SARS-CoV-2変異体とワクチン

 現在,各メディアはSARS-CoV-2の変異体とワクチンの大合唱です.ウイルスの変異体は普通にあるようです. 実際,2020年3月に「米国科学アカデミー紀要」に投稿された論文には 160人のSARS-CoV-2を調べた結果3つの変異体がありAが元祖で,その変異体B,Cがあり,A,Cはアメリカ,ヨーロッパに多く,Bは東アジアに多いとの記載があります. 既に一年以上前にSARS-CoV-2の変異体が確認されています. 1月に中国でゲノム配列が解読されて僅か2ヶ月後です. 現在1年以上たっていますからおそらく多くの変異体が発生していると考えられます.「感染力が強くなった変異体」との表現が多く使われていますが,感染力をどのようにして計測したのでしょうか. 元々SARS-CoV-2は感染力が強く,昨年中国の医療現場では宇宙服まがいの防護服を着て治療しています. さらに世界中に伝染している事実が感染力の強さを示しています.
 次にワクチンです.現在複数のワクチンが投与されています.その効能については種々解説がなされています. また,効果の検証についての厚生労働省の説明では,単に抗体ができたできないの説明で,実際にSARS-CoV-2に感染させての検証ではありません. 理論値で95%発症率が抑えられる(5%の人しか発症しない)とされています. イギリスでは2020年12月初旬ワクチンの投与が 開始されています.半年以上前ですから,既に多くの人が投与されていると考えられます.開始される前と,そのあとのデータを見ればワクチンの効果が 判明しますが,イギリスの場合は2020年5月〜12月の感染者と患者の報告がなされてなく投与前と後を比較したワクチンの効果の検証はできません. イギリスのWHOのデータを表4に示します.2020年5月〜12月の感染者と患者の値はブランクで2021年1月突然感染者3.8百万人,患者2.0百万人が開示されています. 1日の検査数は昨年11月から増え始め1月には一日に106万人,6月に128万人としています.検査数が増えたため検出される感染者も増加し6月には感染者が1月より1百万人増加しています. 1月以降,医療能力が増強されたと思われ1月にいた患者203.7万人が5月には7万人まで減少しています.しかし,6月のデータでは規制緩和をしたと思われ新規感染者が28.5万人増加しています. ワクチンの効果があれば感染者の5%しか発症しないでしょうから治癒する人が大幅に増えて患者が減っていくと考えられますが,6月のデータでは検出された新規感染者28.8万人に近い値25.5万人患者が増加しています. もともとワクチンにはSARS-CoV-2の感染力を抑える能力はありませんから現在複数投与されている ワクチンの効果は世界的に行われている人体実験のデータで 検証するしか方法はありません.ワクチンが開発される前のシンガポールのデータでは適切な治療を施せば死亡率は0.057%です(前述).ワクチンが有効であればワクチンを投与された人々の死亡率はこの値より小さくなるはずです. SARS-CoV-2が怖いのは感染力が強く一度に大勢の人々が感染し医療崩壊して適切な治療を受けられなくなるからです.
表4.イギリス(人口:6,823万人)
2020年
4月
5月6月7月8月9月10月11月12月2021年
1月
2月3月4月5月6月
検査数累計[百万人]0.84.09.416.016.324.533.543.554.971.789.2127.5156.3181.5211.2
日毎[万人/日]-10.617.922.0.827.428.933.436.854.162.4123.895.981.196.0
死者累計[千人]25.338.243.746.141.542.146.758.473.5106.2122.8126.8127.5127.8128.1
月毎[千人/月]-12.85.62.4-4.60.64.611.715.132.616.73.90.80.30.3
感染者累計[百万人]0.2--------3.84.24.44.44.54.8
増加[万人/月]----------35.917.46.67.128.8
感染率[%]----------2.060.450.230.280.97
患者月毎[万人/月]13.5--------203.7114.836.37.47.032.5
増減[万人]-----------88.9-78.5-28.9-0.425.5

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