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書評目次


日本語の本

Learning Perl   Learning Perl   145
Libreffice/OpenOffice.org Basic はんどぶっく   Libreffice/OpenOffice.org Basic ハンドブック   139
SQLはんどぶっく   SQLハンドブック第2版   17
あいけんのためのがんがにげていくしょくじとせいかつ   愛犬のためのがんが逃げていく食事と生活   84
あなたのからだもあぶない   あなたの体も危ない! 糖尿病1600万人を救う魔法の杖   22
あめりかはにほんけいざいのふっかつをしっている   アメリカは日本経済の復活を知っている   122
いがくふようろん   医学不要論   129
いしゃのうそ   医者の嘘   141
いっしょうくすりがいらないからだのつくりかた   一生薬がいらない体のつくり方   96
いはじんじゅつなりーにわりょうほうへのあるかなたびじ   医は仁術なり—丹羽療法への遙かな旅路   76
いまあるがんがきえていくしょくじ   今あるガンが消えていく食事   52
いまさらひとにきけないOpenOffice3のじょうしき writerへん   今さら人に聞けないOpenOffice3の常識 writer編   64
いわさきやたろうとみつびしよんだい   岩崎弥太郎と三菱四代   55
うつはたべてなおす   うつは食べて治す   100
うれつづけるりゆう   売れ続ける理由   105
おうえすじさくにゅうもん   OS自作入門   131
おかねがたまるのは、どっち   お金が貯まるのは、どっち! ?   140
かいじいのちよりおもいおかねのはなし   カイジ「命より重い!」お金の話   125
かいわがとぎれない はなしかた66のるーる   会話がとぎれない!話し方66のルール   51
かいわがとぎれないはなしかた やっぱりだいじ 46のるーる   会話がとぎれない!話し方 やっぱり大事 46のルール   106
かくうごかすおぼえるしーげんご100ぽんしょうぶ   書く!動かす! 覚える! C言語100本勝負   86
かならずうまくいくきかんそうかん   必ずうまくいく!気管挿管   29
かねもちのうとびんぼうのう   金持ち脳と貧乏脳   124
かびのじょうしき にんげんのひじょうしき   カビの常識 人間の非常識   4
かんせんしょうがいらいのじけんぼ   感染症外来の事件簿   30
かんせんしょうれじでんとまにゅある   感染症レジデントマニュアル   11
かんたんてづくりとうふ   簡単手づくり豆腐   142
かんぽうちりょう44のてっそく   漢方治療44の鉄則   69
かんわけあまにゅある たーみなるけあまにゅある   緩和ケアマニュアル ターミナルケアマニュアル 改訂第4版   60
がんかがくりょうほうれじめんはんどぶっく   がん化学療法レジメンハンドブック   58
がんちりょうの95%はまちがい   がん治療の95%は間違い   146
がんとうつうまねじめんとまにゅある   がん疼痛マネジメントマニュアル   37
がんをなおすしんかんぽうりょうほう   がんを治す新漢方療法   110
きゅうじゅうきゅうぱーせんとはかせつ おもいこみではんだんしないためのかんがえかた   99.9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方   7
きゅうれきとくらす   旧暦と暮らす   147
きゅうれきはくらしのらしんばん   旧暦はくらしの羅針盤   150
きゅうわりのびょうきはじぶんでなおせる   9割の病気は自分で治せる   97
きょうぶCTしんだん 90すてっぷ 1   胸部CT診断 90ステップ 1    40
きょうぶCTしんだん 90すてっぷ 2   胸部CT診断 90ステップ 2    38
きんこちゃんのびじんほう   菌子ちゃんの美人法   85
きんゆうかんわでにほんははたんする   金融緩和で日本は破綻する   121
くいにげされてもばいとはやとうな   食い逃げされてもバイトは雇うな   6
くすりもいんすりんもやめられた   薬もインスリンもやめられた! 新しい糖尿病治療   15
くすりをいっさいつかわないでびょうきをなおすほん   クスリをいっさい使わないで病気を治す本ー食事・薬草茶・生活習慣で病気を防ぎ根治する   45
くせじがなおるびもじれっすんちょう   クセ字が直る美文字レッスン帳   151
けっていばんがんきゅうみんりょうほう   決定版がん休眠療法   20
けつあつしんぱいしょうですよ   血圧心配性ですよ!   87
けつえきがすてきすと   血液ガステキスト   75
けつえきのやみ   血液の闇   138
げんぱつのうそ   原発のウソ   112
こうがんざいでころされるーこうがんざいのやみをうつ   抗ガン剤で殺されるー抗ガン剤の闇を撃つ   54
こうきんやくのかんがえかた、つかいかた   抗菌薬の考え方、使い方 ver2   1
こうけつあつはくすりでさげるな   高血圧は薬で下げるな!   13
こうけつあつはほっとくのがいちばん   高血圧はほっとくのが一番   135
ここがおかしいきんのじょうしき   ここがおかしい菌の常識   101
こころのやまいはしょくじでなおす   心の病は食事で治す   14
これすてろーるとちゅうせいしぼうでくすりはのむな   コレステロールと中性脂肪で薬は飲むな   93
これだけはしっておきたいいりょうきんき   これだけは知っておきたい医療禁忌   59
ごしんだらけのせいしんいりょう   誤診だらけの精神医療   152
さあ、あなたもせかいいちすみたいくにでしわわせにくらすけいかくをたててみよう   さあ、あなたも「世界一住みたい国」で幸せに暮らす計画を立ててみよう!   143
さおだけやはなぜつぶれないのか   さおだけ屋はなぜ潰れないのか?   72
しかくをとるとびんぼうになります   資格を取ると貧乏になります   137
しってるつもりのないかれじでんとのじょうしきひじょうしき   知ってるつもりの内科レジデントの常識非常識   42
しょうれいによるかんぽうちりょうのじっさい   症例による漢方治療の実際   2
しょくひんのうらがわ   食品の裏側   74
しょくひんのからくり   食品のカラクリ   36
しんしーげんごにゅうもん すーぱーびぎなーへん   新C言語入門 スーパービギナー編   71
しんぱんしーげんごぷろぐらみんぐれっすん ぶんぽうへん   新版C言語プログラミンレッスン 文法編   83
しんぱんぱーるげんごぷろぐらみんぐれっすん にゅうもんへん   新版Perl言語プログラミンレッスン 入門編   81
しんぱんシーげんごぷろぐらみんぐれっすん にゅうもんへん   新版C言語プログラミンレッスン 入門編   82
じっせんますたー PHP + MySQL   実践マスター PHP + MySQL   16
じつようちゅういがく   実用中医学   133
じぶんのからだとじょうずにつきあうつぼのつぼ   自分のからだと上手につきあうツボのつぼ   65
じゃあ、そろそろげんりょうしませんか   じゃあ、そろそろ減量しませんか? 正しい肥満解消大作戦   132
じょうすいきてんねんすいのえらびかた   浄水器・天然水の選び方―「体にいい水」の常識は変わった!   27
じんせいがときめくかたづけのまほう2   人生がときめく片づけの魔法2   134
じんせいがとくめくかたづけのまほう   人生がときめく片づけの魔法   126
じんたいじょうざいきんのはなし   人体常在菌のはなしー美人は菌でつくられる   23
すてるぎじゅつ   「捨てる!」技術   130
せいしんかいはなぜこころをやむのか。   精神科医はなぜ心を病むのか。   148
せいしんかはきょうもやりたいほうだい   精神科は今日もやりたい放題   153
せいめいのしぜんちゆりょく がんはなおる がんはなおせる   生命の自然治癒力 ガンは治る ガンは治せる   50
せきついせきずいのMRI   脊椎・脊髄のMRI   41
せんもうのちりょうししん   せん妄の治療指針   66
ぜろからわかるいんどのすうがく   ゼロからわかるインドの数学   12
そうしきはいらない   葬式は、要らない   56
そうしょうちりょうのじょうしきひじょうしき 2 ねっしょうとそうかんせん   創傷治療の常識非常識 2 熱傷と創感染   3
そこがしりたいかんせんしょういっとうりょうだん   そこが知りたい!感染症一刀両断!   33
ぞくぞくときゅうれきとくらす   続々と旧暦と暮らす   149
だいおうじょうしたけりゃいりょうとかかわるな   大往生したけりゃ医療とかかわるな   128
だまされたあなたにもせきにんがある だつげんぱつのしんじつ   騙されたあなたにも責任がある 脱原発の真実   111
ちょうじゅのためのこれすてろーるがいどらいん 2010ねんばん   長寿のためのコレステロールガイドライン 2010年版   99
ちりょうかのてのつくりかた   治療家の手の作り方   113
つぼのさがしかたおしかた   ツボの探し方・押し方   90
てれびはみてはいけない   テレビは見てはいけない   89
とうにょうびょうのみなさん、いんすりんをやまてみませんか?   糖尿病のみなさん、インスリンをやめてみませんか?   94
とうにょうびょうはくすりなしでなおせる   糖尿病は薬なしで治せる   92
どくしゅうりなっくす   独習Linux   70
ないかんりょうほうのりんしょう   内観療法の臨床   48
ながいきしたけりゃにくはたべるな   長生きしたけりゃ肉は食べるな   120
なぜいちりゅうのおとこははらはでてないのか   なぜ一流の男の腹は出ていないのか?   136
なぜかんこくはぱちんこをぜんぱいできたのか   なぜ韓国はパチンコを全廃できたのか   103
なぜぎゅうにゅうはからだにわるいのか   なぜ「牛乳」は体に悪いのか   107
にほんきゅうきゅういがくかいICLSこーすがいど   日本救急医学会ICLSコースガイドブック   62
にほんけいざいのしんじつ   日本経済の真実   57
にほんだっしゅつこうほなんばーわんこくマレーシア   日本脱出先候補ナンバーワン国マレーシア   123
にほんのおそろしいしんじつ   日本の恐ろしい真実   104
にほんをだっしゅつするほん   日本を脱出する本   119
にんげんのきほん   人間の基本   115
にんちしょうにさせられる   認知症にさせられる!   88
ねんきんふうふのかいがいいじゅう   年金夫婦の海外移住   118
のんではいけないくすり   のんではいけない薬   10
はんてん   反転   91
ばかがおおいのにはりゆうがある   バカが多いのには理由がある   144
ひふのかがく はだあれからあとぴーせいひふえんまで   皮膚の科学 肌荒れからアトピー性皮膚炎まで   95
びょうきにならないいきかた   病気にならない生き方   32
びょうきにならないいきかた 2じっせんへん   病気にならない生き方 2実践編   18
びょうきはじぶんでみつけ、じぶんでなおす   病気は自分で見つけ、自分で治す!   9
びょうめいかんぽうちりょうのじっさい   病名漢方治療の実際   68
ふぁーすとちょいすのかんぽうやく   ファーストチョイスの漢方薬   63
ふくさようそのくすりがあぶない   副作用 その薬が危ない   102
ふゆだけでもうかるやきいもやのなぞ   冬だけで儲かるやきいも屋のナゾ   8
ほんとうはうそつきなとうけいすうがく   本当は嘘つきな統計数学   98
まちがいだらけのこうがんざいちりょう   間違いだらけの抗ガン剤治療   21
まっきがんをこくふくしたいしのげるそんりょうほうのすすめ   末期がんを克服した医師のゲルソン療法のススメ   116
まんせいかんえんのちりょうがいど   慢性肝炎の治療ガイド   49
まんせいしっかんのうしんけいしっかんからのかいふく   慢性疼痛・脳神経疾患からの回復   114
みえないちからでけんこうになる   見えない力で健康になる   109
みずむしは1かげつでなおせる   水虫は1ヶ月で治せる!   5
やくざいしはくすりをのまない   薬剤師は薬を飲まない   127
ゆえきをまなぶひとのために   輸液を学ぶ人のために 第3版   19
ようじょうくん わぞくどうしくん   養生訓・和俗童子訓   44
ようつうにぐぐっときくほん   腰痛にぐぐっと効く本   108
よくわかる いたみちんつう きほんとしくみ   よくわかる 痛み・鎮痛基本としくみ   117
りんごがおしえてくれたこと   リンゴが教えてくれたこと   53
ろうよりしょうこ   LAW(ロウ)より証拠   67
わたしはこうしてとうにょうびょうかんじゃをすくっている   わたしはこうして糖尿病患者を救っている   73


英語の本

100 Cases in Clinical Medicine   43
A Guide to Physical Examination and History Taking   35
ACCIDENT & EMERGENCY RADIOLOGY A SURVIVAL GUIDE   26
Body CT A pracical Approach   25
Cope's Early Diagnosis of the Acute Abdomen   61
CT Teaching Manual   28
Felson's Principles of Chest Roentogenology   39
Fundamentals of Body CT   24
Making Sense of the ECG   34
Rich Dad Poor Dad: What the Rich Teach Their Kids About Money-That the Poor and the Middle Class Do Not!   79
Rich Dad's Cashflow Quadrant: Rich Dad's Guide to Financial Freedom   78
Rich Dad's Guide to Investing: What the Rich Invest in, That the Poor and Middle Class Do Not!   77
Saint-Frances Guide to Inpatient Medicine   47
Sectional Anatomy for Imaging Professionals   46
The ICU Book second edition   31
The Saint-Frances Guide to Outpatient Medicine   80




1

おもろしく気軽に読める本だが、なかなか有益な知識も与えてくれる。少しまとまりが悪い感じがするが。筆者の次のような指摘は特に有益である。
1 ユナシンS(ampicillin)のようなペニシリン系は半減期が短いため4~6時間おきに投与すべきである。
2 クラビット(levofloxacin)のようなキノロン系は濃度依存性で効果を示すために1日1回投与すべきである。ただしシプロキサン(ciprofloxacin)のような比較的古い薬は1日2回投与である。
3 セフェム系はよく世代で分類されるが、これは誤解のもとになる。モダシン(ceftazidime)とロセフィン(ceftriaxone) はともに第三世代である。モダシンはグラム陰性桿菌、緑膿菌に効果があるが、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌のようなグラム陽性球菌には効かない。ロセフィンはグラム陰性桿菌には効果があるが、緑膿菌には効かない。肺炎球菌にはよく効き、市中肺炎の第一選択になっている。モダシンをロセフィンと同じように思い、市中肺炎に使うことはできない。
4 偽膜性大腸炎の治療はフラジール(metronidazole)かバンコマイシン(vancomycin)の経口投与である。経口投与できない時、フラジールは腸管にも行きわたるから点滴投与できるが、バンコマイシンは点滴では腸管に入らないため点滴投与できない。ところが日本にはフラジールの点滴薬がない。
5 カルバペネム系(チエナムなど)は非常に広い細菌に効果があるが、決して強い抗菌薬でない。
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2

消化器疾患、腎疾患というような項目ごとに使用する漢方薬の概説がまずあります。次にそれに関連した症状ごとに著者の体験した症例があげられ、説明されています。臨床の場で役立つ記述が多いです。次のようなことがわかります。
1 ストレス性の腰痛に桂姜棗草黄辛附湯が有効である。
2 喉の奥に痰がへばりついたようで、発作性に強く咳き込むには、麦門冬湯がよい。
3 小柴胡湯合麻杏甘石湯は咳タイプの喘息によい。
4 下痢には、半夏瀉心湯、人参湯、真武湯などを用いる。
5 夜食を禁じ、胃の負担を少なくするだけで、肩こりがよくなることがある。
6 大柴胡湯、小柴胡湯の症で身体にどこか痛みがある時は柴胡桂枝湯が効果がある。ただし急に発したものでないと効果がない。
7 柴苓湯は腎炎、ネフローゼに頻用される。透析中にも使われる。
8 尿路感染症に猪苓湯を頻用する。急性症では、芍薬甘草湯を合方する。慢性症では四物湯や桂枝茯苓丸を合方する。
9 炙甘草湯は女性のバセドウ病に奏功することが多い。
10 女性化乳房に八味地黄丸で著効することがある。
11 五苓散は三叉神経痛の特効薬である。
12 竹茹温胆湯は熱の下がったあと、咳が出て痰が多く、不眠の続くものに用いる。感冒の後ただ何となくさっぱりしないものにも用いてよい。
13 変形性膝関節症は防已黄耆湯、越婢加朮附湯が用いられる。
14 夕方に悪化する腰痛は八味地黄丸がよい場合が多い。
15 疎経活血湯は、腰痛、坐骨神経痛に頻用される。
16 若い時にしもやけができた人は当帰芍薬散を用いて、どの病気にも有効である場合が多い。
17 芍薬甘草湯は筋肉のひきつれに有効である。こむらがえり、急性の腹痛、胆石、腎結石の疝痛発作に用いられる。
18 緑内障に釣藤散を用いる。
19 車酔いに五苓散あるいは小半夏加茯苓湯を用いる。
20 呉茱萸湯は水毒が上逆して起こる諸病を治す。偏頭痛に頻用される。月経困難症にも有効である。
21 魚を食べた後に起こった蕁麻疹に対しては、香蘇散が特効薬である。
22 乾癬は老人は当帰飲子がよいが、壮年は温清飲がよいものが多い。
23 円形脱毛症に柴胡加竜骨牡蠣湯を用いる。柴胡桂枝湯が有効なことも多い。
24 虚症のヘルペスに桂枝加苓朮附湯が頻用される。
25 水虫に酢療法がよい。米酢を腐食しない容器に入れ、火であたためて、患部をつける。つける時間は1回10~15分ぐらいである。終わると乾いた布で足をふくだけで、湯で洗ったりはしない。これを毎日続ける。通常2~4週間で全快する。使用済みの酢を捨ててはいけない。使っているうちに黒ずんで汚くなるが、新しいのととりかえてはいけない。新しいのにすると効力が落ちる。酢が少なくなった時新しい酢を足すのは差し支えない。
26 実証の口内炎には黄連解毒湯、半夏瀉心湯が有効である。
27 不明熱に補中益気湯が卓効がある。
28 風邪をひいて鼻血の出る者には麻黄湯がよい。
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3

著者は有能な形成外科医ですが、その著書は哲学的な論理展開を得意とし、哲学者のような感があります。そのハッとする論理は傾聴すべきものがあります。今回はエビデンス、熱傷、創感染をテーマとして、鋭い指摘が見られます。一読するだけの価値のある本です。次のようなことは特に興味深いです。
1 熱傷に抗生剤の予防投与は不要である。発熱、局所の発赤等の感染症状が明らかになった時に第1世代セフェム系かペニシリンの点滴投与をする。たいてい数回の点滴で解熱が見られるので、解熱が見られた時点で抗生剤を中止する。
2 熱傷をイソジン(povidone iodine)などで消毒したり、熱傷にゲーベンクリーム(sulfadiazine silver)のような抗菌剤を塗布したりしない。これをすると熱傷創面は逆に深くなる。
3 熱傷の上皮が得られた時点では大部分の創はピンクのつやつやした皮膚で覆われている。この状態はまだ外力に弱いためサポーターや包帯で保護する必要がある。また遮光を数ヶ月続ける必要がある。紫外線に直接あたると色素沈着する危険があるからである。遮光には色つきの絆創膏や市販の遮光クリームを用いる。
4 水疱が破れていると、残っている水疱膜を可能な限り除去する。そして食品包装用ラップにプラスチベース(あるいは白色ワセリン)を塗布して、創面を覆う。
5 「Ⅲ度熱傷は自然上皮化することがないから、植皮が必要である。」というのが、熱傷治療の常識である。しかし皮膚欠損部分の面積が広くないなら、時間はかかるが必ず上皮化する。治療はプラスチベース(あるいは白色ワセリン)とラップのみである。壊死組織は自己融解が起こり、出血させることなく簡単に除去できる。固着している黄色壊死組織は無理に除去する必要はない。
6 熱傷治療はラップでできるが、顔面熱傷では薄いハイドロコロイドが使いやすいし、深い熱傷では浸出液吸収能の高いポリウレタンフォームが使いやすい。
7 熱傷に受傷後日数が経過し表皮細胞が出現したばかりの状態とする。この時に従来の治療のようにガーゼで創面を覆い毎日ガーゼ交換するとする。再生したばかりの表皮はガーゼに固着しガーゼ交換のたびにはがされてしまう。創面からの浸出液はガーゼに吸収されて、創面は乾燥する。これでは再生表皮は死んでしまう。さらにイソジンやゲーベンクリームで消毒したりすると、創面はさらに害される。
8 縫合前に創面を消毒すると、創面が傷害される。傷害された創面同士を縫合しても正常に癒合しないことが起こる。だから縫合前に創面を消毒すべきでない。
9 水分と栄養分があって無菌ということは地球上ではありえない。抗生物質である種の細菌を殺すと、他の細菌が増えることになる。
10 感染は循環から孤立した体液の貯留で起きている。循環から孤立した体液の貯留とは血腫などである。これは栄養豊富であり、循環から切り離されているから細胞性免疫も体液性免疫も働かない。体液の貯留をイソジン(povidone iodine)などで消毒しても、消毒液は豊富な蛋白質のために失活してしまう。
11 人間に有害な細菌の多くはアルカリ性の環境を好む。それで皮膚を弱酸性にすると皮膚に有害な細菌が繁殖しにくくなる。人間の皮膚に常在する表皮ブドウ球菌の排泄物と脂肪酸で皮膚は弱酸性になる。
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4

カビの専門家がカビについて書いた本です。常識とは違う見解も少なくないですが、わかりやすい説明で納得させるものです。次のようなことがわかります。
1 微生物のなかでカビは36%を占め、細菌は0.1%に過ぎない。
2 植物はすべて無機物を栄養として育つ。有機物自体は栄養とならず、有機物を微生物が無機物に化学的に分解して無機物となってはじめて植物の栄養となる。
3 カビ取りスプレーは次亜塩素酸ソーダ、苛性ソーダ各1%ほどの混合液であり、強アルカリである。カビは強アルカリ性の環境では生育できないから、カビ取りスプレーをかけるとカビはなくなる。ところが五日ほどするとまたカビが生えてくる。入浴により湯がかかり、スプレー液が洗い流され中性になるからである。しかもカビ取りスプレーを使用する前よりカビはひどくなる。理由はカビ取りスプレーがカビとともに他の菌も殺してしまっているからである。競合するものがいないほうがカビは生えやすいのである。
4 浴室のカビを防ぐには、入浴が終われば窓を開けて湿気を追い出し、壁、天井、床などの水分を雑巾で徹底的に拭き取る。
5 現在の日本ではカビの季節は梅雨時期ではなく、冬の12月から4月である。現在の住宅は天井は低く、窓はアルミサッシで、壁はコンクリートやプラスチックであるため非常に気密性が高い。冬は窓を閉め切り暖房するため、アルミサッシは朝方の冷気で結露が起こる。それで家の中は湿気が高くなり、暖房で暖かいからカビが生えやすくなる。
6 洗濯機のカビを防ぐには、乾燥させるために使用しない時はふたを開けておく。手の届く所は乾いた布で水滴を除く。40度以上の湯を満たしておくとカビは死ぬ。
7 食品工場はカビの巣窟と言ってよいほどの汚染状態である所が多い。
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5

水虫の専門家が水虫全体にわたってわかりやすく説明した本です。現代医学の水虫の治療法がわかります。つぎのようなことがわかります。
1 白癬菌はケラチナーゼを持ちケラチンを分解する。それでケラチンを栄養素とすることができる。ケラチンの多い皮膚の角質層、爪、毛に好んで住む。
2 水泡型の水虫は足の裏に水泡ができるが、異汗性湿疹、掌蹠膿疱症でも同じようになる。角質型の水虫は足の裏が固くなり、ひび割れになるが、亀裂性湿疹でも同じようになる。爪の水虫は爪に先が厚くなり、混濁し黄色または白色になるが、厚硬爪甲、爪甲剥離症でも同じようになる。それで水虫の診断には顕微鏡検査をして白癬菌がいることを証明しなければならない。
3 白癬菌が皮膚についても、菌糸を伸ばし角質層の中に入り込むには、湿度100%の環境下では24時間かかる。だから1日1回足を洗い、白癬菌を洗い流すとたとえ白癬菌が皮膚についても水虫に感染しない。ただしアカすりなどでゴシゴシこすると角質層が傷つき短時間で水虫に感染することがある。
4 靴は毎日同じものを履くのではなく、数足を履きまわすようにする。靴の中を乾燥させると白癬菌は繁殖しにくい。
5 アトラント(neticonazole hydrochloride)、アスタット(lanoconazole)、ラミシール(terbinafine hydrochloride)のような比較的新しい薬は抗真菌作用が強く、短期間の外用で完治することが多い。
6 水虫の外用剤は風呂上がりに塗るのがよい。風呂上がりは角質層がふやけて柔らかくなっているため、薬が角質層に浸透しやすい。
7 角質型の水虫は角質がかなり厚くなるから、外用薬では白癬菌のいる奥まで薬がとどかない。ラミシール(terbinafine hydrochloride)またはイトリゾール(itraconazole)を2ヶ月ほど飲む必要がある。
8 爪は硬いため外から外用薬を塗っただけでは爪の中にいる白癬菌までとどかない。それで爪の水虫の治療には飲み薬を飲む必要がある。ただし病変が爪の先端に留まっていて爪があまり厚くない時は外用薬の治療だけで治ることもある。
9 爪の水虫はラミシール(terbinafine hydrochloride)1錠(125mg)を1日1回服用、またはイトリゾール(itraconazole)2カプセル(100mg)を1日1回服用することを6ヶ月続けることで8割程度が治る。これらの薬を1~2ヶ月飲むと、爪の根元にピンク色の健康な爪が生えてくる。イトリゾール(itraconazole)8カプセル(400mg)を1日2回に分けて1週間飲み、その後3週間休薬する。これを3サイクル繰り返すというパルス療法もある。
8 絹やナイロン製の靴下は繊維の間から白癬菌が出入りするから、靴下をはいているから水虫に感染しないということは決して言えない。
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6

身近な事例に対して示唆に富んだ記述をしています。勉強になる内容です。次のようなことは興味深く感じました。
1 午後6時53分集合というように半端な時刻を指定すると遅刻させないようにすることができる。
2 サッカーの試合でスウェーデンはイングランドに対して39年間で12戦4勝0敗8分けである。これを39年間で4勝と言えばスウェーデンはあまり強いと感じられない。39年間無敗と言えば非常に強いように感じる。
3 「50人に1人全額還元」と言うのと「消費税(5%)を還元」と言うのでは前者のほうがインパクトが大きい。しかし前者の還元率は2%に過ぎない。
4 ラーメン屋が1日10時間月に26日営業し、客1人あたりの売上額が1000円とする。1時間に2人の客しか来なくても売上額は月に52万円になる。材料費、光熱費で半分使ったとしても月に26万円は手元に残る。
4 利益は収益-費用である。利益を上げるには収益を増やすか、費用を減らすかである。それ以外の方法はない。
5 決算書は過去や他社と比較して読む。
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7

 科学はきちんと証明された絶対的真理というイメージが強いですが、科学は仮説に過ぎないということをわかりやすく説明しています。私達は「科学的」という言葉を「哲学的」の反対語であるようなイメージを持っていますが、むしろ「科学的」と「哲学的」とは同意語なのだということがこの本からわかります。
 科学の曖昧さを示すのに、著者は飛行機が飛ぶ原理はわかっていないとか、全身麻酔でどうして人間に麻酔がかかるのかはわかっていないということをあげています。メカニズムはわからない、なぜだかわからないのだけれど、飛行機は飛んでいるし、人間は麻酔にかかっているというのが現実なのです。
 「科学は常に反証できるものである。」という科学の定義は逆説的です。つまり科学とはその理論に反する実験や観察が出てくると否定することができるものであると言うのです。科学的真理とはいつ否定されるかわからないものなのです。いつ否定されるかわからないものであるからこそ、科学であると言うのです。もし否定できない絶対的なものであるなら、これは宗教になってしまい科学にならないと言うのです。
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8

