52×52短文お題
『あ〜ん』


--お約束--

・女性視点で恋愛モノである事
・オリジナルである事
・全角52文字以内で終わる事







『甘える』
傍で見ているのと全然違うと頬を染めて俯いた。懐に飛び込んで初めて分かる甘さの深度に眩暈がしそうだ。


『居座る』
出て行けと何度叫んだ事か。叫び過ぎて喉が枯れてもう声も出ない。それでも勝手にしろと言えないのはこの恋心。


『飢える』
声を欲し香りを欲し、姿を欲し肌を欲した。それでも満たされなければもう頭から齧り付かないといけないのか?


『描く』
真っ白な自分を晒すのが怖かった。絵筆を持って待ち構えるあの人から逃げる術があるのなら誰か教えて欲しい。


『送る』
初めて後姿を見た。貴方の背中は何と凛々しい事か。その魅力に気付くのが別れの時だなんて本当に馬鹿げている。


『勝つ』
柔らかな抱擁に暫し酔い痴れる。くぐもった声で肌に囁きを埋めるように俺が悪かったと謝られて悪い気はしない。


『嫌い』
溜息一つで身体に溜まった毒を抜く。あの子がただの友達だって分かっているのに嫉妬を止められぬ自分が嫌い。


『苦しい』
電話の終わりは必ず貴方のおやすみという言葉。止めてよ、私はこれから会社に行くのよと遠い貴方に投げ付けた。


『蹴る』
勢いに任せて繰り出した右足は躱された。次の左足は右手に阻まれた。逃がさない、と楽しげに両足を抱えないで!


『殺す』
おめでとうと凍えた舌で辛うじて紡ぎだした声は貴方に届きましたか?ライスシャワーを浴びる貴方が涙で滲む。


『刺す』
その瞬間心臓が止まった。背伸びしないと届かない癖に口付けが上手いだなんてと弟みたいだった男を睨み付けた。


『信じる』
今日は新人歓迎会で遅くなるだなんて下らぬ嘘を吐かないで頂戴。それとも貴方も貞淑な私を信じてないのかしら?


『梳く』
ねぇそのまま髪の毛をすいていてよ。私が眠るまでやってくれたらあんたを新しいパパとしてみとめてあげるわよ。


『急かす』
真剣な顔をすると3割増で格好良いのね。転勤の辞令握り締めて結婚か別離か選べだなんて今直ぐ決めなきゃ駄目?


『染める』
殴られた右頬は痛かったけど爽快な気分だ。高慢だった貴方が少しずつ私に染まっている証拠は紅く染まった耳。


『溜まる』
時間にルーズなのが嫌、食べ方が汚いのが嫌、給料が安いのが嫌。どこまで不満を溜めたら別れを切り出して良い?


『散らす』
冗談じゃないわこれじゃ水泳の授業に出れっこないと胸を隠して目の前の裸の男を詰った。男の職業は体育教師だ。


『尽くす』
アレやってコレ買ってと望まれるままに彼に尽くす。そんなこんなで20年。家を出るという彼の言葉に母は涙す。


『手伝う』
数学が苦手な私は宿題が出来ずに幼馴染に泣き付いた。やたら機嫌良く手伝ってくれると思ったら裏が有ったのね!


『飛ぶ』
全てに疲れたよと言って飛び降りようとした男を、だったら全てを捨ててここから飛び立ちなさいと平手打ちした。


『泣く』
また振られたと深夜にドアを叩く男を私は諦めと共に招き入れる。懲りないねぇと頭を撫でながらこっそり泣いた。


『憎む』
あんたの所為で男に振られたと怒鳴り込んだらそりゃ結構と男が返す。何の恨みがあって私の恋の邪魔をするの!


『抜く』
ざまぁみろと戻って来て開口一番得意げにこいつは笑った。あんた馬鹿?私の身長抜いた位で何威張ってんだか。


『寝る』
寝不足ですと顔に書いて待ち合わせ場所に現れた恋人を私は家に連れ帰った。映画よりも睡眠でしょと膝を示した。


『載る』
新聞記事の写りの悪い写真を見て醒めた頭で思い出した。上昇志向が強い奴だったから落とし穴に嵌ったんだね。


『嵌る』
ついさっきまではチョコレート次に狙いを付けたのがチーズケーキ。あんたのスイーツは目の前のあたしでしょ?!


