MORI Hiroshi's Floating Factory
Model Railroad Workshop
<機関車製作部>
スチームアップ

/☆Go Back☆/
2003年最後のレポートです。今年の初めに掲げた目標の中に、ガレージ線を含めた大きなエンドレスの開通、4サイクルエンジン機関車、そしてライブスチームの弁天ヶ丘線での運転、という3課題がありました。エンドレスは早々と5月に開通。4サイクルエンジン機関車は8月の予定でしたが、遅れて12月に納入。しかし、非常に満足のいく出来映えでした。
さて、3つ目のライブスチーム(つまり蒸気機関車)は、当初は、Lady Madcapに火を入れるか、ブルーのBテンダを運転するか、というつもりでいたのですが、8月にイギリスのメーカのSapphire(サファイア)を発注したので、これを待つことにしました。完成には12週間との約束で、まったくそのとおりに届きました。今はベルメックス・インターナショナル(リンク参照)がMaxitrakの日本代理店になりましたので、手軽に購入できます。
今年中になんとかスチームアップしたい、と考え、夜遅くまでコンプレッサで空気運転をしたり、英文マニュアルを読んだり、あちこち点検をしたり、という数日間。ちょっと固いかな、とは思ったのですが、休日の朝から、ついに石炭を入れて、火をつけました。
何年ぶりになるでしょう。ライブスチームの運転をしました。実はエンドレスを走るのは、これが初めてです(まえの家では直線の往復運転だった)。とにかく、弁天ヶ丘線では、今年一番のイベントになりました。とても楽しかったです。
<ついに蒸気機関車が走った!>

土曜日に宅配便で届き、すぐに荷を解きました。しかし、車輪が固くて回りません。油が固まっているかもしれない、というアドバイスを得て、夜、ファンヒータの熱風を当ててシリンダを暖めたら、少し車輪が回るようになりました。しかし、それでも、両手で渾身の力で回さないと駄目です。
というわけで、月曜日は帰宅後、コンプレッサの圧縮空気で運転してみることにしました。安全弁を外して、そこから空気を入れようとしましたが、合うネジがありません。インチ規格です。そこで、旋盤を使って、このコネクタ部を作り、なんとか連結。3kgf/cm2くらいかけてレギュレータを開けたら車輪が回り出しました。ちょっと固そうですけれど、とにかくほっとしました。
こうなると、一刻も早く蒸気を上げたいもの。火曜日(祭日)、いよいよ石炭を焚くことにしました。朝から準備です。とても暖かい晴天。ガレージの東側のステンレス橋の上で、最初は車輪を浮かせた状態でセット(前後に木材を敷いて)。ちなみに、この機関車は重さは30kgくらいで、わりと簡単に持ち上がります。
通風機(OSのクラウスのとき購入したもの)を煙突に乗せ、着火材に火をつけ、石炭を投入しました。今回はカセット・バーナも使いました。石炭は、大きいものは適当に金槌で叩いて、割っておきます。3cmくらいなら入ります。

順調に燃え始めました。3.5インチのクラウスを最後に走らせてから既に8年くらい経っていますが、あれに比べると火室が大きいです。やっぱり5インチは楽ですね。順調にスチームアップして、圧力が上がります。メータはkgではなくて、ポンド表示で、psi(プサイ)なので、だいたい、14psiで1kg/cm2になります。30psiくらいになったところで、通風機を外し、ブロアバルブを開いて、蒸気圧によって(つまり自分自身で)で通気を確保します。煙突から煙がもくもくと立ち上がります。
しかし、ここでなんと、安全弁から蒸気が噴き出してしまったのです。「あれれ?」と首を傾げて、考えます。マニュアルによると、安全弁の調整は「キット・オンリィ」とあるので、完成品の本機は、既に調整済みだとばかり考えていたのです。もしかして、メータが狂っているのか(荷物が届いたとき、圧力計が外れて、箱の底に転がっていたので)。しかし、前夜の空気圧で試験をしたときは、コンプレッサのメモリとほぼ一致していました。でも、念のために、この圧力(30Psi)で車輪が回るかどうか確かめました。やっぱり駄目です。

こうなると、安全弁の調整をするしかありません。つまり、もっと高い圧力になるまで、蒸気がもれないようにネジを少しずつ締めていくわけです。でも、この安全弁のネジがまた特殊な形だったので、急遽、ドライバの一つをヤスリで削って整形し、このためだけのツールをその場で製作。これで、少しずつ弁の限界圧力を高くしていきました。
90psiくらいがワーク・プレッシャとあるので、安全弁をここにセット。圧力が高まり、運転に充分な値になりました。ここまでに、石炭を補充したり、水をハンドポンプでボイラに送ったりしています。冷たい水から湧かしていますからね。スチームアップは20分とマニュアルにありましたが、下手なので30分以上かかりました。では、いよいよ運転です。
ドレンコックを開けて、配管内の水分を排出。シリンダの辺りから蒸気が出ています。突然、車輪が回り始めました。すぐに、レギュレータを調節して、低速で回転するように保ちます。油も差しました。