 商売で利益をあげるのはどうすればいいのかをわかりやすい例をあげながら説いています。私のような商売と縁のない人間にも商売の実態を教えてくれます。次のようなことは興味深く思いました。
1 固定費には家賃、人件費、水道光熱費などがある。店の場合固定費が低ければ客数が少なくても商売は成り立つ。
2 原価率が低い、客のニーズが最も高い場所に出向いて売る、固定費が低い、大企業の参入がないなどのためやきいも屋は優れたビシネスモデルである。
3 行列のできるラーメン屋などの人気店は、客数をさばくために人件費などの固定費が高くなりがちである。だから行列が半分になる程度客足が落ちただけでも赤字になる可能性がある。
4 バーゲンの目的は在庫処分である。在庫となれば利益を生み出さず、在庫費用がかかり、商品の損傷もあるため、在庫処分をする。ただし安売りをすると高級感のあるブランドのイメージは低下する。だから高級ブランドはまずバーゲン売りをしない。
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 断定的な記述が多く、何を根拠にしているのかなと思う所が多いですが、参考にはなります。次のようなことが書かれています。
1 「身体が満腹になると血液中の栄養状態もよくなるから白血球が満腹になる。それで細菌が入って来ても、癌細胞が発生しても食べようとしないから免疫力が落ちる。」 初めて聞く話で本当かなと思います。何か文献的根拠があるのでしょうか。ただ飢餓状態が病気になりにくいことは動物実験で証明されているようです。
2 癌細胞は35度で一番増殖し、39.3度以上で死滅する。
3 胆汁の中のビリルビンやコレステロールなどの成分が濃すぎると、胆汁の流れをサラサラに保つために、余剰有害成分や老廃物が析出して石をつくるのが胆石である。
4 腹部から背中にかけての突っ張るような激痛と血尿が尿路結石の主症状である。
5 角膜のまわりを環状に取りまく白色の輪は老人輪と呼ばれ、動脈硬化とほぼ並行して起こることがわかっている。
6 足の親指は体温が25度前後と低いので尿酸が沈着しやすく、痛風発作はよく足の親指に起こる。
7 アルコールは尿からの尿酸の排出を阻害する。
8 激しい運動をすると細胞がこわれ、尿酸は生成されやすくなる。
9 糖分は細菌の大好物だから糖尿病だと細菌感染しやすくなる。
10 糖尿病の人は心筋梗塞を起こしても胸痛がないことがある。
11 骨はたえず活発な新陳代謝をしている。骨を強くするには筋肉と骨に負担をかけることが大事である。
12 耳より後の頚のリンパ節のはれはウイルスによるもので、頚の前のリンパ節のはれは細菌によるものである。
13 水毒症ではγGTPが高値になることが多い。
14 中性脂肪とコリンエステラーゼが高いのが脂肪肝の所見である。
15 RAは関節リウマチ、SLEなどの膠原病で(+)になるが、病気がなくRA(+)の時は冷え性の人が多い。
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参考になる本ですが、薬をあまりに単純に必要なものと不必要なものや危険なものに分けてしまっているように思います。小柴胡湯を間質性肺炎の副作用があるだけで、危険な藥にしてしまっています。間質性肺炎の副作用はまれであり、さらに証を無視して使った可能性が高いです。必要に分類する藥も多くの副作用があるわけで、そのことは紙面の関係もあるのでしょうがあまり触れられていません。次のようなことは参考になります。
1 H2 blocker(ガスターなど)はせん妄を起こすことが多い。
2 痛風の治療は少量の重曹を飲み、尿をアルカリ化し、水をたくさん飲んで尿をたくさん排出する。尿酸が尿中に出る。
3 吸入ステロイドはbeclometasone(アルデシンなど)を常用量で使用する限り成長障害などの重い副作用はない。
4 正露丸は主成分がクレオソートで、これはフェノール化合物であり、細胞毒である。
5 酸化マグネシウムは腎障害の人はマグネシウムが蓄積するので注意する。
6 硝酸薬は短期間しか効果がない。連続して使うと耐性ができ効かなくなる。
7 強力ネオミノファーゲンは日本だけの藥である。
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 感染症に対して、グラム染色、疾患、細菌、抗生物質の観点から簡潔にまとめて記述されています。著者の深い知識が至る所に見られ、すばらしい本です。次のようなことがわかります。
1 培養検査はしばしば定着菌が出てくる。特に抗生物質開始後に検体をとると、定着菌が優位に出てきて、定着菌を起炎菌と思うことがある。
2 グラム染色は白血球の核が紫色に染まっているのと、赤色に染まっているのとが混在する所が最も適切な脱色の程度を示している。
3 もともと優勢な細菌が培養でも優位になるとは限らない。培地の種類や培養条件によって菌量の少なかった菌が優位に出てくることは日常茶飯事である。
4 膿性の分泌物は細菌感染を示すとは限らない。白血球や脱落した上皮細胞が存在すれば膿性となる。膿性の分泌物を見た時はグラム染色をして細菌の有無を確かめる。
5 ウイルスによる上気道炎の後2週間経ても患者の25%に咳が残る。2ヶ月後まで持続することがある。一過性の気道過敏症が原因であると言われている。
6 高齢者の肺炎は血液培養の陽性率が20~30%と高い。喀痰のグラム染色、培養とともに、血液培養をする。
7 急性腎盂腎炎は血液培養を必ずする。菌血症の合併頻度は高齢者60%、若年者16%である。
8 膀胱カテーテルを留置した時、感染の発生率は5%/日である。
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インド数学の計算法が紹介されており、その巧みな計算法に感嘆します。例えばある値を基準値にしたクロス筆算という計算法があります。97×94を計算する時、ともに100に近いですから、100を基準値とします。97は100より3小さく、94は100より6小さいですから、
97 -3
94 -6
と書き、クロスにたすと、① 97+(-6)=91 ② 94+(-3)=91 となり、同じ91になります。これは数字が違い、基準値が違ってもいつも①と②の値は同じになります。これだけでも不思議な感じですが、100を基準としている時はこの①の値(この場合は91)が97×94の千の位と百の位になります。さらに(-6)×(-3)=18が十の位と一の位になります。つまり97×94=9118と簡単に計算できるのです。はじめて聞くとまさかと思いますが、比較的簡単に証明できます。このような計算法を見せられると無味乾燥に思っていた計算が楽しくなります。
インド数学の計算法は日本式の筆算より優れていると思います。計算が簡単なのです。簡単だから間違いが少なくなります。日本にはそろばんという優れた計算法がありながら、今学校教育で重んじられないのは残念なことです。
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血圧を下げることの問題点について述べています。標題から著者はまったく降圧剤を使うなと言っているような印象を受けますが、内容はそうではなく、今の140/90以上を高血圧とする基準は低すぎ、180/100までは高血圧としないほうがいいと言っているに過ぎません。それ以上の血圧に対しては著者も降圧剤の有用性を認めています。著者はJATE研究、NIPPON研究、フィンランド調査などのデータをもとに、180以下の血圧を下げるリスクを論じています。その論理は説得力があります。もう一度降圧治療を考えてなおしてみる必要があるでしょう。著者がこれらのデータから導き出した問題点は次のようなものがあります。
JATE研究から
1 降圧剤使用で心臓病、脳卒中の発生率の低下はみられていない。
2 降圧剤を使用すると癌の発生率が多くなる。
NIPPON研究から
降圧剤を使用すると自立している人の割合が低下する。
フィンランド調査から
降圧剤を使用すると死亡者数が増え、心臓死、事故死、自殺が増加する。
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脳の神経細胞と神経細胞の情報のやりとりには神経伝達物質が必要である。この神経伝達物質には、ノルアドレナリン、セロトニン、ギャバなどがある。こういう物質の不足やアンバランスがいろいろな精神症状を生み出す。このアンバランスを食物やサプリメントで治す方法を述べている。例えば脳内のセロトニンが異常に低いとノルアドレナリンの放出に歯止めがかからなくなり、自殺や暴力がおこりやすくなる。トリプトファンは脳内のセロトニンレベルを高める。それでトリプトファンを多く摂取すると、セロトニンが増え、自殺や暴力が減少するはずである。トリプトファンは大豆、のり、ごまなどに多く含まれるから、こういう食物を摂取することで自殺や暴力を減らすことができるというのである。栄養素による精神疾患の治療という興味深い方法を記述している。
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糖尿病患者は当然血糖が高いから、糖質を断った食事をする必要がある、一方蛋白質が主体の卵、肉、魚は制限なく食べてもよいとします。実際筆者の食事療法で多くの人が治っているという事実を見せられます。また日本に多い糖尿病Ⅱ型はインスリンは十分に出ているが、インスリンが働かないインスリン抵抗性の状態がほとんどである、この高インスリン状態のために、高血圧、痛風、動脈硬化、うつ病を招くとします。糖を少なくすれば血糖が下がるというのは、十分に理の通った理論ですが、卵、肉、魚を無制限に食べる方が健康になるという理論の根拠はかなり弱いです。実際日本は戦前は卵、肉の消費量ははるかに少なかったですが、糖尿病は皆無でした。著者はこれを、冷暖房がない環境で基礎代謝が高くなっていたから糖がすべて消費され高血糖にならなかったと説明しますが、不十分です。その理論が正しければ現代でも冷暖房をやめて基礎代謝をあげれば糖尿病が治ることになります。それだけでは糖尿病は治らないでしょう。
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PHPとMySQLを使ってデータベースを作成する時、最初はPHPとMySQLをどうやってつないだらいいのだろうと思ってしまいます。そういう基礎的なことをきちんと説明しています。また最後にデータベースの例をのせています。このサンプルコードをよく分析すれば、基礎的なデータベースはPHPとMySQLでつくれるようになるでしょう。LAMP環境でデータベースをつくりたい人の入門書として適しています。ただ少し誤植が少し目立ちます。
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 SQLについてまず大きな項目を立てて説明し、次に小さな項目について説明しています。例えば論理演算子という大きな項目を立て、AND、OR、NOTの使い方を説明し、後にAND演算子、OR演算子、NOT演算子という小さな項目を立てて説明しています。
 説明には使用例も書いてあり具体的です。
 特徴的なのは、Oracle、SQL Server、DB2、MySQL、PostgreSQL、Accessという代表的データベース間の違いを明示していることです。同じ構文でもどのデータベースで使え、どのデータベースで使えないかを示し、またデータベース間の少しのSQLの違いも示しています。具体的に言うと、SUBSTRINGという文字列を取り出す関数では、SQL Server、MySQL、PostgreSQL、Accessでは使うことができるが、Oracle、DBでは使えないと示し、「Oracleでは、SUBNSTR関数で同じ処理を行えます。」と書きデータベース間の違いを説明しています。
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著者は自然に従った生活が病気にならない生き方としています。次のような記述は特に有益だと思いました。
1 人間の体は本来病気にならない。病気の最大の原因は「不自然な食事」と「不自然な生活習慣」である。
2 動物食を常食していると体は酸性に傾く。それで体内のカルシウム、マグネシウムというミネラルを使ってPHのバランスを取り戻そうとする。それで骨粗鬆症になりやすくなる。
3 動物食は食物繊維が少ない。それで便の量が減る。便の量が少ないから、それを排出するのに過度に蠕動することになる。それで輪状筋、縦走筋が肥厚する。腸 壁が肥厚すると、腸が収縮すると腸内圧が高くなる。それで憩室ができやすくなる。憩室や厚くなったヒダに便がたまり停滞すると、腸内に大量の毒素が出る。 これがためポリープ、癌ができやすくなる。
4 リンパの流れを担うのは筋肉の伸縮である。長時間同じ姿勢でいると浮腫ができるのは、動かないため、筋肉の収縮がなく、リンパが流れないからである。
5 米はビタミンン、ミネラルの95%が表皮と胚にある。ビタミンン、ミネラルは補酵素であり、酵素が働くために必要不可欠である。白米は表皮と胚がないため、白米を常食していたのでは、酵素が十分に働かないことになる。
6 市販されている果汁100%ジュースは加熱殺菌されている。そのためenzyme(酵素)がなくなっている。
7 アメリカでは医師は同時に4種類以上の薬を処方しないようにしている。予期しない相互作用による副作用を心配するからである。
8 現在市販されているオイルの多くはトランス脂肪酸である。欧米ではトランス脂肪酸の毒性が問題になっているが、日本では言われていない。
9 白砂糖は体のカルシウム、ビタミンB1を奪うことで種々の悪影響が出る。
10 エンザイム(酵素)が活性化する温度は37度から40度である。病気になると体温が上がるのはエンザイムを活性化して免疫力を高めようとしている。
11 女性のブラジャーがきついと肺を圧迫し20%~30%呼吸が減ると言われている。
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体系だった本ではなく、気軽に読める対話形式になっていますが、役には立ちます。次のようなことがわかります。
1 食塩をたくさん摂ると喉が乾き、水を飲む。食塩の摂取が少ないと自然に水をほしがらなくなる。だから水を制限しようと思えば、食塩を制限する。点滴は入れる量(mL)よりもNaClをいくら入れるかがむしろ大事である。
2 1gのNaClは約17mEqである。1gのKClは約13mEqである。
3 基礎輸液量は予測尿量に700mLを加えたものである。700mLとは不感蒸泄900mLから代謝水200mLを引いたものである。
4 カリウムの1日所要量は約40mEqである。
5 塩化カリウム製剤をワンショットで注射すると、1000mEqから2000mEqの濃度のカリウムが心臓に行くことになり、心停止が起こる。塩化カリウム製剤は必ず希釈して使う。
6 糖質、蛋白質は1gが4キロカロリーである。脂質は1gが9キロカロリーである。
7 高カロリー輸液は糖の濃度が高く、浸透圧が高い。高い浸透圧は血管の壁に障害を与え、血管炎を起こす。それで末梢静脈から高カロリー輸液を投与すると血管炎が起こる。太い中心静脈は末梢静脈より、はるかに血流が多い。血流が多いから、高浸透圧のものを投与しても、血流により高浸透圧がうすめられる。それで血管壁が障害されない。高カロリー輸液を中心静脈より投与するのはこのためである。
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著者は抗癌剤の個人差を重要視します。今抗癌剤の投与量は患者の表面積で決められます。これはアルコールを適正量を人の表面積から決めるようなもので、誤っていると著者は言います。抗癌剤の毒性がグレード1とは、療前に比べ嘔吐が治1日につき1回多いとか、排便回数が1日につき4回多いとか、脱毛が枕につく程度であるとかですが、著者は抗癌剤の毒性がグレード1になるように、量を調節して投与すべきであると主張します。これは非常に理にかなった主張です。また毒性が少ない程度しか抗癌剤を投与しないから、長く継続できるし、従来副作用が強くて投与できなかった人も投与できます。実際延命効果もあがっているようです。医者から抗癌剤を勧められている人は一読すべきでしょう。
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著者によると、抗癌剤の奏功率とは、「癌の大きさが画像上二分の一以下になったのが4週間以上継続する患者の率」です。現在抗癌剤の効果はこの奏功率で評価されています。ところが、この奏功率と患者の生存期間が比例しないと著者は言います。その理由は免疫機能を抗癌剤が破壊してしまうからだろうと著者は考えています。そこから、免疫機能を破壊しない程度の少量の抗癌剤を投与するという著者のやり方が出てきます。実際抗癌剤で小さくなった腫瘍が、また増大を始めると以前よりさらに速度が速くなります。はたして延命効果があったのかと思います。著者のような投与法をする人は少ないため、まだいわゆるエビデンスが十分でありません。しかし著者の主張は理屈から言って、十分に納得できるものです。抗癌剤の投与を医者から勧められている人は一読すべきでしょう。
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猪木氏と館先生が糖尿病治療に取り組み、どうやって糖尿病をコントロールしているかを記述しています。血糖を上げるのは炭水化物であって、ステーキのような蛋白質では血糖はほとんど上がらないという一般的にあまり知られていないことが書かれています。一般的なカロリーと運動療法による治療もかなり非難されており、糖尿病であってもおいしいものを食べて楽しく生活できるのだと説いています。糖尿病をきちんとコントロールし、楽しい生活を送ることができるようになる見事な指針でしょう。ただ糖尿病自体を治す治療ではなく、なんとか糖尿病自体を治す治療はないのかと考えてしまいます。
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人間は細菌の助けなしでは生きていけないということを逆説的に説く。皮膚に表皮ブドウ球菌が適当に繁殖していると、皮膚はしっとりとしつやつやになる。著者はこれを「美人は菌でつくられる」と言う。またもし腸内に大腸菌がいなければステーキの消化はできないだろうし、もっと危険な細菌が入った時、大腸菌がそれを攻撃しないから、危険な細菌が繁殖することになるだろうと言う。細菌の人間に対する効用を知らされる本である。大事なのは細菌との調和であり、細菌を殺すことでないのだと知らされる本である。
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各部位ごとに正常と異常のCT所見を記述してあります。写真も豊富です。説明もスマートさがあり、ごたごたという感じでありません。写真にそれぞれ説明をつけていますが、これが詳しくわかりやすいです。
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臓器ごとに、疾患ごとに、その疾患とCT所見の説明をしてあります。説明は標準的でよくまとまっています。写真も比較的多いです。ごく標準的な教科書という感じで、一般的な知識を確認するのに適しています。活字が小さく読みにくいのが欠点です。
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外来、入院を問わず、骨折を疑ってX線写真をとることは多いものです。骨折や脱臼の読影を適切に解説してあるものがほしいと思っていたのですが、なかなかありませんでした。この本はまさしくそういう本です。例えば肘関節を見る時、側面像で、小頭の3分の1が上腕骨の前部の線より前にあるか見よ、もしなければ上腕骨上顆より上の骨折を疑えとか、頸椎を見る時は側面像では3つの線を見よとか、膝関節を見る時は、正面像で大腿骨外側顆の一番外側を通り地面に垂直にひいた線が、脛骨外側顆の5mm以内を通るかどうかを見よ、もし5mm以上なら脛骨関節面の骨折を疑えとか書いてあります。役にたちます。
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浄水器の基本的な知識を教えてくれます。塩素消毒の害も繰り返し指摘されています。水の浄化とはどういうことなのかを平易に書いてある本です。
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CT読影の要点が簡潔に合理的にまとめられており、私は坐右の書としています。CT読影の必携の本だと思います。
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カラー写真豊富で視覚的にわかりやすく、手技の説明も懇切丁寧です。よくできた本です。次のようなことがわかります。
1 バッグマスク法を1人で行うには、左手で下顎挙上し気道を確保し、右手で蘇生バッグを押す。下顎挙上は左小指がポイントで、左小指を下顎角に当て、下顎歯が上顎歯の上に出るくらい下顎を挙上する。左中指、左薬指は下顎に軽く当てる程度で頭部を伸展させ、左親指と左示指でマスク体部を保持する。
2 気管挿管時の姿勢は下位頸椎を30~35度前屈し、環椎後頭骨関節は約15度後屈する。このため高さ8~10cmの柔らかい枕を用いる。
3 開口はクロスフィンガー法でする。右示指を患者の右上顎臼齒にあて、しっかりと頭側に引き、右親指をクロスさせて患者の下顎歯列にかけて、尾側やや上向きに押す。右親指を患者の下顎前歯にかけるのは喉頭鏡挿入の邪魔になり、また前歯を傷つけることがあるのでよくない。
4 喉頭鏡のスタンダードグリップは、左小指がブレード部分に接するぐらい下にして、左示指から左小指の4指でハンドルを握り、ハンドル後面に親指と手のひらを軽くかぶせる。
5 ブレードの基本的な挿入法は傍正中法である。つまり口腔の正中右側から舌の右側へまっすぐ挿入する。この時ブレード先端を真下に向けて挿入する。ブレード先端を真下にするためには、左手手首を尺側に屈曲し、左肘を持ち上げる。さらにハンドルを矢状面に平行にするために手首を背屈する。この時ハンドルは上部が水平面より下向きになっている。これをポジション1とする。
6 ポジション1からそのままの状態でブレード先端を舌体の最も盛り上がった所まで舌体を少し前に押しながら挿入する。挿入した状態がポジション2である。
7 ポジション2から舌の表面を圧迫しながら、尺屈した手首を少しずつ戻しながら、上げた肘を下げながら、ブレードを舌の表面の周りを回転する。ハンドルが水平面とほぼ平行になるまで進める。舌の表面を軽く圧迫してすばやく奥まで進める。これがポジション3である。この時ブレード先端は舌根部近くにある。
8 ポジション3から、クロスフィンガー法の右親指をはずし喉頭鏡で前方に押して開口を保ち、さらに尺屈をもどしながら回転しながら前に進め、ハンドルが水平面と30~40度になるまで回転する。これ以上喉頭鏡は回転しない。この時喉頭蓋が見え、ブレード先端は喉頭蓋谷にある。これがポジション4である。
9 ポジション4からブレード先端を喉頭蓋谷へわずかに進める。クロスフィンガー法での開口はやめ、右手で後頭部を支える。右手で頭部後屈を強めるとともに、喉頭鏡のハンドルを腹側、尾側30~40度の方向に力を入れて、ブレードで舌根を持ち上げる。声門を見ることができるようになる。これが喉頭展開でポジション5である。
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比較的気軽に読めて、有用な知識が得られます。次のようなことが書かれています。
1 HIVは感染後数週間で発熱や咽頭炎の急性症状を起こしうる。
2 淋病はオーラルセックスを介して咽頭炎を起こすことがある。激しい排出物と目の症状がある。
3 飛沫の大きさが5μm以下が空気感染で、5μm以上が飛沫感染である。空気感染は遠くまで感染の危険があるから、患者を個室に隔離しドアを閉め、陰圧をかける必要がある。飛沫感染は感染できる距離がせいぜい2mである。結核は空気感染である。
4 溶連菌感染は抗生物質投与後24時間以後は感染性がずっと低くなる。
5 インフルエンザワクチンの防御効果は70~90%である。
6 伝染性単核症はEB virusにより起こる。時にcytomegalovirus toxoplasmaにより起こる。好発年齢は15~24歳で、熱、咽頭痛、リンパ節腫脹が特徴である。咽頭は腫脹し、時に浸出物が見られる。ただしcytomegalovirusによるものは咽頭所見が乏しい。後頚部リンパ節腫脹が特徴で、ここが溶連菌感染と違う。ただし前頚部リンパ節が腫脹することもある。腋窩や鼠径部のリンパ節が腫脹することもある。肝脾腫があれば伝染性単核症が強く示唆される。しかし伝染性単核症の半分は肝脾腫がない。
7 溶連菌感染症の合併症にリウマチ熱、糸球体腎炎がある。
8 溶連菌による咽頭炎は普通細菌血症を起こさない。
9 体温35度の患者が苦しんでいたら細菌血症を疑うべきである。
10 溶連菌はすべてペニシリン感受性である。それでバイシリンG(penicilllin G) パセトシン(amoxicilllin)を使う。ただしamoxicilllinを伝染性単核症に使うとひどい皮疹がでることがあるから注意が必要である。ほとんどの場合抗菌薬を投与しなくても患者は快復する。抗菌薬を処方する目的は膿瘍や乳突蜂巣炎などの重症化を防ぐことと、リウマチ熱の予防である。リウマチ熱の予防には10日間治療する必要がある。
11 EB virusの検査にはVCA(viral capsid antigen) EA/D(early antigen D) EA/R(early antigen R) EBNA(EB virsu nuclear antigen)がある。VCA IgMは初期に3ヶ月ほど上昇し、その後消失する。VCA IgGは感染が慢性化した後も上昇するが、EB virusは潜伏期が長いので感染初期でも上昇することが多い。EA/Dは感染初期に急に上昇し、その後消失するが、急性期に陰性に出ることがある。EA/Rは上昇しない。EBNA IgGは発症後6~12週間で出現する。初期には上昇しない。よってEB virusによる伝染性単核球症を診断するには、VCA IgM陽性でEBNA IgGが陰性である。VCA IgG、EA/Dは陽性と陰性の両方がありえる。
12 伝染性単核球症は治療は不要である。
13 膀胱炎の典型的な症状は熱のない排尿時痛である。熱があると尿路を通って腎臓まで感染が広がり腎盂腎炎となっている恐れがある。腎盂腎炎は脇腹から背中にかけて激しい痛みがあることがある。
14 嫌気性菌はグラム陽性のこともあるし、グラム陰性のこともある。グラム陽性でも、グラム陰性でもダラシン(clindamycin) フラジール(metronidazole)は使うことができる。
15 膀胱炎の治療はST合剤(バクタ)3日間の治療で十分である。ニューキノロンの効果も大きいが価格と耐性菌の問題から第一選択には用いたくない。
16 細菌が膀胱壁にとりつかなければ膀胱炎という感染は成立しない。だから十分に水分を飲み尿量で洗い流すことも大事である。
17 シプロキサン(ciprofloxacin)はクラミジアをカバーしないが、タリビッド(ofloxacin)はカバーする。
18 細菌性咽頭炎は咳がないのが特徴である。
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私の好きな本です。きちんとした理論から説こうとしているので、人を納得させます。これだけの内容を1人で書いたのですから、その医者としての実力は驚異的なものがあります。役に立つ記述をいくらかあげます。
1 右第3肋軟骨が上大静脈が右心房に入る所だから、鎖骨下静脈より挿入した中心静脈カテーテルの先端は右第3肋軟骨の上にあるべきである。
2 口腔内の常在菌はたえず飲み込まれているが、胃酸の働きで急激に減少する。小腸と大腸では下に行くほど細菌が増えていき、肛門では便の40%が細菌である。
3 消化管に常在する細菌が人体に侵入するのを防ぐ防御組織がある。消化管の常在菌は多くはもともと侵入する性質を持たないこと、胃酸の殺菌作用、粘膜、網内皮細胞系の4つである。
4 胃腸の粘膜は2~3日ごとに入れ替わる。ストレスがあると粘膜の栄養血管の血流が不十分になり、粘膜が十分につくられなくなる。それでびらんとなる。胃酸はびらんを悪化させるが、胃酸が最初からびらんをつくったのではない。最初の原因は粘膜の栄養血管の血流が不十分であることである。
5 胃酸のPHが3の時、大腸菌は1時間で完全に死滅する。胃酸のPHが5になると、大腸菌は反対に増殖する。
6 重篤な患者の胃酸を抑制するのは根拠に乏しく、また危険である。
7 肺塞栓は最初に起こる疾患でない。静脈の血栓があることから二次的に起こるものである。
8 オピオイドは肝臓で代謝され、代謝物は尿から排泄される。腎不全(クリアチニンクリアランスが10mL/min以下)では活性のある代謝物がたまるので、投与量は半量にすべきである。
9 vital signのよくない患者にはモルヒネよりフェンタニルがよい。フェンタニルが速く効くから量を調節しやすいし、モルヒネはヒスタミンを増加させることで血管を拡張し血圧を下げる傾向があるが、フェンタニルはこういうことがずっと少ないからである。
10 セレネース(haloperidol)は鎮静効果があり、心肺への悪影響が少ない。特にせん妄に有用である。静注後20分以内に鎮静効果が現れる。セレネース静注による錐体外路症状はまれである。
11 アルブミン製剤は投与量の50~75%が血管内にとどまる。それで出血量の1.5~2倍の量を投与すれば出血量を補うことになる。電解質輸液で補うなら、出血量の4倍の量が必要である。
12 ラシックス(furosemide)の静注は心拍出量を低下させる。ラシックスは尿量を増やすことで大静脈から心臓にもどる血流を低下させるからである。もう一つの理由はラシックスがレニンの産生を促し、レニンがアンギオテンシンを増加させて血管抵抗を増大させるからである。急性心不全の時に反射的にラシックスを投与するのでなく、このことをよく検討する必要がある。
13 ラシックス(furosemide)の効果は血清の濃度よりも、尿からの排出に関係している。それで静注でワンショットで投与するよりも点滴でゆっくり投与したほうが、尿から長く排出されるから効果的である。
14 昏睡状態になってから数日を経て対光反射が消失しているなら、昏睡からの回復は非常に難しい。
15 冠状動脈の閉塞が24時間以上継続するとQ波の現れる心筋梗塞となる。1~2時間の閉塞なら、Q波の現れない心筋梗塞となる。
16 心筋梗塞の発作は以前に使用されていないなら、まずニトログリセリン(nitroglycerin)を1錠投与し、3分後にもう1錠投与する。ただしこれで胸痛がなくなることは少ない。胸痛がおさまらないなら、モルヒネ4mgをゆっくりと静注する。必要なら5分間隔で繰り返す。モルヒネで血圧が下がることがあるが、これは交感神経の刺激の減少によるものである。もし血圧が100以下に下がるなら、輸液をする。これでたいてい回復するが、もし血圧低下が続くならアトロピンを0.5~1mg静注する。昇圧剤は投与しないことに気をつける。
17 胸部痛が30分以上続き、12時間以内であること、12誘導の心電図で連続する2誘導以上で0.1mm以上のST上昇があることあるいは新しい左脚ブロックが出現していること、心不全、あるいは心原性ショックを呈していないことを満たせば、血栓溶解療法の適応となる。
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常識と違う考え方が随所に見られます。新しい見方を与えてくれるものです。次のような記述があります。
1 アメリカ人の大半は毎日たくさんの牛乳を飲むが、非常に多くの人が骨粗鬆症である。
2 ガスター(famotidine)などのH2ブロッカーは胃酸を抑える。胃酸は胃の粘膜の絨毛から分泌されているが、H2ブロッカーは絨毛の機能を低下させ、絨毛を短くする。これが粘膜の萎縮である。粘膜が萎縮すると粘膜がうすいから、炎症をおこしやすく、萎縮性胃炎になりやすい。萎縮性胃炎になると、胃酸の分泌がさらに少なくなり、ピロリ菌や雑菌の温床となり、炎症をさらに悪化させる。最後には胃癌を発生させる。
3 胃潰瘍を起こして出血と痛みを訴えている患者にはH2ブロッカーを処方する。しかしその期間は長くても2~3週間である。
4 胃酸の分泌が抑えられると、消化酵素を活性化させるペプシンや塩酸が不足し、消化不良となる。また鉄、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルの吸収を阻害する。
5 胃の術後の復食は流動食やお粥から始めるのでなく、最初から普通食を出す。普通食はお粥よりよくかむから唾液の分泌を促す。唾液には消化酵素が含まれているから消化吸収がよくなる。
6 市販の牛乳はその成分を均等化するために撹拌する。この時空気が混じり乳脂肪が加酸化脂質になる。加酸化脂質は体に悪影響がある。牛乳はさらに100度以上の高温で殺菌する。これで酵素は死滅する。
7 牛乳はさまざまなアレルギーだけでなく、子供が白血病や糖尿病を発症する原因になっているという研究論文がたくさんある。
8 牛乳を飲むと血中カルシウム濃度は急に上昇する。人間の体は血中カルシウム濃度を一定の範囲に保つ必要があるから、急に血中カルシウムが上昇すると余剰カルシウムを尿から排泄する。
9 トランス脂肪酸は自然界に存在しないもので、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす。癌、高血圧、心疾患の原因になるとも言われている。トランス脂肪酸を一番たくさん含んでいるのがマーガリンである。
10 種子には発芽を抑制するトリプシンインヒビターとい物質が含まれている。種子を生で食べるとこの物質を中和、消化するために大量の消化酵素が使われる。それで体の害になる。種子に熱を加えるとトリプシンインヒビターはなくなる。だから種子は熱を加えて食べる方がよい。
11 人間の腸壁が吸収できる大きさは15ミクロン以下である。だからよくかまないと食べても吸収されない。
12 酒やたばこは毛細血管を収縮させる。毛細血管が収縮すると組織への酸素、栄養の補給が難しくなり、老廃物や腐敗物の排泄も難しくなる。
13 寝る前にものを食べると内容物が喉のほうに上がってきやすいから、気管にものが入らないように気道をせばめ、呼吸を止めることになる。これが閉塞型睡眠時無呼吸の原因だと考える。
14 夜寝る時に食べ物がまだ胃の中に残っていると、インスリンの働きで炭水化物、蛋白質は脂肪に変わる。それで太ることになる。
15 果物は食事の前に食べるのがよい。胃腸の働きを助けるし、果物で血糖があがるから食べ過ぎを防ぐことになる。
16 睡眠薬は脳の酵素を消耗させるから、痴呆の原因になると考えられる。
17 過度な運動は健康を害する。体内にフリーラジカルが発生するからである。
18 悪い食事は体内に大量のフリーラジカルを発生させるが、憎しみ、嫉妬というマイナス感情も同じくらいの多くのフリーラジカルを発生させる。
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コンパクトに要点がまとめられています。次のようなことがわかります。
1 メロペン(meropenem)はチエナム(imipenem)と抗菌力はほぼ同じだが、痙攣を誘発することが極めて低い。
2 第三世代セフェム系ではモダシン(ceftazidime)が緑膿菌(Psudomonas aeruginosa)を含めたグラム陰性桿菌に対して最も優れている。
3 腸球菌(Enterococcus)にセフェム系抗菌薬は効果がないが、ピクシリン(ampicillin)は効果がある。カルバペネム系(チエナム(imipenem)等)も腸球菌(Enterococcus)に対して効果があるが、ペニシリン系に劣る。
4 ピクシリン(ampicillin)はListeria monocytogenesに対する第一選択である。
5 ペニシリンGカリウム(penicillin G)はグラム陽性球菌に効果があるが、ブドウ球菌に効かない。黄色ブドウ球菌にはセファメジン(cefazolin)が優れている。
6 血液透析をしている人でもロセフィン(ceftriaxone)、エリスロマイシン(erythromycin)、ダラシン(clindamycin)、フラジール(metronidazole)は通常量投与できる。エリスロマイシン(erythromycin)、ダラシン(clindamycin)、フラジール(metronidazole)は肝代謝のためである。
7 グラム染色は細菌や白血球の量がわかる。細菌や白血球の量が減っているとよくなっている、抗生物質が効いていると判断できる。
8 淋病や髄膜炎を疑った時、検体は冷所に保存しない。淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は冷所で急速に死滅する。
9 グラム陰性球菌で臨床上問題となるのは、NeisseriaとMoraxellaの2種類しかない。
10 緑膿菌(Psudomonas aeruginosa)が分離されても、単なるコロニー形成で感染の原因でないことがある。緑膿菌が出たというだけで安易に抗菌薬を投与しない。
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心電図の基礎を説明して、各波形にコンパクトな説明を加え、考えられる疾患を挙げています。次のようなことがわかります。
1 心房細動を見ると、甲状腺の検査が必須である。甲状腺疾患は心房細動が唯一の兆候であることがある。
2 老齢者の5-10%が心房細動である。
3 洞調律の特徴は心拍数が60-100であり、P波が第2誘導で陽性で、aVRで陰性であり、QRS波の前にP波があることである。
4 第1誘導は水平線で心臓の左から心臓を見ている。第2誘導水平線から60度尾側の線で尾側から心臓をみている。電気が流れてくるとQRS波は陽性になる。第1誘導でQRS波陽性とは、水平線に垂直な線の左側に電気が流れてきているということである。第2誘導でQRS波陽性とは、水平線から60度尾側の線に垂直な線の尾側に電気が流れてきているということである。だからQRS波が第1誘導、第2誘導で陽性ならば正常軸である。第1誘導で陰性、第2誘導で陽性ならば右軸偏位である。第1誘導で陽性、第2誘導で陰性ならば左軸偏位である。
5 心臓の下壁は水平線から60度尾側の方向にある。つまり第2誘導の方向である。心臓の下壁の心筋梗塞が起こると、電気は心臓の下壁の方向に流れなくなる。つまり第2誘導の方向に流れなくなる。だから第2誘導でQRS波が陰性となり、左軸偏位となる。以前正常軸であったのに、新しく左軸偏位が出現したのなら、下壁梗塞を考える。
6 左房が大きくなる(左房負荷)と、左房の脱分極に時間がかかる。P波が0.08秒以上(日本の基準では0.12秒以上が多い)であったり、2相性であったりすると左房負荷を考える。
7 心筋梗塞で壊死した心筋は電気刺激を伝えない。だから壊死した心筋の方向の誘導は電気が流れ去っていく。それで陰性のQ波が出現する。
8 Q波は心筋梗塞後数時間で現れ、90%は心筋梗塞後も一生見られる。
9 心筋梗塞の約20%は痛みがないことに気をつける。
10 肥満、肺気腫、心嚢水は心臓と心電図の電極との距離が長くなる。それでQRS波が小さくなる。以前よりQRS波が小さくなっていたら心嚢水増大を考える。
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身体所見の取り方を詳しく説明し、写真や絵も豊富です。また何の疾患を考えるかを右に赤字で書いてあります。役に立つ本です。次のようなことがわかります。
1 呼吸音が減弱するのは、空気の流れが悪いか、呼吸音が伝わるのが悪いかのどちらかである。空気の流れが悪いのは閉塞性肺疾患や呼吸筋麻痺がある。呼吸音が伝わるのが悪いのは胸水、気胸、肺気腫がある。
2 胸部大動脈は胸角の高さまで上がり、そこで後部に曲がってから、下に向かう。
3 筋萎縮とは筋肉量の減少であり、末梢性神経障害(糖尿病の神経障害など)の時に起こる。
4 肺は前方が一番高く、鎖骨の内側1/3より2~4cm上が上縁である。肺の下縁は前方は鎖骨中線で第6肋骨、腋窩中線で第8肋骨である。(肋骨は前が低く、後ろが高いからこうなる)肺の後方の下縁は第10胸骨棘突起である。
5 咳は左心不全の重要な徴候である。
6 直接ビリルビンが増えると、それが尿から出て茶黄色の色となることがあるが、間接ビリルビンは尿から排出されない。
7 血尿の原因は膀胱炎、膀胱癌、腎癌、腎結石、外傷、結核、急性糸球体腎炎がある。
8 失神は脳への血流が不十分になって一時的に意識を失うことである。
9 過換気症候群には口周囲や手の感覚異常がよく起こる。
10 深部静脈血栓症は痛みを感じることなく進行することが多い。痛みがあるならたいていふくらはぎにある。
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加工食品には消費者の知らないどんな食品添加物が使われているかを見事に示しています。次のようなことがわかります。
1 カレールーにはカレー粉は5~10%である。中には1%も入っていないカレールーもある。
2 米国産牛は成長促進のために耳の後ろに合成ホルモン剤を埋め込む。これは日本では禁止されている。
3 ファミリーレストランチェーンの安いステーキは、はらみ肉や食肉加工の際に生じるカットくず肉を貼り合わせてつくられているものが多い。
4 コーヒーの粉にリン酸塩を加えるとコーヒーを何倍も多くつくることができる。しかしコーヒー独特の香りと苦みがなくなる。これを補うために酢酸ベンジル、ジメチルチオエーテル、Bーナフトールエチルエーテルなどの合成香料を加える。
5 パンを焼く業務用オーブンにはほとんどの製品にアスベストが使用されている。
6 次亜塩素酸ナトリウムを300~600倍に希釈して野菜をひたす。スーパーで使っていない所はないだろう。
7 一部のジャム業者は台風などで落ちたリンゴをただ同然で引き取る。これから次のような食品添加物を加えてイチゴジャムができる。イモやデンブンを入れ、粘りを出す。塩化カルシウムで固める。タール色素の食品赤色102号や黄色4号で着色する。合成香料のイソ吉草酸エチル、プロピオン酸イソアミルでイチゴのにおいをつける。ソルビットで甘みをつける。シュガーエステルで離水を防止する。エリソルビン酸で変色を防止する。繊維素グリコール酸ナトリウム、アルギン酸、プロピレングリコールエステルで粘りを強くする。ソルビン酸で防腐を防ぐ。
8 Ph調整剤は食品中のPHを調整して腐敗菌の繁殖を抑える目的で使用される。使用基準はなくどんな食品にも無制限に使用できる。それがため人間にとって有益な菌まで殺してしまう。
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癌のペインコントロールが簡潔にまとめられています。次のようなことが書かれています。
1 鎮痛薬としてのリン酸コデインは30mg/回(4~6時間毎)から開始し、30~50%ずつ増量する。1回量150mgまで増量しても効果が不十分ならモルヒネに切り替える。
2 ペンタジン(pentazocine)は混乱のような精神症状が出やすく、癌の鎮痛薬としては望ましくない。
3 モルヒネは鎮痛効果が得られているのに、さらに増量する毒性発現域となる。強い眠気、呼吸抑制が現れる。
4 モルヒネによる嘔気は脳にある嘔吐中枢が刺激されて起こる。1~2週間で体が慣れてきてなくなる。
5 経口モルヒネを注射剤に切り替える時、経口量の1/3~1/2の量にする。持続注入で投与する。
6 アンペック坐薬は8時間毎投与が原則である。
7 morphine-6-glucuronideはモルヒネの代謝物である。これは鎮静作用と呼吸抑制作用がある。腎機能低下時にはmorphine-6-glucuronideが蓄積するから注意を要する。
8 テグレトール(carbamazepine)やデパケン(sodium valproate)のような抗けいれん薬は発作性の神経因性痛に特に有用である。
9 モルヒネによる眠気の副作用は早期に耐性が出現する。それで3~5日間様子を見る。
10 モルヒネによる嘔気、嘔吐の副作用は約2週間で消失または軽減する。
11 モルヒネによる呼吸抑制は過剰投与しない限り出現しない。モルヒネによる呼吸抑制は単なる呼吸数減少でなく、CO2ナルコーシス(意識障害、PCO2>70mmHg)を呈する。
12 頭痛には合谷、百会を指圧する。
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最初に問題があり、それに答えながら、いろいろな説明を加えています。少しまとまりに欠けるように思いますが、役に立つ知識を与えてくれます。次のようなことがわかります。
1 X線は基本的に電子が吸収したり、散乱したりする。吸収と散乱をあわせて減弱と言う。電子がX線を減弱するのであれば、電子が多ければ減弱は大きくなるはずである。原子番号の大きい原子は電子が多いからX線の減弱が大きくなる。ヨウ素の原子番号は53で鉄の原子番号は26である。ヨウ素のX線の減弱は鉄より大きい。だからヨウ素化合物は造影剤として用いられる。
2 縦隔腫瘍内に空気を認めたら、まず消化管を考える。
3 肺腺癌は小さくても転移しており、肺扁平上皮癌は大きくても転移がない傾向がある。肺小細胞癌は広範囲な転移性リンパ節腫大を認めることが多い。
4 左腕頭静脈が正中を横切るレベルを含んで、これより頭側にあるすべての縦隔リンパ節は上縦隔リンパ節(#1)である。
左腕頭静脈が正中を横切るレベルより下は次のようになる。
気管の前縁と後縁の間で奇静脈より上が気管傍リンパ節(#2)であり、奇静脈より下が気管気管支リンパ節(#4)である。
上大静脈と上行大動脈の前縁より前方はすべて前縦隔リンパ節(#3a)である。
上大静脈と上行大動脈の前縁と気管の前縁の間が気管前リンパ節(#3)である。
気管の後縁より後方が気管後リンパ節(#3p)である。
大動脈と左主肺動脈に囲まれた部分が大動脈下リンパ節(#5)である。
下行大動脈と大動脈弓の左に接するのが大動脈傍リンパ節(#6)である。
5 CTでグレイスケールで表示される範囲をwindow width(WW)という。その中心のCT値をwindow level(WL)という。WWを200、WLを0と設定すると、CT値が-100から100がグレイスケールで表示される。
6 臓側胸膜より内部に脂肪は存在しない。だから腫瘤が脂肪で覆われていれば、それは肺内でない。胸膜外にあることを示している。
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日本の類書はごたごたと書いてあり、論理の流れがないように思います。この本はスーと頭に入ってくる明快な説明が魅力です。次のようなことがわかります。
1 minor fissureがあるのは右肺だけであり、側面像ではminor fissureは右major fissureで終わる。Minor fissureが終わる所が右major fissureであるから、これで右major fissureと左major fissureを区別できる。
