牧阿佐美バレエ団ガラ公演

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02年6月2日(日)

名取市文化会館

 

第1部

『白鳥の湖』より第2幕

音楽:P.I.チャイコフスキー
振付:テリー・ウェストモーランド(プティパ,イワノフ版による)

上野水香, 逸見智彦

今回音楽はテープだったのですが,まず前奏曲が流れ,会館のカーテンが開くといかにも湖畔の場面らしい雰囲気の前幕が・・・おお,なかなか本格的ではないの♪
さらに,ちゃんとセット(岩山とか)もあり,ロットバルト(たぶん塚田渉さん)が登場したので,まず嬉しくなりました。
さらに! 王子の友人も登場。いつもは6人なのに4人だけ(つまり2部・3部に登場するソリストの方たち・・・さすがにイルギスは出なかった)でしたが,話の進行上は何の支障もないですし,舞台が狭かったから,かえってよかったかもしれません。うーん,嬉しいなー。

上野さんは,去年全幕で見たときより上半身の動きに柔らかさが出て,だいぶ白鳥らしくなったように思いました。メイクもオデットらしく見えたし,伸びやかさの中に白鳥の女王らしい毅然とした感じもあり,よかったです。あとは,もう少し,哀れさというか触れなば落ちなん風情というか・・・王子に「助けてあげなければ!」と思い込ませる魅力がほしいかな。
特に感心したのは,身の上を語るマイム。私はどうもこのマイムのシーンが苦手で,「悪魔が私を白鳥に変えたのです」のところなどはガッツポーズのように見えて,失礼ながら笑いたくなるコトも・・・。ところが,上野さんのマイムは,踊りの中に溶け込んで違和感がない。(意味が伝わってきたかといえばそうではないけれど,そもそもあの動きであれだけの事情を表すのは無理だと思う。)

逸見さんは,品がよく,凛々しい感じもあって,すてきな王子さま。最初のほうで逃げようとするオデットを追うところなど,舞台をいっぱいに使って見せてくれました。(舞台が狭かったのもよかったのか?)
2幕だけで見せ場がなかったのがもったいなかったですー。

白鳥たちもちゃんと24人登場。舞台が狭くて踊りにくそうなところもありましたし,ソリスト級ダンサーも入る東京公演ほどではなかったかもしれませんが,やはりきれい。
小さな4羽はさほどでもなかったですが,(たぶん坂西麻美さんと橋本尚美さんが踊った)大きな2羽は,伸びやかですてきでした。

 

第2部

『タジラード』

音楽:モーリス・ラヴェル
振付:エーメ・ド・リグライナー

草刈民代, イルギス・ガリムーリン

若々しい恋人たちによるさわやかなデュエット。特に特徴のある振付ではなかったと思いますが,きれいでした。
衣裳は,2人とも白系のユニタードで,作品の雰囲気にあっていました。特に,草刈さんは似合っていて,美しいです〜。ガリムーリンも,王子さま衣裳よりこういうほうが似合うのかな? たくましくてすっきりと見えました。

 

『デューク・エリントン・バレエ』より Shakespeare:The Telecasters

音楽:デューク・エリントン
振付:ローラン・プティ

菊地研

前年初演の『デューク・エリントン・バレエ』の中の妖精パックのソロで,菊地さんのために振り付けられた作品。

とってもよかったです〜♪♪
去年見たときよりいっそう魅力的で,びっくりしました。
衣裳を「エリントン」のものではなく,黒いシャツにスラックスに変えたのもよかったのかしら,たいへんかっこよかったです。
不敵な笑みを浮かべての踊りは,皮肉でいたずら好きの妖精というよりは,悪意を秘めた魔の使いのよう。でも,少年のかわいげもあって・・・うーん,これは・・・ホストクラブでナンバーワンになれるのではなかろうか?(笑)。
音楽の見せ方もうまく,ステップからジャズのリズムが見える感じでした。

 

『海賊』よりグラン・パ・ド・ドゥ

音楽:R.ドリゴ
振付:M.プティパ

橘るみ, 相羽源氏

ううむ・・・私がこのパ・ド・ドゥに関してバイアスがかかっていることもあるのでしょうが・・・表現も技術も,魅力的とは言いかねました。
女性は,鮮やかな臙脂色で,胸の下で切り替えのあるタイプの衣裳。男性は,黄土色(?)のハーレムパンツに同色の透けるボレロ。
橘さんのフェッテは,前半はすべてダブル。後半はフェッテはやめて,黒鳥のコーダの最後みたいに舞台を斜め後ろに下がっていく動きでした。

 

第3部

『コン・ブリオ』 

音楽:R.ドリゴ
振付:ヘルギ・トマソン

大畠律子, 佐藤朱実, 柴田有紀, 正木亮羽, 京當雄一郎

初めて見ました。
擬古典調の作品で,全体の最初と最後に中央に集まって長めにポーズを見せるところなどは,ちょっと『パ・ド・カトル』を連想しました。公演の雰囲気にもふさわしく,「バレエってきれいだわ〜」という気分を味あわせてくれる愛すべき小品という感じでしょうか。
女性の衣裳が淡いピンクとオレンジの中間色で,胸に一輪の小さな薔薇,スカートもふんわりとして,とてもロマンチック。男性の茶色は,ちょっと「?」だったかな。

最初に5人の踊りがあり,次にヴァリアシオン(?)が続くのですが,単にソロだけでなく,いろいろな組み合わせを見せて変化があるのもよかったです。特に,柴田さんのソロの回りで2組のカップルがゆっくりとしたリフトを見せるシーンがすてき♪
大畠さんの軽快,佐藤さんの愛らしさ,柴田さんの優雅,それぞれのバレリーナの個性が,それぞれのシーンごとの振付によく合っていました。

 

『ドン・キホーテ』よりグラン・パ・ド・ドゥ

音楽:L.ミンクス
振付:M.プティパ

草刈民代, イルギス・ガリムーリン

草刈さんは,キトリを踊るにはテクニックが不足していると思いますが,でも,見せ方を心得ていますよね。
ガリムーリンさんは,青春の輝きそのものだった10年前とつい比べて,年齢を感じてしまったりもするのですが,さすがバジルははまり役ですし,今日のメンバーの中では,跳躍の高さも回転の迫力も一際目立ちます。(客層を考えると,難しい技を見せるより,単純に高さや大きさを見せたほうが,もっと喜ばれたかもしれませんが・・・)。
踊りなれた2人による片手リフトや頭上リフトから膝の上に下ろす大技など,楽しませてもらいました。

 

1350人の会場とのことでしたが,8割以上は入っていたと思います。バレエを習っているらしいお子さんたちもいましたが,大部分は地元の会員さんのような感じ。(幕間に周囲の方の会話が聞こえたのですが,草刈さんはおろか森下洋子さんの名前を知らない方も!)
草刈さんの美しさに感嘆したり,ガリムーリンさんのテクニックに驚いたり,皆さん楽しそうでした。
うーん,こういう催しがあちこちであればいいのにねー♪

(02.6.8)

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