相続登記・遺言・相続放棄・各種契約書の作成・成年後見申立

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相続の登記(相続による不動産の名義変更)

 相続財産に不動産がある場合、不動産の所在地を管轄する法務局に対して不動産の相続登記の申請を行います。
 相続人のうちの誰がどの財産を相続するかを、相続人全員で取り決めて書面にしたものが「遺産分割協議書」です。被相続人(亡くなった方)名義の不動産を特定の相続人が相続する場合などに作成します。遺産分割協議書は、不動産以外の預貯金などの財産の分け方を決める際にも必要になります。
 相続手続きのためには、相続人を特定するために市役所等に請求して戸籍謄本等の収集が必要となりますが、このような手続きも、相続手続きのご依頼をいただいた場合には代行することができます。
※ 相続人の範囲には、次のパターンがあります。
 1. 配偶者(夫または妻)のみ
 2. 子のみ
(子には、養子を含みます)
 3. 直系尊属(父母等)のみ
 4. 兄弟姉妹のみ
 5. 配偶者と子
 6. 配偶者と直系尊属(子がいない)
 7. 配偶者と兄弟姉妹(子と直系尊属がいない)  

※ 相続人の一人が遺言により法定相続分を超える財産を取得した場合でも、登記等の対抗要件を備えないと、第三者に対抗できません。法定相続分を超える相続分を他の相続人が第三者に譲渡した場合等、第三者に法定相続分を超える部分については対抗できなくなりますので、遺言があっても速やかに遺言に基づく登記をすることをお勧めします。

※ 当事務所でご依頼をお受けする相続手続きは、相続人間で遺産の分け方について争いがないことが前提であり、その意向を実現するために必要な調査と書類作成をして相続登記等の手続きを行うものです。相続人間で争いがあり、話し合いができないという場合は、弁護士に依頼されることをお勧めします。

※ 相続税について
 相続税の基礎控除額は、(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)ですので、たとえば、配偶者と子供2人(法定相続人が3人)の場合ですと、4,800万円が基礎控除額となり、これを超える価値の財産がなければ相続税は発生しません。相続税の具体的な額や計算方法については、税務署か税理士にご相談ください。

※ 贈与による所有権移転(不動産の名義変更)について
 売買のように対価の支払いを伴わず、贈与によって不動産の名義を変更しようとする場合、あらかじめ贈与税が課税されるか充分に検討してから実行する必要があります。婚姻期間が20年以上の夫婦間での居住用不動産の贈与の場合の配偶者控除の特例や、原則として60歳以上の父母又は祖父母から20歳以上の子又は孫に贈与した場合の相続時精算課税制度の利用など、贈与税額を低減又は支払わなくてよいようにするための制度があります。いずれも税務署の手続きが必要となりますので、税務署や税理士等に相談のうえ、贈与税の問題を解決された場合に限り、贈与による所有権移転登記の申請のご依頼をお受けできます。

遺言

 自分の財産を死後誰にどれだけ相続させたいか希望がある場合、遺言を作成することをお勧めします。
 配偶者や子には遺留分があるため、遺言によっても完全に奪えない権利がありますので、これに配慮する必要はありますが、相続人間の紛争が生じないように、遺言の作成を考えてみられると
よいでしょう。
※ 遺留分を侵害された相続人は、遺産を受け取った者に対し、遺留分侵害額の請求を行う権利があります。(兄弟姉妹が相続人となる場合には、兄弟姉妹には遺留分はありません)

 遺言書を作成される場合、公証役場にて公正証書遺言にされることをお勧めします。公証人という専門家が作成するので、法的に間違いのない遺言が作成できますし、公証役場で遺言が保存されるので紛失の心配がなく、自筆で遺言を書かれる場合に必要となる家庭裁判所での検認手続(遺言書の状態の確認手続)がいらなくなるなどのメリットがあります。
 遺言書案の作成と公証人との連絡・調整、証人としての立ち会い等を通じて、公正証書遺言の作成のお手伝いをさせていただくことができます。

※ 2020年7月10日より、自筆で書いた遺言(自筆証書遺言)を、法務局に保管を申請できる制度が始まりました。この制度を利用すると、自筆証書遺言であっても、家庭裁判所の検認が不要となります。

相続放棄

 亡くなった方の借金を相続することになる場合など、相続人になりたくない場合には、相続開始から原則として3か月以内に被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ相続放棄の申述を行います。相続放棄申述書の作成の代行など、家庭裁判所への提出書類の作成をいたします。
※ 相続開始を知った時期が死亡から
3か月経過後であった場合や、財産がないと思っていたところ、3か月経過後に請求があって、初めて借金があると知った場合など、特別な事情がある場合には、その事情を説明する資料や説明書類を相続放棄申述書に添付して、相続放棄が認められる場合があります。
※ 相続放棄をすれば、最初から相続人ではなかったことになりますので、相続放棄を考える場合は、原則として相続財産を動かさないようにする必要があります。相続放棄をするかどうかを判断するための調査が3か月以上かかる場合には、家庭裁判所に請求して、期間の伸長をすることができます。

各種契約書の作成

 ご依頼者と相手方との間で合意が成立していることを前提に、その合意内容を書面にするため、合意書、示談書、離婚協議書、その他各種契約書の作成をお受けします。
 金銭の支払いに関する契約書の場合、公証役場にて公正証書(強制執行認諾約款付)により契約すれば、不履行があった場合に裁判をせずに給与や財産を差し押さえる強制執行が可能となります。公正証書の作成についてもサポートします。

※ 契約書を作成するにあたって、ご依頼者が相手と話し合ったり、合意したりできない場合には、弁護士にご依頼することをお勧めする場合があります。

成年後見(後見・保佐・補助)の申立

 認知症になられた方などの財産管理と身上監護のための成年後見申立の手続きについて、親族、関係者の方に対する制度の説明と、家庭裁判所に提出する成年後見申立書作成について対応致します。

※ 当事務所では、現在後見人の就任についてはお受けしておりません。親族、関係者から、後見人候補者はいないが後見申立をしたい場合のほか、親族の方が後見人就任を希望する場合や、親族以外に後見人候補者としたい方がある場合の申立手続きをお手伝い致します

※ 親族等の後見人候補者を指名して申立を行ったとしても、後見人を誰にするか決定するのは家庭裁判所なので、必ず希望の方の就任が認められるとは限らず、第三者(司法書士・弁護士等)が選任される場合があります。また、親族等が成年後見人に就任した場合でも、裁判所の職権により後見監督人(司法書士・弁護士等)が付される場合があります。

※ 後見人候補者としたい方がいない場合、当事務所で候補者となる行政書士(一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター所属)等をご紹介するか、司法書士で構成する公益社団法人成年後見センターリーガルサポートからの紹介を前提とする申立書の作成をお受け致します。

※ 成年後見制度には、認知症になる前に予め将来認知症になったときに後見人をしてほしい方と公正証書により契約する任意後見の制度があります。任意後見契約の締結を希望される場合は、別途専門家団体である一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター所属の行政書士を紹介することがあります。

※ 認知症を含む将来の対策には、成年後見よりも「民事信託(家族信託)」が有用であるとも言われています。信頼する家族、守るべき家族が複数ある人が事前に将来の対策を考えるときには、民事信託(家族信託)の設定も重要な選択肢に入るものと思いますが、頼るべき家族が少ない、もしくは身寄りがない人にとっては、やはり後見制度の利用が必要になろうかと思います。

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