2 側面像で左横隔膜を右横隔膜と区別するには次のようにする。
左major fissureの終わる所が左横隔膜である。
低いほうがたいてい左横隔膜である。
すぐ下に胃泡があるのが左横隔膜である。
前が不鮮明な横隔膜が左横隔膜である。なぜなら心臓の底部は左横隔膜に接するからである。
3 正面胸部X線写真では、S6の一番上は大動脈弓の高さである。
4 結核の再発はたいていS1かS2であり、S3はまれである。一方S3の癌はよくある。
5 左右のS5は内則で心臓に接し、後方でmajor fissureに接する。だから心臓の右側が不鮮明ならば右S5に病変があり、心臓の左側が不鮮明ならば左S5に病変がある。
6 左右下葉は横隔膜に接する。だから右横隔膜が不鮮明ならば右下葉に病変があり、左横隔膜が不鮮明ならば左下葉に病変がある。
7 下行大動脈が見えなければ、左下葉か胸膜腔か後部縦隔に病変がある。
8 横隔膜の正常な位置は第9~第10後部肋骨である。
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最初に問題が提示されており、それに対する解答を示し、関連した事項を説明しています。興味深く読むことができます。次のようなことがわかります。
1 Millerの二次小葉(secondary lobule)は、肉眼的に確認できる小葉間隔壁に囲まれた多面体を言う。二次小葉の中央を気管支と肺動脈が走り、小葉隔壁の中(つまり小葉の境界)を肺静脈が走る。
2 CTで分岐して見える、つまりY字状に見えるのは同じ血管であることを示す。交差して見える、つまりX字状に見えるのは異なる血管であることを示す。
3 急性、亜急性の経過をとる間質性肺炎の中でステロイドによく反応する肺炎があり、nonspecific interstitial pneumoniaあるいはnon-classifiable interstitial pneumoniaと言う。病理学的には間質の炎症と線維化、肺胞壁の大食細胞を特徴とし、硝子体は見られない。CTでは両肺の斑状のスリガラス陰影だけか、それにconsolidationが加わることもある。
4 サルコイドーシスは原因不明の非乾酪性肉芽腫を全身に形成する疾患である。肺門、縦隔のリンパ節と肺は最も冒されやすい部分である。無症状で胸部X線で両側肺門リンパ節腫大を指摘され発見されるか、眼症状(ぶどう膜炎のため視力がおちた、ぼやけて見える)から発見されることが多い。
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脊椎、脊髄のMRIについて全体的に説明をしています。写真は豊富です。次のようなことがわかります。
1 正常椎間板はT1強調画像で隣接する椎体の骨髓より低信号である。T2強調画像で中心部が高信号、周辺部が低信号となる。中心部の高信号は髓核と線維輪の内層であり、低信号は線維輪外層である。
2 椎間板の加齢性変化として、T2強調画像で髓核内を低信号域が横走することがある。これを髓核内裂(intranuclear cleft)と言う。
3 頚椎症では脊髄内高信号域がT2強調画像でよく見られる。
4 後縦靱帯骨化症は脊髄の圧迫により知覚障害、運動障害、膀胱直腸障害が出現する。寛解を繰り返しながら徐々に進行する。
5 間欠性跛行は歩いていると足がしびれたり、痛くなったりして歩けなくなるが、少し休むと回復しまた歩けるようになる状態である。間欠性跛行は血管性間欠性跛行と神経性間欠性跛行がある。血管性間欠性跛行は立位で休むことで回復するが、神経性跛行は立位で休んだのでは回復しない。腰椎は生理的な前彎があるが、立位になると前彎が強くなり、前屈位だと前彎が弱くなる。前彎が強くなると、馬尾や神経根の圧迫を助長する。これが神経性跛行は立位で休むことで回復しない理由である。神経性間欠性跛行は腰部脊柱管狭窄症の特徴となる症状である。
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注意することが最初に書いてあり、それに対する説明を加えています。役に立つコメントが多いです。次のようなことがわかります。
1 高齢者の全身倦怠感は降圧剤の使用が原因になっていることがある。
2 喘息発作はアスピリン、NSAIDが原因になっていることがある。
3 数ヶ月前から続く頭痛はカルシウム拮抗薬が原因となっていることがある。
4 浮腫はNSAIDによる腎障害のことがある。
5 原因不明の発熱は長期使用していた抗生物質が原因のことがある。
6 無症状だが、白血球とCEAが軽度上昇している時、ほとんどは喫煙である。
7 脳血流は一定の血圧の範囲であれば、一定に保たれている。脳梗塞急性期になるとこの機能が破綻し、血圧が下がると脳血流も低下する。それで脳梗塞急性期に降圧薬で血圧を下げると、脳の血流が低下し、脳虚血が増大し脳細胞の死滅が増大することになる。
8 浮腫は甲状腺機能亢進症も鑑別診断に入れる。
9 頭痛、発熱、異常行動、けいれん発作でヘルペス脳炎を考えるならDNAやMRIの結果が出ていなくても、ゾビラックス(acivlovir)を投与する。
10 CRPはSLEの活動期の指標にはならない。CRPはSLEの活動期でも陰性のことが多い。SLEでCRPが陽性の時は、細菌感染や血管炎の合併症を疑うべきである。
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簡単な病歴、症状、検査結果の記述があり、それに対して、どういう病気か、どういうふうに対応するか等の設問があります。次のページにその答えがのっており、どういうふうに考えてこのように診断したかを、納得のいくように説明してあります。少しの病歴、症状、検査結果からここまで診断できるのかと感嘆するものが多いです。
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養生により天命を全うすることができるという考えのもとに貝原益軒自身が実行した養生が述べられている。私は若い時にこれを読み感激した。その後数十年も経ったが、やはり貝原益軒の言うことは正しかったという実感である。命や健康は百金にも替え難く、健康を維持する秘訣を教えるこの本は誰もが一読すべき本だろう。
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急性疾患や、早急に治療しなければ命が危ない場合などは、悠長に食事だけで治療ということはできない。しかし慢性疾患に対する食事の重要さはいくら強調しても強調しすぎることはない。
食事による治療を森下敬一氏は何十年にもわたり実践し、指導してきた。その主張は十分に納得のできるものである。この本を一読すれば氏の主張することがほぼわかる。
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解剖の本というと、ごたごたと身体各部の名称が並んでいてうんざりすることが多いものです。この本は、写真と絵を豊富に使って、解剖を筋道立てて説明しています。比較的うすいということもあるのでしょうが、うんざりすることなくおもしろく読むことができます。
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病態ごとにどのように考えるかが簡潔にまとめられています。病態の全体像をとらえるのに、便利です。次のような記述は役に立ちます。
1 ベンゼン環の人体の癌が骨に転移すると考える。ベンゼン環の中央に消化器癌を配し、ベンゼン環の6つの角に上から甲状腺癌、肺癌、乳癌、腎細胞癌、肉腫、前立腺癌を配する。脳に転移する癌は前立腺癌が転移しないことを除いて骨に転移する癌と同じである。肝臓に転移する癌も骨に転移する癌と同じだが、膵癌が加わる。肺に転移する癌も骨に転移する癌とほぼ同じだが、前立腺癌の代わりに精巣癌を配する。
2 胸痛の患者には心筋梗塞、肺塞栓、大動脈解離、自然気胸の重篤な4疾患を念頭に置く。
3 胸から頸部あるいは左上肢に広がる痛みは心臓由来の痛みを疑うべきである。
4 虫垂炎はほとんどの場合痛みが嘔吐、嘔気より先に現れる。
5 上腹部痛を訴えている時、胸部X線写真を撮る。腹膜炎によるfree air、下葉肺炎を除外するためである。
6 下壁の心筋梗塞は腹部痛を起こしやすい。
7 憩室が下位消化管出血の一番多い原因である。
8 腹水は静脈圧の亢進、浸透圧の低下、毛細血管の透過性の亢進、その他を考える。静脈圧の亢進は右心不全、心膜炎、下大静脈、肝静脈狭窄、肝硬変、住血吸虫症がある。浸透圧の低下はアルブミンの低下で起こる。アルブミンが低下するのは、摂取が少ない(飢餓)か、産生が低下している(肝疾患)か、排泄されているか(ネフローゼ症候群)である。毛細血管の透過性が亢進するのは、感染か悪性腫瘍である。その他の原因には甲状腺機能低下、膵炎、リンパの流れの閉塞がある。
9 急性膵炎の症状は、背部にひろがる上腹部痛が続き、嘔気、嘔吐、発汗、倦怠感、煩悶が見られる。典型的には前屈みに坐ると楽になる。
10 膵炎を疑うと、アミラーゼだけでなくリパーゼも測定した方が診断が正確になる。
11 肝不全は低カリウム血症になる。呼吸性アルカローシスになるからである。
12 50歳未満の人が肝不全を呈した時、セルロプラスミンを測定する。Wilson病を除外するためである。
13 前腎性急性腎不全の時、尿中Naは20mEq未満である。しかし代謝性アルカローシスを併発している時、炭酸イオンを腎から排泄しようとする。炭酸イオンは陰イオンだから、電気的に中和する必要があり、陽イオンのNaイオンも同時に排泄される。それで前腎性急性腎不全であっても尿中Naは多くなる。こういう時は尿中Clを見るとよい。
14 癌、B型肝炎、C型肝炎、AIDS、SLEはネフローゼ症候群の原因となる。
15 腎動脈が狭窄すると、腎血流が落ちるから、レニンがたくさん放出される。それで高血圧となる。高血圧にACE(angiotensin converting enzyme)阻害薬を投与して、クリアチニンが急に上昇するなら、腎動脈狭窄を考える。
16 発熱があり、anion gapのある代謝性アシドーシスなら敗血症を示唆する。
17 血小板が2万以上ありかつ出血徴候がないなら、血小板輸血は不要である。
18 子供はしばしばウイルスが原因の特発性血小板減少性紫斑病になるが、3~6ヶ月で自然治癒する。成人の特発性血小板減少性紫斑病は慢性の経過となる。
19 鉄欠乏性貧血、慢性疾患による貧血はともに小球性貧血であるが(慢性疾患による貧血は正球性貧血にもなる)、その鑑別にトランスフェリンが役に立つ。トランスフェリンは鉄欠乏性貧血で上昇し、慢性疾患による貧血で低下する。おそらくトランスフェリンが蛋白であるためである。
20 ステロイドは赤血球を産生する作用がある。それでステロイドで多血症になることがある。
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内観療法について多くの著者が専門的な記述を展開しています。
相手からしてもらったこと、して返したこと、迷惑をかけたことが思いをめぐらす主題になります。この3つを母、父、自分の体などについて、屏風で隔てられた空間で考えるのが内観です。
神経症、心身症、うつ病などの精神疾患や、問題行動に効果のあることが具体例とともに述べられています。
読みづらい本ですが、内観療法の全体像がわかります。
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タイトルの通り慢性肝炎の治療指針を示したもので、具体的な治療法が述べられている。次のようなことが、書かれている。
1 HBVの感染経路は、母児感染(垂直感染)と幼少時の垂直感染が多いが、成人期までに85%〜95%はHBe抗原からHBe抗体に変化し、HBe抗体陽性無症候性キャリアに移行する。
2 HBs抗原陽性でもHBe抗原陰性でALTに異常がないならBe抗体陽性無症候性キャリアであることが多く、6〜12ヶ月毎に肝機能検査をし、血算、プロトロンビン時間、ウイルスマーカー、腫瘍マーカーを適宜追加検査するだけでよい。
3 C型慢性肝炎では、肝臓の線維化の程度に応じて発癌リスクが高くなる。
4 肝臓の線維化は血小板数で80%推定することができる。血小板15〜18万はF1、13〜15万はF2、10〜13万はF3、10万以下はF4である。
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現在の癌治療をセンセーショナルに否定しています。出典を書いていないものが多く、どの文献を根拠にしているのかわかりません。ただ哲学的に示唆に富む言葉が多いです。次のような記述があります。
1 交感神経の緊張状態が続くと癌になる。夜は副交感神経が亢進する時なのに、夜更かしをするため副交感神経が働かず、交感神経が働いてしまう。これが癌発生の原因になる。
2 どんな病気でも理由もなく発生することはない。
3 病気になるのは自分が悪いことをしたのが原因なのだから、自分の悪いところを直すように努めるべきである。
4 健康を取り戻すのは高価な薬や技術でなく、自分の体が持っている自然良能である。
5 日本人が病気になるのは長時間労働が関係している。
6 リンゴを食べて塩分を制限すると、カリウムが多くてナトリウムが少ないから、体が冷える。
7 抗癌剤は猛烈な発癌物質で、癌患者に投与すると他の部分に新たな癌を発生させる。
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趣味や考え方に共通点のある人とは話しやすいが、そうでない人とは話題にも困る、そういう時の話し方のコツを書いた本である。次のような記述がある。
1 話がとぎれた時別の共感の言葉を言ってみる。
2 むっとしたこと、悔しかったこと、ほっとしたこと、寂しかったこと、嬉しかったことなどの気持ちを話す話題にする。
3 情報よりも気持ちに目を向けて質問する。
4 会話は互いのイメージを刺激するような質問や自己開示で広がっていく。
5 話すことがなくなると、相手の持ち物、外の情景などを話題にする。
6 ある程度自分のプライベートな部分を公開しないと会話は広がらない。
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食事により癌がよくなる、癌が消えることもあることを書いた本です。身近な食べ物は当然副作用がなく、優れた治療法だと思います。具体的には、次のような食事を提唱しています。
1 限りなく無塩に近い食生活
2 動物性(四足歩行動物)蛋白質、脂肪の制限
3 新鮮や野菜と果物の大量摂取
4 胚芽成分及び豆類の摂取
5 乳酸菌、海草、キノコの摂取
6 蜂蜜、レモン、ビール酵母の摂取
7 オリーブ油、ゴマ油に活用
8 自然水の摂取と禁酒禁煙
1 体に必要なナトリウム量は天然の食品(特に海草や魚介類)に含まれているから不要。
2 四足歩行動物の蛋白質は最も発癌性が高い食材である。
3 野菜や果物は酵素が豊富で免疫を賦活し、ファイトケミカルも豊富で活性酸素を除去する。
4 胚芽はビタミンや酵素が豊富である。大豆イソフラボンは乳癌や前立腺癌の増殖を抑制する。
5 乳酸菌は酸を出して悪い細菌の繁殖を抑える。海草のフコイダン、キノコのβグルカンが免疫を活性化する。
6 蜂蜜の花粉は免疫を賦活する。レモンはビタミンC、クエン酸などが多い。ビール酵母はアミノ酸のバランスがよく体内で利用されやすいが、動物性蛋白のような発癌性がない。
7 現代人はn6系の多価不飽和脂肪酸が過剰なので、一価不飽和脂肪酸であるオリーブ油、ゴマ油の割合を増やす必要がある。
8 水道水の中の塩素やフッ素は活性酸素を増やす。アルコールは消化管を荒らし、食品の有害物質や発癌物質の吸収を高める。
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目から鱗が落ちる内容で、読み物としてもおもしろく読めます。次のような興味深い記述があります。
1 イナゴは雄は稲を食べない。雌は産卵する前に稲を食べるが、1本の稲の100〜130粒の内多くとも5粒である。
2 草がないと、夏の暑いときには、畑の土の表面温度は35度にも上がる。しかし畑が草ぼうぼうだと、土の表面温度は外気より10度くらい低くなる。また草によって土が乾かないから水をやる必要がない。
3 田んぼの耕起は乾かしてからする。乾いた土では好気性菌が働き、湿った土では嫌気性菌が働く。だから乾いた田んぼを耕起すると収穫がよくなる。
4 自然栽培に稲は地下部分が大きくなってから上部の生育が始まる。肥料を施している稲は根の生育と関係なく養分がたくさんあるので、根が小さくても成長する。すると稲は過保護になって、節ももろくいもち病などの発生につながる。
5 窒素肥料を作物に10kg施すとする。5kgはガス化して大気汚染の原因になる。土には植物の根の残さのような未分解有機物がたくさんあり、これが発酵するのに窒素が必要なため、ガス化しない5kgの半分の2.5kgは土が使う。残りの2.5kgを作物と雑草が奪い合う。雑草が少し優勢で、作物は1kgぐらいしか吸収していない。窒素肥料をまいても1割ほどしか使われていないのだから最初から無肥料でもできるわけである。
6 大豆は20〜30cm間隔に指に第一関節より深くない程度に1個の大豆を植える。深く植えると弱いものができ、ネキリムシ、ヨトウムシの餌になる。鳩に食われないように枯れ草をまぶす。
7 穴を50cm掘り、10cm毎に温度計をさしこんで温度を測る。温度が突然低くなる所が硬板層である。普通の畑は20〜30cmの所に硬板層がある。硬板層の下には養分が豊富にある。根は温度の低い深い所に伸びていかず、温度が高い横にのびる。それで根を硬板層の下に伸ばすには、硬板層を壊して温度を上げる必要がある。硬板層を破壊するのは人の力では無理である。大麦は2メートル近く土の中に入るため大麦を利用して硬板層を壊す。ただし大麦は肥料食いのため大麦だけを播くと土がやせてしまう。それで豆も一緒に播く。具体的には、大麦を2〜3条播いたら、豆を1条播く。この硬板層を壊さない限り何年やってもよい結果はでない。田んぼには大豆は必要でない。大豆を播くと田植えができないほど土が軟らかくなる。
8 自然栽培の小松菜は淡い緑になる。葉を守る膜が厚いため、緑が淡く見える。小松菜を湯の中に入れると膜がとけて、濃い緑が出てくる。
9 害虫がやってくる作物は肥料、農薬を使っている作物である。特に未完熟堆肥を使っている作物に害虫は集まる。
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この本は本の引用、医者へのインタビューの引用、添付文書の引用が非常に多く、それをもとに今の癌治療はなっていないと煽っている本です。こんなに引用が多くて、船瀬俊介氏の著書と言えるのでしょうか。次のような医療現場を知らない発言もみられます。
「じっさいの医療現場では、その抗癌剤の薬品名すら絶対と言っていいほど患者に教えない。」
投与する抗癌剤の薬品名は投与前に患者に言うのが普通です。薬品名を聞かれて答えないということはありえません。
「SIADH症候群(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)はそんな病名は聞いたことがないというガン専門医が大半である。」
SIADH症候群は一般医や医学生でも知っていることです。
「大半の医者は添付文書すら読んでいない。製薬メーカーの営業社員が手渡す説明書やパンフ類をチラチラ見ながら猛毒抗ガン剤を患者に投与する。」
抗癌剤は特に副作用が強い薬剤のため、医者も非常に慎重になっています。単にチラチラ見て投与するなどということは普通はありえません。なお船瀬俊介氏は添付文書のコピーを患者に手渡すことを厚生大臣に要望したとのことですが、添付文書をまとめた「治療薬マニュアル」や「今日の治療薬」という本が出版されています。医者がよく参照にしている本です。一般人でも簡単に書店で買うことができます。こういう本を参照したらどうでしょうか。
次のような引用は興味深いです。
1 リンパ球の攻勢にさらされた癌が生き残るために他の組織に飛んでいくのが転移である。
2 転移が起こったと思われる時期は37度〜38度の熱を出して体がだるいと訴えることが多い。この時熱を下げないと癌が縮小することが多い。
3 癌の中にいる細菌、ウイルスが出てきた時にそれを殺すために白血球が活性酸素を出し、炎症を起こす。それで痛くなる。これが癌の痛みである。
4 ネズミに発癌させるには、癌細胞を100万個注射することが必要である。10万個ではリンパ球が退治するから発癌しない。ネズミに放射線を照射してリンパ球を少なくすると、1000個の癌細胞を注射するだけで発癌する。
5 早期前立腺癌223人を治療せずに10年間経過観察した研究では、124人が死亡したが、癌による死亡は19人(8.5%)であった。
6 「癌細胞はアンチドラッグジーン(ADG)の働きで抗癌剤の働きを打ち消すようになる。」とアメリカ国立ガン研究所(NCI)のデヴィタ所長は1985年にアメリカ議会で証言した。
7 金属で歯科治療すると、心電図の10倍の電流が口の中から流れる。この電流が自律神経系を緊張させリウマチなどの引き金になる。
8 日常的に強い電磁波にさらされる発電所労働者の急性白血病死亡者は一般人の38倍である。
9 今の牛はほとんど人工授精である。通常なら妊娠しないホルモンが高い時に人工授精で妊娠させるから、牛乳の中のホルモンが非常に高度になる。このホルモンに発癌作用がある。実際牛乳を飲んでいる人間に癌が多いという欧米、北欧のデータがある。
10 ヒポクラテスは「人は体内に100人の名医を持つ。」と言った。
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三菱の成立と発展、危機を物語風に描いており、おもしろく読めて、また三菱のことがわかるようになります。次のようなことが書かれています。
岩崎弥太郎は吉田東洋に抜擢され、1859年に郷廻に任命された。郷廻は農村を巡回する警察官のような仕事である。郷廻になってすぐに土佐藩の命で長崎へ行った。この時遊郭の女に入れ込んで、藩の公金に手を出す不祥事があり、役職を解かれた。尊皇攘夷派の武知半平太に吉田東洋が暗殺され、官途につく望みがなくなったので、新田開発、綿花栽培などで富を蓄えた。武知半平太が失脚し、吉田東洋の甥の後藤象二郎が実権をとるようになり、岩崎弥太郎も官につき、長崎の土佐商会に勤務することになった。土佐藩は金もないのに、「武器を調達しろ」という要求を土佐商会にしたが、岩崎弥太郎ははったりをかましたり、外国商人や長崎無聊を酒、女で籠絡してしまうような巧みな交渉術をみせて、藩の要求に応えた。長崎の土佐商会が閉鎖となり、1869年(明治2年)大阪商会に配属となり、同年12月に土佐藩の重臣である少参事に昇進した。大阪商会の商売は岩崎弥太郎がとりしきるようになった。明治政府が各藩の商業活動を禁じたため、大阪商会は九十九商会と名前を変え、私商社にした。さらに三川商会と名前を変えて、1873年(明治6年)に三菱商会と改称した。
1872年(明治5年)に明治政府は外国の汽船会社に打ち勝つために、三井、鴻池、島田、小野という政商たちとはかり、日本国郵便蒸気船会社をつくった。海運業が中心になっていた三菱商会と競争になったが、三菱商会が顧客サービスがよく有利になった。台湾出兵の輸送が必要となり、大隈重信は日本国郵便蒸気船会社に輸送を依頼した。しかし同社頭取岩橋万蔵は三菱商会に台湾出兵に協力させ、三菱商会が国内に回す船が手薄になった所で国内シェアを奪い返そうと考えこの要請を断った。台湾出兵に協力した三菱商会は政府の信頼を得て、大久保利通の出した政府の保護のもとに民間会社を育成する案の保護する民間会社として三菱商会が推薦された。政府の保護のもと、パシフィック・メイル社、ピー・アンド・オー社との競争に勝った。
1881年(明治14年)大隈重信が失脚すると、大隈重信の資金源とみなされた三菱商会は政府に敵視され、西郷従道は1882年(明治15年)に共同運輸会社を設立し三菱商会をつぶそうとした。両者が激烈な競争をしている時に、岩崎弥太郎は1885年(明治18年)に52歳で胃癌で死んだ。
三菱商会の2代目は岩崎弥太郎の16歳年下の岩崎弥之助である。岩崎弥之助は海運業を見切り、共同運輸会社と三菱商会の海運分野を三菱商会に不利な形で合併させ、日本郵船会社をつくる。1886年(明治19年)に銅山、水道、炭鉱、造船、銀行を事業内容とする会社三菱社を設立した。倉庫業、保険業、農場経営も手がける。1893年(明治26年)に42歳で社長職を弥太郎の嫡男久弥に譲り後見役となった。日銀総裁となり、金本位制をやり遂げた。また大隈重信が創立した東京専門学校に1万5千円を寄付し、1903年(明治36年)に早稲田大学に昇格したり、1907年(明治40年)に社団法人東京慈恵会の顧問となり、同会の医学専門学校や看護学校の設立に資金を提供したりもしている。上顎癌で1908年(明治41年)に58歳で死去した。
三菱の3代目は岩崎久弥である。29歳で社長となる。多角的経営方針を継続したが、造船と鉱業を重んじた。鉱業部、造船部、銀行部、庶務部を本社から切り離し、独立採算制をとる。1916年(大正5年)に空前の収益をあげる中で、52歳で突然社長を辞任した。1955年(昭和30年)に91歳で1死去した。
三菱の4代目は岩崎弥之助の嫡男岩崎小弥太である。三菱合資会社が独立した分系会社の株式を独占することで、三菱財閥の頂点に立つ経営をした。太平洋戦争後GHQから三菱財閥の自発的解散を迫られたが、「国家社会に不信行為はしていない。また1万3千人の株主がいるのだから、自発的解散は株主に信頼に背くことになる。国策としての命令ならそれに従い解散するが、自発的な解散はできない。」と拒否した。1945年(昭和20年)に大動脈破裂で67歳で死去した。
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特に戒名についての記述は興味を覚えました。次のようなことがわかります。
仏典は膨大な数あるが、戒名については説明されていない。戒名という制度があるのは日本だけである。出家した僧侶が、戒名を授かるのは、他の仏教国にもあるが、一般の信者が死後戒名を授かるのは日本だけである。
戒名には相場があり、院殿大居士、院殿清大姉が100万円以上、院殿居士、院殿大姉が70万〜100万円、院居士、院大姉が50万〜70万円、居士、大姉が20万〜30万円、信士、信女が10万〜20万円である。
浄土真宗では戒名と言わず、法名と言い、男性は釈AB、女性は釈尼ABとする簡単なもので、基本的に院号はつけない。ABの2つの漢字は1字を俗名から選び、1字をその人の人柄を示す1字を選ぶ。これは浄土真宗以外の宗派の狭い意味の戒名になる。浄土真宗以外の宗派では狭い意味の戒名の上に道号をつける。男性はCDAB居士、あるいはCDAB信士、女性はCDAB大姉、あるいはCDAB信女になる。CDは年齢にふさわしいもの、その人がしてきたこと、その人の性格を表す漢字を選ぶ。院号をつけると、男性はEF院CDAB居士、女性はEF院CDAB大姉となる。EFはその人の業績を示す漢字を選ぶ。さらにランクが上の戒名はEF院殿CDAB居士、EF院殿CDAB大姉、EF院殿CDAB大居士、EF院殿CDAB清大姉になる。田中角栄は政覚院殿越山徳栄大居士とつけられており、大原麗子は花香院麗風妙舞大姉とつけられている。
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ジャーナリスティックな人を煽るような書き方ですが、経済の一面を教えてくれます。次のようなことが書かれています。
1 GNP(Gross National Product)はその国の国民が世界のどこかで新しく作り出した付加価値である。GDP(Gross Domestic Product)はその国が国内で新しく生み出した付加価値であり、新しく生む出す人はどこの国の人でもよい。
2 労働力が増加する、生産設備が増加する、技術が向上するの3つのことがGDPを増加させる。
3 日本人は欧米より金融資産を預金、現金の形で持っており、金融資産の50%以上である。銀行や郵便局に預けられた金で、銀行や郵便局は日本国債を買っている。そのため日本国債の90%は日本国内で売られている。しかし金融資産は年寄りが持っており、日本人の貯蓄率は低下している。銀行や郵便局から、年寄りが資金を引き出し始めるとやがて銀行や郵便局は国債が買えなくなる。すると国債が暴落(金利は急騰)し、国債の利払いが増えるからさらに国債が返せなくなる。国債の金利が上がると、国債の金利を基準にして、金利を決めている社債の金利も上がる。それで企業は資金調達コストが増大し、利益は低下し設備投資をしにくくなる。
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それぞれの化学療法のレジメンに対して、具体的な投与法、対象疾患、奏功率、副作用、注意点などについて、簡潔にまとめられています。CDDP(cisplatin)のような薬品はいろんなレジメンで使われていますが、各レジメンで同じ注意事項を繰り返し記述し、そのレジメンだけ読めば注意事項がわかるように記述されています。具体的には、CDDPは、塩素イオンが低い輸液を用いると活性が低下するので生理食塩水と混和する、アミノ酸、乳酸ナトリウムを含む輸液は分解が起こるので避ける、点滴時間が長時間に及ぶ時は遮光する、という注意事項がCDDPを使っているレジメンで繰り返し記述されています。抗癌剤の略号の一覧もあります。便利な本です。
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文字通り禁忌事項を並べた本です。ただその理由を納得のいくように記述してあり、おもしろく読むことができます。医療は細分化が進んでいますが、実際の臨 床では総合的知識が必要なことが多いため、禁忌事項は全科にわたって知っている必要があります。専門以外の禁忌事項を確認するのに便利な本です。次のようなことがわかります。
1 発熱、発汗の患者で、甲状腺の圧痛があれば、亜急性甲状腺炎を強く疑うべきである。発熱、発汗の患者は頚部の触診を必ずすること。患者は痛みを訴えないことがある。振戦、頻脈の甲状腺機能亢進症をチェックする。頻脈に対しβブロッカー(インデラル(propranolol)など)痛みに対しNSAIDS(ロキソニン(loxoprofen)など)が処方になる。
2亜急性甲状腺炎は破壊性甲状腺炎である。甲状腺濾胞細胞が破壊され、甲状腺ホルモンが血中に漏出しているから、血中の甲状腺ホルモンが高くなる。甲状腺ホルモンの産生が亢進しているのでないから、メルカゾールの適応でない。バセドウ病と考え、メルカゾールを投与すると甲状腺機能低下の原因となる。甲状腺の圧痛があれば亜急性甲状腺炎だが、圧痛がないこともあり、この場合は鑑別が難しい。
3 高眼圧を十数時間放置しておくと視神経に不可逆的障害をもたらす恐れがある。高眼圧はすみやかに下げる必要がある。
4 回旋枝領域の心筋梗塞では急性期に心電図異常が出ないことがある。
5 胸痛はまず心筋梗塞を考えるが、造影CT検査で急性胸部大動脈解離を否定し、血ガスで肺梗塞を否定する。
急性期に上昇するミオシン軽鎖やトロポニンを簡易キットで検査する。
6 胸部解離性大動脈は、胸部X線写真で、縦隔、心陰影、大動脈弓の拡大、大動脈内膜の石灰化と外膜の間隔が増大が見られる。しかし上部大動脈に限局して胸部大動脈解離ではX線写真で異常影が出現しないことがある。
7 高齢者にアミノグリコシド系抗生物質(イセパシンなど)を長期間投与してはならない。高齢者では腎機能が低下しており、腎毒性のあるアミノグリコシドを長期投与すると腎機能がさらに悪化する可能性が高い。
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緩和ケアの専門家が緩和ケアのあり方を説いています。非常に参考になる本です。次のようなことがわかります。
1 末期癌患者で生命予後が数週間から1ヶ月になると食欲低下、全身倦怠感が出現する。これにはステロイドが有効である。腫瘍周囲の浮腫、炎症にも有効である。腫瘍が周辺組織を圧迫するのを軽減する作用もあるため鎮痛補助薬としても使用できる。
2 末期癌患者で生命予後が数週間になると、高カロリー輸液はかえって患者を苦しめる。患者は代謝が低下しているから、高カロリー輸液が口渇、嘔吐、高血糖、電解質異常、感染、循環動態異常、胸水、腹水、浮腫の原因となる。
3 患者の死が近づいた時に、気道内分泌液が増加して下咽頭から喉頭にかけて「ゴロゴロ」という音が聞こえることがある。これを死前喘鳴と言う。患者は意識が低下しているため苦しくないが、家族にとって耐えられないことがある。ハイスコ(scopolamine hydrobromide)が有効である。
4 最近ではモルヒネなどのオピオイドを投与する場合にはできるだけ非オピオイドを併用する方がよいと言われている。鎮痛効果を発現する作用部位が、非オピオイドは局所におけるプロスタグランジンの産生抑制であり、オピオイドは中樞神経系のオピオイド受容体結合であるから、非オピオイドと、オピオイドでは作用部位が異なる。それで併用した方が、より効果的であり、オピオイドの投与量を減らすことが可能になる。
5 呼びかけに対して患者の反応がなくても、自分の言うことが患者に聞こえているものと考えて、患者の横では対応する。死の直前まで患者の聴覚は残っているからである。家族にも「呼びかければ、反応がなくても患者は聞こえていますよ。」と言っておく。
6 レペタン(buprenorphine)はモルヒネに拮抗作用があるため、モルヒネと併用しない。
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1 腹痛が始まって、数分から2時間の間にショックを呈するのはたいてい腹腔内出血である。
2 ステロイドを使うと腹痛が減弱する。それでステロイド剤を使っている患者は、少しの痛みでも重大な痛みの可能性を考える必要がある。
3 症状発現時に呼吸数が正常の2倍になるなら、病変はおそらく胸腔内にある。
4 右季肋部の痛み、緊張があり、胸部が問題ないなら、急性胆のう炎か十二指腸潰瘍である。
5 非絞扼性小腸閉塞は腹部単純X線写真で診断できる。非絞扼性大腸閉塞も腹部単純X線写真で診断できるものがある。絞扼性小腸閉塞の少なくとも半分は腹部単純X線写真で診断できない。
6 心窩部と左上腹部の痛みがあり、左胸水があればたいてい膵炎である。
7 虫垂炎は最初はたいてい上腹部か臍部が痛くなる。後になって腸骨窩に限局する。
8 軽い打診で圧痛があることは、腹膜刺激症状の非常に信頼できる指標である。
9 十二指腸潰瘍の痛みは食後2~3時間か、夜間に出現し、食事を食べることでやわらぐ。
10 小さな尿管結石の20%ほどはX線写真でわからない。
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ICLSとはimmediate cardiac life supportの略です。
前置きが少し長いのですが、ICLSの実際を豊富な写真で解説しています。うすい本なので比較的簡単に読めます。最後に実際の現場で遭遇するような例をあげ、どのように考えるかを解説しています。ICLSから離れている人は手元に置いておくと心強いでしょう。
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西洋医学の病名に対して、どのような漢方薬を使うかを漢方専門用語をあまり使わずに平易に説明しています。実際の症例を呈示した実践的な記述もあります。
具体的には、常習頭痛という項目があり、使う漢方薬を偏頭痛には呉茱萸湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、五苓散をあげ、緊張型頭痛は虚弱者には、半夏白朮天麻湯、釣藤散、香蘇散をあげ、体質中等度には、葛根湯、葛根湯加川きゅう辛夷、柴胡桂枝湯、加味逍遙散をあげています。症例の中で、「呉茱萸湯は偏頭痛の頓服としても使用する」というような説明をしています。
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マイクロソフトのワードの解説書なら掃いて捨てるほどあるのですが、OpenOfficeのWriterの解説書ということで、数が少ないので、一読しました。
項目毎に説明がなされて、平易です。既定の保存フォルダの変更の仕方、縦書き文書の作り方、既定のフォントの変更の仕方、空白行を一度に削除する方法などが特に役に立ちました。
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体の主なツボの位置を図示して示してあり、せきにはどのツボを刺激したらいいか、体の線を美しくするにはどのツボを刺激したらいいのかというようなことが書かれています。ツボを刺激することで健康になるという考え方に立って書かれており、ツボを刺激する体操も解説されています。ツボを刺激した時に、左右のアンバランスがある時(一方は少しの刺激で痛がるが、他方は痛がらないなど)痛がらないほうのツボを強く刺激することで左右のアンバランスを治せば、体の不調がなおるということはありえると思います。しかしツボをむやみに刺激するのはよくないと思います。この本はツボの概略がわかる本ですが、ツボの利用の仕方には賛成しかねます。
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医療の現場ではせん妄に対して、haloperidol(セレネース)、risperidone(リスパダール)が多用されている。しかしこれらの薬剤は正式にはせん妄の適応を認められていない。現在、日本でせん妄の治療薬として正式に認可されているのは、tiapride(グラマリール)だけである。それも脳梗塞後遺症に伴うせん妄のみである。正式な治療薬がないなかで、せん妄にどの薬剤をどのくらいの量もちいるべきかという指針を示したのがこの本である。日本総合病院精神医学会の出した指針であるから、これに準じた治療をしておれば大きな問題となることはないだろう。
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 人とのトラブル解決の方法を具体的に述べている。こんな事例があるのかと思うような極端な事例を出している。弁護士に依頼する以前の証拠集めのやり方をいろいろと示しており、こういう方法を使うのかと勉強させられる。ひとつ気になるのは、著者はカウンセリングを専門とする医者を神経内科と言っていることである。、これは精神科、あるいは心療内科の誤りだろう。神経内科は脳梗塞や多発性硬化症のような神経がからむ分野を専門とし、心がからむ分野を専門とするのは、精神科あるいは心療内科である。
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一般的な漢方治療では、脈診、腹診、舌診等の漢方的な診察をしてから投与すべき漢方薬を決める。しかしこの本はこういう漢方的診断を用いず、西洋医学的病名や病態に対して投与すべき漢方薬を列挙している。こういうやり方がそのまま通じるかどうかわからないが、著者の経験や著者が師としている山本巌先生の治験を根拠としていると推察される。実際に効いた処方であれば、当然参考にすべきで、貴重な資料を提供していると言うべきだろう。
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 44の鉄則をのべそれに対する解説を加え、山本巌氏の語録を挿入した第1部、西洋医学の病名に対して用いられる漢方処方をあげた第2部、生薬の作用を説明した第3部の3部構成になっています。
 傷寒という現在ではどういう病気であるのかさえもはっきりわからない病気に対する治療を記述した傷寒論を金科玉条として漢方治療するのは、著者の言うように確かに無理があります。現在は病気自体が違うのですから、使う生薬の組み合わせも新しくつくり出さなければならないのです。
 「過去の文献は参考にはするが、実際の臨床の結果のみ信じるのだ。」という考え方による、実験的臨床経験から得られた効く生薬の組み合わせ、方剤を記述したのがこの本です。貴重な本です。
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 リナックスの基本を教えてくれる本です。しかし単にパソコンを趣味にしている者にとっては難しい本でした。私は3回読んでようやくだいたいわかりました。ネットワーキングの所は特にわかりにくく4回読み返しました。
 リナックスにはコマンドがあります。このコマンドを組み合わせてシェルスクリプトをつくります。これによっていろんな操作ができます。この本はコマンドやシェルスクリプトの説明にかなりのページ数をさいています。なかなか興味深いです。たとえば
 #!/bin/bash
 gedit リナックスコマンド.txt | sort リナックスコマンド.txt > ABC順リナックスコマンド.txt 
 とキストエディターに記入しSort_Bunsho_Sakuseiというファイル名で保存します。次に端末に bash  Sort_Bunsho_Sakuseiと記入し、Enterを押すと、テキストエディターに今つくった文書が開き、さらにコマンドをABC順に並べてリナックスコマンド.txtをコピーしたABC順リナックスコマンド.txtという新しい文書をつくります。端末にbash  Sort_Bunsho_Sakuseiと記入しさえすれば、ABC順に並べ替えた新しい文書ができるのですから、非常に簡単で便利です。この本はリナックスの素晴らしさを教えてくれる本です。
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C言語がどのようなものか基本的な理解を得ることができる本です。プログラムの基本である変数の使用法や論理演算子の使用法がわかります。また条件文、繰り返し文の基本形について丁寧に解説してくれています。関数の使用法や代表的な標準ライブラリ関数についてもできるだけ平易に説明しようとしています。比較的にうすい本であるため、短時間でC言語の概要を知りたい時に便利な本です。
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ミステリー風におもしろく読める本です。
まず人がほとんど買わないさおだけ屋がなぜつぶれないのかという疑問を呈します。いろいろ調べた結果、他の仕事をしていて注文の商品を運んでいる時にさおだけ屋をしているだけだから費用がかからないからだという結論になります。利益は売り上げー費用に過ぎず、費用が限りなくゼロに近ければ商売として成立するのです。
次に住宅街にある最低料金が1万円のあるフランス料理店は、客がほとんど入っていないのにつぶれない、なぜだという疑問を呈します。調べた結果フランス料理を教えるという副業でかせいでいるからだとわかります。一つのことだけで儲ける必要はなく、利益は関連したものとの連結で考えるべきだという教訓になります。
著者は在庫処理の方法に福袋、店長のお勧め、新装開店セールなどが使われると指摘しています。店長が勧めるのだからいいものを勧めるのだろうと単純に思っていた私はこういう側面があるのかと教えられた次第です。家庭でもいつか使うかもしれないとものが捨てられないことがよくあるが、在庫コストを考えると捨てたほうが会計学的に得になるという指摘は鋭いです。
在庫がたまることも怖いが、商品が品切れして売るチャンスを失うのも同じくらい怖いという指摘は商売というのはそういうものかと思った次第です。
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現在なされている糖尿病治療と少し違う治療法を提示していますが、興味深く読むことができます。次のようなことがわかります。
1 空腹時の時は肝臓で蛋白質や脂質からブドウ糖がつくられる。これが糖新生である。これがために人間はしばらく食べなくても低血糖にならない。インスリンはこの糖新生を抑制する。糖尿病患者はインスリンが不足しているために糖新生が活発になり空腹時血糖が高くなる。糖新生は蛋白質や脂質からブドウ糖をつくっているのだから、糖新生が活発だとやせることになる。糖尿病患者がたくさん食べてもやせていくのはこのためである。
2 余ったブドウ糖はグリコーゲンになるが、グリコーゲンが十分できると中性脂肪になる。炭水化物の取りすぎが肥満をもたらすのはこれがためである。
3 不適切なインスリン投与によって空腹時低血糖と食後高血糖を繰り返し、血糖値の変動幅が大きくなると糖尿病性網膜症の進行が速くなる。
4 血液の血糖が高いと血管壁にしみこみ、血管壁の蛋白質に化学変化を起こし活性酸素を発生させる。これがために全身の血管に障害が起こる。
5 グリコアルブミン(glycated albumin)は2週間から1ヶ月の血糖の状況を示す。HbA1cより早く大きく変動する。基準値は11〜16%である。
1.5AG(1.5-Anhydro-D-glucitol)は尿糖が増加すると排泄が増加し、血液中の量が減少する。血糖の非常に鋭敏な指標である。基準値は14μg/dL以上である。
6 糖尿病の早期では空腹時血糖は正常だが、食後血糖が高いことが少なくない。空腹時血糖だけを測定していたのでは糖尿病の早期発見が遅れる。
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私は30年前に郡司氏の本を読み、食品添加物のことは人よりよく知っているつもりでしたが、この本を読むまではコーヒーフレッシュは牛乳でできているものと思っていました。コーヒーフレッシュに牛乳は1滴も入っていないことを知りました。次のようなことがわかります。
1 添加物の毒性はネズミなどの動物実験を根拠としている。1種類の添加物を摂取した時の毒性のみを調べ、複数の添加物を摂取した時の相互作用は十分に実験されていない。ところが、私たちが日常の食品で1種類の添加物のみを摂取することはありえず、必ず複数の添加物を同時に摂取している。つまり複数の添加物を摂取した時の毒性は十分な動物実験さえもなく、人間が摂取している。
2 低塩梅干しにすると、通常の梅干しより、保存、色、食感が落ちる。これを補うために化学調味料、PH調整剤、アルコール、酸化防止剤、酸味料、甘味料が必要となる。つまり低塩にしたために添加物がたくさん増える。低塩梅干しは健康によいと言えるだろうか。
3 キャリーオーバー、加工助剤、バラ売りおよび店内で製造、販売するもの、パッケージが30平方センチメートル以下のものは添加物の表示免除がある。キャリーオーバーとは原材料に含まれている添加物である。焼き肉のたれにはしょうゆが原材料として使われるが、しょうゆに含まれる添加物は表示されない。加工助剤とは加工の際に使われた添加物だが、食品の完成の前に除去されたり、中和されたものである。パックサラダは次亜塩素酸ソーダで数回消毒されるが、次亜塩素酸ソーダは表示されない。レストランのメニューは店内で製造、販売するから、添加物は表示されない。
4 同じ目的のために使われる添加物は一括表示してよい。クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムを使用していても、PH調整剤と一括表示される。これは消費者に添加物が少ないという印象を与える。
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75

