喰う寝る36さんの
KISSの温度「R」Edition 13th

『第三使徒迎撃戦に敗退、身体に多大な損傷を被る。
 頭部から列挙する。
 側頭部裂傷、眼球破裂、頸椎挫傷・・・
 追記:サードチルドレンと接触。』
 
『・・・修復用の装備に補充の要有り。止血帯、消毒液、モルヒネ。
 交換した眼球に痛み有り。行動に支障をきたすので、本日の身体洗浄を取りやめる。
 朝食としてブドウ糖溶液の経口摂取・・・』
 
『・・・昼食にレーション・Dを摂る。
 コンビニエンス・ストアで購入した食品に、規定以上の塩分を認む。水洗処理の後、夕食として摂取。
 入浴による身体洗浄を終了次第、予定に従い休眠に入る。
 個人的接触は、チルドレン、及び葛城一尉。』
 
『行動食の補給を申請する。
 内訳:レーションA×12、レーションB×12、レーションC×48、レーションD×3。
 レーションCは暖めると美味しい事を発見。
 修復用装備に関して、継続補給の中断を申請・・・』
 
『眼球の違和感は消滅した。
 モルヒネの中毒も脱した。
 培養槽に於ける身体管理の経過は順調である。
 朝食はレーションC、昼食は司令と共にざるそばを摂取。夕食は・・・』
 
 
 
『レイ:弐号体』と書かれた日報を抱きしめながら、わたしは食事を続けた。
 今日はネルフの野戦訓練。
 全てが終わり、ネルフを除隊し・・・。
 予備役となった私たちが、半年に一度だけ参加を義務づけられている軍事演習。
 
「ほんと、温めたら意外にイケルわね、レイ。」
 
「うん。綾波、教えてくれてありがとう。これなら美味しく食べられるよ。」
 
 ゴシック体で大きく『C』とプリントされた缶詰から、立ち上る湯気。
 スプーンで緑褐色のペーストを掬い、口に運ぶ。
 
「そう? 良かったわね。」
 
 笑顔で返事をしながら、わたしは一粒、雫を落とす。
 
 
 
「ほんとうに・・・おいしいわ。」
 
 
 
 わたしの舌で、彼女が笑った。
 
 
 
 


 なおのコメント

 二人目のものを継承したのは、記憶だけという三人目のレイ。
 その葛藤を、見事に表現した前作。
 本作は、その後日談。
 二人目の存在を自分の中に意識しながらも、同居を心地良く思っている、ということが感じられました。
 いつもながら、鋭い文体とアイデアに脱帽です。(^-^)
 
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