ガールスカウト                

2000年9月1日



私には三人の娘がいる。末の子はまだ赤ちゃん、上の二人は小学生でガールスカウトに入団している。 

夏休み、毎年行われるガールスカウトのメインイベント、団キャンプ。

大きなリュックに寝袋、ハンゴウ、着替え、食器、長靴、雨具、工作用具に洗面用具、etc…。

パンパンに詰め込んで体重約10キロの荷物ができあがる。

この作業が中頃にさしかかると私と長女の思い出話が始まる。

「お姉ちゃん一年生の時、寝袋を畳む練習泣きながらやったねー。

それから、ハンベソかきながらリュック背負って階段を昇ったり降りたり…。」

「そうそう、お母さんがおこってさ〜。」そう言う彼女は今年で5回目の荷造り。

「入らね〜!」とブーブー文句を言いながらも、一人でサッサと作業する。

「成長してるな〜」と傍らで感心している私。

翌早朝体重10キロのリュック君を背負った二人は元気に出掛けて行った。

よく人に「ガールスカウトって何するの?」と尋ねられる。

「ん〜と、募金活動したり、キャンプ行ったり、ハイキング行ったり、野外料理したり、etc…」

と説明するが、なんとも漠然とした言い回しになってしまう。

「ガールはダメよ〜!」なんて冗談半分でボーイスカウトのお母さんから言われたこともあったな〜。

やってる事が甘いってところなんだろう。

確かに女だけの集団なので、トロトロしてるとこともあるし、ペチャクチャしているところもある。

ただ、私は娘達にいろんな体験をしてほしいし、

学校や家庭以外でも自分の居場所を見つけてほしいと思う。

家庭では、親が子どもより先が読めるからどうしても手や口を出してしまう。

学校は生徒をなんとかまとめようと先生は必死で、子どもにとっては窮屈なところがある。

習い事は所詮習い事。

人との関わり方をもっと広く学んでほしい、こればかりは、自分で経験していかないと身に付かない。

学校や地域以外の同年の友達や上下の関わり、親や先生以外の大人(リーダー:指導して下さる方)

との関わり、これが体験できるのがガールスカウトのいいところだと私は思う。

末娘との平穏な日々もあっと言う間に終わり

「ただいまー!」と大きなトウモロコシを二つかかえお姉ちゃん'Sは帰ってきた。

そして、三泊四日の体験を二人同時に話し出す。

その中で「おや。」と思った長女の表情があった。             

「あのね、なんか原っぱみたいな所に行ったら、カエルがいーっぱいいてさー、

すっごく可愛いの。小さい青いヤツ。太陽の光りがこう、射してね、

それで、カエルが…、こう、…こんなふうに…。」

と目を細め、首をクネクネっとさせ、顔をムニュムニュっとさせながら、

カエルになりきって説明している。幼い頃の彼女の顔であった。

小さなアリを怖がって泣いていた彼女も成長したものだ。

続いて次女は「最初の夜、気持ち悪くなって、泣いちゃったの、でね、リーダーのお部屋で寝たの…。」

いつもマイペースで動じない彼女も、さすがに山の夜は寂しいようだ。

カエルのかわいさや自然の美しさ、寂しい夜に添寝してくれたリーダーの暖かさ、キャンプファイアーの炎の色や夜空の星々…、

きっと、言葉では表せない事が彼女達の心の中にたくさん残っただろう。

体全部で体験したことは一生忘れない、大切な宝物。

いつまでも輝いていてほしいと願う……。

 

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