著者は図を多用したり、かみくだいた言葉で説明したりして、できるだけ平易に説こうとしています。それで小説を読みようにおもしろく、気軽に読むことができます。それでいて血液ガスの基本的な知識はきちんと入ってきます。よくできた本です。
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76

著者の自伝的な本ですが、楽しく気楽に読めます。輝かしい医学業績を持つ著者の人間味が至る所に現れています。著者はたくさんの著作があり、私もいくらか読みましたが、これは一番平易で、著者の医学の入門書としてよいと思います。
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前2書より長くやや読みにくいですが、具体例にそって述べているようです。安定した収入よりも技能と技術の習得が大事と考え、実際安定した収入を投げ出して、勉強に行くあたりは人間の生き方というものを考えさせられます。組織に属するのは知識と技能を得るためで、決して安定した収入と高給をもらうためでないというのが著者の一貫した主張です。頭ではわかってもこれを実際に実行するのは本当に氣力と根性を要することでしょう。
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含蓄のある言葉が並んでおり、非常に勉強になります。「財産とはお金が入ってくるもので、負債とはお金が出ていくものである。」という素晴らしい定義をします。贅沢な家や自動車はお金が出ていく訳だからこれは財産でなく、負債であるという著者の主張になるのでしょう。読んでおいて決して損をしない本です。
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考えさせる箴言を散りばめた本です。著者の主張はまったく正しいと思います。「私は金のために働かない。金に私のために働かせる。」というような含蓄のある言葉が並んでいます。金というものの本質を教えてくれる本です。
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病態に対して、何を考えるかが簡潔に、合理的にまとめられており、非常に役に立ちます。覚え方の欄もあり、これも役に立ちます。私は今まで読んだ医学書の中で傑作の一つと思っています。
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書いたプログラムがすべて何の問題もなく動いた人はほとんどいないでしょう。自分では問題ないと確信していたのに、実際に動かしてみると思うように動かなくて、試行錯誤を重ねてようやく正常に動くようになるというのが実情でしょう。ところがプログラムの本は文法と用法をスマートに書いてあるものが多いです。まるで何の問題もなくこんなスマートなプログラムが書けるかのようです。最初からそんなスマートなプログラムが書けるはずがないのですが。その点この本は試行錯誤している人間くささがあふれています。例えば正規表現でHTMLのタグをとりさる方法を考える所では、著者はまず s/<.*>//g という誰もが考えそうな方法を示します。ところが、その後で、それではうまくいかない例をあげます。こういううまくいかない場合もあるから、どうするかと話を進めていきます。人間くささあふれる説き方で、おもしろく読めます。
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 最初は馬鹿ていねいな説明をするなと思っていたのですが、いつのまにかC言語で難解と言われるポインタの説明も終わってしまいます。ポインタの所は、説明を読んでいる時は、フムフム、なるほど、とわかったような気になるのですが、練習問題になると、まったく解けず、コンパイルしても山のようなエラーが出て、本文を何回も読み直さなければなりませんでした。読解練習の所は他の所よりかなりレベルが高く、最初は読み流すだけになってしまいますが、後で注意深く読んで実際に入力してみると、実際のプログラミングのテクニックがわかります。
 この本は全般的にストーリー性のある展開で、おもしろく読めます。プログラミングの楽しさを教えてくれます。C言語のみならずプログラミングの入門書として最適と思います。
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C言語の文法を体系的に述べています。わからない時に調べるレファレンスとしての使い方がよいようで、通読するにはおもしろさに欠けます。出しているプログラミングの例もプログラムの断片が多く、実際にコンパイルして動くような形になっていません。
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最近飼い犬の癌が増えていると聞いたので、犬はどんなふうに治療するのかと思い読んでみました。驚いたことに犬の治療法も人間と同じなのです。犬も癌に対して三大療法(抗癌剤、放射線、手術)があります。この著者は自然療法的な治療の実践者で、農薬や防腐剤などの食材の汚染による体内汚染を重んじています。またドライフードの摂取による水分不足から体力低下が起こっているとも言います。食事では穀類や菜食を中心に少量の魚を食べさせること言います。これは人間の食事であり、犬はもっと肉食動物でないのかと私は思うのですが。犬の歯磨きを勧めているのにも驚きました。野生の動物は歯磨きはまったくしないが、虫歯はいません。虫歯の原因は歯磨きをしないこと以外にあるではないでしょうか。
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細菌と皮膚の美についての本です。人間の皮膚や大腸内によい細菌を育てることが、人間を美しくするというのが根本主張です。細菌の大切さを教えてくれる本です。皮膚がしっとりするメカニズム、黄色ブドウ球菌と皮膚の関係は、著者の主張をまとめると次のようになります。「表皮ブドウ球菌は弱酸性の脂肪酸を出す。それで表皮ブドウ球菌が皮膚に多いと、脂肪酸と人間の汗、皮脂がまじり合って乳化し、肌がしっとりとする。肌を洗いすぎると、皮脂が少なくなり、汗腺もうまく機能せず汗も出にくくなる。表皮ブドウ球菌は皮脂、汗を餌にしているので、餌が少なくなるがら、数が少なくなる。表皮ブドウ球菌が減るから、表皮ブドウ球菌のつくる弱酸性の脂肪酸も少なくなり肌はアルカリ性に傾く。それでアルカリ性に強い黄色ブドウ球菌が増え、かゆみなどのトラブルが起こる。」
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C言語のプログラムの例を書いてある本です。Windows用に書かれたプログラムですが、私はubuntu Linux上で動かしました。Linuxでは conio.h や dosh.h は include できず、当然これらを使っているものは動きませんでした。しかし参考になるものは少なくなかったです。C言語の関数や変数は何を省略したものかを明示してあるのは便利です。
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対話形式で書かた一般人を対象にした本であり、気楽に読めます。
中村天風の弟子ということもあり、その考え方は哲学的で、人間の体は合目的的な反応をしているから、無駄なものはひとつもないという考え方が根本になっています。
血圧に関して現代医学とは異なる考え方が述べられており、血圧が上がるのも、上げる必要があるから体が血圧をあげているのであって、それを降圧薬で下げるのはよくないと考えています。東海大学医学部教授大櫛洋一の見解、「降圧治療で脳梗塞の発症率が2倍になる可能性がある。」も引用されます。一般的には高血圧だと動脈硬化が進み、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞の原因となると考えられていますが、著者は血圧が関係するのは、脳出血のみであり、脳梗塞、心筋梗塞は高血圧と関係ないとします。しかしその根拠は十分に示されていません。
もう少し厳密な論理展開をしてくれるといいのにと思います。
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薬剤によるせん妄を認知症ととられて、認知症にさせれられることに警鐘を鳴らした本です。著者は、医師は薬剤によるせん妄の見きわめが十分でないから、家族も薬剤をチェックするように言っていますが、これは素人の家族には酷な話です。この役目は薬剤師などが担うべきでしょう。著者は薬害に詳しく、興味深い記述があります。
1 ランセットに2004年に掲載された論文はアリセプトを長期服用するメリットはまったくないことを示している。
2 インデラルやニトロールで血圧が下がりすぎると、気分不良となり不定愁訴が出ることがある。
3 ラシックスのような利尿剤は痛みを増強させる作用がある。
4 ボルタレンは尿量が減り、むくみが出ることがある。
5 睡眠剤を使うと死亡率が25%高まるという米国のデータがある。
6 睡眠薬や抗不安薬を服用すると、アルコールのように、昼間の判断力や記憶力が落ちてきて、イライラや不安が募り興奮しやすくなる。
7 パキシルの効き方は人によって大きく異なる。
8 パキシルはパキシルの離脱症状ともとの病気の症状が似ている。めまい、動悸、無気力、気分の落ち込みはパキシルの副作用でも出る。
9 ザンタックは経口投与すると、肝臓で半分代謝されるが、静脈注射すると、肝臓の代謝がないため、血中濃度が経口投与の2倍になる。それで経口投与を静脈注射に切り替える時は半量にする。
10 ゾビラックスはけいれんを誘発することがある。
11 チエナムとガスターを同時に使用すると非常にせん妄を引き起こしやすくなる。
12 ロイコトリエン受容体拮抗剤(オノン、シングレアなど)もせん妄を起こす。
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テレビ界に詳しい筆者がその内実を書いています。また人をはっとさせるような記述が随所に見られます。次のようなことが書かれています。
1 お笑い番組やクイズ番組はドラマやドキュメンタリー番組に比べると、3分の1から4分の1の制作費できる。制作費が安いために、お笑い番組やクイズ番組が増えている。
2 日本のテレビ番組の企画をつくっているのは、構成作家とよばれる人々で、日本のキー局の構成作家は見習いも含めて数百人である。中心で活躍しているのはおそらく20〜30人である。
3 構成作家がネタをとってくるのは、雑誌とインターネットである。英語圏の情報を集めることはしていない。
4 欧米のテレビでは何百という数の多チャンネルが見られるのが普通である。
5 学問というのは、すっからかんの時間がないとできないのです。誰にも会わず考えているのが学問ですから。
6 現代の日本人と江戸時代の日本人を比べると、労働時間では明らかに今の日本人のほうが長い。可処分所得でも、江戸時代の町人ならば、現代日本人よりもおそらく多い。
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90

ある病名、病態に対して、一つツボをあげて、その位置を示し、そのツボの効く他の病名、病態を示し、さらにそのツボの刺激法を書いています。ツボの位置の取り方は素人でもわかるようにわかりやすく説明しています。例えば扁桃腺のはれや痛みに効果があるとされる尺沢は、手のひらを上に向けて腕を軽く曲げてから、肘をピンと伸ばした時に肘のしわの中央にできるくぼみにあると説明されます。偏頭痛に効果のある関衝は薬指の爪の生え際ラインの小指側にあると説明されます。つぼの取り方のわかりやすい説明が印象的です。
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実体験に基づいた記述であり、強烈な印象を与えます。検察組織の内部を知るのによい本です。逮捕された前田恒彦検事が著者の詐欺事件を担当しています。次のような記述がなされています。
1 検察の捜査の体質が権力体制と企業社会を養護するためのものだ、つまりすべて国策捜査である。
2 検察庁には捜査予備費があり、検察庁全体で2億円から3億円の予算がある。事件を処理するたびにその中から特別報奨金が各地検に配られる。被疑者を1人起訴して公判請求すれば5万円、略式起訴なら3万円、起訴猶予でも1万円である。これが地検幹部の小遣いになる。選挙違反は逮捕者が多いから特別報奨金が多くなる。それで選挙違反を好んであげる。
3 中央官庁や国会議員の汚職事件は検事にとって至上の喜びである。
4 被疑者にとっては供述調書をとられたらアウトである。
5 狭い拘置所の取調室で被疑者に同じことを毎日教え込むと、相手は教え込まれた事柄と自分自身の本来の記憶が錯綜し始め、最後には教えられたことをさも自分自身の体験や知識のように自慢気に話し出す。
6 取り調べは検事と被疑者と事務官だけの空間である。すると犯人も検事が味方のように思えてくるらしい。
7 気に入らない先輩検事が主任として扱っている事件では、被疑者の調書をとらない検事もいる。
8 大阪では検事正が検察庁を退官して弁護士になる時、住銀と読売新聞が責任を持って何十社に及ぶ顧問先をつける。
9 特捜部では捜査に着手する前に主要な被疑者や関係者を任意で何回か調べ、部長、副部長、主任が事件の筋書きをつくる。捜査段階で違う事実が出ても筋書き通りの捜査をやって事件を組み立てようとする。
10 取り調べで黙秘し嘘をつき通すのが被疑者となった時有利にするテクニックである。
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私が今まで糖尿病に関して読んだ本で一番よい本であり、素晴らしい本です。食事療法と運動療法で血糖はコントロールできるし、血糖降下剤による見かけ上の血糖のコントロールより合併症になりにくいという主張が根本にあります。次のようなことが書かれています。
1 食後30分ほど歩くだけで血糖は下がる。食後2時間の血糖が140ミリグラム以下になって寝るようにして、夜間の血糖を低くコントロールするとヘモグロビンA1cを低く保ちやすい。
2 たいていの患者は高血糖が発見されるまで数年の高血糖の期間があるはずだから、合併症がないなら、すぐに薬で血糖を下げなければならないほどの緊急事態でない。
3 日本人は穀物、野菜、海藻、糖類を中心とした食生活をしてきたが、戦後急激に肉や油脂類の摂取量が増えた。このことが体に代謝異常を引き起こしていると考えられる。
4 1999年4月までは、糖尿病の定義は空腹時血糖が140mg以上であった。ところが同年5月から126mgに引き下げられた。これはアメリカの糖尿病学会が7mmol以上を糖尿病とみなすことに倣ったのである。これで糖尿病患者が何百万人も増えたと考えられる。日本人を含むモンゴロイドは人種的に血糖が上がりやすい遺伝子をもっているからこの基準が日本人に妥当かどうか疑問である。
5 過食や運動不足が長年続き、肥満となり、ついにある一定の水準に達すると、過労状態の膵臓機能の衰えはもう元に戻らなくなる。一番悪いのは、生活習慣を変えずに、今まで通りの過食、運動不足、不規則な生活を続け、薬を飲んで血糖を下げて安心していることである。何年か後には重篤な糖尿病の合併症が起きることになる。
6 糖尿病の合併症のリスクはヘモグロビンA1cが9%ぐらいから急激に上がる。6%台なら合併症のリスクはほとんどない。7%台でも数パーセント上昇する程度である。
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コレステロールと中性脂肪について、種々のデータ分析や欧米の基準などを根拠にして、現在日本で行われている脂質異常症治療の問題点を指摘したものです。説得力のある記述であり、納得のいく論理展開がなされています。脂質異常症と診断された方は必読すべき本でしょう。次のようなことが書かれています。
1 1995年以降に発表された5つの論文のデータをメタ解析すると、男性では総コレステロールの高いほど死亡率は低くなり、総コレステロールが240以上が一番死亡率が低い。女性では男性ほど総コレステロールと死亡率の関係ははっきりしないが、総コレステロールが160未満では有意に死亡率が高くなる。
2 神奈川県伊勢市の男性8575人、女性1万3751人を平均6.7年追跡し、総コレステロールと総死亡率、原因別死亡率の関係を調べると、男女とも総コレステロールが高くなるにつれて総死亡率は低くなる。
3 日本人でコレステロール低下薬を必要とするのは、人口の0.2%にあたる家族性高脂血症の人、心筋梗塞の既往がある人、男性で糖尿病のような血管に持続する炎症のある人に限られる。ただし血管に持続する炎症があっても、たばこ、トランス脂肪、高血糖、ストレスを避ける生活をすれば、コレステロール低下薬は不要である。
4 米国ではLDLが190mg/dL以上で心筋梗塞を予防するため薬物療法を開始する。生活習慣の改善目標は160mg/dL未満である。日本の特定健診では、120mg/dL以上を保健指導とし、140mg/dL以上を受診勧奨とする。140mg/dL以上で薬物療法を開始し、120mg/dL未満を生活習慣の改善目標としているのである。日本の基準の異常さがわかる。
5 卵、特に黄身はLDLの多い食品の代表だが、卵の摂取量が多い人でもLDLは高くない。肝臓でのLDLの製造が必要に応じて調整されるからである。
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糖尿病の新しい知見を紹介しています。興味深く読むことができます。次のようなことが書かれています。
1 ランセットに2010年1月27日に掲載された論文で、インスリンと2種類の経口薬で治療を受けている48000人を20年近く調べた所、死亡率が最も下がったのは、HbA1cが7.1%であった。HbA1cが6.0%まで下がると死亡率は52%上昇した。
2 2型糖尿病はインスリンの量が足りないことよりもインスリンの効きが悪いこと、つまりインスリン抵抗性が問題である。
3 pioglitazone(商品名 アクトス)はmetformin(商品名 メルビンなど)より31%〜39%死亡率が低下する。SU剤はmetformin(商品名 メルビンなど)より死亡率が24%〜61%増加する。つまり経口薬では、pioglitazone(商品名 アクトス)、metformin(商品名 メルビンなど)、SU剤の順で死亡率が低下する。
4 インスリン治療は経口薬より死亡率が49%増加する。
5 間食をすると膵臓は休むべき時間に休めなくなってしまう。糖尿病の食事療法では、食べる量よりも間食をしないことが大事である。
6 2007年にスイスで行われた120万人を対象とした研究では、喫煙者は非喫煙者より1.44倍糖尿病になりやすく、たばこを1日に20本以上吸うヘビースモーカーは非喫煙者より1.61倍糖尿病になりやすいという結果であった。
7 インスリンや血糖降下薬のため、低血糖になりうつ病になることがある。
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皮膚の主な疾患について噛み砕いた言葉で解説しています。内容は決してレベルが低くないのですが、おもしろく読むことができます。次のようなことが書かれています。
1 ひどいやけどをすると、角層がなくなるため、水の蒸発が防げず、体液が失われる。だから輸液をして、水分を補う必要がある。
2 角層に細菌、ウイルスを塗りつけたとしても、中に入っていくことはできない。
3 健康な皮膚から有機溶媒で数分間、皮脂や角層細胞間の脂質を抽出すると、白っぽい、かさかさした肌荒れがつくれる。こういう皮膚は水につけると可溶性のアミノ酸類も水に溶け出し、ますます荒れる。強力な洗剤や石けんでも同じような作用を示す。
4 手術前に手を消毒し、殺菌剤の入った石けんで手を洗って皮膚の細菌を減らしてから滅菌手袋をはいても、2時間も仕事をしていると、手の菌はもとの状態にもどってしまう。
5 太陽の光が弱くて、紫外線が弱い北欧などに住む人は、紫外線を遮るメラニンはビタミンDの産生を邪魔するので、色が白い方が生存に適している。短い夏の間に裸になって日光浴をするのも、紫外線が弱く日焼けも起きにくい北国であれば理解できることである。しかし日本の夏や熱帯地方で肌を日に焼くのは愚かなことである。
6 アレルギー性接触皮膚炎は接触しているものを疑わない限り原因はわからない。
7 アトピー性皮膚炎で掻いてじくじくした湿疹のある皮膚面には、健康な皮膚にはすめない病原性の高い黄色ブドウ球菌やβ溶血性連鎖球菌が繁殖する。こういう細菌からはスーパー抗原が分泌されるので、Tリンパ球を刺激し炎症を激しくする。それで環境抗原が侵入しやすくなる。
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 著者は病気を3つに分類しています。
1 医者がかかわってもかかわらなくても治る病気
2 医者がかかわってはじめて治る病気
3 医者がかかわってもかかわらなくても治らない病気
カテゴリー1に分類される病気は薬はいらないとします。またカテゴリー1が病気の9割を占めているとします。高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満症、メタボリックシンドローム、痛風、便秘症、不眠症、腰痛、膝痛、頭痛、抑うつはカテゴリー1とします。著者はカテゴリー1の病気は患者自ら薬をやめることを勧めています。
 ただ自分の病気がどのカテゴリーになるのか患者ではわかりにくい所があります。1型糖尿病のインスリン、膠原病のステロイドなどやめるのが危険な薬もあり、やめることができる薬かどうか判断するにはそういうことに詳しい医者のアドバイスが必要なのでないでしょうか。
 著者は自己治癒力を重んじます。次のように記述します。「メタボリックシンドロームはただの食べ過ぎと運動不足というだけであるが、薬を飲むと検査結果が改善されるため、治ったような錯覚に陥り、自分で食べ過ぎ、運動不足を解消しようとしなくなる。原因が取り除かれないのだから、自己治癒力、免疫力は低下し、最終的に癌になるようなことが起こる。」単に薬を飲んで、症状がなくなり、検査値が改善して治ったと思っていることに強い警鐘を鳴らしています。 傾聴すべきことだと思います。
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著者は人間の体が自分で自分の体を治す自己治癒力を重んじます。自己治癒力を高める方法として次の14項目を提示しています。
1 前屈みの姿勢をやめる。前屈みでいると交感神経が優位になり、呼吸が小刻みになる。
2 時々ゆっくりと深呼吸をする。大きな呼吸は心と体をリラックスさせる。
3 食にこだわる。穀物、野菜、果物、海草類、きのこ類、発酵食品、魚類を積極的に摂取し、塩分、白砂糖、加工食品、外食を控える。旬のもの、地産のものをとり、大食をしない。
4 便秘に気をつける。便秘は腸内環境が好ましくない指標になる。
5 天然サプリメントを活用する。食材の栄養素が低下しているからである。
6 爪もみをする。指の爪の生え際を他の手の親指と人さし指で少し強くもむ。自律神経を整える効果がある。
7 ツボを刺激する。自律神経を整える。
8 温冷浴をする。湯船につかった後シャワーで水を浴びることを交互に3〜4回繰り返す。温浴から始め冷浴で終わる。自律神経を整える。
9 ふくらはぎをマッサージする。たまっている血液を心臓にもどす効果がある。
10 易筋功をする。易筋功はマッサージの一種である。
11 1日に6000歩歩く。動かないと自己治癒力は顕著に低下する。
12 7時間睡眠を取る。自己治癒力は眠っている間に修復され強化される。
13 海外旅行と読書をする。感動やカルチャーショックはリンパ球の数を増やす。
14 薬は控えめにする。薬は自己治癒力を低下させる。
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統計の問題点を指摘しています。興味深い指摘です。次のようなことが書かれています。
1 2008年の日本の死亡事故発生率は飛行機で0.009であり、自動車で0.198であると言われる。自動車の事故発生確率は飛行機の21倍になる。しかし注意すべきは延べ移動距離(利用者数×移動距離)を分母にしていることである。利用者数を分母にすると死亡事故発生率は飛行機が0.0000072、自動車が0.00000256になる。自動車の事故発生確率は飛行機の35.6%である。何を分母にするかで結論が変わってくる。この場合は利用者数を分母にするほうが適切である。
2 日本には、北京オリンピックの日本への経済効果は約6158億円、野球日本代表WBC連覇の経済効果は約505億円、城島健司捕手が阪神入りしたことによる経済効果は約111億円、ゴルフの石川遼選手の活躍による経済効果は約341億円などと、イベント開催等にまつわる経済効果のレポートが多い。しかしこの手の試算では、個々の家庭の予算制約が全く考慮されていない。おみやげ代、宿泊費、交通費というイベント関連の消費が増えたとしても、各家庭の収入が増えていない場合は、イベント関連で散財した分を他の消費を抑制しようとすることで取り戻そうとする。だから全体として見ると消費額はほとんど変わらない。
3 関東大震災の犠牲者は死者、行方不明者14万2千人というのが定説となっていた。しかし2003年に行方不明者10万5千人余りに訂正となった。これは性別すら判定できない焼死者が約3万7千人おり、この焼死者は死者として記録されたが、焼死したことを知らない親族は行方不明者として捜索願を出した。それで3万7千人を死者、行方不明者で2回数えたことになっていたため、実際は3万7千人少ない10万5千人が正しかった。
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 植物油が動物性脂肪より体によい、LDLコレステロールが高いことは体によくないという医学界の常識を完全に否定したきちんとした学会のガイドラインである。驚きを禁じ得ない。患者に対する治療はほぼ確実な根拠に基づかねばならず、論争する余地があるようなあやふやな根拠では治療を押し進めることはできない。従来の食事療法、脂質異常症の治療を根本的に変えるガイドラインである。次のようなことが書かれている。
1 2004年に臨床試験の公明性を確保するため欧米で新法が施行され、新法にそい企業と直接の利害関係のない研究者によって行われた臨床試験では、スタチン類はLDLコレステロール値は下げるが心疾患予防には効果がないことが明らかになった。
2 中性脂肪に対する欧米の薬物治療検討基準は家族制高脂血症が疑われる場合を除き1000mg/dL以上である。
3 脳卒中はコレステロールや動物性脂肪摂取の多い群、血清脂質レベルの高い群ほど発症しにくく、発症しても脂質レベルの高い群が予後がよい。
4 循環器学会のガイドラインでは加齢(男性45歳以上、女性55歳以上)を一つの危険因子として、コレステロールの基準値を20mg/dL低くしているが、そのような根拠となるものはない。逆にコレステロールの心疾患に対する相対危険度は加齢とともに低下する。
5 高リノール酸植物油の摂取を増やし、動物性脂肪とコレステロールの摂取を減らすという従来の栄養指導はむしろ心疾患、癌などを増やす危険性が極めて高い。
6 多くの植物油はリノール酸/α-リノレン酸の比が高すぎるか、動物に出血性促進、腎障害、発癌促進などの有害作用を示し、人に安全であると考える根拠は見あたらない。
7 動物実験ではリノール酸、アラキドン酸などのω6系脂肪酸が発癌を促進し、ω3系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)が発癌を抑えることがほぼ確実となった。
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著者はトリプトファン、メチオニンというアミノ酸を補うことで抗うつ薬と同等かそれ以上うつが改善した臨床例が欧米でたくさん報告されていると言い、食事に気をつけることで、うつが改善すると主張します。ただ〜を多く含む食材に挙げられるものが、出てくる度に違っていたりで、少しまとまりに欠ける記述です。その機序の説明も納得できないような所があります。しかし食事の精神への影響を説いたことは卓見だと思います。次のようなことが書かれています。
1 玄米ご飯に納豆、野菜の多い味噌汁は理想的な朝食である。GI値が低く、蛋白質、ビタミン、ミネラルもカバーしている。
2 うつにはセロトニンの不足しているものがある。こういううつを治すにはセロトニンを補えばいいのだが、セロトニンはトリプトファンからつくられるから、トリプトファンを補えばよい。ただしトリプトファンをセロトニンに変換するのにビタミンB6とビタミンCが必要である。
3 トリプトファンの多い食材 豆腐、ゴマ、ピーナッツ、アーモンド、バナナ、マグロ、カツオ、チーズ、牛乳、牛肉、豚肉、レバー、卵
3 イライラする時は、スルメをひとかじりする。スルメにはタウリンが多いからイライラが解消される。
4 ヒスタミンは脅迫されたような感じ、泣きたくなるような感情を発生させる伝達物質である。メチオニンは脳内のヒスタミンを下げる効果があり、気分を高める。罪悪感、自殺衝動、無気力といううつの症状を改善する。
5 シジミの味噌汁は大豆のメチオニンとシジミのビタミンB12を同時に摂取できる天然の抗うつ薬である。
6 魚油を添加した食事を子豚に与えた実験では、実感開始より18日後には子豚の脳のセロトニンレベルは2倍になった。
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食中毒菌についての説明と対処の仕方が書かれています。有益な情報を与えてくれます。次のようなことが書かれています。
1 細菌が出す産生物質は他の菌が増えないようにする役割がある。だから何かの菌が増えていると他の菌は増えにくくなる。洗浄力の高いもので体を洗いすぎると、体の常在菌を殺してしまう。常在菌がいなくなると、他の菌が侵入しやすくなる。
2 黄色ブドウ球菌が食品の中で増えてある量になると、エントロキシン(エンテロトキシン)という毒素ができる。エントロキシンは沸騰してもなくならず、エントロキシンのある食物の味がおかしくなったり、においが悪くなることもない。
3 空腹時にヨーグルトを食べてもビフィズス菌と乳酸菌は胃酸で殺されてしまう。満腹の時は食べた食品で胃酸が薄まる。それで食後にヨーグルトを食べると多くのビフィズス菌と乳酸菌が生き残って胃を通過する。
4 大便の後、紙でおしりをふくと便は紙に残るが、細菌は小さいから紙の目は楽に通過し、手につくことになる。細菌が手につかないようにしようと思えば、普通のトイレットペーパーで36枚重ねる必要がある。
5 腐敗菌が増えている食品では、食中毒菌は増えることはできない。食中毒菌が増えている食品では、腐敗菌は増えることができない。つまり食中毒菌が増えていても、腐敗臭はしない。
6 腸炎ビブリオ菌は0.3〜3%の塩水を好み、真水では死んでしまう。濃い塩水でも死んでしまう。熱には非常に弱い。魚をさばいた後、手、まな板、包丁を真水でよく洗えば腸炎ビブリオ菌は死ぬ。
7 ボツリヌス菌は嫌気性菌だが、空気にあたっても死ぬことはなく、仮死状態となるだけである。熱では死なない。その毒素は猛毒である。
8 消毒薬も頻繁に使うと抗生物質と同じで耐性菌が出てくる。
9 菌は水分がなければ生きていけない。床が乾いておれば、空気中の菌が落ちても、菌は生きていけない。
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102

