ともいう。ヤマモモやマテバシイ、トベラ、ホオノキなど割合多くの樹種で見られる形態だが、基本的には互生の一形態である。
鱗片葉とは
りんぺんよう 葉の形態の一つで、数ミリ程度の鱗(うろこ)のような葉が集まって構成される葉のこと。針葉樹のヒノキの仲間が最も代表的。その小さな鱗が1枚の葉っぱである。
裂片とは
れつへん

分裂葉の切れ込みが入った部分のこと。葉でなくても、花びらの場合なども裂片という。「れっぺん」とも読む。

裂葉とは
れつよう 分裂葉に同じ。
老木とは
ろうぼく 「老人」と同じで、年老いた木のこと。厳密な定義は存在しないが、樹齢が長く、枝の下垂や、幹の枯損など老化現象が見られる木をいう。
若木とは
わかぎ 「若者」と同じで、若い木のこと。厳密な定義は存在しないがまだまだ大きくなるような木をいう。
和名とは
わめい 日本国内で使われる種名。複数の和名(別名)をもつ木もあるが、正式な和名というのは厳密には決まっていない。植物学の分野で一般的に使われる和名を特に標準和名と呼ぶ。


上記内容について間違い等ございましたらメールでお知らせ下さい。

このきなんのき
©Masayuki-Hayashi
since 2000.12.1