これがキャビンの中。とってもシンプルな構成です。小さい圧力計が75psi(5気圧くらい)を示していますね。車輪は回り続け、ブロアバルブも締めました。なかなか快調です。右の方にある棒が、水のハンドポンプ。その次の小さなハサミみたいなのが、ギアチェンジに当たるレバー(前進2段、ニュートラル・後進2段の切換。ただし、実際にギアはなく、吸排気のタイミングが可変)。中央には、レギュレータ(アクセルに当たります)。右奥に汽笛のバルブ。左がブロアバルブ。左下の筒は、リュブリケータ(ロスコー式給油器)です。
30分ほど回りっぱなしで快調に運転できたので、いよいよ人を引いて走らせることにしました。黄色のツールカー・トレーラを連結しました。ここで、スバル氏から差し入れのハンバーガが届きましたので、それがキャビンの屋根の上に乗っています。こういうタイミングで来るハンバーガほど素敵なものはありません。もっとも、電気機関車のように、運転しながらは、忙しくてとても食べられませんし、手は石炭で真っ黒(軍手をしていますが)。蒸気機関車の運転って過酷なのですね(あまり過酷に思えない?)。ハンバーガは何周か走ったあとにいただきました。

ここから、面白すぎて、楽しすぎて、写真はありません。1時間ほど夢中で走らせました。途中、スバル氏やトーマ監督が見にきました。今までにない音が聞こえたからでしょう。ガレージ線は、水勾配が僅かについているため、登りと下りで、シュッシュッいう音が全然違います。下りは軽快シュワシュワと、上りはドンデンドンデンと太鼓を叩いているような音になります。
しかし、車輪を浮かせての運転に比べると、やはり負荷がかかるため蒸気が必要で、なかなか連続しては走れません。圧力が下がって、一休み、となります。真っ直ぐの平坦な直線だったら、たぶんずっと(水と石炭があれば)走ることができるでしょう。

火を落とし、排水して、掃除が終わったところへ写真は飛びます。ガレージの周りを50周くらい走ったでしょうか(つまり1.8kmくらい)。ときどき駅に止まって、石炭と水を補給しました。ウォータポンプは、車体の左側面にあって、バルブもそこなので、運転中はちょっと手が届きませんので、水面計の変化を睨みつつ、停車したときに、このバルブを微調整して合わせました。なんとか、ハンドポンプを使うこともなく、安定して走らせられます。初運転にしては、まあまあでしょう。サドルタンクには水が2.5リッタほど入りますが、すぐに減りますので、2度ほど補給しました。蒸気機関車というのは、石炭よりも水の方が沢山必要なのです。
以上のように、一応の大成功でした。この日の午後は、お客さんがまたグースを運転しました。Katoも走らせましたし、AB10も活躍したのですが、さすがに、そちら方面の写真はありません。ライブスチームの日だった、というわけです。
サファイアは、まだまだ調整が必要だし、もっと運転を重ねて、癖を掴む必要があります。まだまだ楽しみはこれから、ということで、つづきます。
<亀の子らしくなる>

毎日少しずつ工作している木製キット。作る楽しみがあって、面白い。こういったキットって、日本にはあまりないように思います。よく思うのは、日本は機関車のキットは多いのに、貨車のキットが少ないということですね。どうも、ブラス製に拘っている傾向もあるし(いえ、それも「道」ではありますが)。
キャビンを組み立て、だいたい形になりました。キャビンは実物も木でできているわけだから、あまり目止めをしてしまうとまずいので、ほどほどに。
数日後、夜に赤を吹き付けました。夜に赤を吹き付けると、親の死に目にあえない、なんて言いません。煙突と煙室を銀色にしてあります。まだ黒がこれから。完成は、やはり年を越しそう。
<久しぶりのGゲージ>

ダブルスリップというポイントです。模型人生は長いのですが、ダブルスリップを入手したのは初めて(そんなに珍しいものではありません)。2つのポイントが接近して、一つになってしまった感じのもの。じっくりと見て、どこがどう切り換わるのか、考えてみましょう。

Gゲージ関係では、木曽森林の客車が2両やってきました。アスターの製品で金属製です。つまり、ライブスチームが引くための客車ですね。運材車と同じ台車2つにまたがったボディが特徴。今は、ホビィルームにいますが、いずれは屋外でライブに引かれて走ることでしょう。

