クラミジアPCR法とイデイアクラミジアEIA法の一致率の検討
2004.8.01/荒木産婦人科肛門科/荒木常男

1.検討の目的
2004年5月1日より、検査委託していた、日本臨床検査より、クラミジアザイム法の試薬の提供中止により、その方法を中止し、イデイアクラミジア法に変更する旨の連絡がありました。当院ではこれまで、クラミジアPCR法の臨床使用経験がなかったので、この機会に二法を同時使用して一致率を検討し、その結果も考慮して今後の、クラミジア抗原検査方法を決定することにしました。

2.調査期間
2004年5月6日から同年6月29日まで。(約2ヶ月)

3.対象婦人
当院に受診婦人のうち、クラミジア感染が疑われる63名の婦人。
検査回数は1回のみが60人、2回実施が3人で合計66回実施。
年齢は最低16歳、最高64歳(この方は両検査法共陽性)、平均28±9.9歳。

4.採取方法
PCR法の方が、感度が高いということから、まず、イデイアクラミジア法の検体を子宮頚管より採取し、次ぎにPCR法の検体を採取しました。

5.結果

PCR法陽性 PCR法陰性
イデイアクラミジアEIA法陽性 9 0 9
イデイアクラミジアEIA法陰性 2 55 57
合計 11 55 66

上記表に示すように、66回の検査中、不一致は2回のみで、
一致率=64/66=0.97
PCR法に対するイデイアクラミジア法の陽性一致率=9/11=0.82
PCR法に対するイデイアクラミジア法の陰性一致率=55/55=1
という結果でした。
ただ、興味あることに、不一致の2例(PCR陽性、イデイアクラミジア陰性)では、治療せずに7日後あるいは32日後(今回の集計期間後)の再度の検査では、どちらの方法も陰性の結果で、結果的には治療が必要かどうかの決定には、イデイアクラミジア法が適切と考えられました。
6.考察
*臨床的には、どちらの方法を使用してもほぼ同じ結果が予測されました。
*ただし、PCR法の方が陽性率がわずかに高い結果でした。
即ち、今回の期間のクラミジア陽性率は、
PCR法では、11/66=0.167
イデイアクラミジア法では、9/66=0.136
で、以前使用のクラミジアザイムEIA法の、約10%なる当院の陽性率(有症状の患者に対して行った場合です。具体的には未発表です。)よりどちらも高率でした。
*現在の保険点数上は、PCR法の判断料は微生物で、イデイアクラミジア法は免疫であることに留意して下さい。
*以上の結果より、当院では今後イデイアクラミジア法を通常は使用することにしました。戻る