『惹かれる』
今度の彼氏よと紹介された男を見て唖然とした。元彼だった。参ったなぁ、他人のモノになったら格好良いじゃん。


『吹く』
手首を掴む力が意外に強いだとか男なのに睫が長いだとか冷静に観察出来た。口笛を吹いて見せたのは作戦だから。


『凹む』
空港で一番最初に姿を見つけたのも大きな荷物を持ってあげたのも私なのに。やっぱりパパはママと手を繋ぐのね!


『惚れる』
女子高生に痴漢した男を一発KO。あたいに惚れちゃいけないよと冗談めかしてウィンクしたら隣の男が堕ちた。


『迷う』
この手を取ったら後戻り出来ない。助けを請うように見詰めても男は無表情なまま。強引に攫ってくれて良いのに。


『見る』
上司を探して資料室へ。慌てて締めたドアの音に気付かれたかな。さてどうしよう。問題は相手が私の旦那って所。


『剥く』
あぁスカートに染みが付いちゃうと垂れた果汁に慌てた私。落ち着いて貴方は断りも無くソレを舌で舐め取った。


『捲る』
男の専売特許だと悪戯小僧は言い放ち、白は意外だったと笑う。やられっ放しは性に合わないと引き下げてやった。


『持つ』
急激に熱が冷めていくのが分かった。恋は盲目って本当ね。その女が悪いのは明白なのに貴方は肩を持つのだから。


『焼く』
お互い丁寧な字で書いてたのねと言ったら緊張してたんだろとの返事。20年前に用意しておいた離婚届を焼いた。


『許す』
項垂れて正座している幼馴染に溜息一つと許しの言葉を。これからはちゃんと男の人として警戒してあげるわよ。


『弱い』
上目遣いで可愛くおねだりすれば貴方が嫌と言えない事を知っている少女。自分の強みを理解してる女は正直怖い。


『楽する』
本当に欲しい男は手に入れるのが難しい。手近な男で満足する事を覚えた私はきっとお手軽で落とし易い女だろう。


『利用する』
拾った学生証を胸にきゅっと抱き締める。通学路で拾ったけど貴方のでしょうと何度も台詞の練習をしていざ出陣。


『留守にする』
チャイムが鳴った。これで何度目だろう。いい加減私の事を忘れて欲しいとドアの向こうの男に声も無く訴える。


『礼をする』
三つ揃えスーツに七三分け黒髪に銀縁眼鏡に虎屋の羊羹。世話になった礼に来た阿呆の真の目的はきっと別に有る。


『濾過する』
初めて声を上げて泣いた。大量の涙が彼のシャツを濡らした。喉も枯れる頃やっぱり好きだという気持ちが残った。


『別れる』
二人で決めた事だから後悔しない。永遠の別れにしないと誓って、見送ってくれる人達に手を振って二人で行こう。


『愛を』
そんな陳腐なモノ要らないと吐き捨てたら、本当の愛を知らない癖にと怒鳴られた。だったら教えてみなさいよ。


『うん』
武田鉄矢だっけと言うのでそうよと答えた。俺に百回繰り返させるつもりかと言うのでうんと答えたら絶句してた。










終った!
何となくオリジナルっぽいので書いてみたいなぁと思って始めました52×52。
一応お題は全て自作です。
意外に字数制限が厳しく無いなぁと書きながら思ったり。
ただ、こちらが意図したものがちゃんと読み手に伝わるのかどうかは分かりません。
私自身は2次創作では悲恋モノとか大嫌いなので書きませんが、今回は普段書かないものもと思ってチャレンジしてます。
死にネタはないですが、別れとか報われない恋とか不倫とか入ってます。
でもこれくらいが限界かなぁ。
『を』『ん』がかなり無理のあるタイトルですんません。
殆どのタイトルが動詞になっているので、綺麗に収まりませんでした。
内容的に自分が気に入っているのは『く』『さ』『て』『ゆ』あたりかな。
もし気に入ったものがありましたら、こっそり教えて下さいませ。





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