ホビィ・ルームのレイアウトですが、ときどき運転しています。しないと、デジタルコマンドを忘れてしまいます。ストラクチャというか、アクセサリィが少しずつ充実しているかも。

この車両は、煙突があって、カブースっぽいですが、実はレールクリーニングをする車両で、車輪の間にあるスポンジというか消しゴムみたいなもので、レールを擦りながら走ります(自走はしません)。しかし、Gゲージの場合(特にLGBは)、レールクリーニングが必要だと思ったことなんて一度もありませんね。いくら敷きっぱなしで、埃が溜まっても、いつでも、一発で動き出します。接触不良というものは、皆無です。ここらへんが、HOゲージやNゲージとは全然違います。それから、架線集電も、パンタ1つで確実です。途中で止まったことはありません。
<極めてナロー>

ずいぶんまえに、雑誌で見たことがあったのですが、実物を日本で見たことはありませんでした。今回、中古でようやく手に入れることができたFaller(ドイツ)の製品です。線路はOゲージ(32mm)の2線式なのですが、車両がやけにでかい。どうでしょう、35分の1かな。いや、もっと大きいように思えます。LGBの横で走っていても違和感のない大きさだから、24分の1くらいかも。
とにかく頭でっかちで、めちゃくちゃナローです。客車がもの凄く可愛いです。カーブは半径30cmくらいでしょうか。ポイント切換も電動で、連結器の解放も電動です。シグナルも電動。なかなかシステマティック。とても子供用とは思えません。機関車は写真のテンダ型の他に、タンク車がもう1両、いずれもC型。あと、無蓋車があります。線路も沢山手に入ったので、どこに敷こうか、と考えているところです(家中線路だらけ)。
<スチームアップ再度>

金曜日はずいぶんまえから確保してあった全面オフ日。本来なら、青の6号でドライブに出かけているところですが、機関車のために急遽予定変更です。こういう決断は実に早い。朝は少し曇っていましたが、でも今日も暖かい。12月とは思えません。スチームアップの第2ラウンドです。
今回は、もう車輪を浮かせることもないので、ガレージ駅で点火。小さなバケツが写っていますが、これはスバル氏が100円ショップで買ってきてくれたもの。コツがわかったので、今回はあっという間に、スチームアップ。確かに、マニュアルどおり、15分か20分です。

通風機を外して、ブロアで通風を確保し、さらに圧力を上げています。いつでも走りだせるように、トレーラも準備万端。
<西庭園線で蒸気を運転>

先日は、平坦で安全なガレージ線の方で試運転をしましたが、今回は、西庭園線のエンドレスにチャレンジです。デルタ線まで自走してやってきました。ここまで来る途中で一度バック運転もしています。

さあ、ではスタート。玄関横の最初のカーブ(半径4m)が上りなので、一番パワーが必要です。負荷がかかるところでは、レギュレータも開けますし、煙の量も多くなります。

また、今日も変なものが走っているな、と監督が見ています。聞き慣れない、なんとなく気忙しい音に聞こえるのでは?
<サファイア>

リボンの騎士と同じ名前ですね。休憩中に、アップを撮影。キャビンに「8」というナンバを貼りました。これも、100円ショップで買ってきたプラスティック製のナンバプレート(全数字が2つづつ入って100円)。
2枚目の写真が石炭バケツ。だいたい、粒の大きなものは、手で放り込みます。小さいものは、幾つか一緒に、スコップに乗せて投入します。火かき棒がとっても重要で、これがないと上手く走りません。バケツに突き刺さっているのがそれです。

左側には、ウォータポンプ(クロスヘッドポンプ)があります。その上の赤いところにバルブがあって、これが水量の調節。なかなかデリケートです。手が届かないので、走らせながらは、調節できません。トレーラをもっと最適化すれば、できるようになるかもしれない、とは考えていますが。
右側には、ポンプがないので、少しすっきりしていますね。サドルタンクの後方、ボイラの上に安全弁が見えます。その左右両側が、実物では、石炭を載せていた場所です。模型でも石炭が載せられますが、やっぱり手が届かないので、ただの飾りになります。イギリスのバグナルというメーカの機関車が、こういう格好をしています。
<煙とともに走る>

西庭園線を何周も回りました。石炭も走りながら投入し、連続運転もできます。調子が上がってきたかも。でも、10周くらいがせいぜいです。やっぱり、圧力が下がるので、少し休憩になります。止まって、石炭を入れたり、ポンプの調節をしているうちに、また圧力が上がってきます。カーブが多いから、速度は出せません。走りだしても、ブロアバルブを少し開けておいた方が調子が良いようです。
このあと、西庭園とガレージ線をつなぐ大回りエンドレスにもチャレンジしました。直線が長いところは、とても楽です。しかし、トレーラが、この機関車の運転にはあまり適していません。サファイヤ専用トレーラを冬休みに作った方が良さそうです。

