キュッポ、キュッポ、キュッポ、キュッポ♪
又もや ネルフの中をピンクの怪獣が歩いていた
楽しげな足音が響き渡り、緊張感をなくす事 おびただしい
すると、そこに とある男性が通りかかる
とっても 影がうすい ロン毛の 彼
出番の無さでは とある盗撮少年にも勝るだろう
メガネの同僚には とうてい届かない 台詞の数
酷い時には 「 オペレーター B 」 とか 「 ロン毛 」としか 表記されない 彼の本名は 「 青葉 シゲル 」という 冗談みたいな名前だった。
さて、そんな彼でも 最近 気になっている人が居る
同じオペレーター仲間の彼女
『 やっぱ、ピンクのマヤちゃんは良いよなぁ〜〜 』
・・・蓼食う虫も 好き好きというが
青葉はピンク色のモコモコをしばらく うっとりと眺めていた
愉快な足音と ピョンピョン動く尻尾が 彼を魅了する
「 ほぇぇぇ〜 」
なんとも情けない声をあげていたが、パッと 目をパチクリさせて 我にかえったようだ
「 うむ、ここは 先回りをして・・・」
脇道に入り、全力疾走
そして とある4つ角で 荒い息を整え 彼女がやってくるのを待った
やがて 聞こえてくる キュッポ、キュッポ♪
と、突然 青葉の前で足を止めた
青葉は自慢の髪をサラリと 撫で付けて 廊下にもたれる
そして すかした声
「 やぁ、今日も可愛いね、子猫ちゃん♪ 」
・・・どうやら 前の晩に 変な本でも 読んだらしい
大体 この場合 どうみても 『子猫』の筈がないのだが、本人は気づかないらしかった
ふっ と気障たらしく微笑みながら、マヤに目をやる
と、怪獣の口から 辛うじて見えたマヤの頬が 幾分赤く染まっているようだ
『 ・・・いける! この調子で・・・』
内心 ニンマリと笑うと、更に歯の浮くような台詞を続けた
「 君の瞳の輝きは 夜空の星にも優るよ 」
ずいっと 近寄ってみると、本当に目が少し潤んでいる
心なしか 呼吸も荒いようだ
『 やったぁぁぁ、大成功♪ 』
小躍りしたい気持ちを押えて ニヒルに決める シゲル
「 その唇は 誰のモノなのかな?」
そっと 怪獣の口の中を覗き込むと、なんと マヤは目を閉じていた
唇を少し震わせ、かすかに見上げる顔は 何かを待ち受けているようだ
『 ゴクッ♪ 』
生唾を飲み込み、唇を尖らす シゲル
「 ・・・マ、マヤちゃん・・・」
そして 唇を彼女に ゆっくりと 近づけた
目を閉じて 泣き出しそうな マヤの顔
鼻息を荒くして キスしようとする シゲル
唇まで 後 10センチという ところで、彼女が いきなり 顔を振った
「 ハ、ハ、ハ、ハクション♪ 」
クシャミと共に、怪獣の口から 巨大な炎が 吹き出した
「 うぅぅぅ〜〜 」
ズルズルと 鼻を鳴らす 怪獣マヤ
「 ふぅ〜〜、どうやら 風邪ひいたみたいですぅ。今日は帰りましょ♪ 」
クシャミ 一発 ぶちかまして、そのままUターン
・・・当然、自分の前に 何かあった事など 気づいてない
「 さぁ、早く帰って寝ましょ♪ 先輩(はぁと♪)、看病に来てくれるかなぁ 」
とても 病人とは思えない 元気な足取りの マヤちゃん
キュッポ、キュッポ、キュッポ、キュッポ♪
今日も 陽気な足音を響かすのであった・・・
廊下に真っ黒に焼けこげた 物体が佇んでいる
自慢のロン毛は 丸いアフロとなり、ビニールでも焼いたような異臭が立ち込めていた
「 ゴホッ、ゲホッ 」
謎の物体は 少し咳き込むと ゆっくりと崩れながら つぶやいた
「 ふっ、熱い キスだったぜ・・・」
ピンクの怪獣、マヤちゃんの第二弾。
相変わらず、パワフルです。(^-^)/
傍若無人ぶりは、某「G」と、何処か見ているような気がするのは気のせいでしょうか?(汗)
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