薬の副作用に関する再現ドラマを記述し、薬の副作用のメカニズムをできるだけわかりやすく説明しようとしています。おもしろく読むことができます。次のようなことが書かれています。
1 カルシウム拮抗薬の副作用にうつ症状、眠気、だるさがある。
2 スタチン製剤で黄紋筋融解症が起こり、こむら返り、腰に力が入らない、だるさがでることがある。
3 中枢神経ではヒスタミンは意識を保つのに重要な働きをしている。抗ヒスタミン薬は中枢神経のヒスタミンレセプターもブロックするため、眠気が出る。
4 鎮痛薬はシクロオキシゲナーゼを抑制し、プロスタグランジンの産生を抑える。プロスタグランジンは痛みの原因物質であるから、プロスタグランジンが少なくなると、痛みが抑えられる。しかしプロスタグランジンは胃粘膜の保護もしているから、胃粘膜が胃酸に負けて潰瘍ができやすくなる。
5 片頭痛の薬であるトリプタン系製剤の主な副作用は胸部圧迫感と胸部苦悶感であり、狭心症のような症状がある。トリプタン系製剤による胸部症状は喉のあたりをジワッと押されるように感じる。
6 低血糖で脳の機能が低下すると麻痺が出現し、脳卒中と間違われることがある。左脳は右脳より代謝が大きいので、低血糖で左脳の機能低下により右片麻痺が出現することがある。
7 妊婦が経口糖尿病薬を内服すると胎盤を通過し胎児が低血糖になってしまう。だから妊婦の高血糖には胎盤を通過しにくいインスリンを用いる必要がある。
8 プロスタグランジンはアラキドン酸からつくられる。解熱鎮痛薬によって、プロスタグランジンの産生が妨げられると、余ったアラキドン酸はロイコトリエンになり、ロイコトリエンが喘息を誘発する。
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「韓国がパチンコを禁止した」ことと、「多くのパチンコ依存症の被害者が無視され、犯罪の多発や自殺者増加の原因にもなっている。」を根拠にパチンコは禁止すべきであると主張する本です。しかし「日本にはパチンコ、競馬、競輪、オート、ボート、宝くじ、サッカーくじがあり、すでに賭博共和国である。」であり、他のギャンブルも同様に犯罪の多発や自殺者増加の原因になっているでしょうから、パチンコだけ禁止するのは不公平と感じられました。著者の言うように「韓国でパチンコを禁止した」という報道がなされなかったため、私もこの本を読むまで韓国でパチンコが禁止されていることを知りませんでした。次のような興味深い記述があります。
1 人間は転ぶことが恥ずかしいのではなくて、起き上がれないことが恥ずかしいのです。
2 今やパチンコは年金生活者と主婦がターゲットになっている。
3 パチンコで月100万円負けるのは珍しくもなんともない。
4 学校で子供が給食費が払えなくなるケースはパチンコで負け続けている母親に多い。
5 パチンコ依存症の人は100万人を超える。
6 先進主要国でカジノが合法化されていないのは日本だけである。
7 テレビや新聞はCM提供者には弱い。だからパチンコ業界は売上げに大して効果が見込まれないのに、パチンコ台の新聞広告やテレビCMに大金をかける。
8 数千人の利益のために数百万人を泣かせる行為がパチンコである。
9 かつては一般朝刊紙には自主規制があって風俗、ギャンブル、アダルト関係の広告はしなかった。パチンコ広告の先鞭をつけたのは読売新聞で、2006年3月に初めてパチンコの全面広告を掲載した。続いて朝日新聞が2006年8月にパチンコ台の全面広告を掲載した。
10 パチンコ機械の業界大手SANKYOの2010年3月期の広告宣伝費は67億9千万円である。
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著者の随筆集です。有益な情報があります。次のようなことが書かれています。
1 日本全体の生活保護者は増加の一途をたどり、100万世帯の大台を突破して久しくなる。投じられる税金は防衛予算の半分を軽く超え、3兆円の大台に乗る勢いである。
2 現在日本に無年金の高齢者は約77万人、その4人に3人が生活保護で暮らしている。
3 日本の公的年金は物価上昇率 1%、賃金上昇率 2.5%、利回り 4.1%という前提の下で成り立っている。
4 民間企業に勤める人の約4割が税込み年収で300万円を下回っている。フルタイムで働く男性のみに限っても、22.3%が年収300万円以下である。民間企業勤務者4587万人のうち1068万人が年収200万円以下である。
5 年間の国民医療費は35兆円であり、75歳以上の高齢者の医療費は10兆円を超える。日本のすべてのサラリーマン、OLの所得税総額は10兆円に満たない。
6 国民年金の未納率を計算する時、過去2年間に1回でも掛金を納めていれば納付者と扱われる。7失業率を計算する時、あきらめて求職活動をしなくなれば失業者に含まれない。
8 消費者物価指数の計算では、パソコンやデジタルカメラは同じ価格であっても性能が倍になれば、価格は半額になったとして計算される。
9 「事件への関心は極めて高く、裁判所には傍聴券を求める長い行列ができた」という記事は誤解を招く。正確には、「事件への関心は極めて高く、裁判所には傍聴券を求めるマスコミのアルバイトなどの長い行列ができた」である。マスコミも取材のために傍聴券が必要である。足りない傍聴券は一般の傍聴希望者とともに抽選を受ける。それでアルバイトを雇うことになる。予想当選確率が10倍で傍聴券が5枚必要な時は、10×5=50人のアルバイトを雇う。これを10社がやると500人になるから、裁判所を取り囲む行列になる。
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田舎の小さいスーパーにもかかわらず全国から研修に来るというスーパー「さいち」を経営する社長の経営哲学である。参考になることが多い。次のようなことが書かれている。
1 私は問屋さんとは価格交渉はしないのが原則である。問屋さんに言うのは「納得のいく商品をおたくの信頼関係においてお願いします」と言うだけである。同じものでもA級品とB級品がある。仮にA級品が100円、B級品が80円の価値だとする。100円のA級品を持って行っても80円に値切られる。それなら最初からB級品のものを100円と言って持って行けば80円に値切られてもいいやということになってしまう。B級品を使って商品をつくれば、当然A級品を使ったものより質が落ち、結局商品は売れなくなる。売れないから利益を確保するために原価を下げようとますます値切るという悪循環に陥る。
2 ほとんどの店は惣菜は最初から売れ残ることを想定してロスを原価に折り込んでいる。しかし最初からロスを見込めば、その分値段を高くつけなければ利益がとれない。値段を高くつけると、お客様は買いにくくなり、ますます売れ残りやすくなる。もっと恐いのは、従業員の中に「ロスを見込んであるんだから、少しぐらい売れ残っても大丈夫だ」という気の弛みが出てきてしまう。
3 チラシを出せば、その日の売上げは普段より少し高くなるが、チラシの経費で飛んでしまう。また売れるのは安いものばかりだから利益は上がらない。さらに安いというだけで来るお客はお得意様にならない。よその店が安ければそちらに行ってしまうからである。
6 専務は料理の先生について教わった経験はまったくない。ある特定の先生に師事すると、結局その先生の範囲内で終わってしまう。「うちはどこそこの有名な先生に教わりました」と言って売りつけると、創意工夫はその段階でストップしてしまう。お客様に喜ばれるものができるはずがない。
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著者は人間通であり、鋭い人間観察が見られます。人間の心理に立脚して、人間関係の潤滑油になる会話の仕方を説いています。次のようなことが書かれています。
1 聞き手は話し手の気持を一つ一つ言葉にして反応して聞く。相手の気持ちを十分に引き出した後に質問をする。
2 会話は続けること自体に意味はない。お互いの話から様々な感情を呼び起こしてそれに浸ることに意味がある。
3 人間は本来人に注目されたいものであるし、話題の中心になりたいものである。だから多くの人はプチ不幸話を得意そうに話す。
4 相手の強い思いがこもった言葉を受け取った時や相手の話で何か強く感じた時は瞳ピントを使う。瞳ピントを外したあとも、視線は相手の顔にあるようにする。顔から視線が外れると、相手の気持ちは受け取れないし、自分の気持ちも届かない。
5 自分の気持ちを表現すると、相手も素直に自分を見せてくれる。気持は少しオーバーなくらいに表現する。
6 人の話を聞いて感じるところがあれば共感の言葉を送る。
7 相手の話を聞いて、情景をイメージしながら、質問していく。質問ができるのは、イメージする力から生まれる。映像がガラッと変わる感じでイメージを変化させると質問の数も増えていく。
8 女性同士は男性同士よりも楽しそうに話す。女性はいつも気持ちについて話すから楽しくなる。
9 会話のうまい人は、会話の登場人物同士の会話についての質問や気持ちについての質問が多い。
10 普段当たり前になっていることも見直してみると、誰かの小さな気遣いに気づく。小さな気遣いに感謝の気持ちを伝える。
11 他人の苦労を察して言葉にして伝える。
12 自分の弱さを表現できる人の方が好かれ、親しみを持たれる。
13 仕事でもプライベートでも、おわびする時は、何を申し訳なく思っているかを具体的に伝えると許してもらいやすくなる。
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日本人は昔は牛乳を飲んでいなかったため、牛乳は日本人には合わず、飲むべきでないということは以前から言われていました。しかし牛乳を昔から飲んでいるアメリカでこういう本が出されるとは驚きです。次のようなことが書かれています。
1 慢性的に下痢をしている子供の原因は牛乳アレルギーである。
2 ネフローゼの子供の食事から牛乳を除去したところ、蛋白尿がすぐに治まり、かなりの改善が見られた。
3 コレステロール値とアテローム硬化は肉、牛乳、乳製品と直接的な因果関係がある。
4 1930年代にシカゴで2万人以上の乳児を対象に3群に分け、第1群は生後9ヶ月間母乳だけで育てた。第2群は母乳にミルクを足して育てた。第3群は煮沸した牛乳に砂糖を混ぜて飲ました。生後9ヶ月間で第1群と第2群を合わせた死亡率は1000人につき1.5人であったが、第3群は1000人につき84.7人であった。第3群は消化器の感染症の死亡率が40倍、呼吸器系の感染症の死亡率が120倍であった。
5 アメリカ人は807mgのカルシウムを牛乳から摂取する。スペイン人は308mg、ブラジル人は250mg、台湾人は13mg、ガーナ人は8mgである。台湾人やガーナ人が骨折を繰り返したり、寝たきりになっているわけではない。
6 多くの牛乳にはプロゲステロンが混入している。プロゲステロンはアンドロゲンに分解されるが、アンドロゲンはにきびの一因に挙げられている。
7 多発性硬化症は牛乳の平均的消費量とだけ密接な関係がみられる。
8 未成年犯罪者は未成年の非犯罪者に比べ10倍も多く牛乳を飲んでいる。また未成年犯罪者は野菜や果物をあまり摂っていない。
9 不眠、不安、抑うつは食物によって引き起こされる。牛乳がこういう症状を一番起こしやすい。
10 子供が落ち着かず動く回る場合、牛乳が原因であることが多い。
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腰痛のもろもろの治療法が書かれています。参考になります。次のようなことが書かれています。
1 S字状の背骨をしっかり支えているのは背筋や腹筋などの筋肉である。腰痛症はいわば腰の筋肉痛である。
2 ギックリ腰の時は1〜2日ほどは、患部を冷やす。筋肉のけいれんがとれて痛みが少し楽になる。冷やすには氷をビニール袋に入れたものや冷湿布薬を使う。その後は患部をあたためる。あたためると腰の筋肉の血行がよくなり、痛みの原因となっている炎症性物質が吸収されるため、さらに楽になる。楽なほうを下にして横向きに寝る。背中を丸めて腰を深く折り、エビのように丸まるのが腰に負担が一番かからない。
3 人さし指と中指、薬指と小指を大きく開き、その間を親指で押さえながらさぐっていくと、大きな骨にぶつかる所が腰腿点である。これは伝統的なツボでなく、現代中国医学が見出したツボである。腰痛の時は、人さし指と中指の股、薬指と小指の股から腰腿点にかけて、手の甲側に親指、掌側に人さし指または中指をあてて手をはさむようにして、圧痛が強いほうの手を中心に1〜2分もむ。腰がすっきりし楽になる。
4 腰が痛い時は腎兪に骨かと思うほどの固いしこりがある。左右の腎兪を親指で10〜20秒間押して、10秒休むということを10〜20回繰り返す。腎兪は左右の肋骨の下端の位置で背骨から2横指外側である。
5 運動不足で下腹がたるむと、腹筋の働きが非常に弱まるので、背筋の負担が増え、背中から腰にかけての筋肉が慢性的に硬くこる。これが腰痛の原因になる。
6 洗濯ばさみで指の先をつまむだけで腰の痛みがすぐにやわらぐ。
7 やわらかい寝具は背中と骨盤が沈むため、腰椎の前弯を強めてしまい腰痛が起こりやすくなる。
8 水中歩行は無理なくできて、腰痛に確実な効果がある。
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この本は「医者には、あなたの病気を治すことはできません。」から始まります。プロフィールを見ると、予約が3年待ちの人気医者であるとのこと。一体何を書いてあるのだろうと思い、読んでみました。参考になることは少なくありません。次のようなことが書かれています。
1 どんな患者にも同じ医療を提供しようとする現代医学の基本姿勢は疑問に思う。
2 癌は紫外線、ダイオキシン、ウイルスなどによって傷つけられた遺伝子が発現することで発生する。しかし人間の体は発生した癌を修復する自己治癒力を持っている。年齢を重ねると免疫機能をはじめとする自己治癒力が低下してしまい、発生した癌を修復しきれなくなって癌になる。
4 朝早く起きて朝日を浴びるとセロトニンの合成が進む。セロトニンはトリプトファンから合成される神経伝達物質で人間の精神活動に大きく影響し、うつ病や神経症などの精神疾患にかかわっている。
6 小腸の消化機能が落ちれば、食べ物は十分に消化されないまま体内に取り込まれる。それで食べ物が異物と認識され抗原抗体反応が起こる。最近ではこれがアレルギーの原因でないかと考えられている。アメリカではアレルギーにヨーグルトがよいと言われる。腸内の善玉菌を増やし小腸の消化機能を高めることが目的である。食物を十分に分解することで、異常な抗原抗体反応をなくそうとしているのである。
自己治癒力を高めるヒントとして次のようなことをあげます。
1 体を温める。
 冷えは免疫や代謝の力を低下させる。
2 適度なストレスをかける。
 適度なストレスは自己治癒力を維持するために必要不可欠である。
3 安易に薬を使わない。
 西洋医学で処方される薬はほとんどが症状を抑えているだけである。病気の原因を根本的に治しているものでない。
4 ボディワークをする。
 マッサージのような方法である。
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王振国がつくった抗癌漢方薬天仙液について説明する本である。天仙液の宣伝のような所も少しあるが、癌に対する日本ではあまり使われていない新しい薬の紹介である。
天仙液の構成生薬は、冬虫夏草、黄耆、霊芝、人参、白朮 山薬、珍珠 女貞子 甘草 天花粉 百花蛇舌草 青黛 猪苓 我朮 枸杞子 天南星 半枝蓮
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 反原発の立場に立つ原子力の専門家が、福島原発事故などに関して尋ねられたことに対して答える形で、自説を述べたものである。私は新聞やテレビで報道されたことぐらいしか福島原発事故に関して知らないが、別の側面を教えてくれる本である。次のようなことが書かれている。
1 福島原発事故では広島原爆の100発分を超える量のセシウム137がすでに環境にばらまかれた。
2 今日の標準の電気出力100万キロワットの原子力発電は、電気になっている分が100万キロワットという意味で、原子炉の中では、300万キロワットの熱が出ている。発生している200万キロワットの熱は使うことができず、海水に捨てられている。1秒間に70トンの海水をひきこんで、熱を捨てるため、ひきこんだ海水は温度が7度上がる。1秒間に70トンの流量がある河川は日本に30もない。原子力発電所の中に大河が一つできて、その大河の温度は周囲より7度高いのである。7度も温度が上がると、生物が生きることは、難しくなる。原子力発電は環境破壊の原因となっているのである。
3 原子炉を動かせば、放射性物質そのものが発生させる崩壊熱が出る。ウランの核分裂反応を止めることは、比較的容易だが、この崩壊熱は止めることができない。
4 今すぐ原発をすべて廃炉にしても、電力的に生活の質は落ちない。
5 火力発電をするには、燃料費を払うことになるが、その燃料費のことを考えても火力発電は原子力発電よりも安くなる。
6 プルトニウムは人類が経験した最悪の毒物と言われ、100万分の1グラムを人間が吸い込むと、肺癌で死ぬ。高速増殖炉もんじゅを動かすにはこのプルトニウムが何十トンも必要である。
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若い頃武谷三男氏の本を読んだことがあるが、それから長く原子力発電のことは、あまり気にせずに過ごしてきた。今回福島原発事故が起こり、小出氏のこの本を読み、改めて原子力発電の愚かさを知らされた。原子力発電推進派は、小出氏が指摘している原子力発電の種々の負の面にきちんと反論ができるのだろうか。反論ができないなら、原子力発電は即刻やめるべきだろう。小出氏は次のような原子力発電の負の面を列挙する。
1 プルトニウムは毒性が高い上に、半減期が2万4千年と長い。1000分の1になるまでに、24万年もかかる。何十万年もの間そういう危険なものを管理し続けることができるだろうか。
2 最小限の被曝量であっても、人間に危険を及ぼす可能性がある。
3 ウランを燃やせば、死の灰と言われる核分裂生成物ができる。現在日本には、広島原爆の80万倍の死の灰がたまっている。この処理をどうするのか。
4 電力会社は資産に報酬率をかけた利潤を得ることができる制度になっている。資産が大きければ、利潤も大きくなる。原発1基をつくると5000億円資産が増える。当然利潤も増える。これが電力会社が原発をつくろうとする大きな理由である。
5 大島堅一教授の試算だと、kWh当たりの発電コスト(単位 円)は一般水力 3.98 火力 9.90 原子力 10.68 であり、揚水発電のコストも考えると、原子力は12.23になる。
6 原子力発電は発電時には、二酸化炭素を出さないが、ウランの採掘、精錬、濃縮、加工は、化石燃料でなされるので、たくさんの二酸化炭素を排出する。
7 原子力発電は原子炉で発生する熱をすべて発電に使うことはできず、3分の2もの熱を海に捨てている。海水をを引き込んで海に捨てているが、熱のために海水が7度上昇する。、現在日本の54基の原子力発電所を合わせると、1年間に約千億トンの7度高い海水を海に放出している。日本の全河川の1年間の総水量は4千億トンである。河川の4分の1もの7度高い海水を放出すると、環境への影響が無視できない。
8 ウランは利用できるエネルギー量換算で石油の数分の一、石炭の数十分の一しか地球にない。しかも高速増殖炉を中心とする核燃料サイクル計画は破綻している。ウランが石油よりも先に枯渇する。
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鍼灸治療には触診が大事だとし、触診を解説したものです。次のようなことが書かれています。
1 肋骨弓の間の上腹部は血糖や肝機能を示す数値が高い時に独特の緊張を触診することができる。
2 三陰交は正常なツボの反応は陥凹であるが、反応がひどくなるとむくんで陥凹がわからなくなる。
3 服直筋が緊張しているのを腹皮拘急と言う。腹直筋は胃経の通路だが、脾経を使った方が効果が高い。商丘、三陰交、漏谷、地機などを使う。
4 肩甲棘の付け根がほぼTh3であり、肩甲骨下角がほぼTh7であり、第12肋骨端がL2であり、脹骨粱の一番高い所を結ぶ線(Jacoby's line)はL4であり、上腸骨棘はS2である。ただし肩甲骨下角がTh7になるのは、上肢が体幹についている状態(肩関節が0度)の時である。肩関節が120度になると、肩甲骨下角は下に下がり、Th8になる。患者を仰臥位にすると、たいていは上肢を頭の下に持ってくる。この状態では、肩甲骨下角はTh8になる。
5 喘息の人は、膏盲に硬結がはっきり出ているのが見られる。こういう場合は膏盲への多壮灸が奏効することがある。
6 膀胱経1線は脊柱起立筋の一番高い所の溝であり、膀胱経2線は脊柱起立筋の山が終わった所の太い糸状のものが触れる所である。
7 瘀血は腹筋よりもっと奧の腸間にある硬いものを言う。
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YNSA(Yamamoto New Scalp Acupuncuter)を概説したものです。実際の効果も写真入りで載っています。
基本点の位置は次のように説明します。
A点 正中から約1cmの両端で髪の生え際より上1cmがA1点で、下に向けて2cmの間にA~A8と並ぶ。
B点 正中から約2cmの両端で髪の生え際
C点 正中から約4.5~5cmの両端 眉毛の内側を結ぶ線上の正中から眉毛の内側を結ぶ線に45度の線を引き、生え際と交わる所がC点の肘に効果がある所で、その1cm上が肩に効果がある所で、その1cm下が指に効果がある所である。
最初に発見されたD点 頬骨弓の約1cm上、耳の前方2cmの生え際
後に発見されたD1~D5 耳のすぐ前で耳穴から上に1.5cm 一番上がD1になる。
E点 眉毛の上方で、正中から約1cmの所がE1で、水平線から約15度の角度で外側に約2cm伸びる。E12まである。
F点 乳陽突起の最高点
G点 乳陽突起の一番下の部分がG0で、乳陽突起に沿って、前に約5mmの所がG1後ろに約5mmの所がG2である。
H点 B点より1cm上
感覚点は次のように説明します。
正中から約1cmで、A8から1cmが眼点で、さらに1cm下が鼻点であり、さらにさらに1cm下が口点である。耳点はC点と鼻根を結ぶ線上でC点から1cm離れた所である。
脳点は次のように説明します。
正中から1cm離れた線上で生え際から2cm上に大脳点があり、大脳点の上1cmに小脳点がある。脳幹点は正中線上で高さは大脳点と小脳点の間にある。
日本の経済状態まで言及した所があり、2009円3月末の時点で、税収は37兆円、国債発行52兆円、借金は1000兆円以上であり、数字を10000で割って個人レベルで考えると、年収370万円、一年間の借金520万円、現在の借金総額1億円と言えるとわかりやすく書いています。
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著名な作家の随想であるが、内容にまとまりがなく、年寄りの愚痴のような印象を受ける所も少なくない。しかし何かおもしろくて、最後まで読ませてしまうのは、作家としての力量だろう。次のような記述が印象に残った。
1 テレビは自分の選択がなく、あてがい扶持の情報を受けとるだけだが、新聞は大きな紙面から何が重要であるかを自分が考えて選ぶわけだからさまざまなことを考えることができる。
2 政治家は票をもらうためにおもねり、人からお金をもらわないといけないから、ある意味で乞食と同じだと言える。
3 日本人は健康と自由と多少のお金があって海外へ行くことができるのに、出ていかないからますます狭い視野でしか物事の判断ができなくなっている。
4 私が考える貧困の条件は今晩食べるものがないことだけである。どこかに行けば食べるものがあるのは貧困とは呼ばない。
5 患者は患者さん、医者はお医者さんで充分だと思う。医者は病人を治すプロだから、お医者様と呼ばれることはあっても、プロのほうからへりくだって患者様と呼ぶのはおかしいより気持ちが悪い。
6 アフリカでは宿に着いたら、真っ先に水の出る場所に行ってバケツいっぱいに水を張ります。アフリカでは水が出ないことは日常茶飯事です。
7 便利が当たり前になってしまって、自分の知恵で対処できなくなっていることが大きな問題です。
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大腸癌の肝転移で5年生存率0%と言われた精神科医が、ゲルソン療法を実行し、癌が肝転移してから20年を経ても、なお普通に生活している。その闘病記とゲルソン療法の紹介である。文章がうまく、おもしろく読むことができる。次のようなことが書かれている。
1 がんは局所の病気ではなく、全身の栄養障害・代謝障害による病気である。
2 病理解剖を数多く手がけたある研究者は、胃がんでも五ミリ以内の小さながんは、その相当数が自然治癒していると言う。
3 抗癌剤は胃癌、大腸癌、肝臓癌、胆道癌、子宮癌、食道癌、すい臓癌、膀胱癌、甲状腺癌などのいわゆる固形癌のほとんどにあまり効かないとされている。さらに転移性癌、再発癌には効果はほとんど認められない。
4 抗癌剤のもう一つの大きな問題は免疫力の低下だ。リンパ球(ナチュラルキラー細胞、マクロファージ細胞など)の活性を下げてしまうため、細菌感染症への抵抗力が弱くなってしまう。大学病院や癌センターなどに入院している癌患者の直接の死因は、癌そのものよりもMRSAなどによる肺炎のほうが圧倒的に多いのは有名な話だ。
5 塩分と脂肪分、そして動物性タンパク質を摂りすぎることが代謝の異常を引き起こし、がん細胞の増殖を進行させるというのがゲルソンの理論である。
6 摘出手術など外科療法が可能な場合は、腫瘍を切除しておくことである。大きな塊になった癌を、ゲルソン療法のみで消失させるのは困難である。ゲルソン療法で癌を消失させることができるのは、進行の遅い比較的小さな腫瘍のみと考えたほうがいい。
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痛みのメカニズムについて、入門レベルを越えるぐらい詳しく説明されています。次のようなことが書かれています。
1 うつ病などでセロトニン神経の働きが抑制されれば、セロトニンがほとんど分泌されないため、自己鎮痛が起こりません。それで怒りや不安などの感情的ストレスが加わると、普段より痛みを強く感じることになります。
2 皮膚や神経が損傷した直後の痛みは緊急性が高く、いち早く脳へ情報を伝えなければなりません。したがって痛みは局在が明瞭で鋭い痛み(一次痛)が中心となります。
一方、筋肉や内臓は、常に皮膚に覆われているため外界の危険を直接受けることはありません。緊急性は低く、やや曖昧でも問題ありません。したがって、筋肉や内臓の痛みは、局在が不明瞭で鈍い痛み(二次痛)が中心となります。
3 心臓疾患では左肩に、胆嚢や肝臓疾患では右肩に痛みが出現することもあります。
4 実際に損傷されている所と異なる所が痛む関連痛が起こる原因は、内臓から痛みを伝えてきた神経が、脊髄で他の部位(皮膚など)から痛みを伝えてくる神経とまとめられて脳に投射されるため、脳がどこからきた痛みなのか正確に判別することができず、誤認を起こすのではないかといわれています。
5 骨が折れたとき、骨本体が痛いのではなく、破壊に伴う炎症や骨折に伴う機械刺激などで骨膜の侵害受容器が興奮し、痛みを起こすのです。
6 一般的に一週間筋肉を動かさなければ10〜20%程度筋力が低下するといわれます。
7 関節の変形には膝周囲の筋肉量が大きく関与しています。このことから、膝を支える筋肉を鍛えることも大切な治療です。
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海外移住をバラ色のように勧める本が多いが、これはその暗い面もとらえた本である。海外移住を考えている人には一読の価値がある。次のようなことが書かれている。
1 マレーシアは常夏の国だが日本の夏のような湿気はない。常夏であってもエアコンはいらない。
2 日本人社会と絶妙な距離感を持つのが、海外での年金生活がうまくいくかどうかの最大の鍵である。日本人とのつきあいを増やせば出費が増えるのである。
3 マレーシアは他の東南アジア諸国と比べ治安がよい。
4 マレーシアでは国内治安維持法によって、治安上の脅威になるとみなされた人物を逮捕令状なしで拘束できる。日本では考えられないほどの強い国家権力がある。
5 海外では親切な日本人に一番注意する必要がある。
6 周りに影響されず自分たちの生活スタイルを貫くことが海外での年金生活では大事である。
7 チェンマイは熟年男性にとっては天国である。物価が安く、ゴルフの施設が充実しており、現地の若い女性が向こうから寄ってくる。若い女性にすれば、日本の年金生活者は円マークである。ホテルで働く若い女性の月収は日本円で1万円、大卒の初任給は3万円程度に過ぎない。
8 チェンマイで金を使うとすれば、女かゴルフである。
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海外で住むことを考えている人にきちんとした基本知識を与えてくれる本です。次のようなことが書かれています。
1 欧米の先進国では仕事をしないのが一種のステイタスである。仕事で成功すると、簡単に会社を売却してリタイア生活に入る人が多くいる。
2 海外でのトラブルを事前に防止するためには、簡単に人を信用せずに、自分で調べて行動することが大事である。
3 メキシコシティは大都市だから治安に不安な部分が多く、大気汚染で知られている。しかしメキシコシティから南へ75キロ行ったクエルナバカは平均気温20度の常春の気候で富裕層の別荘地である。
4 海外に3ヶ月以上在住する時に在留届を提出する必要がある。これを出さないと、各種証明書の発行ができない。また緊急時の安否確認の対象外になる。
5 アメリカでは9.11以後査証免除の滞在延長手続きができなくなった。それで滞在期間90日以内に出国しなければならない。
6 交通違反の青切符は行政処分であるから、無犯罪証明の犯罪歴にならない。赤切符は刑事処分だから犯罪歴になるが、罰金納付から5年を経ると犯罪歴に記載されない。
7 日本人が現地で就職するには日本人でなければできない仕事であることが大原則である。外国人を雇うことは現地の人の雇用機会を奪うことになるからである。
8 和食職人、特に寿司職人は世界で求められる日本人の優先職種である。
9 日本人が多く訪れる国には、悲しいことに信用できない日本人がいる。
10 途上国で現地の人と裁判で争って勝つことは難しい。基本的に自国民保護の姿勢であるからだ。
11 永住権は日本国籍のままで現地に永続的に住むことができる権利である。ある国の永住権を持つ人が他の国の永住権を所得しても、先に持っている永住権が無効になることはない。つまり複数の永住権を持つことができる。永住権を取得した後、一定期間が経つと市民権に切り替える資格ができる。市民権とは国籍のことである。日本は二重国籍を認めていないから、市民権を取得すると、日本国籍を失うことになる。
12 フィリピンでは2万ドルを現地銀行へ預託することで、永住権が取得できる。このお金は査証をキャンセルすると、全額返還される。
13 フィリピンでもマニラを離れて地方に行くと、治安の心配も軽減し、まるで違う国に来たような印象を受ける。
14 アルゼンチンでは10万ドルの資産を証明するだけで永住権を取得することができる。
15 アメリカは在留邦人が最も多く、2009年度のデータで長期滞在者が25万人、永住者が13万人、計38万人である。
16 ポイント制永住権は高学歴、高収入、高技能のエリートを集めたい国の方針で実施されている。
17 リタイアメント査証のデメリットは働けないことである。ただしフィリピン、グアテマラ、マレーシア、オーストラリア、南アフリカの5ヶ国はリタイアメント査証で就労ができる。
18 コロンビアは治安に少し不安がある。
19 物価の安い国で外国人の土地取得を自由に認めると、経済力のある外国人がその国の土地を買い占めてしまうことが起こりうる。それで外国人の土地取得を制限している。
20 プリンターはインクなどの消耗品が必要なため、現地で購入したほうが賢明である。
21 無犯罪証明書を自己開封してはならない。
22 海外転出届をすると、住民税の対象とならなくなる。
23 1月1日以前に海外転出届けを出すと、前年度収入に課税される市民税の支払は免除され、海外滞在期間の市民税の支払義務はない。
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76歳で白髪も老眼もないという新聞の広告を見て、どういうことをやっているのだろうと興味を覚えて購入した本です。その健康は桜沢如一のマクロビオティクの実践者ということから来ているようです。マクロビオティックは塩辛いものを食べること、生野菜をあまり食べないことに特徴があり、著者もそういう主張をしています。その主張は断定的であり、理論的には少し説得力に欠けます。ただよかった実例をかなり出しています。百の理論よりも、一つの実例が大事でしょうから、著者の主張も検討すべきでしょう。次のようなことが書かれています。
1 薬を飲み続けたら自分の病気を治す力を阻害してしまいます。
2 1994年にアメリカで医師が薬を処方した件数はおよそ30億件で、そのうち副作用で入院した人が200万人いて、副作用でなくなった人が10万人である。
3 日本は薬消費量が世界でダントツのトップであり、CTやMRIの検査件数、検査台数もトップである。
4 現在の酪農は昔の酪農と違い、妊娠している乳牛から搾乳している。妊娠している乳牛の乳は大量の女性ホルモンを含む。女性ホルモンはアレルギー反応を強める作用がある。
5 テフロン加工の鍋は、高温になると有害物質が発生し、そのガスを吸い込むと、喉の痛みや咳、頭痛などの症状を引き起こす。
6 鉄欠亡性貧血にはひじきの煮物や青い野菜がよい。
7 身体の熱をとる夏野菜は暑い夏の食べ物である。寒い時に夏野菜を食べると体が冷えるために風邪をひきやすい。
8 土鍋で炊いた玄米は、ふんわりとやわらかく甘く、おいしい。
9 肉、生野菜、果物、甘いものはできるだけ食べないようにする。
10 圧力鍋は素材の成分を破壊するのでよくない。米を圧力鍋で炊くと、脂肪が酸化してしまい、おいしくなくなる。
10 黒焼き玄米茶は身体を温める。
12 ショウガをすりおろして綿の袋に入れ、80度くらいの湯にその汁を絞り出す。それに塩を入れる。タオルをひたしてしぼり、やけどをしない程度の熱さにして患部にあてる。これがショウガ湿布である。
13 サトイモの皮をむいてすりおろしたものに、おろしショウガと小麦粉をまぜて、耳たぶより少し固い生地をつくる。良質のゴマ油やオリーブオイルを肌に塗り、1〜1.5cmにサトイモ生地を伸ばしたものをあて、さらしなどで巻いて固定する。これがサトイモ湿布である。
14 低体温の人が減塩をすると、かえって体調が悪くなる。塩分を摂取したほうが、体温が上がり、気力がわき、集中力も増す。
15 X線照射により身体がだるくなったり、気分が悪くなるのをレントゲン宿醉と言う。レントゲン宿醉の時は食塩水を飲むとよくなる。
16 緑茶の生産には、ほとんどの農家は20回以上農薬をまく。
17 スーパーで売られている安くて青々したキャベツをつくるには、30回以上農薬をまくようである。
18 サッカリンは体に悪いことがわかり販売中止になったが、サッカリンに代わって使われるようになったのがアスパルテームである。アスパルテームはダイエット飲料やガムなど600品目以上に使われており、使用されていないものを探すのが困難である。
19 肉を食べると身体がカロリー過多になり、熱くなるから、それをしずめようとして水がほしくなる。
20 ナス科の食べ物を食べると、身体が冷えてゆるんで陰性になる。
21 玄米には抗酸化作用のあるビタミンEが含まれているので、卵子や精子が元氣になる。
22 肉のようなカロリーの高いものを食べると、体温が一気にあがり、体温を下げる働きのある果物や甘いデザートが食べたくなる。
23 甘いものを食べると肉が食べたくなり、肉を食べると甘いものが食べたくなる。
24 みそは体内の酸化を抑制する作用があり、老化防止にも役立つ。
25 みそは脂の汚れを落とし、血管に流れるコレステロールを溶かす作用がある。
26 みそは3年かけて寝かしたものがベストである。3年かけて熟成、発酵させると、身体を冷やす陰性の大豆がアミノ酸に分解されて身体を温める陽性に変化する。
27 ナス、トマト、ジャガイモ、ピーマン、キュウリなどのナス科の野菜や大豆は陰性が強い食べ物で、身体、特に腰を冷やす。
28 子宮や卵巣を冷やすと、その機能が低下して姙娠しにくくなる。たとえ姙娠しても受精卵がうまく育ってくれない。
29 シュウ酸は鉄と結びつく性質があり、貧血の原因になることもある。
30 シュウ酸を多く含む食物はほうれん草、トマト、バナナがあり、三大シュウ酸食物と呼ばれている。
31 夏の暑い時期に採れる野菜は身体を冷やし、冬の寒い時期に採れる野菜は身体を温める作用がある。
32 果物でもミカン、キンカン、リンゴはそれほど身体を冷やさない。
33 魚にはタンパク質や脂質が含まれているから、魚を干物にすると、日光が酸化現象を引き起こし、過酸化脂質が増えると老化現象を引き起こす。だから干物を食べると白髪が多くなる。
34 パンは身体を冷やす。それで腰痛や肩こりがひどくなったり、アレルギー症状が出たり、不眠症や慢性的な疲労感に悩まされたりする。
35 小麦は中庸に近い食べ物だが、パンはふくらませてつくるために、性質が陰性に変わる。
36 里芋は体内にたまた熱や癌などの動物性の毒性を吸い出してくれる作用がある。
37 ワインは酸化防止剤や保存料などの添加物が入っている。原料のぶどうは極陰性の食べ物であり、ワイン自体も極陰性の性質を持つ。焼酎、ウイスキー、ブランデーも陰性の飲物である。日本酒は陽性の飲物である。
38 酒に魚は合う。
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本格的な経済理論で、私は理解するのに2回読むことが必要でした。金融の仕組みがわかり、現在の日本が置かれている状況もわかります。アベノミクスの金融緩和では日本は破綻するという著者の結論は納得のいくものです。次のようなことが書かれています。
1 歴史上財政赤字が一定限度を越えると、国はほぼ例外なくインフレ策をとって、国債残高の実質価値を低下させてきた。その負担は国民が負ったのである。
2 インフレが生じると資産を円建てから外貨建てに変えようとする。これが一挙に進むのを資本逃避と言う。資本逃避が起こると円安が急激に起こる。輸入価格が高騰するから、インフレが加速する。
3 金融政策とはお金を操作することで経済活動に影響を与えようとする政策である。
4 経済全体でのマネーの残高をマネーストックと呼ぶ。以前はマネーサプライと呼ばれていた。
5 マネタリーベースとは政策当局が供給する通貨のことである。具体的には市中に出回っている流通現金(日本銀行券発行高+貨幣流通高と日銀当座預金の合計である。
6 日本の財政状況はきわめて悪い。それにもかかわらず国債に対する需要が大きいのは不自然であり、国債バルブと呼びうる状況である。ヨーロッパの金融危機のため、日本の国債が買われていること、日銀による国債購入があることが原因と考えられる。
7 為替介入は政府が政府短期証券を発行して資金を調達し、米国債などの外貨建て資産を購入することでなされる。
8 為替介入がマネタリーベースが増えたままにしておくのが、不胎化であり、マネタリーベースを元にもどすのが、非不胎化である。
9 消費者物価指数の輸入物価指数に対する弾力性は20分の1程度である。
10 為替レートは内外金利差で決まる。
11 日銀が国債を購入すれば、財政赤字が拡大しても金利高騰などの問題が起きない。
12 中央銀行が金融政策で直接影響を与えられるのは短期金利である。日本銀行は公開市場操作で市場から国債などを購入し、その代金を銀行の日銀当座預金に振り込む。すると銀行はコール市場で資金を調達する必要がなくなるので、コール市場の金利が下がる。
13 日本の財政事情はギリシャ並の破綻状態である。本来なら国債から投資資金が逃避する。それが起こらないのは、日銀が買い支えてくれるという期待があるからである。
14 工業製品は価格が下落しているが、サービスの価格は上昇を続けている。工業製品の価格が低下したのは、新興国が工業化し安価な労働力を用いて安価な工業製品をたくさん製造したからである。一方サービスの多くは貿易ができないので、価格は主として国内要因で決まり、新興国の工業化の影響を受けないため、価格が上昇している。デフレの原因が金融政策にあるとするなら、価格は工業製品もサービスも一様に下がらなければならない。金融政策が工業製品に対する需要を抑制し、サービスに対する需要を増加させるということは起こり得ない。
15 貿易が行われている世界では、賃金、利潤率などの要素価格が均等化する傾向がある。
16 QE2は国債を購入する施策であったため、国債価格が上昇することが予想されたが、実際に起きたのは国債価格は下落した。これはQE2でインフレ期待が上昇ためであると言われている。
17 QE(Quantitative Easing program)は過剰流動性をもたらし、商品価格の上昇をもたらした。また日米間金利格差を縮小させて円高をもたらした。
18 為替レートに大きく影響するのは二年債の利回り格差だと言われる。
19 海外からの資金流入が続けば国債の外国人保有率は上昇する。外国人は短期で資金を調達しているので、市況が変化すれば簡単に売りに転じる可能性がある。
20 財政当局にとって、インフレターゲット論者の存在は、国債の貨幣化を続けるために都合がよい。
21 銀行は国債を大量に保有しているので、金利が1%上昇すると、3メガバンクだけで1.7兆円の評価損が発生する。3%上昇すると、4.2兆円の評価損である。銀行は大幅な赤字になる。
22 財政事情の悪化は不可逆的な性格が強い。いったん拡大した財政支出を元にもどすのは難しいからである。
23 膨れ上がった財政赤字の返済をインフレで回避して来たのが、金融の歴史である。
24 現在でも短期国債の日銀引き受けは可能であり、実際に行われている。
25 日本の財政は破綻しており、これを立て直すことは不可能である。資本逃避が起きたイタリアより深刻な状態だ。資本逃避が今すぐ起きても不思議でない。これが起きないのは、金融緩和でインフレが起こりにくいこと、ユーロ危機によって南欧国債からの資本流入があること、アメリカが金融緩和をしているため、アメリカに資本逃避しにくいことがある。このいずれかが大きく変わると事態は大きく変わる。
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経済学の理論を期待して読むと失望してしまう。経済学の周囲のことを随想的に書いたものである。第7章「官僚複合体」の罠 が少しおもしろい程度であった。「円高とデフレを解決するのは金融緩和である」と十分な根拠を示さずに断定し、金融緩和を十分にしない人をこきおろしている。物価はサービスと工業製品に分けて考えるべきであり、工業製品の物価は下がっているが、サービスの物価は上がっていることを野口悠紀雄氏が「金融緩和で日本は破綻する」で指摘している。金融政策が工業製品に対する需要を抑制し、サービスに対する需要を増加させることは起こり得ないから、金融政策がデフレの原因でないというのが、野口氏の論法である。著者は日本の対外資産は253.1兆円あるから、円の暴落はないとする。しかし日本の政府債務残高が2019年に個人金融資産(約1400兆円)を上回るとのIMFの試算がある。著者の主張は納得しがたい。次のようなことが書かれている。
1 いま国民生活に多大な苦しみをもたらしているのは、デフレと円高である。デフレは円という通貨の財に対する相対価格、円高は外国通貨に対する相対価格、つまり貨幣的な問題なのである。したがってそれはもっぱれ金融政策で解消できるものである。
2 経済がどのようなメカニズムで動くのかという生理学にいたっては、ほとどの閣僚が無知もしくは誤解していた。生理学とはたとえば「デフレに一番効くのは金融緩和である」という大学一年生の経済学の教科書にも載っている基本原理である。
3 為替レートは各国のマネーの量で決まるというのが世界の金融界の常識である。
4 GDPギャップ(需給ギャップ)が一番大きいのは日本である。それは日本銀行が金融をほとんど緩和せずに、名目為替レートを高騰させ、産業に過大なハンディを負わせたからである。その責任は主として日銀にある。だが、旧態依然とした考えを信じきっている政治家、官僚、評論家、学者、そして当局の自己弁護の見解をオウムのように繰り返しているマスコミもそれを支えているのである。
5 金融政策が物価に効くという、経済学の「米の飯」ともいえる大原則を認めようとしない。あるいは、認めていても金融緩和政策を採ろうとしない。そうである以上、日銀の政策に何かしらの「たが」をはめる必要があるのでないか。少なくとも、日銀の採る金融政策のインセンティブを変えさせ、日本銀行という組織以外の利益、すなわち国民全体の成長や雇用を考慮しなければならない。必要なのは日銀を法で縛ること、そう、再度の日銀法改正だ。
6 日本の対外資産は253.1兆円で世界のトップである。アメリカは290兆円近い純債務があり、世界一の借金国である。暴落を心配すべきは円でなくドルなのである。
7 デフレ下で増税して国民生活が回復した前例は世界にない。
8 消費税アップは財務省が自由に使えるお金を増やし、権力を強化することにつながる。税率アップは、財務省の利権と密接な関係にあるのだ。
9 日本経済は戦後60年以上、石油危機以外の時期では、インフレの崖どころか窪にすら落ちたことがない。
10 日本の場合、記者は検察庁、財務省、日銀といったお上のお墨付きのあるデータから記事をつくろうとする。それで各組織にとって都合のよい記事ばかりが紙面に掲載されることになる。アメリカでは、多くの場合、記者は独力で取材していく。
11 メディアで経済を報じる人間が日銀や財務省からの情報ばかりをあてにしている以上、記事や番組が、日銀あるいは財務省よりになるのも当然である。
12 日本で重要とされるのはコンセンサスを求めること、大学に入学するまでの12年間の教育では、いかに周囲の考えに同調し共感するかを訓練されるという。
13 アメリカと日本では仕事に対する感覚が違う。「引退しました」と日本人に言うと、「アメリカの大学は定年がないと聞いていましたが、仲間内からの圧力があるのですか?」といった反応がある。同じことをアメリカ人に言うと、「おめでとう。これから人生を楽しんでください。」と言う。
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マレーシアの魅力を紹介しています。ほとんどいい面ばかりの記述で、もっとマイナス面もあるだろうと思うのですが、それは書かれていません。各地方の説明もあります。いろんな情報を得ることができるので、マレーシアに興味のある人には役に立つ本でしょう。次のようなことが書かれています。
1 マレーシアのよい点
  親日的である。
  治安がよく、政治が安定している。
  地震、台風、噴火がない。
  物価が日本の3分の1程度である。
  和食が普及しており、日本語が通じる地域も多い。
  人口が増えている。
  イスラム、中国、インドの文化に触れることができる。
2 マレーシアはマレー系、中国系、インド系に分けられる。マレー系はマレー語を話し、すべてイスラム教である。中国系は北京語、英語、マレー語を話す多言語の人が多く、宗教は仏教、道教、キリスト教、イスラム教が混在している。インド系はタミール語と英語を話す人が多く、宗教はヒンズー教が主体だが、キリスト教の人もいる。
3 マレーシアの在留邦人は1万人前後である。
4 マレーシアではテレビをつけると、マレー語、英語、中国語、タミール語のニュースが流れてくる。新聞も各言語で発行されている。
5 マレーシアは年間200万人の外国人観光客が来る。
6 イスラム教では子供は資産という考えがあり、子づくりを抑制しない価値観がある。
7 若い人の人口が増えるのは、衣食住すべての市場が拡大することを意味しており、国力が増加するkとを意味する。
8 シンガポールはリー・クワンユーを指導者として、華人を中心に1965年にマレーシアから独立した。
9 イスラム金融は利子や投機的取引を禁止する。豚肉、アルコール、賭博に関するビジネスを禁止する。
10 イスラム金融に基づくイスラム債の半分はマレーシアで起債されている。
11 マレーシアは常夏で、天災もなく、資源にも恵まれている。それであくせくする必要がない。そのためかのんびりとした気質が社会全体にある。行政サービスは非効率で腐敗も多い。
12 日本からマレーシアへの飛行時間は約6時間半である。ハワイへ行く時間とほぼ同じである。
13 犬はイスラムでは不浄の動物なので、イスラム教徒は犬に触れたがらない。
14 頭は聖なる部分なので、子供の頭はなでないようにする。
15 ペナンは海に近く、クアラルンプールよりゆったりしていて、コタキナバルより英語がよく通じる。
16 原則として182日以上マレーシアに滞在すると居住者になる。居住者になると、税金申告の義務がある。
17 マレーシアは日本の9割程度の面積があるが、人口は2800万人である。
18 マレーシアの税制は住宅の減価償却という概念がない。
19 10歳以下でインター校に入り英語を学んでも、数年後日本へ帰るとすぐに英語を忘れてしまう。人間が頭の中で言葉を使って抽象的に考え始めるのは10歳ぐらいである。それ以下の子供は反射的に聴覚や視覚で反射的に覚えているだけなので、音が聞こえなくなると、みんな言葉を忘れてしまう。
20 マレーシアには日本では当たり前の商品やサービスがないことが多い。
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書店で立ち読みをして、最初がおもしろかったから買って読んだ本ですが、金持ち脳と貧乏脳の違いは最初のほうで述べ尽くされてしまっているようです。後は本題と少しずれているようなことの著者の随想的な記述です。しかしためになる言及も見られます。次のようなことが書かれています。
1 金持ち脳の特徴
  人間関係が広い。
  自己投資にお金を惜しまない。
  好奇心が旺盛である。
  誰に対しても自分の知らないことを素直に質問できる。
  人の話を聞いて即行動に移すことができる。
  人の良い部分をすぐに真似することが得意。
  偏見が少ない。
  判断基準として、「まず何でもやってみる」という考え方を持っている。
  夢や目標がはっきりしている。
  朝型で健康に気を配り体を大事にしている。
 貧乏脳の特徴
  いざという時に頼れる友人、知人が少ない。
  他人の意見や行動に流されやすい。
  与えることより、もらうことばかり考えている。
  津根雨受身で被害妄想に駆られてしまう。
  「でも」「だって」「どうせ」が口癖。
  気がつくと愚痴をこぼしている。
  嫌なことは常に先延ばししてしまう。
  目先に利益だけをつい追いかけてしまう。
  夢や目標を掲げるのが苦手。
  不健康で体のケアをあまり気にしない。
2 お金持ちになった人というのは、数多くの修羅場やリスクを経験しつつ、ピンチをチャンスに変えてきた人たちです。
3 脳にとってお金があるというのが、自由を感じる、非常に重要な要素になってくる。
4 お金を得るメリットというのは、自由を得ることによって次の人生のステージに行くためのオプションが得られるということです。
5 将来をしっかりと予測して無駄使いをしない、それでも使うときには豪快に使う。言い換えれば、常に蛇口の水が出っぱなしでなく、一滴も水が出てこないくらいお金に対してシビアになれるかどうかが、一流の成功者やお金持ちに共通するお金の使い方です。
6 経験値を高めるために必要なことは、自分にとってアウェイを見つけるということです。このアウェイを常に求め、そのためにお金が必要であれば、そのお金を惜しみなく使うということです。
7 最近では、海外に留学する人が減っているといいますが、脳を日頃から慣れ親しんでいるホームに綴じこもらせずに、未知の世界であるアウェイに飛び出させてください。
ビジネスにおいても、常に慣れ親しんだ人や場所だけで仕事をしていては、能力が向上していくことはありません。
8 本当に稼ごうと思った時は、おそらく国産金融で働くのが一番いいはずです。それこそボーナスが何十億という世界です。しかし、すべての人がそうしないのはなぜでしょうか。それは、やはり人生はお金だけではないと思っているからです。
9 ダーウィンは自らが幸運にも手にしていた「まとまったお金=資本」を使い、ケント州の田舎に家を購入し、生涯の大半を、そこでのさまざまな実験や考察に費やしたのです。このように、イギリスでは資本を、遊んだり怠けたりするためではなく、むしろ独創の荒野で疾走するために使うのです。そんな英知がイギリスの社会には脈々と受け継がれていることを学びました。
10 人間関係の原則は「自分が先に与える」である。その仕組みに気づいた人が人生の勝ち組になる。
11 人間関係は相手の長所を見つけるようにする。
12 中国人はオプションとして、「中国本土に住み続けるのか、あるいは海外に移住するのか」ということを常に考えているところがありますが、日本人は日本に住むことが暗黙の前提になっています。中国人は親戚がアメリカ、カナダ、香港、シンガポール、オーストラリアなどにいて、リスク分散していることが多く、自分も常にいつかは中国を離れて暮らす日が来るかもしれないということを視野に入れながらも、現在の仕事をしているという感覚が強いのです。 
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「宝くじに当たった人はなぜ不幸なるのか」と新聞広告にあり、その答えを知りたくて購入し読んだ本です。筆者の説明を要約すると次のようになります。
ものに対する満足感はだんだん減っていくのを限界効用逓減の法則という。同じものでは満足感が減っていくからさらに高いもので満足感を得ようとする。1泊10万円のホテルでも、慣れてしまうと満足感が減ってくる、それで同じ満足感を得るなら1泊50万円のホテルに泊まることが必要になる。宝くじに当選した人は永遠に満たされることのない欲望にはまり、どんどん高価なものを求め、結局は当選した金額をすべて使い尽くしてしまう。さらに謝金をしてまで高価なものを求めるようになり、破産する。
さらに次のようなことも書かれています。
1 日本では8人に1人、1500万人が消費者ローンの利用経験者である。
2 消費者ローンを利用している人のうち、30%以上の人がショッピングでのローンがきっかけになっている。カードで買物をしすぎたため、その支払いにあてるお金がなくなり、仕方なく消費者ローンを利用するのである。
3 自己破産する人の10人に1人は連帯保証人になったことがきっかけである。
4 ギャンブルの主催者(胴元)の取り分は、宝くじやロト6が50~60%、競馬、競輪、競艇が約25%、ルーレットが約5%、パチンコが3~8%である。
これから見ると、宝くじは勝ちにくいギャンブルであり、競馬、競輪、競艇より分が悪い。
5 カイジが負けても負けても最後に勝てるのは致命的に負けていないからである。
6 お金は労働によってかせぐものだから、お金でものを買う時は、そのものがそのお金をかせぐ労働につりあうかどうかを考える。
7 欲は刺激されるからふくらむ。
8 平成25年1月時点で、お金の返済が3ヶ月以上滞っている人(ブラックリストに登録されてしまう人)が約420万人もいる。
9 大金を手にした人の仲に自己破産に追い込まれる人がいるのは、一度味わった生活レベルを落とすことができず、お金をどんどん使い、お金を使い尽くすとさらに借金するからである。
10 ビジネス上の取り決めは契約書がすべてである。
11 ビジネスの契約書は、通常、契約書案を作成した側が最大限有利になるように書かれている。
12 どんな盤石にみえる制度や仕組みにも必ずほころびがあります。
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片づけのプロを自称する近藤麻理恵さんだけあって、教えられることの多い本です。洋服は当然横にして積んで収納するものと考え、立てて収納するという発想がまったくなかったですが、実際にやってみると、確かに立てて収納するほうがうまくいきます。次のようなことが書かれています。
1 片づけてやることは、2つである。ときめかないものを捨てることと、ものの定位置を決めることである。
2 片づけはまずものを捨てることから始める。
3 片づけれない一番の原因はものが多いことである。ものが多くなる原因は自分が持っているものの量を把握していないからである。持っているものの量が把握できないのは、収納場所が分散しているからである。
4 片づけは部屋ごとにするのでなく、ものごとにする。
5 片づけの順番は、衣類、本類、小物類、小物類、思い出品にする。
6 立てることが収納の基本である。
7 洋服のしわが目立つのは、プレスされたシワが濃くなるからであり、洋服を折りたたんだ回数が多いからでない。
8 できあがりがツルンとした長方形になるようにたたむ。
身頃(袖や襟を除いた部分)のわきのほうを少し折って、縦長の長方形になるようにたたむ。袖のたたみ方は自由である。縦長の長方形ができると、収納するものの高さに合わせて四つ折や六つ折をする。
きじが薄いものは小さくキュッとたたみ、きじが厚いものはゆったりとたたむ。
きじが薄いほうを手に取ってたたむ。
9 洋服をかけるのは、同じカテゴリーのものは隣り合わせにかける。
左に重いものをかけ、右に軽いものをかけて、右肩上がりにかける。
10 靴下は結んだり、裏返しにしたりして収納しない。結んだり裏返しにしたりすると、伸ばされた状態で収納することになる。左右の靴下を重ねてたたんで収納する。
11 収納用品はふたのついたボックス型のケースより、引出し型のほうが、気軽に取り出せるからよい。
12 ものを残すか、捨てるか決める時は、いったん収納している所から出して、決める。
13 「今使っている」、「しばらく必要である」、「ずっと取っておく」の三つの該当しない書類はすべて捨てる。
14 保証書はクリアファイルの一つの仲にまとめて収納する。一つのなかにまとめて収納するのは、保証書が必要になる時に、まとめて収納してある保証書をひとつづつ探すことになるから、期限切れのものに気づきやすく、期限切れがわかれば捨てることができるからである。
15 年賀状は新年のあいさつがその目的だから、受け取った瞬間にその役割は終わっている。すべて捨てるのが原則である。来年の住所録として使う時は1年分だけ取っておく。
16 使用済通帳を見返すことはまずない。すべて捨てる。
17 プレゼントは、ものそのものよりも、気持ちを届けるものである。受け取った瞬間のときめきでプレゼントの役割は終わっている。受け取ったものがときめくものなら、当然使うが、そうでないなら、プレゼントの役割はすでに終わっているから捨てる。
18 片づけは自分の気持ちよさの基準に合っていないと、一度片づけてもとの状態にもどてしまう。
19 すべてのものの定位置を一つの残らず決める。これが収納の本質である。
20 ものを捨てないで、収納の技術に走ると、片づけても、片づけてもリバウンドし、乱雑な状態にもどってしまう。
21 同じカテゴリーのものは一ヶ所に集中して収納する。
22 ものが散らかる原因は、使ったものを元にもどせないからである。だから散らかさないようにするには、使う時の手間よりも、しまう時の手間を考えなければならない。
行動動線や使用頻度を考えて、同じ種類のものを分散して置くと、しまうのが複雑になり、しまいにくくなる。だから散らかりやすい。収納は同じものは1ヶ所にまとめて置くシンプルな収納にする。
23 収納は立てるようにする。立てるのは積むのを避けるためである。積むとどんどん上に積めるので、ものがどんどん増える。立てると収納部分の面積を使うから、ものが増えてきたことに気づきやすい。また積むと下にあるものの存在がどんどん薄くなり、いつか持っていること自体を忘れてしまう。
24 パッケージのまま収納すると所有感が生まれないのか、あるのにまた買い足してしまうケースが多い。
25 ものを捨ててしまって後悔することが最低3回はある。しかしものがなくても行動すればたいていのことは解決できるから、問題にならない。
26 引出しは手前が色がうすく、奥が色が濃くなるようにならべると、グラディエーションになるから、引出しを開けた時に気持ちがよくなる。
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薬を飲まない薬剤師宇田川久美子氏の薬というものの説明と氏の体の調子をよくしたというエクササイズの説明です。薬というものに対し理にかなった説明をしています。次のようなことが書かれています。
1 解熱効果を言っていなくとも、ほとんどの薬は体温を下げる。体温が下がれば、免疫力は低下する。
2 子宮頸癌予防ワクチンはHPVの16型と18型の抗体をつくるものである。ところが子宮頸癌の原因とされるヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交渉で感染し、性交渉のある女性なら、ほとんどが一度は感染している。だから子宮頸癌予防ワクチンは意味がない。
3 物事にはすべれ原因と結果がある。身体に現れた症状は結果であり、結果にのみ目をむけて、症状を抑え込んでしまうと、原因をつきつめることができなくなる。
4 冷えると血液の循環が悪くなり、プロスタグランジンが骨盤に滞留する。それで生理痛が強くなる。生理痛があるなら、まず体を冷やさないようにする。
5 解熱鎮痛剤は胃を荒らすことがよくあるため、胃薬がともに処方されることが多い。ところが湿布とともに胃薬が処方されることはまずない。しかし湿布をはりすぎるとやはりよく胃が荒れる。
6 自分の身体を統計の平均に合わせるのでなく、自分の身体のリズムを感じ、自分の身体の声に耳を傾けることで自分の身体にとって一番いい状態をつくることが大事である。
7 例えば肌が荒れているのをみると、「最近肌があれているから、早く帰って、新鮮な野菜を食べて、ストレッチをして、早めに寝よう。」と生活習慣を改めることを考えることが大事である。
8 体温が1度低下すると、免疫力は37%低下し、基礎代謝が12%低下し、体内酵素の働きが55%低下すると言われている。
9 代謝は身体が外から取り入れたものを体内で化学変化させる活動のことである。代謝が低下すると体重が増えやすい。
10 癌細胞は温度が低い環境で活発に活動するため、低体温は癌の温床になる。癌細胞は35度を最も好み、39.3度で死滅することが明らかになった。
11 私たちは熱が上がると大騒ぎするが、体温が低いことも大きな問題である。
12 日本人の平均体温は50年前と比べて0.7度ほど下がった。その原因は日常の運動量が少なくなったことである。
13 ミトコンドリアは細胞のエネルギー代謝の中心を担う細胞内の小器官である。鉄を含むため赤みがかった色をしている。
14 腸には多くの神経細胞があり、脳からの指令がなくても独自の判断で消化吸収や排泄などのコントロールができると言われている。
15 腸の免疫システムは免疫システム全体の60~70%をしめている。
16 腸は副交感神経が優位になっている時に働く。だから腸を働かせようと思うなら副交感神経を優位にする必要がある。つまり十分な睡眠をとったり、リラックスする時間を取ったりする。
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特別養護老人ホームで常勤医師をして多くの老人の最期をみてきた著者が、楽に死ぬことができるための方法を記述している。標題の示唆するように医療にかかわらないと楽に死ぬことができるというのが著者の結論である。次のようなことが書かれている。
1 現在の日本のインフルエンザワクチンは、インフルエンザの粒子全体を使うと副作用が強いため、二つある突起の一つ(HA)を切り離して抗原として使っている。それで本物がやって来た時に撃退できるのか疑問がある。
2 年寄りは重大な病気であっても症状が乏しいから、ぐったりしている、正氣が失せている、傾眠がちなどは重要な注意信号と考える。
3 手足や腰などを動かす時の痛みは、動かしてくれるなという身体の悲鳴、警告のサインだからそれに従うべきである。
4 老衰死に至る過程で、家族から点滴ぐらいはしてほしいとの要望が出ることがある。しかし脱水は意識レベルが低下し、夢うつつの状態になるので、苦もなく死ぬことができるのだから、願ってもない状態なのである。脱水で38度前後、時には39度5分くらいの発熱があることがある。これはエネルギー産生途中で出る熱を冷やす水がないからである。しかし本人はすやすや状態なので何の苦痛もない。口から1滴の水分も入らず、点滴をしない状態では、7日から10日で亡くなることが多い。
5 昔のお産は天井から垂れている力綱を握っての坐位分娩であった。坐位だと赤ん坊の重さと子宮の収縮力によっていきむことができる。だからお産が楽になる。現代のお産のように分娩台に寝てしまうと、赤ん坊の重さはいきむ助けにならず、またいきんでも有効に働かない。子宮の収縮力だけで赤ん坊を外に出すしかないのである。だから難産になる。
6 私たちは飲み食いする時に必ず前かがみの姿勢をとり、そっくり返ったりはしない。そっくり返って飲み食いすると健常者でも誤嚥することがある。
7 仰臥位の時は肛門が直腸より高い所にある。この姿勢で便をするためには、重力に逆らって高い肛門に便を送らなければならない。だから便秘がちになる。便をするには坐位が適しているのである。
8 抗癌剤が効果ありとされる基準は、画像上で癌の面積が半分以下になっている期間が4週間以上続くこと、かつ抗癌剤を使った2割以上の患者でこの状態を呈することである。8割未満の人には反応しないものが薬として認可されているが、これは他では考えられないことである。
9 60名から70名の年寄りの癌患者をみたが、癌に対して何ら攻撃的治療をしないと、痛みはまったくなかった。
10 誤嚥性肺炎を繰り返す時、それを防ぐために胃瘻をつくることが勧められる。しかし飲食物が誤って気道に入って肺炎を起こすよりも、眠っている間に唾液が気道に落ちて肺炎を起こすことが多い。だから胃瘻をつくれば誤嚥性肺炎が予防できるというものでない。
11 検査の基準値を健康な人の95%が収まる範囲とする。すると2項目とも基準値内になる確率は0.95の2乗で90.25%である。5項目とも基準値になる確率は0.95の5乗で77.37%になる。10項目とも基準値内になる確率は、0.95の10乗で59.87%になる。30項目とも基準値内になる確率は、0.95の30乗で21.47%になる。10項目調べれば、10人の内4人がどれかの項目で異常になり、30項目調べれば、10人の内8人がどれかの項目で異常になる。
12 早期発見、早期治療は完治の手立てのある肺結核で成功した手法である。完治のない生活習慣病にこの手法を適用すること自体に無理がある。
13 健診や人間ドックを受けることで、より健康な生活がおくれたり、寿命が伸びたりすることは考えにくい。
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文章が荒く、センセーショナルな書き方をしています。整然な論理より感情に流された書き方をしています。参考になったことを下記に書きますが、本文をそのまま抜き出したものでなく、私の言葉で書き直しています。
1 フッ化物は畜産業者が手に負えない牛をおとなしくするのに使ったのが始まりである。ソ連では強制収容所の囚人にフッ化物を使いおとなしくさせていた。このフッ化物を水道に添加したり、歯磨き粉に添加したりしているのである。
2 降圧薬のカルシウム拮抗薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬は癌の発生率を増加させる。また長期的に考えると心不全を増加させる。
3 アンジオテンシンII受容体拮抗薬を心不全に使うと突然死が起きる。
4 塩素が心筋梗塞や脳卒中を引き起こすアテローム性動脈硬化の原因になっていることは決定的である。
5 塩の摂取で血圧が上がるという塩は精製して塩化ナトリウムだけになっている塩の場合である。にがりが入っている塩にするだけで血圧は正常値に近づく。
6 殺鼠剤にはクマリン系の抗血栓薬が使われている。ワーファリンもクマリン系の抗血栓薬である。
7 ガスターのようなヒスタミンH2受容体拮抗薬は心筋の受容体にも影響する。それで不整脈を引き起こすことがある。心疾患の患者にヒスタミンH2受容体拮抗薬を使うことは禁忌になっている。
8 アルミニウムがアルツハイマー型認知症の原因のひとつという説があるが、アルミニウムが脳の認知機能に与える影響はまだ確定していない。しかしアルミニウムが腎障害や末梢神経障害を引き起こすことはもっと確かなことである。WHOは体重50kgの成人の一日許容摂取量を最高50mgと規定している。ところが胃薬のアルサルミン(sucralfate)を服用すると、一日量400mg~500mgのアルミニウムを摂取することになる。WHOの規定の10倍近い量である。
9 アメリカ東部の20の大学、医療機関が参加した最大級の抗癌剤効能判定研究で、抗癌剤を多投与しているグループほど短命であるという結論が出た。
10 フランスのガストン・ネサン博士は3万倍率、分解能0.015ミクロンの光学顕微鏡を作り、微小生命体を確認しソマチットと命名した。ソマチットを活性化する714Xによる癌治療は、完治率75%という驚異の結果を出した。
11 水銀が神経毒であることは十分に立証されているが、なお世界中のインフルエンザワクチン(複数回摂取タイプ)に入っている。
12 カリフォルニア州とオレゴン州で行った1767名のワクチン接種、非接種を比較した調査では、ワクチンを接種した子供はワクチンを接種しなかった子供より、喘息が120%、注意欠陥・多動性障害が317%、神経疾患が185%、自閉症が146%増えた。
13 現在世界中で使われている麻疹ワクチンは、半世紀あまり前に分離された麻疹ウイルスを長年にわたり培養してつくられた弱毒株に由来する生ワクチンである。ところがこのタイプの麻疹ワクチンは自然界には現在もはや流行していない。
14 牛乳はカルシウムが豊富だが、牛乳をたくさん飲んでも骨は丈夫にはならない。骨を丈夫にするには、同時にマグネシウムもとる必要があるが、牛乳にはマグネシウムが入っていないからである。
15 牛乳は性ホルモン系の癌(前立腺癌、乳癌、卵巣癌)の発症リスクを高めることが、いくつもの医学研究で報告されている。
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何かに使うこともあるから物は取って置くべきである、使える物を捨てるのはもったいない、これが日本人が昔から持ってきた考え方であった。しかし現代は物があふれ、不要な物で家が占領されてしまっている。物を捨てることこそが大事なのである、という新しい価値観の提唱であり、またどのように考えたら物を捨てることができるかということを細かに書いている。次のようなことが書かれている。
1 物をいるかいらないか、使うか使わないかで考えて、いらない物は捨てるという発想をする。
2 3年使わない物はいらない物である。この3年がほぼ日用品すべてにあてはまる。
3 戦後、企業は新しいモノを作るたびに新しいニーズ(需要)を掘り起こしていった。ニーズがあってモノが生まれたのでない。
4 目についた時が捨て時である。
5 何年も開かなかった資料ファイルは、役に立つ資料が入っていなかったから何年も開かなかったのである。捨てるべきものである。
6 箱、容器に入った物は、とにかくまず開ける。開けてみないと必要かどうか判断できないからである。
7 商品を入れる役目の箱は商品を出したら役目は終わる。捨てるべきものである。
8 まだ使えるから捨てられないと考えるのでなく、これだけ使ったのだから捨ててもよいと考える。
9 安易に引出しに物をほうりこむのをやめるとその場で捨てる習慣が身につく。
10 いらない物を手にして元にもどす習慣を、いらない物を手にしたら捨てる習慣に変えてしまう。
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OSをつくるという気持がなくても、OSの理解、プログラムの理解をするのにいい本だと思う。筆者は中学生でも読めるように書いたと言うが、決してやさしい本でなく、高度なプログラムの本である。私はプログラムの所は流し読みで読んだが、プログラムをきちんと理解しようと思うなら、何度も読み直し、自分でプログラムを変えてみて動作がどう変わるのかを確認しつつ読み進める必要があると思う。
 この本はC言語の教科書としてもよい。プログラム言語を使うには、単に文法を知っているだけでは駄目で、実際にどのように書いてあるのかを見て、その使い方を知ることが必要である。C言語の文法を書いた本はたくさんあるが、実際のすぐれたプロブラムを書いてあるものが少ない。この本は問題なく動くOSがC言語でどのように書かれているのかを教えてくれる。ただ筆者の説明はあまりにも簡単すぎる。紙面に余裕がないこともあっただろうし、プログラミングはどこの学校へも行かずに自分で勉強したという筆者だから、そのぐらいのことは自分で考えろということなのだろう。
 C言語を学ぶとみなそのポインタの理解に苦しむが、筆者は目の覚めるような見事なポインタの説明をする。これだけでもこの厚い、高い本を買う値打ちがある。
 make run した時に、私のパソコンの環境では、copyコマンドが実行できずにエラーが出た。それでMakefileの
copy /B asmhead.bin+bootpack.hrb haribote.sys
をcopi.batのバッチファイルとして保存し、Makefileのこの部分をcopiに書き換え、Makefileの
$(COPY) haribote.img ..¥z_tools¥qemu¥fdimage0.bin
をcopi2と書き換え、
copy haribote.img ..z_toolsqemufdimage0.bin
をcopi2.batのバッチファイルとして保存した。これで、make runしても正常に動くようになった。著者もこういうエラーが出ることがあることを認識しており、いくらかの対策を書いているが、私はその一つを実行してもやはりエラーが出たため、上記の方法で読み進めた。
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医学的観点から減量を見たものです。著者の考える減量の原則と方法は下記のようにまとめられています。
原則
1 心と体の改善を一生することである。
2 時間を区切ったダイエットはリバウンドの誘引になる。
3 痩せるためには食生活の制限しかない。
4 運動は太りにくい体をつくるためである。
5 漢方薬は補完的だが、有効である。
方法
1 主食を今までの2/3にする。
2 甘い清涼飲料は飲まない。
3 間食はしない。
4 コーヒーや紅茶は砂糖なしで飲む。
5 揚げ物や天ぷらは控えめに食べる。
6 食べてすぐに寝ない。
7 適度の運動をする。
8 よく眠るようにする。

