堺保医第187号
平成14年6月10日
荒木常男様

堺市長
木原敬介(公印省略)

有床診療所立入検査実施要領の公開質問について(回答)

ご意見をいただきました有床診療所立入検査実施要領の公開質問について、別紙のとおり回答いたします。堺市では、平素、市政に関するさまざまなご意見などを市民の皆様からいただいており、市政を運営するうえで参考とし、可能な限り市政に反映させるように努めております。今後とも市政に対して、ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。

保健福祉局 健衛生部 保健所保健医療課 担当:中谷- 河盛
Te1:072-222-9933
Fax:072-222-9876
E-mailくhoi@city.sakai.osaka.jp>

有床診療所立入検査実施要領の公開質問について
(回答)
(1)「有床診療所立入検査実施要領」は、特定の個人や団体に対し義務を課したり権利を制限するような内容ではなく、あくまでも、堺市が医療法に基づく立入検査を行うための事務手続等について、「保健所長に権限を委任する規則」に基づき保健所長が定めたものであり、手続的な不備はありません。

(2)保健所を設置する市の市長(堺市においては保健所長)は、「必要があると認めるときは」、医療法第25条第1項の規定に定められている権限を行使する裁量権を有しています。有床診療所への立入検査につきましては、事前に市内全有床診療所へ通知しました「有床診療所に対する医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施に伴う説明会の開催について」(平成13年9月7目付堺保医第613号)において、「地域医療の一層の充実を図るため、平成13年度より、大阪府下各保健所において」実施する運びとなったことを記載しています。また、平成13年9月26日の説明会当日においても、市民の方々の医療に対する関心が高まる中、より身近な地域の医療機関である有床診療所についても立入検査を行うに至ったという趣旨を説明しました。なお、大阪府下においては、大阪市が平成12年度から有床診療所に対する立入検査を行っており、全国的にも既に横浜市、名古屋市、神戸市、北九州市等が平成11年度以前から実施していることを申し添えます。

(3)これまで堺市は、大阪府及び保健所設置市である大阪市、東大阪市と協議を重ね、連携しながら病院に対する立入検査を実施してきました。また、社会情勢の変化に対応し、府下全域において、人工透析診療所、療養型病床群設置診療所に対する立入検査を実施するなど検査対象を広げて、大阪府下保健所が連携を図りながら立入検査の充実を図ってきました。このように協議を重ねてきた中で、(2)でも触れましたように、平成13年度から3か年計画で大阪府下の全有床診療所への立入検査を実施することになりました。このことは市民の方々の医療に対する信頼の確保に寄与するものと考えており、地方公務員法第30条の趣旨に合致するものと考えています。また、無床診療所及び助産所への立入検査については、必要ないとは考えていませんが、堺市内の無床診療所が約千ヶ所あること、また、人員体制の問題もあり、現在実施に至っていません。今後の課題と考えています。上述のように協議をした結果、院内感染及び医療事故の防止の観点から、また、医療法上構造設備の基準等の規定がある有床診療所に対する立入検査を行うと決定したものです。

(4)医療法第25条により病院、診療所又は助産所に立入検査をする当該職員と、同法第26条による医療監視員とは、必ずしもその範囲が一致するものではありません(昭和24年7月20目医発第633号厚生省医務局長通知)。なお、「有床診療所の立入検査実施要領」に記載されている医師、診療放射線技師はともに医療監視員の発令を受けており、立入検査を行う職員の体制を分かりやすくするため、そのような表記にしたものです。また、食品衛生監視員、環境衛生監視員、廃棄物対策課職員は、それぞれ、食品衛生法、水道法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定に基づき、必要に応じて検査・指導を行う権限を有しています。本市内部において調整を行い、効率的な検査を行うため、ひいては、立入検査を受け入れていただく側の便宜を図ることを目的として、実施体制の中に記載しているものです。なお、医療監視員の氏名については、立入検査時に求めがあれば身分を示す証を提示します。

(5)現行医療法においては、医療法施行規則第19条及び第21条の2の規定に基づき病院及び療養病床を有する診療所において従業者員数の標準が定められていますが、療養病床を有しない有床診療所においては従業者員数の法的な基準は定められていません。しかしながら、療養病床を有しない診療所においても適正な医療の提供を確保する上で診療所の従業者員数を把握する必要があると考えられ、それを算出するための基礎的数値となる調剤数等の取り扱いについて、大阪府、大阪市、堺市、東大阪市と検査に際した協議に基づき、大阪府下において様式を統一し、病院及び療養病床を有する診療所と同様の資料を作成していただき、検査結果等を含めこれらの項目を大阪府において集約することとしたものです。上記の趣旨をご理解願いたいと思います。

(6)診療録の検査については、医療法第25条第1項に、「都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、必要があると認めるときは、病院、診療所若しくは助産所の開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、病院、I診療所若しくは助産所に立ち入り、その有する人員若しくは清潔保持の状況、構造設備若しくは診療録、助産録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。」と有り、堺市においても、医療法の規定に従って検査を行うものです。

(7)立入検査結果に基づき行う指導は、行政機関が特定の個人や団体に対し、強制力をもってする処分である命令と違い、行政機関がその所掌事務に関し、一定の行政目的を達成するため、特定の個人や団体に対し任意の協力を求めるものであり、法律上の強制力を伴わない行為であります。但し、検査の結果、明らかに法令等に違反するような事実が確認できた場合については、違反事項について文書をもって通知するとともに改善措置の状況を報告していただくよう指導しています。なお、添付されている指導事項は、適正な医療の確保に資するよう立入検査当日に口頭で指導した項目を参考までに送付したものであり、改善報告を求めるようなものではありません。ほとんどの項目については、法的根拠を持ちますが、堺市保健所としましては、院内感染防止や医療事故防止対策などの項目のように法的根拠の有無にかかわらず、適正な医療の確保に資すると考えられる事項については、医療機関自身による自主的な管理を支援するという趣旨からも、指導を行っていきたいと考えています。

(8)堺市では、堺市医師会立の堺看護専門学校に対し、本市規則及び要綱に基づき運営補助金を支出し、本市域における医療従事者の確保に一定の責務を果たしているものと考えています。

保健衛生部 保健所保健医療課(以上)戻る