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KLX250 Kick Starter / July. 2020
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愛機2007年式KLX250はセルスタータ仕様なんだけど、ご先祖様のKLX250SRはセル非搭載でキックスタータのみというスパルタンな仕様だった。KLX250SRとは基本的に同型エンジンなので、マイKLXにもキックスタータの取り付けが可能。エンジンカバーにはキックスタータ用の穴があって、ラバーのブラインドプラグで塞がれているのでKLX250SR用のエンジンカバーを買う必要はなさそう。KLXは車体が軽いこともあって、車体を押し掛けしてもリアにトラクションが掛からず中々エンジンが掛からないんだよね。やっぱオフローダーにはキックスタータを取り付けたい。![]() カワサキのサイトでパーツをチェックすると、キックスタータキットというのがあるので注文してみた。キットを買ったのは8年も前なので値段は覚えてないけど、2020年7月現在の価格は26,730(税込)。3万円でキックスタータが手に入るなら結構お得感は高いんじゃ無いかと思う。そう思って買ったんだけど、取り付けには超苦労してしまった。整備書があれば何度もトライする必要なかったのかな?パーツカタログの絵を頼りに取り付けるのはチト厳しかった。結局5回目のトライにしてようやく取り付けが完了するという、8年越しの大プロジェクトとなってしまった(^^; ![]() 1回目(2012/6) クラッチの取り外しに苦戦。クラッチは22mmのナットで固定され、鬼トルクで締め付けられている。22mmのソケットやブレーカーバーを延長するパイプの手配等に時間を要し、最終的にカバーが上手くつかず時間切れ。アイドルギアの取付は完了。 2回目(2014/5) スプリングの組み方を間違えたらしく、キックしてもキックバー戻らず。セルでエンジン始動するとワンウェイギヤから異音発生。2回組みなおすも解決できず元の状態に復旧。作業後にネットで確認し、キックスタータギヤの裏側にあるワンウェイギヤのストッパーの取り付けが逆であると判明。 3回目(2020/6) ワンウェイギヤのストッパー金具の向きを変えて組み上げるも、エンジンカバーが上手く閉まらず時間切れで断念。元の状態に復旧の途中でウォーターポンプのネジ破断。オーバートルクによる破損、しくしく。ウォーターポンプのシャフトはオイルポンプと共用しているので、オイルポンプアッシを注文。 4回目(2020/6) オイルポンプアッシを交換し、ウォーターポンプ無事復旧。キックスタータは無事機能するも、ワンウェイギヤから異音発生。やっぱりワンウェイギヤのストッパーの向きが違っているらしい。 5回目(2020/7) ワンウェイギヤのストッパーの向きを変えて再度組み付け。これまでエンジンカバーが閉まらなかったのは、スプリング内側の樹脂製のスペーサーが正しくセットされていなかったのが原因と判明。キックスタータ取付完了、正常に機能して問題なし。 以下、KLX乗りが同じような苦労を味わわない為にも、キックスタータ取り付けのポイントを写真を交えながら念のため解説(フットレストやフットブレーキも外す必要があるけど、その辺は誰でも出来ると思うので解説は省略。写真を見て適当に判断してね)。 まずはアイドルギヤを取り付けるためにクラッチを外す必要があるんだけど、クラッチを外すためには22mmのレンチが必要。クラッチ板の中央にあるのがその22mmのナットなんだけど、これが鬼トルクで締められている。奥まっているので、通常のオフセットのメガネレンチでは緩められない。22mmのソケットレンチで緩めたんだけど、300mmのブレーカーバーでは緩まなかったので、スレンレスパイプを買ってきてブレーカーバーのハンドルを延長して緩めた。 ![]() アイドルギヤおよびキックスタータギヤ・シャフト取り付けの図。このキックスタータギヤ・シャフトの奥にあるストッパーの取り付け方が重要。これを間違うとエンジン始動時にワンウェイギヤから空打ちするような異音が発生する。 ![]() これがキックスタータギヤ・シャフトの奥にあるストッパーの写真。右側が正しい取り付け方向。この小さなストッパーの向きを間違えたために、何度もバラしと組み付けを繰り返す羽目になった。ストッパーには穴が二つあり、一つはエンジン本体側のダウェル(ダボ)が入るようだけど、俺のエンジンにダウェルはなく撤去された跡が確認できる。