その他にもいろいろと役に立つ知識がつまっています。下記のようなことが書かれています。
1 内臓脂肪は腸間膜にたまる。
2 脂肪をためこむと、脂肪細胞が大きくなる。
3 炭水化物には、植物由来のセルロースとデンプン、動物由来のグリコーゲンがある。
4 脂肪は1gあたり9kcalのエネルギーを出し、炭水化物と蛋白質は1gあたり4kcalのエネルギーを出す。
5 炭水化物や蛋白質と異なり、水にとけにくいものの総称を脂質と言う。中性脂肪の他、脂肪酸、コレステロール、リン脂質が含まれる。
6 中性脂肪は脂肪酸3つとグリセロールからできる。
7 脂肪酸は炭素が鎖のようにつながったものである。炭素の数が増えて長くなると溶けにくくなる。炭素の数が4~8個の脂肪酸は室温では液体である。ミルク、ヨーグルトなどの乳製品に含まれている。動物の脂肪はt炭素数が16~18個で通常は個体である。また二重結合を持つ脂肪酸を不飽和脂肪酸と言い、通常は液体である。植物性脂肪は不飽和脂肪酸が多く液体だが、動物性脂肪は飽和脂肪酸が多く個体である。
8 天然の不飽和脂肪酸は二重結合の両側が同じ側を向いているシス型である。液体の不飽和脂肪酸に水素を付加して、マーガリンのような個体の脂肪酸をつくるが、この過程で飽和脂肪酸にならなかった一部の不飽和脂肪酸が二重結合の両側が反対側を向いているトランス型に変化する。トランス脂肪酸は心疾患を起こすなどの危険性が高いと言われている。
9 適正体重はBMIが22になる体重である。しかしある程度生きていると、その人の調子のよかった体重がわかるから、その体重を適正体重とするのが、一番無難である。
10 内臓脂肪が100平方センチメートル以上だと疾患の頻度が上昇する。
11 柔らかい血管は血圧が高いと伸びることで血圧を吸収できるが、固い血管は伸びないから血圧を吸収できない。それで高血圧になる。
12 野菜をたくさん食べてカリウムを摂取すると、塩分が排泄されやすくなる。
13 尿酸の元はプリン体である。プリン体はアデニンやグアニンなどの核酸の原材料である。だから核酸が壊れると尿酸ができる。また生体のエネルギーであるATPが壊れても尿酸がつくられる。
14 高尿酸血症は肥満と関係が深い。皮下脂肪がたまると尿酸が排出され難くなり、内臓脂肪がたまると、尿酸が産生されやすくなる。
15 女性ホルモンが尿酸をコントロールするから、女性の高尿酸血症の患者は閉経後に急速に増えてくる。
16 激しい運動は筋肉を破壊して筋肉内のATPを壊すので、尿酸が増え、痛風が悪化する。
17 腎臓の動脈がつまると腎不全になる。
18 腎臓の動脈が動脈硬化になり細くなると、腎臓の血圧が低下する。それでレニンを放出して血圧を上げようとする。これは体全体の血圧を上げ、高血圧症になる。
19 骨盤の動脈が閉塞すると、血管性のインポテンツになる。
20 腸から栄養をとる血管が細くなると、食事の度に激しい腹痛が出る。
21 肝臓の細胞に脂肪がとりこまれるのが、脂肪肝である。
22 尿に蛋白が出ると、尿が泡立つ。
23 睡眠時無呼吸症候群の人がCPAP治療をすると、今までにない熟眠感を得ることができる。その後やせることが多い。熟眠すると成長ホルモンが出るからである。
24 脂肪細胞より分泌されるレプチンが視床下部を刺激することで、女性ホルモンが増え月経になる。正常月経周期になるには、22%の体脂肪が必要と言われている。神経性食思不振症や過激なスポーツをする人が無月経になるのは体脂肪が少ないからである。
25 摂取するカロリーが消費するカロリーより多いから太る。。
26 おおむね炭水化物は体内でブドウ糖に変換される。そのブトウ糖が数千~数万つながったものがグリコーゲンである。グリコーゲンは肝臓でつくられ、肝臓に100g前後、筋肉に300g~500gあると言われる。
27 炭水化物は分解されてアセチルCoAになり、アセチルCoAから脂肪酸が合成される。
28 BMI 22が標準体重とされているが、10年後の死亡率を検討した報告では、BMI 24前後がもっとも死亡率が低いと言われている。
29 体重は水をたくさん飲む、便がお腹にいっぱいである、寝汗をかくなどで数百gは簡単に増減する。
30 軽い自転車運動は30分で150kcal、1時間で300kcaal使う。ショートケーキ1/2個が150kcalである。フルマラソンを5時間で完走すると、600kcal×5=3000kcalである。脂肪には7200kcalあるから、フルマラソンをしても、0.5kgも減らない。フルマラソンは体重が2kg以上減ると言われるが、それは脱水により水分量が減るためて、水分を補えばすぐに回復する。
31 1kgの脂肪は純粋な脂肪800gと水200gで構成されている。脂肪1gは9calのカロリーが含まれているから、1kgで9×800=7200kcal が含まれている。
32 150kcalに相当する運動は、軽いサイクリング 30分、散歩 120分、早歩き 60分、ジョギング 40分、水泳 30分、縄跳び 20分である。150kcal~200kcalに相当する食事はごはん茶碗1杯、食パン1枚、ショートケーキ1/2である。
33 ブドウ糖は無酸素状態では、ひとつのブドウ糖からATPは2個しかつくれないが、有酸素状態では30個以上のATPを産生できる。脂肪酸は無酸素状態では、ATPをつくれないが、有酸素状態ではひとつの脂肪酸から100個以上のATPを産生できる。
34 青酸カリはミトコンドリアのレベルで酸素を使用できないようにする。青酸カリで死亡した死体には酸素があるから死体は深紅の色を呈する。
35 持久力のある筋肉はミトコンドリアが多い筋肉で赤く見えるから赤筋と言う。持久力がなく瞬発力のある筋肉はミトコンドリアが少ない筋肉で白く見えるから白筋と言う。マグロは始終動いているから赤筋となり、ヒラメは海底でじっとしているから白筋となる。
36 癌細胞は無酸素状態で力を発揮する解糖系のエネルギーで増殖する。
37 狭心症で心臓に栄養を送る血管が細くなると、その先は低酸素状態になる。脂肪をエネルギーとして使うには酸素が必要だから、脂肪をエネルギーとして使いにくくなる。解糖系でブトウ糖をエネルギーとして使うと酸素がいらないから、低酸素状態でもエネルギーを得ることができる。それで低酸素状態になっている心臓の部位はブドウ糖が集積することになる。心臓のブドウ糖の集積を表示することで酸素が不足している部分がわかるのである。これが心臓の機能評価をするPETの原理である。
38 発酵酒であるビール、清酒、ワインはアルコール以外に大麦、米、ブドウなどの炭水化物が成分として含まれる。蒸留酒の焼酎やウイスキーは蒸留があるから、アルコールしか含まれていない。
39 ロイシン、イソロイシン、バリンの3種類のアミノ酸は分岐鎖アミノ酸と呼ばれる。分岐鎖アミノ酸は肝臓でほとんど代謝されず、骨格筋と脳で代謝される。また骨格筋の蛋白質の合成を促進し、蛋白質の分解を抑制する。それで運動後の筋肉の疲労を早く回復する。分岐鎖アミノ酸を多く含む食品は、大豆類、チーズ、牛乳、マグロ、鳥肉がある。
40 カロリーゼロ表示は100mLあたり5kcal未満で可能である。カロリーオフ表示は100mLあたり20kcal以下で可能である。カロリーゼロやカロリーオフと書いてあっても、カロリーがまったくゼロという意味でない。
41 アーモンドチョコレートは1個で25kcal前後ある。アーモン1粒で7kcal前後ある。アーモンドチョコレート6個で150kcalである。
42 バター、マーガリン、マヨネーズは15g(大さじ1杯)で約100kcalである。
43 肥満状態では大きな体の隅々まで血液を行き渡らせる必要があるので、血圧を高く保つ必要がある。だから交感神経優位となる。
44 現代西洋医学的薬は1ヶ所に働くことで効果を出そうとする。しかし1ヶ所の働きを止めれば、他の部位が代替の働きをして、それを補うことがある。
45 ある程度強制的に体重を落とす方法は筋肉も減らす。リバウンドする時は筋肉はすぐに付かないので、脂肪が付くことになる。リバウンドを繰り返すと、同じ体重でも筋肉が減り、脂肪が増えてしまう。脂肪は1gあたりに含まれるカロリーが多いから、脂肪が多い体は痩せにくい体である。リバウンドを繰り返すと痩せにくい体になってしまうのである。
46 子供は熟眠している間に成長ホルモンが分泌されて成長する。成長ホルモンは脂肪を燃やす。
47 寝不足や不規則な生活をすると太る。
48 人間の体はたくさんの補完ルートが備わっている。論理的に導かれた薬も補完ルートが代償してすぐに効かなくなる。
49 脂肪1kgは7200kcalである。
50 やせることは一生のプロジェクトだから心を変化させることが大事である。
51 おいしいと感じる漢方薬はその人に合っている漢方薬である。
52 虚症の駆瘀血剤は当帰芍薬散、当帰建中湯、加味逍遥散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯がある。
53 おならがくさい人は大建中湯を飲むと、おなかの張りがとれておならが臭くなくなる。
54 何か起こればやめるということを守れば漢方薬の副作用は心配ない。
55 妊娠を知らずに漢方薬を1、2ヶ月飲んでも流産はしない。少なくとも健康保険適応の漢方エキス劑で流産をした報告はない。
56 いつもお腹が空いている状態を快適と思えるようになると、太ることはない。
57 ある期間で、特に短期間で痩せるプロジェクトは必ずリバウンドする。
58 1日で1kg程度の体重変動は当然である。
59 就寝前の食事は太る元凶である。就寝前は副交感神経が優位になっているので、エネルギーはすべて蓄積される。
60
1 ぼつぼつ痩せる。1ヶ月で1kg以内。
2 炭水化物、蛋白質、脂肪を必ず撮る。
3 野菜、果物を多くする。
4 塩分を減らす。
5 動物性脂肪を避ける。
61 防風通聖散は黄芩が入っているから、肝機能障害がまれに生じる。
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133

