どらこさんの
KISSの温度「P」Edition 3rd

 キュッポ、キュッポ、キュッポ、キュッポ♪
 
 又もや ネルフの中をピンクの怪獣が歩いていた
 楽しげな足音が響き渡り、緊張感をなくす事 おびただしい
 すると、そこに とある男性が通りかかる
 とっても 影がうすい ロン毛の 彼
 出番の無さでは とある盗撮少年にも勝るだろう
 メガネの同僚には とうてい届かない 台詞の数
 酷い時には 「 オペレーター B 」 とか 「 ロン毛 」としか 表記されない 彼の本名は 「 青葉 シゲル 」という 冗談みたいな名前だった。
 さて、そんな彼でも 最近 気になっている人が居る
 同じオペレーター仲間の彼女
『 やっぱ、ピンクのマヤちゃんは良いよなぁ〜〜 』
 ・・・蓼食う虫も 好き好きというが
 青葉はピンク色のモコモコをしばらく うっとりと眺めていた
 愉快な足音と ピョンピョン動く尻尾が 彼を魅了する
「 ほぇぇぇ〜 」
 なんとも情けない声をあげていたが、パッと 目をパチクリさせて 我にかえったようだ
「 うむ、ここは 先回りをして・・・」
 脇道に入り、全力疾走
 そして とある4つ角で 荒い息を整え 彼女がやってくるのを待った
 やがて 聞こえてくる キュッポ、キュッポ♪
 と、突然 青葉の前で足を止めた
 青葉は自慢の髪をサラリと 撫で付けて 廊下にもたれる
 そして すかした声
「 やぁ、今日も可愛いね、子猫ちゃん♪ 」
 ・・・どうやら 前の晩に 変な本でも 読んだらしい
 大体 この場合 どうみても 『子猫』の筈がないのだが、本人は気づかないらしかった
 ふっ と気障たらしく微笑みながら、マヤに目をやる
 と、怪獣の口から 辛うじて見えたマヤの頬が 幾分赤く染まっているようだ
『 ・・・いける! この調子で・・・』
 内心 ニンマリと笑うと、更に歯の浮くような台詞を続けた
「 君の瞳の輝きは 夜空の星にも優るよ 」
 ずいっと 近寄ってみると、本当に目が少し潤んでいる
 心なしか 呼吸も荒いようだ
『 やったぁぁぁ、大成功♪ 』
 小躍りしたい気持ちを押えて ニヒルに決める シゲル
「 その唇は 誰のモノなのかな?」
 そっと 怪獣の口の中を覗き込むと、なんと マヤは目を閉じていた
 唇を少し震わせ、かすかに見上げる顔は 何かを待ち受けているようだ
『 ゴクッ♪ 』
 生唾を飲み込み、唇を尖らす シゲル
「 ・・・マ、マヤちゃん・・・」
 そして 唇を彼女に ゆっくりと 近づけた
 
 
 目を閉じて 泣き出しそうな マヤの顔
 
 鼻息を荒くして キスしようとする シゲル
 
 唇まで 後 10センチという ところで、彼女が いきなり 顔を振った
 
 
「 ハ、ハ、ハ、ハクション♪ 」
 
 クシャミと共に、怪獣の口から 巨大な炎が 吹き出した
 
 
 
「 うぅぅぅ〜〜 」
 ズルズルと 鼻を鳴らす 怪獣マヤ
「 ふぅ〜〜、どうやら 風邪ひいたみたいですぅ。今日は帰りましょ♪ 」
 クシャミ 一発 ぶちかまして、そのままUターン
 ・・・当然、自分の前に 何かあった事など 気づいてない
「 さぁ、早く帰って寝ましょ♪ 先輩(はぁと♪)、看病に来てくれるかなぁ 」
 とても 病人とは思えない 元気な足取りの マヤちゃん
 キュッポ、キュッポ、キュッポ、キュッポ♪
 今日も 陽気な足音を響かすのであった・・・
 
 
 廊下に真っ黒に焼けこげた 物体が佇んでいる
 自慢のロン毛は 丸いアフロとなり、ビニールでも焼いたような異臭が立ち込めていた
「 ゴホッ、ゲホッ 」
 謎の物体は 少し咳き込むと ゆっくりと崩れながら つぶやいた
 
「 ふっ、熱い キスだったぜ・・・」
 
 
 
 


 ピンクの怪獣、マヤちゃんの第二弾。
 相変わらず、パワフルです。(^-^)/
 傍若無人ぶりは、某「G」と、何処か見ているような気がするのは気のせいでしょうか?(汗)
 
 
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