♪二度寝 MIDI
チッコ、チッコ、チッコ・・・ジリッ。
シンジの貴重な可処分所得と引き替えにアスカの資産となった、真紅の目覚まし時計。
ジリリリリッ!・・・と元気に勤めを果たすことは許されず、新作ゲームを諦めた彼の心情は、この日も報いられはしなかった。
「・・・・・・。」
昨日の同時刻、『ジリリッ』とまで鳴らせてしまったアスカ。
沈黙した時計を一瞥し、口の端を不敵に歪める。
やがてサファイアのごとく輝く『ハズ』の瞳は、わら細工のようなボサボサ髪に隠されている・・・2015年の流行かも知れないが。
はて?・・・ボンボン付きのナイトキャップは、いったい何処へ消えたのか?
「・・・ふんっ!」
気合いと共にタオルケットを跳ね除けよう・・・として、ベッドの下にそれを見出す。
暫しの沈黙。
「・・・ふふん。」
とりあえず、根性無しのタオルケットをさげずんでみた。
「んっ・・・。」
軽く伸びをして、ベッドから降りる。
「ふん、ふん、ふふん♪」
ゴキゲンなハミングを奏でながら、洗面台へと消えた数秒後。
「むうううっ!!」
再び部屋に舞い戻り、右手に握りしめたナイトキャップをベッドの上に叩きつけた。
・・・どうやら、靴下のように履いた真紅のそれに、ようやく気付いたようだ・・・。
「・・・ふふっ。」
寝癖をきれいに直し、歯磨き直後の吐息も爽やかなアスカ。
着替えを済ませ、鏡台の前でポーズを決める。
「・・・ん〜。」
納得出来なかったのか、クローゼットの前で別の服に着替える。
「んっ!」
今度は満足したらしい。
鏡に映る自身のパジャマ姿に、可愛らしくウインクなどした後。
ぽんぽん・・・
軽く叩いて形を整えた枕を手に。
「・・・いくわよ、アスカ。」
シンジの部屋を目指して去っていった。
時計の針は午前三時。
アスカ、二度寝の経緯である。
「ふぁ・・・おやすみ、シンジ♪」
『KISSの温度』連続26回+1回の食う寝る36さんから、KISS以外での初めてのいただき物です♪
MIDIとあわせてダブルのいただき物。わーい。(^-^)/
物語が前半と後半で違うように、MIDIもソレにあわせ、前半部分と後半部分で違いがあるのはにくい演出です。(笑)
短いながらも、やはり食う寝る36さんの世界ですね。カラーがはっきり分かるということはすごいことです。堪能させていただきました。(笑)
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