中医学を概説したものです。中医学というものがどういうものであるかを知ることができます。次のようなことが書かれています。
1 培土生金は、脾を補うことで肺を補うことができるということである。脾は土であり、肺は金である。相生関係の応用である。
2 脾は昇清作用がある。これは水穀精微を肺、心、脳に送っていくことである。またこの昇清作用が、内蔵を固定し、臓器が下がるのを防いでいる。脾気虚になり、昇清作用が衰えると、脾気下陥になる。脾気下陥は中気下陥とも言う。脾気下陥になると、水穀精微が上に行かないために、めまいが起こる。内蔵が下に下がるために、腹部膨満となり、脱肛や子宮下垂になる。
3 臓腑の六腑は陽に属し、五臓は陰に属するため、腑の経絡名には陽がつき、臓の経絡名には陰がつく。つまり手太陽小腸経、足少陽胆経、手太陰肺経、足少陰腎経のようになる。
4 黄帝内経素問、正気通天論には「高梁之変、足生大疔」とある。大疔は化膿症である。
5 瘀血で次のようなことが起こる。
 血流が停滞するため痛みが出る。頭痛、胸痛、胃痛、腹痛、関節痛、生理痛
 舌の血流が阻滞されるため、瘀点が出る。
 肺を阻滞するため、咳、喘息が出る。
6 痰飲は次のようなことが起こる。
 停留した水が肺を犯し、咳、疸が出る。これを支飲と言う。
 停留した水のため、胸脇の疼痛が起こる。これを懸飲と言う。
 胃腸に水が流入するため、胃腸の伝達機能が阻滞される。それで心窩部、腹部の張り、痛みが出て、嘔気、食欲低下も出る。これを痰飲と言う。
 水が脾、肺、腎の働きを阻滞するため、水が四肢、皮膚にあふれて、四肢の浮腫になる。これを溢飲と言う。
7 痰飲には、苓桂朮甘湯、二陳湯、五苓散などを用いる。
8 「肝は疏泄を司る。」疏は離れること、泄はもらすことで、肝は気の上昇、気の動きを司る。
9 肝陰虚は津液の潤す働きが悪くなるため、目のかすみ、めまい、耳鳴りが起こる。
10 肝気鬱結は肝の疎泄の異常で起こる。
11 精神的なことで気鬱になり、気鬱が長くなると内熱が生じ肝火となる。あるいは火熱の邪氣が侵入し肝火となる。この肝火が肝、胆の経路にそって、上にあがり、上が炎上することが肝火上炎である。清肝瀉火するのがその治療で、竜胆瀉肝湯を用いる。
12 湿熱邪氣の侵入、脂っこい物の過食や酒の飲みすぎ、あるいは脾気虚のために体内に水湿が生じ、肝胆に湿熱が旺盛になったのが、肝胆湿熱証である。湿熱が旺盛で、皮膚、目にあふれて黄疸になる。肝胆の気が阻害されるため、脾胃の働きが失調し、嘔気、便秘が見られる。
清肝利胆するのがその治療で茵蔯蒿湯を用いる。
13 肝陰が不足しているので肝陽が相対的に強くなり、それが上にあがったものが肝陽上亢である。
14 血虚で筋脈が滋養されないために四肢のしびれ、筋肉の震えが起こる。
15 陰虚により津液が筋脈を滋養できなくなるために筋肉がぴくぴく動く。
16 心は経絡を通じて舌とつながっている。黄帝内経霊枢の脈度に「心気通于舌、心和則舌能知五味矣」とある。
17 心気は心の血脈を司る働きと関わりがある。心気虚だと血流障害のため心が養われなくなり、心悸、胸悶が出る。治療には炙甘草湯を使う。
18 心気虚が進みと、心陽虚となり、手足、胸、背中の冷えが出てくる。冷えで血流が悪くなり、血瘀となり痛みが出る。参附湯(人參 12g 炮附子 9g)を使う。
19 心血虚は、心血不足で神を養うことができなくなるため、不眠、多夢、めまい、記憶力低下、集中力低下、物忘れが起こる。帰脾湯、酸棗仁湯を用いる。
20 小腸実熱証は、心の熱が小腸に移り、膀胱に流れ込み、気血の運行を乱し、血脈を灼傷するため、尿道の痛み、排尿時の痛み、排尿困難、血尿が出る。清心蓮子飲、五淋散を用いる。
21 脾の働きを脾気、胃の働きを胃気と言う。脾胃は五臓六腑の中間に位置するから脾胃の気を中気と言う。
22 脾気により水穀精微を上部に位置する肺、心、脳に送っていくことを脾の昇清作用と言う。脾の昇清作用で内蔵が下がることも防いでいる。
23 脾は乾燥を好み、湿を嫌う。
24 脾気虚は、昇清作用が衰えるため、脾気下陥(中気下陥)になる。脾気下陥になると、水穀精微が上に行かないために、めまいが起こる。内蔵が下に下がるために、腹部膨満となり、脱肛や子宮下垂になる。水穀精微の生成が少なくなるため、息切れ、疲労、めまいが起こる。血の統血ができないため、血便、血尿、皮下出血、吐血、鼻血、不正出血が起こる。方剤は四君子湯を用いる。中気下陥には補中益気湯を用いる。脾不統血には帰脾湯、四物湯を用いる。
25 脾気虚が進み、冷えの寒の症状が出るものが脾陽虚証である。水穀精微の生成不足で、顔色蒼白、息切れが出る。身体をあたためることができないので、四肢が冷える。寒邪が凝滞し気血が停滞するため、腹部疼痛が出る。津液の運化ができないため、浮腫、下痢、帶下が出る。黄耆建中湯を用いる。
26 寒湿困脾証は寒湿が内盛しているため、脘腹部が冷える。脾気が阻滞されているため、食欲不振、嘔気が出る。平胃散、苓桂朮甘湯を用いる。
27 胃熱証は胃熱が盛んであるため、咽が渇き、多食になる。気血の流れが乱れれるため胃脘部の灼痛がある。大黄牡丹皮湯を用いる。
28 肺気虚証は。肺の呼吸と気を司る機能が低下するため、咳嗽、喘息が出る。
29 風寒束肺証は。風邪、寒邪が侵入し、肺の呼吸を司る機能が犯されるため、咳嗽が出る。衛気の分散が阻害されるため、熱、惡寒が出る。麻黄湯、小青竜湯、香蘇散を用いる。
30 痰湿阻肺証は、痰湿が肺を犯すから、咳嗽があり、痰が多い。二陳湯を用いる。
31 大腸液虧証は、腸内の津液が不足するから、便秘になる。麻子仁丸を用いる。
32 腸虚滑脱証は。陽気の温める作用が低下するため、腹痛、下痢が出る。陽気の固摂作用が低下するため、脱肛が出る。補中益気湯を使う。
33 腎陰虚証は、陰虚のため、陽が盛んとなり不眠になる。腎精が不足するため、足腰がだるく、めまい、耳鳴り、不眠が起こる。陰液が不足しているため、のどが渇き、生理の出血が少ない。
34 骨髓が不足すると、齒が脱落し、動作が鈍くなる。
35 血熱証は、火熱が内盛するか、火熱邪氣が入ってきて、血液に熱がこもるものである。黄連解毒湯を用いる。
36 津液不足証は、津液が不足し、皮膚が潤わないため皮膚の乾燥、かゆみが出る。毛髪が潤わないため、毛髪に艶がなくなる。麦門冬湯を用いる。
37 寒症には、寒邪が侵入して陽気の温める作用が阻害された表寒証、なま物、冷たい物を食べすぎたために体が冷えた裏寒証、陽気が消耗されたために、寒が相対的に盛んになった陽虚証がある。
38 熱証には、熱邪の侵入で熱くなった表熱証、辛い物、熱い物を食べ過ぎて体に熱がこもった裏熱証、臓器の機能が盛んになって陽気が盛んになった陽盛証がある。
39 裏熱は汗が出て、のどが渇き、煩熱がある。
40 裏寒は下痢し、あたたかい物を好む。
41 塊で形があり、痛む部位が固定しているのが瘀血によるものである。癥、積と言う。塊で形がなく、痛む部位が固定していないのが気滞によるものである。瘕、聚と言う。
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「人生がときめく片づけの魔法」よりも、片付けの仕方が具体的に書かれています。一読するだけの値打ちがあります。次のようなことが書かれています。
1 片付けは単に物を残すか捨てるかの作業でない。物と自分の関係を見直したり、微調整したりしながら、今よりもときめく生活を創造していく学びの作業である。。
2 ときめく物だけを残し、ときめかない物は捨てる。ときめくというのは、「うっとりする」「かわいい」「ワクワクする」という魅力だけでない。「安心する」「便利」「なんとなくしっくりくる」「役に立つ」もときめくに含める。
3 収納の基本は九割収納である。余計なすき間をあけないが、ギチギチにならない程度につめる。
4 収納の四原則はたたむ、立てる、集中させる、四角に区切るである。集中させるとは、同じカテゴリーの物は1ヶ所に集中して収納することである。仕切りは四角が最適である。
5 たたむのは折り紙を折るようにするとうまくいく。つまり一つの辺を折るたびに全体を手の平でなでて落ち着かせてから次の辺をたたむ。一つ一つのたたむ動作をあいまいにしないと、短時間で崩れないたたみ方ができる。
6 たたむポイントは手の平を使ってたたむことである。手の平からはあたたかいハンドパワーが出ており、その熱を押し当てると、繊維が立ち上がり、生地がのびる。
7 皆さんが考えているより小さめにたたむと、服が倒れずに自立するようになる。
8 たたむのは見頃を中心として長方形をつくってたたむ。これは見頃の真中にシワがあると、シワ感が目立ってしまうから、見頃の真中にシワがつくのを防ぐためである。
9 収納の本質は自分と生活をともにしている物に定位置を決めて、物が安心して過ごせるようにすることである。
10 片付けで必要なことは二つだけである。ときめく物を選ぶことと、選んだ物の定位置を決めることである。
11 収納の鉄則は「備え付けの収納から埋める」ことと、「大きな小物から場所を確保する」である。
12 収納の基本はかさを減らすことと、高さを生かすことである。
13 食器の空き箱は収納グッズとして優れている。
14 使い捨て系キッチン小物はセットで使うことが多いので、ひとつの箱に一緒に立てて入れて、その箱を棚に置いておくのでよい。
15 ビニール袋はたたんで小さくして、箱に立てて並べて入れる。
16 シンク下は鍋やフライパンなどの調理器具を収納し、コンロ下は調味料や食品系を収納する。シンク下は湿気が多いため、乾物や調味料のような湿気に弱いものを避けたいからである。
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高血圧に関して一般に信じられていることとかなり違うことを述べています。現代では異端的な見解です。少し断定的過ぎる所もありますが、傾聴すべき所も少なくありません。次のようなことが書かれています。
1 高血圧症というのは、「病気のリスクがある」、「病気になるかもしれない」ということであり、「病気である」ということでない。「病気になるかもしれない」ということ「病気である」ということは本質的に全く違う。
2 バルサルタン(商品名 ディオバン)の2012年の国内販売額は約1083億円であり、日本国内ではあらゆる医薬品のトップであった。
3 高血圧の薬の売上は1980年代は2000億円ほどであったが、2008年はⅠ兆円である。
4 日本は世界の薬の40%を消費している。アメリカに次いで第2位であり、一人当たりの消費量では日本が第1位である。
5 新約を開発するのに何百億円もかかる。それだけの費用をかけた新薬が効果がないことや、強い副作用があることで最終段階で認可されなかったとなると、何百億円の損失になる。製薬会社は当然何とかして認可にこぎつけようとする。
6 高血圧症は製薬会社の主導する詐欺商法である。
7 脳梗塞は脳の血管がつまるものである。脳の血管がつまりかけると、体は懸命に血圧を上げて血流を勢いよくして、血管をつまらせようとしている血のかたまりを吹き飛ばそうとする。この時に降圧薬を飲んでいると血圧が十分に上がらない。だから血のかたまりを吹き飛ばすことができず、血管がつまり脳梗塞になってしまう。脳梗塞は降圧薬がつくっているのである。
8 大櫛陽一氏の研究によると、降圧剤を飲んでいる人は飲んでいない人に比べて脳梗塞の発症が2倍である。
9 降圧薬の一つにカルシウム拮抗薬がある。これはカルシウムチャネルをふさぐことで血圧を下げるものである。カルシウムチャネルは血管だけでなくすべての細胞にある。これがふさがれると細胞が十分に機能しない、それで免疫細胞も十分に機能しない可能性がある。つまりカルシウム拮抗薬は免疫力を弱めてしまう可能性がある。そのため通常なら免疫細胞が摘み取って防いでた癌の芽を放置してしまう可能性がある。実際1993年の茨木県の調査によると、降圧薬を飲んでいる人は、飲んでいない人より、癌による死亡危険度が1.14倍になった。男性に限ると1.3倍であった。
10 認知症は脳の血流が悪くなることが一因である。無理に血圧を下げると認知症が起きやすくなる。
11 高齢者の血管は総じて動脈硬化を起こしている。これは顔にシワが増えたり、髪が白くなるのと同じ老化現象である。細く硬くなった血管に血液を通し体の隅々まで栄養と酸素を送るためには高い血圧が必要である。高齢者の高血圧は生命を維持するための理にかなった反応である。
12 利尿系の降圧薬は尿酸がたまりやすくなり、痛風の原因になることがわかっている。
13 心臓から押し出された血液はわずか25秒の間に全身を駆け巡る。
14 抗利尿ホルモンの分泌は年齢とともに減っていく。それで高齢者は夜中にトイレで目が覚めてしまう。
15 体の反応に無駄なものは一つもない。それなのに血圧が上がることを悪と決め付けせっせと薬を出しているのである。
16 コレステロール値が下がると免疫細胞の働きが弱まる。
17 臓器移植では拒絶反応を防ぐために免疫を下げる必要がある。免疫抑制のためにコレステロール低下薬が使われる。
18 欧米では女性に対してコレステロール低下薬は処方されない。女性は脳卒中や心臓疾患になる確率より薬の副作用により肝臓疾患や癌になる確率が高いからである。
19 欧米では、「閉経していない女性は、コレステロール値が高くても、コレステロール低下薬などの藥を飲む必要がない」というのが常識である。
閉経後の女性は「糖尿病、喫煙という危険因子が重ならない限り薬物治療の必要はない」とされている。
20 コレステロール値が上がると、血管が丈夫になり破れにくくなる。
21 約80%のコレステロールは肝臓を始めとする体内でつくられる。食べ物からつくられるのは、20%に満たない。食べ物からのコレステロールの摂取が減少すると、体内のバランスを保つために、肝臓がコレステロールを生成する。だから食べたいものを我慢してもコレステロール値はほとんど変わらない。
22 丹田(へその下)に力を入れ、腰をしっかり立てて、尻の穴を締め、上体の力を抜き、肩を下げて、あごを引く。すると体に一本の軸が通ったようになり、自然に背筋が伸びる。
23 波の荒い日に船に乗っていても、肛門を締めて肩を下げていれば船酔いになることはない。
24 1988年に世界22ヶ国、52の地域の専門機関が協力し、1万人以上のデータを分析した大規模疫学調査、インターソルト・スタディがある。この研究でパプアニューギニアなど生活環境が極端に違う地域を除き、食塩摂取量と高血圧は何の関係もないと結論づけた。
25 フィンランドを除くヨーロッパの主要国では、高血圧症に対し減塩するように指導していない。
26 穀物や野菜が消化器官を通過して便として排出されるまでにかかる時間は平均で25時間~30時間である。肉は約60時間かかる。
27 日本マクドナルドの藤田田氏によると、人は12歳までに食べてきたものを一生食べ続ける。
28 一度一日に食べたものをすべて紙に書き出してみるとよい。すると自分の食生活を客観的に見ることができ、どれだけ不要なものを口にいれていたかがわかる。
29 ダイエットには、口に入れたものを50回噛むようJにする。
30 噛むためには、顎の筋肉だけでなく、首、胸、背中の筋肉も使う。多くの筋肉を鍛えることになるため、自然に姿勢がよくなる。
31 交通事故は注意力の低下する午後の早い時間に多く発生する。
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男性の減量に関しての記述です。無理をした方法でないため、実行しやすいと思います。ただ論理的に少し矛盾しているような記述があります。次のようなことが書かれています。
1 男性の肥満の原因は内臓脂肪が多い。内臓脂肪は血液中に溶け出しやすい。血液中に溶け出すと脂肪を燃焼させやすい。
2 人間は基礎代謝、活動代謝、食事代謝の3種類の代謝でエネルギーを使う。
基礎代謝に使うエネルギーは、内蔵などの普段は動かしていることを意識しない身体の各器官を動かすために使うエネルギーである。
活動代謝に使うエネルギーは、生活活動で使うエネルギーである。
食事代謝に使うエネルギーは、食事を消化、吸収するために使うエネルギーである。
使うエネルギーの割合は基礎代謝が70%、活動代謝が20%、食事代謝が10%である。
3 食事制限によって摂取する栄養が減ると、やがてエネルギーを蓄えておくために、脂肪でなく筋肉を燃やすようになる。筋肉が落ちると、基礎代謝が落ちるから、脂肪がつきやすくなる。
4 血糖が上昇するとインスリンが分泌される。この時血液中の糖質から中性脂肪がつくられる。脂肪の蓄積は血液中の糖質が脂肪に変わることにより起こる。
血糖値が急に上がりやすい食品を摂取すると、急に上がった血糖を下げるために大量のインスリンが分泌される。それでたくさんの脂肪が合成される。
5 夕食の時のごはんは二口減らせば十分である。
6 アルコールから摂取するカロリーは身体に吸収されるとすぐに「酔い」という形で体温の上昇に使われるため脂肪として蓄積されることはほとんどない。ただしたくさん飲めば別である。
7 酒を飲み始めると肝臓はアルコールを中和することに追われて食事で摂取したエネルギーの一時保管をやめてしまう。それで摂取したエネルギーの多くは脂肪細胞に貯蔵される。
8 空腹状態で飲み会へ行くと、空腹感に耐えきれずに、最初からフライドポテト、ご飯もの、ピザなどを頼んでしまうことがある。これらは高カロリー食であり、高GI食(血糖が急に上がりやすい食べ物)である。空腹感を和らげるために、飲み会の前にチーズを食べたほうがよい。チーズは腹持ちがよい。さらに胃壁に脂肪の膜をつくるために悪酔いしない。さらに食べたものの吸収が穏やかになるため、血糖の上昇が穏やかになる。
9 枝豆には完熟した大豆にあまりないメチオニンが多く含まれている。メチオニンはアルコールの分解を促進し、悪酔いを防ぐ効果がある。
10 食物繊維の多い食材は血糖の急な上昇が抑えられる。
11 食べたものに満腹感を覚えるには1食べ物が口に入ってから10分~20分必要である。食べ始めてから10分間はまだ満腹感が出てこないからたくさん食べれる。だから早食いをすると食べ過ぎることになる。最初の20分間で低カロリーのもの、低GI値のものを食べると、食べるカロリーが少なく、血糖の急上昇がなく、満腹感が得られることになる。
12 キムチ、チャンジャ、納豆などの発酵食品はアミノ酸が豊富で、身体の代謝を高め、脂肪をつきにくくする。
13 キムチやチャンジャは唐辛子に含まれるカプサイシンによって食べたものをすぐに燃焼させる食事代謝を高める働きが強い。
14 焼き魚は焼くことによって脂が落ちるため太りにくい。
15 飲み会ではまず食物繊維の多いものを注文する。中盤には高蛋白で低カロリーの魚料理、肉料理を食べる。どうしても揚げ物、炭水化物を食べたければ最後に注文する。
16 揚げ物は酢やレモンをかけると血糖の上昇が穏やかになり、脂肪がつきにくい。
17 電車のつり革で筋トレができる。つり革は軽く握る程度にして、下腹部に力を入れてかかとを5mm~1cmほど浮かせ、つらくなるまで続ける。つま先立ちをしている上に電車も揺れるので、自然と下腹部に力が入り、体幹が鍛えられ、体幹がよくなる。体幹がよくなると姿勢がよくなる。姿勢がよくなると、代謝がよくなる。
18 立ち上がる時に、机に手をつかないで、立ったり座ったりすると、スクワットと同じになる。一時間に3回手を使わずに立ち、一日に8時間働くと、24回スクワットしたのと同じことになる。
19 ダイエットを始めても体重が減り始めるのは早くて数日後、遅ければ数週間から1ヶ月後である。
20 ダイエットで挫折するのは、意志が弱いからでなく、理由づけが弱いからである。
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弁護士、公認会計士
1 弁護士は、8割を超える2万7094人が個人事業主である。国税庁の2011年の調査によると、この個人事業主の弁護士の所得は、22%が100万円以下である。
2 2004年に弁護士法の改正により弁護士報酬が自由化された。
3 法科大学院を卒業しても、3回司法試験に不合格となると、もう司法試験を受けることができない。この「三振選手」の行く末は悲惨である。良くて塾講師、普通でフリーター、悪くてニートと言われる。
4 日本の訴訟では、当事者の片方、もしくは両方に弁護士のつかない本人訴訟が7割を超えている。
5 日本企業の法務部の多くは法学部出身の非弁護士である。彼らは弁護士よりも実務に即した法にずっと詳しい。外部から雇った顧問弁護士との連携プレーで十分にことが足りる。あえて高い金を出して企業内弁護士を雇う必要がない。
6 アメリカには司法書士や弁理士がない。代理人業務は弁護士が独占している。
7 2008年の弁護士一人あたりの訴訟時件数は、2000年より全国平均で21.7%減少している。
8 スエーデン人は「あなたのせいだ」と人を指差して人のせいにする人に対して次のように言う。「指差した手の親指と人差し指は確かにその人に向いている。しかし中指、薬指、小指は自分に向いている。結局3/5は自分のせいなのだ。」
9 TOEIC高スコアでも英語が喋れない社員問題を企業は認識している。米国発のTOEFLEは、スピーキングとライティングの力もしっかり図ることで定評があるグローバルなテストである。ところが企業はTOEFLE採用に踏みきらない。理由はTOEFLE受験には最低225ドルが必要であり、TOEICの4倍になることだろう。さらにTOEFLEは日本ではパソコン上でしか受験できないことも理由だろう。
10 何のスキルもない若者を一括で新卒採用し、一から育成する日本のようなシステムは欧米ではほとんど存在しない。
11 欧米の若者は大学を出ると公的な研修機関の門戸を叩きトレーニングを受ける、あるいは、アルバイトやインターンとして企業で働き経験を積むなどして実務能力を鍛える。
12 日本企業は大学以上の学歴や資格の有無より社内教育を重視する。若者に関しては実務能力を求めず、自社流の教育がしやすいように変に色がついていない素直な人材を求める。それで大学を卒業したての若者を大量に一括採用してきた。
13 人間はそこに放り込まれればできるものである。
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 血液製剤に放射線照射をしているのは、知っていたが、それが15グレイから50グレイと知ってびっくりした。哺乳類の致死量は5~10グレイである。人間が15グレイから50グレイの放射線を浴びたら間違いなく死ぬ。赤血球には核がないので放射線によりDNAが破壊されることがないから赤血球は大丈夫なのかなあと思うが、やはり不安になる照射量である。
 ロックフェラー一族、ロスチャイルド一族、日赤などが、自分たちの利権のために危険な輸血を進めているかのような記述が頻繁に見られるが、根拠不足であり、いたずらに中傷していると言われても仕方ないと思う。
 カントンの犬の情報は非常に有用な情報であった。下記に要約を書く。
カントンの犬の実験は一般公開して、1897年に実施された。
第1の実験
 体重5kgの犬の血液を抜き取り、血液と同じ濃度に薄めた同量の海水を血管に注入した。注入した海水は3.5Lに達し、犬はぐったりと横たわっていた。しかhし5日後には犬はすっかり回復した。
第2の実験
 体重10kgの犬の血液を極限まで抜いた。その後に同様の海水を注入した。大腿静脈から犬の体重の20分の1に相当する425gの血液を抜くことを4分間にわたって実施した。犬は角膜反射が消失し、血を抜き取るのが不可能な状態になった。海水の注入を開始し、11分間に532mLを注入し。角膜反射を確認した。5日を過ぎる頃から急速に回復し、8日目には、元気あふれる様子になった。この犬はその後5年間生き、バスにはねられ死んだ。
第3の実験
 哺乳類(犬、うさぎ)、両生類(カエル)、爬虫類(トカゲ)、魚類(テンチ=ドクターフィッシュ)、鳥類(はと)から採血した血液を海水で希釈した。白血球は正常状態を保った。
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基礎的なことから、わかりやすく説明しています。LibreOffice Basicの基礎がわかります。メニューバーの項目にマクロを配置し、メニューバーから実行する方法もわかります。便利です。しかし実際にLibreOffice Basicを使うには、もう少し詳しい説明とサンプルコードがほしいです。インターネットでいろいろ検索し、知識を補充する必要があります。ただインターネットにもLibreOffice Basicのことはあまりのっていません。
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 年に7000万円の不動産からの収入があるという著者が、質問をもうけて金がたまる人のタイプを説くものです。大手銀行の支店長をしていたという経歴があり、この本で銀行の内部事情を知ることができます。
 著者が不動産投資で儲けたためか、銀行からローンを組んで不動産投資することを勧めます。しかし私は素人が不動産投資するのは、危険が大きいと思います。著者自身が認めているように、投資の価値がある不動産は少ないものです。しかも不動産市場は閉鎖的であり、インサイダー情報の世界です。よい情報は不動産会社と親密な関係にある上客にしか伝わりません。このような状況下で素人が投資の価値がある物件の情報を得るのは非常に困難と思われます。
 金持ちは靴がきれいであり、雨の日は靴を守るためにタクシーに乗るという記述もあります。金持ちでも靴のことに構わない人もいるだろうと思います。
 気軽におもしろく最後まで読める本ですが、私はこの本の内容に十分には賛成できません。
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論理や臨床研究を根拠にするのでなく、著者の経験や感じでものを断定するような書き方をしています。その根拠は何なのだろうと思ってしまいます。しかし論理がおもしろいものもあり、下記のようなことは、印象に残りました。
1 とうがらしは胃を刺激して、食欲を増進させるから、元気になった気分になる。しかしとうがらしは胃の粘膜をどんどん萎縮させている。
2 ピロリ菌を除菌すると、約3割の人に逆流性食道炎が発生する。
ピロリ菌は強い酸性の中で生き残るため、アンモニアを産生している。ピロリ菌を除菌すると、アンモニアがなくなるため、胃の中は一気に行き過ぎた酸性の状態になる。高齢化すると、胃と食道の間の括約筋がたるんでくるため、胃酸が食道の中に逆流する。酸性が強すぎると逆流性食道炎になりやすくなる。
3 骨粗しょう症の改善にはカルシウムの摂取と同時にコラーゲンの補給も必要である。
4 新薬の臨床試験で60%ぐらいの人に効果があれば、薬として承認される。しかしプラセボでも30%ぐらいの人に効果がある。この30%をひくと、薬の効果のある人は30%ぐらいである。
5 国内には約6000のゴルフ場があるが、1年間にゴルフ場の数だけ死者が出ると言われている。つまり年間六千人がゴルフ場で亡くなる。特に、夏場や冬場のゴルフ場は危険で、夏場は熱中症、冬場は心筋梗塞で亡くなる。
6 骨密度があがる運動は、サッカーやラグビーのような強い負荷がかかる運動であり、水泳や自転車のような運動では骨密度はあがらない。
7 ジェネリック薬は先発薬のメーカーが公開するデータに基づいて薬をつくる。先発メーカーがそのすべて公開するわけがない。肝心な所はぼかしているはずである。だからジェネリック薬の会社が同じようにつくったとしても、温度条件とか、添加物とか、微妙な部分で変わってくる。それが効き目の違いとなって現れる。和菓子では、ようかんは有名店も普通の店も小豆を材料にしてつくっているが、味に大きな差が出てくる。薬もこれと同じである。
8 大学教授に就任するには、主論文が少なくとも50本必要である。臨床研究だけで主論文を50本も書くことはできない。また大学では臨床研究は基礎研究よりレベルが低く見られる。それで主論文のほとんどが動物実験による基礎研究になる。だから外科の教授に立候補するとしても、論文を書くために、手術をしないで、動物実験ばかりすることが起こる。
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家庭での豆腐のつくり方を教えるものである。これに従ってつくると自分でも豆腐がつくれるようになる。さらに豆腐に関する知識も増やすことができる。また豆腐やおからのレシピものっており、便利な本である。次のようなことが記述されている
1 豆乳とにがりが反応する時間はたった3秒である。
2 豆乳ににがりを混ぜ、そのまま冷やして固めたものが寄せ豆腐である。
3 豆乳を85度にあたためる。そして豆乳を10回ほどかき混ぜ強い渦をつくる。次に鍋の縁側にむけてニガリを一気に入れる。入れたらすぐに5回ほど混ぜる。そして木べらを動かすのをやめて水の流れを止める。流れがおさまったら静かに木べらを引き上げる。豆乳とニガリがほどよく混ざり合い、水分がほとんど出ない状態が理想的な寄せ豆腐である。黄色い水が出るのはニガリを混ぜる力が強すぎたりした時に起こる。
4 やっこの薬味にはおろししょうが、刻みネギ、かつお節が定番である。みょうがや青じその千切りで清涼感が増す。オリーブオイルと塩もある。
5 湯豆腐をおいしく食べるには煮すぎないようにする。豆腐を水から火にかける。水から煮ることで、豆腐が芯からゆっくりと温まる。豆腐がグラッと動いた瞬間が食べ頃であり、温度で言えば80度ぐらいである。沸騰しないうちに食べる。
6 舌には味覚を感じる味蕾細胞がある。味蕾細胞が味を敏感に感じる温度は19度である。食べ物が冷たい時は味蕾細胞の反応が鈍くなる。それで豆腐本来のうまみを感じたいのであれば、19度で食べる。夏場は気温が高いから、食べる30分ほど前に冷蔵庫がら出しておくと、食べる時にちょうどよい温度になる。
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マレーシアを礼賛する本で、著者のしている事業の宣伝も入っています。著者が住んでいるジョホール・バルのことが主として書かれています。私はマレーシアに行ったことがありますが、そんなにいいことばかりでないという印象です。ただマレーシアの知識を増やすことはできます。マレーシアの陰の部分も言及してほしかったと思います。次のようなことが書かれています。
1 マレーシアで仕事を持つほとんどの人は、物件が豊富なので、車で30分以内の場所に住んでいる。
2 マレーシアでは家で調理することが少なく、外食中心である。
3 マレーシアでは共働きが当たり前であり、お手伝いさんを雇うのに抵抗がない。
4 ジョホール・バルはLCCが発達しているので、セブ、マニラ、バンコク、香港などに片道数千円で行くことができる。
5 日本人は全員が同じだと無意識に思い、価値観が違うと受け入れずに否定する。
6 マレーシアは中国南部から移ってきた人が多く、主として広東語が使われている。しかしジョホール・バルだけは北京語が使われている。シンガポールが北京語を公用語としているため、その影響を受けている。
7 ジョホール・バルに住み、シンガポールで起業すると、シンガポールの低税率を享受しながら、生活コストを下げて暮すことができる。
8 マレーシアでは、日本の年金も海外での所得とみなされるので非課税になる。
9 日本国内でのマレーシアリンギットの取扱いはごくわずかだからレートがよくない。マレーシアで両替したほうがよい。
10 コンドミニアムはマレーシアでは、単身者が住むようなワンルームや1kはほとんどない。2年間の契約が多く、数週間から数ヶ月という短い契約ができる所はあまりない。
11 サービスアパートメントホテルはキッチンや調理器具が完備され、その日から暮らすことができるホテルである。部屋の清掃サービスやタオルなどのリネン交換も行っている。1泊から利用することができる。
12 滞在施設を選ぶ時は車で行くのでなく、自分の足で歩いてみるとよくわかる。
13 家具月つきの部屋は壊れていないか、きずがないか事前にチェックしておかないと、退去時に請求されることがある。
14 マレーシアでは女性にむやみに触れるのはよくない。肩を抱いたり握手を求めたりしない。
15 マレー系の人はノンハラールの商品に触れることを嫌がる。レジでも中国系やインド系の人が担当するレジに持っていくのがよい。
16 マレーシアでは、トイレットペーパーを使わない。ペーパーを流すことを前提とした配管になっていないため、流してしまうとつまることがある。
17 何事も自分で経験し、自分の目でみなければ自分のものにならない。
18 繁華街の外れや繁華街と住宅街の境目は危険な場所である。
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橘 玲氏は、常識と違う、それでいて理のある主張をします。そのユニークな切口におもしろさを感じます。これは随想を集めたものですが、橘流の見方を知ることができます。次のようなことが書かれています。
1 民主制では選挙で相手より多くの票を獲得した候補者が当選する。自らの政治的信念がどうであれ、政治家はできるだき多くの有権者から支持を集めなければならない。それですべての政党は有権者の平均的な政治学的立場に近づいていくはずである。
2 現行の日本国憲法が英語版を日本語訳したことは歴史的資料においても明らかである。
3 1945年9月11日、東条英機は占領軍が逮捕に来たことを知って、左胸にピストルを当てて引金を引いた。しかし急所は外れて自決に失敗し、敵の囚人となった。「生きて虜囚の辱を受けず」という戦陣訓を示達した当人が虜囚になったのである。
4 戦後掌を返したように民主主義を賛美する政治家や官僚、権力者への国民の反応は、怒りというより冷笑に近いものでした。この時日本は国家の信任を完全に失ったのです。
5 BSEの原因である異常プリオンが脳などの特定部位に集まるのは高齢牛だけで、若齢牛の脳を調べても感染牛を発見することはできず、全頭検査は税金の無駄というのが世界の常識でした。先進国でこんなことをやっていたのは日本だけであったにもかかわらず、200億円もの税金が投じられた全頭検査が全国で廃止されたのはようやく2013年6月でした。
6 イギリスでは金利の上限制度がない。当事者同士が納得しているなら、公序良俗に反しない限り、どのような契約も自由であるべきだと考えられているからである。イギリスで上限金利導入の議論が起きた時、「資金を必要としている人が借りられなくなる」と真っ先に反対したのは消費者団体であった。
7 オランダでは売春とマリファナが合法化されている。
8 売春は世界的に合法化されつつある。ドイツ、オランダ、デンマーク、ベルギー、スイス、オーストリアなどでは売春斡旋業は認可制である。
9 日本の会社は終身雇用と引き換えに正社員に対して絶対的権力を持つことができる。
10 サービス残業というのは、就業時間外に働いたにもかかわらず残業代が払われないことで、労働基準法では明確に禁じられている。対価を払わずに人を働かせるのは奴隷労働で、それを否定することで近代が成立した。それにもかかわらず日本ではしばしばサービス残業の常態化が指摘され、多くのサラリーマンがサービス残業は仕方ないものとして受け入れている。
11 中国は日本以上にベタベタな人間関係でできた社会だが、従業員はみな定時になるとさっさと帰宅し、無報酬で働くなどということは考えられない。
12 経済学では事業者に補助金を払って市場を歪めるよりも、補助金を廃止し、市場原理を働かせて新規参入を促し、料金が上がるならサービスを必要とする人を直接援助するほうが、ずっと効率的であることがわかっている。
13 開かれた世界市場との回路を閉じてタコツボ化した組織は、必然的に腐っていく。
14 食材が高いのは希少だからで、それが必ずしもおいしいとは限らない。秋に高級日本料理店に行くと、松茸の吸い物、松茸のてんぷら、松茸ご飯などが次々と出てくるが、安くておいしいきのこはほかにいくらでもある。
15 娯楽としてのマスメディアの限界は、真実が複雑でわかりにくいものだとしても(たいていはそうである)、それをわかりやすく加工しなければ商品にならないことにある。メディアそのものが捏造装置である。
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145