このストッパーは片側に反っていて、この反りがキックスタータギヤ・シャフトの位置決めの役割も果たしている。ストッパーの向きを間違えると、キックスタータの軸方向にガタが生じてしまう。 ![]() もう一つのポイントがスプリングの取り付け方。写真の方向にぐるっと回してテンションを掛けた状態でエンジン本体側の穴にスプリングを掛ける。ラジペンを使えば難しい作業では無いんだけど、これを間違うとキックした後にキックバーが戻ってこない。あとスプリングの中にある白い樹脂のスペーサを正しくセットしないと、エンジンカバーが閉まらない。このスペーサーのセット不良でエンジンカバーが閉まらなかったのを、ストッパーの干渉でエンジンカバーが閉まらないのだと勘違いしてしまっていた。 ![]() 後は分解した順番とは逆に組み上げていけば完成。やっぱカッコいいねぇ、オフローダーにはキックスタータがよく似合うね。 ![]() 苦労して取り付けたKLXのキックスタータなんだけど、これでエンジンを掛けるのが一苦労。KLX250SRって大変だね、キックオンリーだなんて信じられん。冷間時にキックでエンジン掛けるのは至難の業というか、正直不可能だと思う。KLX250SRは50回蹴るのは当たり前とか聞いてたけど、何回蹴っても無理なものは無理。DT200Rとかキック1発ででブロロンってエンジン掛ってたけど、あれって2ストだったからなのかな?そういえば昔乗ってた2ストの原付もいつもキックで始動してたっけ。 KLXは単気筒という事もあってか、キックは重いし蹴り返しも結構強い。女性じゃまずキックではエンジン掛けられないと思う。チョークを引いて試してみてたけど、中々エンジンは掛からない。チョーク引いて何度も蹴ってるとエンジンがカブってくるので、セルでも掛りにくくなってしまう。チョークよりもアクセルをひねる方がいいみたい。キックを踏み込むと同時にアクセルを軽くひねると、ブロロンってエンジンが掛った。おぉ、これは気持ちがいい(^^) KLXのキックを取り付けてみての感想だけど、正直なくてもいいかなって思う。だけど機能部品だし、万が一のバッテリー上がりの時にエンジン掛ける選択肢が増えるのはオフロードバイクとしてアリだと思う。見た目のどーだ度も上がるし(笑)。だけどキックでエンジン掛けるのは至難の業なので、普段使うことはほとんどないかな。セル最高(^^) 最後に作業中に発生した最大のトラブル、破断したウォーターポンプのネジの写真。オーバートルクでねじ切ってしまった(汗)。ウォーターポンプとオイルポンプは同軸上に配置されているので、ウォータポンプのシャフトはオイルポンプと共用されている。このギヤ・シャフトのパーツは単品注文も可能のようだけど、オイルポンプアッシでまるごと交換した。 ![]() このオイルポンプを固定している3本のボルトがプラスねじなんだよね、こんなデカいねじをなんでプラスねじにするのか意味不明。こんなのプロのサービスマンだって緩めるの苦労するでしょ、嫌がらせとしか思えん。このサイズになるとインパクトドライバー使ってもなめちゃう可能性あるんぢゃね?(--; PBの一番デカいドライバーで回そうとしたけど、予想通り軽くなめかけたのでストップ。体を押しつけるようにして回してるんだけど、これでは不十分みたい。このネジをなめてしまうとドリルでボルト削るしか無くなるんだけど、マンションの駐輪場で作業してるので電源が無い。充電式の電動ドリルを手配する必要があるので、何としてもこのネジはなめずに外したいところ。 PBのドライバーは軸にレンチが掛けられるように6角に切ってあるので、メガネレンチを通して回してみることにした。体をバイクに押しつけるようにして体重を掛けた状態でレンチを回すと、カキンという音と共にネジが緩んだ。どう考えてもプラスねじの緩む音じゃないんですけど(笑)。この方法で無事3本のネジを外すことが出来た。やっぱりドライバー押しつけて手で回す方法では、押しつける力が弱くなってるみたいだね。レンチを掛けかれるプラスドライバーが結構使えることを学習。 キックスタータは慣れれば2時間もあれば取り付け可能なんだけど、途中に2度の長期海外出張を挟んだ8年がかりの作業となってしまった(笑)。キックスタータ取り付けはポイントさえ押さえれば、難易度はそれほど高くない作業だと思う。ワンウェイギヤのストッパーの取り付け方向と、スプリングのかけ方さえ理解しておけば1度で成功するハズ。ここに持てるノウハウを全て書いたので、KLX乗りのプライベータが同じ苦労をしなくて済むことを祈ります(^^) |
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