監督が心配そうに見ています。どうも音が気になるようです。ドラフト音が、生きものみたいに聞こえるのでしょうか。
運転しているところを、長女M氏に撮ってもらいました。蒸気が噴き出したり、火の粉が飛ぶことがあるので、このように、安全ゴーグルの装着が必要です。これをしているから、煙で目が痛くなることもありません。今のところ、火の粉が飛んだり、熱い湯が飛び出したりという危険な目に遭ったことはなく、いつもの軽装(K&H)で運転をしています。
薪を燃やしたり、焚き火をすると、煙の臭いがずっとあとまで鼻に残ったりします。あれは、鼻の穴に残っているのではなくて、血液中に臭いの成分が溶けているためです。このため、いつも、1週間くらい臭いが鼻についたりして困るのですが、不思議と、この石炭の煙は大丈夫だということがわかりました。終わったあと、鼻に残っていないのです。薪をくべる暖炉(うちのリビングにもありますが不使用)や、バーベキューの方がよぼど残ります。ライブスチームの石炭は完全燃焼しているから、でしょうか。
<遠慮がちなその他>

ガレージの中の他の機関車たち。今日は出番がなさそうです。途中で、ガレージの中を通り抜ける本線を開けるために、駅へ引っ張り出されました。

この客車も最近、中古で入手したものですが、ボギィ台車はOS製。木製のボディもたぶんOS製だと思います。確か、ずいぶんまえのカタログにあったような気がします。3.5インチで使っていたようだったので、5インチに変更しました。ボディを取り外すと、人間が2名座れるようにシートが出てきます。弁天ヶ丘線では、若干スケールが小さいですが、デキ3には合っている感じです。
<小型蒸気のいる風景>

写真撮影のために、小編成を組みました。最近黄色くなったナベトロと空色のタンクカー。これくらいが似合います。場所は、西庭園線の森の中のカーブです。

本線を進み、ポイントを通って、引き込み線に進入。奥に、機関車庫が見えます。

ターンテーブルにのっています。この大きさで充分。再びデルタ線へ戻ります。

本線へ出て、鉄橋を渡るところ。日が差してきました。

地面は落ち葉でカバーされています。でも、一頃よりは減ったかも。この向こうで橋の工事が行われていますが、全然進んでいません。

森の中へ入りました。どこかでタンク車を切り離してきたみたいです。明るいガレージの方へ向かいます。
<あと片づけです>

蒸気機関車は、走りだすまでに最低30分かかりますが、走り終わったあとも、あと始末が大変なのです。まず、火が消えて、ボイラが冷めるまで待たなくてはなりません。残っている水を抜き、そのあとは、掃除です。
ボイラの前にあるのが煙室。ここの上に煙突が立っています。前面のハッチを開けると、この煙室の中が覗けます。写真のように、煤だらけです。

一方、ボイラの後ろには火室というのがあって、そこで石炭が燃えているわけです。その下の部分を外したところです。燃えかすが残っています。でも、小さいバケツ2杯くらい燃やしたのに、これだけになってしまうのですから、綺麗に燃えるものです。
煙突にも、ブラシを入れて煤払いをします。なんか、子供のときにみた絵本には、だいたい、煙突掃除の人が出てきましたが、実際に煙突を掃除しているところは、最近ではあまり見なくなりましたね。

煙室と火室は、何本ものパイプでつながっています。そのパイプに、やはり細いブラシを入れて、煤を除去します。細かい黒い粉が沢山出てきます。
一番簡単なのは、それを掃除機で吸い取る方法ではないでしょうか。あっという間に綺麗になります。文明の利器なんて、古い言葉ですが、使えるものは、すべて使いましょう。

あとは、ボディを綺麗に拭いて、車庫へバック。お疲れさまでした。
<庭園鉄道讃歌>

鉄道模型とは、車両と線路だけでなく、鉄道を取り巻く周辺すべてをモデルの対象とします。風景付きのレイアウト(箱庭)がやはり理想的な形態であると、大勢の方が書かれています。車両の製作に集中しがちなこの趣味が、レイアウトによってより楽しみを広げられることは確かでしょう。

同じことが、この5インチサイズの大型模型にもいえます。もちろん、ストラクチャを作ることはなかなかできませんけれど、そのかわり、実物の風景の中で、それに近い大きさで、馴染ませることができます。やはり、風景の中にある鉄道を常に意識していたいと思います。
/☆Go Back☆/