 サンプルコードを実際に入力してみて著者の言うように動くことを確認し、少しいじってみて動きがどう変わるかを見て、さらにExercisesもすべて解いていると読み終わるのにかなり時間がかかります。しかしそれだけ手間と時間をかける値打ちのある本です。単に文法とサンプルコードを羅列するだけだと無味乾燥に思うのでしょうが、ストーリー性があるからおもしろく読めます。
 変数の最初に$をつけ、配列の最初に@をつけますが、次のような逸話を紹介します。$は$calar(scalar)と読めるし、@は@rray(array)と読めるから、変数に$をつけ、配列に@をつけることにしたとLarryは言っている。
 配列をsortで並べ替えると、ASCII文字コードの順に並び、数字の大きさ順に並びません。数字の大きさ順に並べるには、
@numbers = sort {$a <=> $b} @some_numbers
のように、{$a <=> $b}を使います。私はこれはどうして($a <=> $b)のように()で囲まないのだろうと思っていました。この本は次のように説明します。
sort-definition subroutineをつくることでいろんなsortができる。数字の大きな順に並べるには、次のようなsort-definition subroutineをつくる。
sub by_number {
if ($a < $b) {-1} elsif ($a > $b) {1} else {0}
}
このsubroutineを使って、
@numbers = sort by_number @some_numbers
と書いて、数字の大きさ順に並べることができる。
Perlはできるだけ簡単に書こうとするから、このsubroutineは
sub by_number {
$a <=> $b
}
とも書くことができる。
さらにby_numberというsubroutineの名前のかわりに、subroutineの内容を書くこともできる。だから
@numbers = sort {$a <=> $b} @some_numbers
になる。
このように説明されると、subroutineだから、当然{}で囲むわけで、()では囲みません。なぜ{}で囲むのか納得できます。
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著者の外来での相談内容をまとめたものであると著者は言う。だからその主張の根拠となる文献は示されていない。ただ著者は比較対照試験だけを根拠にしているのでなく、理論的に主張する所があ。それは根拠とする文献はいらない。著者の主張は概ね肯定できるものである。下記のようなことが書かれている。
1 日本のどんな大病院の医者も癌の治療を受けた人しか診ていないから、癌を放置した場合の余命はわからないはずなのに、放置すると「余命半年」などと言うのはおかしい。
2 医者の言う癌の余命は、手術や抗癌剤の治療をした場合の余命である。
3 医者の言う余命は半数生存期間、半数死亡期間であって、余命半年と言われても、直後に死ぬ人もいる。
4 手術が癌の再発を促すという報告は、世界中の医学雑誌に途切れることなく掲載されている。しかし癌治療の世界において、手術によって再発の頻度が促されると公言することは、タブーである。
5 手術が癌の再発をうながす機序は次の2つである。
1 血管の中にある癌細胞が手術でメスが入った場所に血液とともに流れ出てそこで増大する。
2 他の臓器に潜んでいた癌が手術をきっかけに急速に増大する。
6 肝内胆管癌はほとんどの場合、肺や肝臓などにすでに転移が潜んでいる。
7 固形癌は早期発見をしても癌による死亡は減らないことが、これまでに蓄積された医学データから確認される。
8 転移能のある癌は、癌病巣が1mmにも達しないうちに転移してしまう。
9 2cmの癌の何割が転移しているかは、癌の種類によって異なる。胃癌や大腸癌はほとんどの場合転移はないが、膵臓癌はほとんどが転移している。ただし転移していても画像でわかるより小さいことが多く、発見されると限らない。
10 死亡率の観点からは目標とするヘモグロビンA1c値を7.5付近に置くのがよい。
11 1mmの転移はどんなことをしても発見することができないが、その中には100万個の癌細胞がつまっている。
12 大腸ポリープが癌に移行するなら、癌がポリープ内で増大して周囲の組織にも侵入して進行癌に移行する姿が観察されるはずである。ところが全世界でたくさんの内視鏡検査がなされたが、そういう移行象はなかなか見つからなかった。
13 本物の癌は常時血液の中に癌細胞がいる。手術でメスが入って出血すると、血液の中の癌細胞が傷口にとりつき増殖する。
14 肝転移で人が亡くなるのは、肝臓が機能しなくなり、肝不全になるからである。しかし肝臓は余力が大きく、肝硬変などがなければ、肝臓の8~9割がやられるまでは肝不全にはならない。つまり正常肝組織が転移癌と入れ替わっていく時は、正常組織が1~2割になるまでは大丈夫である。
15 分裂が盛んな癌細胞は一般に放射線感受性が高い。
16 放射線治療は通常1回に2グレイの線量を週に5回、トータルで25回程度かける。
17 基準値は、職場の健診や人間ドックを受診した人の測定値を低い方から順に並べ、低い方の2.5%と高い方の2.5%を除外してできる。
18 肺癌の患者に抗癌剤を投与した試験では、一般に患者の半数が6ヶ月~9ヶ月で死亡している。
19 血圧は脳に十分な血液がいくようにそれぞれの体の部位が調節した結果である。つまり血圧はその人にとって必要だからその値になっている。あるべき血圧の基準という発想そのものがナンセンスである。
20 筋肉は再生しない。
21 フィンランドの調査では、80歳以上で生存率が最も高かったのは、上の血圧が180を越えた人たちで、140を下回ると死亡率が高くなる。
22 降圧剤は高齢者では特に危険である。欧米の比較試験では、80歳以上の試験結果は降圧剤投与群の死亡率がプラセボより高くなっている。
23 比較試験の結果を見ると、降圧剤は無意味と言うより、危険である。血圧を下げることにより脳への血流が滞るので、脳細胞がうまく働かなくなってぼけが進み、自立生活が困難になる。また脳血流が滞るので血が固まりやすくなり、血栓ができて脳梗塞を発症する。
24 肝硬変や慢性肝炎から生じた肝癌は手術で取りきれても残った肝臓に5年以内に8割~9割が再発する。
25 肝臓は余力の大きい臓器で、機能が正常なら、肝臓全体の8~9割が癌に置き換わっても生きていることができるが、肝硬変があると余力が小さくなり、半分が癌に置き換わっただけで亡くなる人が出てくる。
26 癌の診断の10%以上が間違いであったという研究がある。
27 前立腺癌の患者をふたつに分け、一方は前立腺を全摘し、他方は放置していた米国の比較試験では、前立腺癌の死亡率は変わらなかった。
28 前立腺癌のホルモン療法は前立腺癌を一時的に小さくするが、数ヶ月から数年たつともとの大きさにもどる。
29 前立腺癌のホルモン療法には種々の副作用がある。筋力が衰えるし、男性機能を失ってしまう。
30 BCGはウシ型結核菌からつくられた結核予防のためのワクチンである。膀胱癌の予防にもなると広く使われている。しかしBCGの膀胱癌に対する予防効果は明らかでない。さらに膀胱を刺激する作用が強く、尿意が頻繁になり、生活の質が落ちる。
31 癌は放っておくと転移するというものでない。
32 ワクチンではウイルスの死骸を注射で体内に入れるが、生きたウイルスに自然感染した場合と異なり、免疫システムが成熟しない。
33 マンモグラフィ検診でしか発見できない乳癌は放っておいても進行、転移しないので乳癌で死亡する確率はゼロである。
34 乳癌の非浸潤癌は100%がんもどきなので、欧米では非浸潤癌と呼ぶのをやめて、良性を意味する疾患名に変えようとする動きが出ている。
35 乳癌の発見数はこお30年間で3倍以上に増えているが、その全部が治療不要である。これはゆゆしき事態である。
36 転移する性質の癌細胞であれば、癌発生後のごく初期の間に転移してしまう。初期に転移できなかったものは、その後も転移できない性質と考えられる。
37 手術しない場合の腹膜転移は、他の臓器の機能不全を起こしにくく、なかなか死因にならない。
38 欧米ではBMIが25以上、30未満は単なる過体重とされ、肥満判定は30以上の場合である。欧米のメタボ検診はBMIが30以上を想定している。BMIが25以上を肥満とする日本の基準は極めて特異であり、陽性判定を大幅に増やす仕組みになっている。
39 欧米で行われた比較試験では、高血圧や高血糖などを下げるように厳格に指導すると、逆に死亡率が高くなることが示されている。
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旧暦(太陰太陽暦)の紹介です。少しまとまりのない記述ですが、旧暦の一般的な知識を得ることができます。現代使われている太陽暦は太陽の動きだけを基準にしてつくられており、月の動きをまったく考えていません。太陽は確かに季節の変動のような大きな影響を人間生活にもたらしますが、月もまた人間生活に影響を及ぼしています。月の影響も考えている太陰太陽暦(旧暦)は太陽暦以上の高度な暦であり、私たちの実際の生活に合っていると思います。次のようなことが書かれています。一部私が補充した所もあります。
1 月の1年は354日であるが、太陽の1年は365日である。この差11日をうまく工夫して月と太陽の両方の運行を取り入れた暦が太陰太陽暦である。
2 地球が太陽を一周するには、365.2422日かかる。グレゴリオ暦は、1年を365日とし4年に一度2月を閏年として29日にする。ただし400年間に100回でなく、97回の閏年を置く。400年間における1年の平均日数は365+97/400=365.2425日になる。これが現代の標準の暦で太陽暦である。
3 月が地球を一周するには、29.530589日かかる。29.530589×12=344.367068 だから1年は約354.37日になる。太陽暦と毎年約11日ずれる。季節変化のほとんどない所では、太陽暦とずれても大きな問題が起こらないから、太陰暦を使うことができる。イスラム教徒は太陰暦を使っている。
4 太陰暦の1年は太陽暦より約11日少ない。33年間で11×33=363 だから、33年で約1年になる。だから同じ日に生まれても、太陽暦を使っている人が33歳になると、太陰暦を使っている人は34歳になる。
5 新月や満月の大潮は魚がよく釣れる。
6 月食は満月の日にしか起こらない。
日食は新月の日にしか起こらない。
7 旧暦の夏に閏月が入るとその夏は平年より残暑が長引き、秋の入りが遅れる。
8 旧暦は、冬至を含む月を11月、春分を含む月を2月、夏至を含む月を5月、秋分を含む月を8月とする。
9 旧暦の5月は梅雨になる。閏五月がある年は梅雨が長いというのが、旧暦時代の常識であった。
10 出産は満潮時で、死亡は引潮時である。
11 地震は満月、新月に集中する。
12 旧暦の五月は新暦では6月になり、梅雨の時である。五月晴れというのは、梅雨の晴れ間のことを言ったのである。
13 太陰太陽暦は閏月があるから、閏月があると気候の早晩が起こり、農業に不都合であると改暦の詔勅に書かれていた。しかし実際は閏月のある月の季節が長くなる傾向がある。夏に閏月があると、夏が長くなるのである。だから太陰太陽暦のほうが農業歴として優れている。
14 福沢諭吉は改暦弁で「日本国中の人民、この改暦を怪しむ人は必ず無学文盲の馬鹿者なり」と書いている。福沢諭吉の見識の浅さを示している。
15 ユリウス暦が実施されたのは、紀元前45年1月1日である。グレゴリア暦が実施されたのは、1582年10月15日である。ユリウス暦は1年を365.25日としているが、実際は365.2422日である。
365.25ー365.2422=0.0078日
1582+44=1626年
0.0078×1626=12.6828日
だから11582年には昼、夜の長さが同じである春分の日が10日以上実際の春分の日の前にずれており、誰が見てもわかるほどであった。それで1582年10月5日を1582年10月15日とするグレゴリア歴が始まった。
16 「穀類、果実は上り月、根菜類は下り月」という言い伝えがある。これは、土の上になる米や麦、果物、きゅうりなどは新月から満月に植え、さつまいもやたまねぎなどの土の中に育つものは満月から新月までに植えるという意味である。
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現役精神科医が精神科医と精神科の内情を暴露した本です。精神科医は一般人の5倍も自殺しているとのことです。精神科医が、自殺の原因になることが多いうつ病を治療する資格があるのかと思ってしまいます。次のようなことがか書かれています。
1 精神科医のB教授は自殺した。
2 自殺者のうち、その7~8割は自殺時点で何らかの精神疾患にかかっていたと言われる。
3 精神科医の平均寿命は一般の医師より5年短いと言われているが、アルコールに依存する精神科医が多いことがその背景の一つである。
4 アルコール依存症は体を害するだけでなく、うつ病と同様に自殺率が高い。
5 日本の精神科病院は外国と比べて群を抜いて多い。2006年11月の時点で、精神科病院の全病院に占める割合は18.5%である。
6 臨床経験が研修医の一年間しかない医者が精神科の教授になった例がある。
7 論文で患者を対象にしたアンケート調査の結果を使う時に、一人の答えがなければ統計的に差が出る時、「これは邪魔だよね」と言って、平気で答えを改竄してしまう。
8 宮崎勤被告に対する精神鑑定では、三人の精神科医が精神鑑定を行い、診断は統合失調症、多重人格主体の反応性精神病、人格障害に分かれた。
朝青龍に対する診断では、解離性障害、急性ストレス障害、神経衰弱に分かれた。
9 うつ病と不安障害は6割~7割の患者が併発する。
10 アルコール依存症や過食症などの依存症では、約50%がうつ病を合併する。
11 日本の精神科には、体系だった標準的な教育システムがまったくといっていいほどない。
12 抗うつ薬は定期的に飲むのが基本である。決められた量をきちんと飲んで、症状が改善した後もしばらくは同じ量をのみつづけて、再発がないのを確認しながらゆっくり減量していき、最後に中止する。
13 フルボキサミンを強迫性障害に使う場合、保険で認められている1日の服用量は150mgである。欧米では1日に250mg~300mgも使われている。実際そのくらい使わないと効果が出ないケースも多いと報告されている。
14 初発のうつ病患者は薬を投与する期間は、欧米の治療ガイドラインは半年~1年と定めている。日本のガイドラインでは3ヶ月である。
15 欧米のガイドラインは根拠を示してあるが、日本のガイドラインは根拠を示していない。
16 精神科医の自殺する頻度は一般人の5倍である。研修医などの若手時代には、一般人の9倍にもなる。
17 うつ病の治療で大事な時に薬を打ちきられたために症状が後戻りしてしまう患者は多い。
18 薬の量が不十分であることと、早い時期での打ち切りは、難治生、遷延性のうつ病の最大の原因になっている。
19 クロルプロマジンは糖尿病に悪い影響を与えると考えられているが使用禁止にはなっていない。
20 うつ病と躁うつ病を見分けるのは難しい。躁うつ病の患者に抗うつ薬を使うと、躁転してしまうことが多い。抗うつ薬を使って躁状態をつくり出すことを何回も繰り返すとどんな薬も効かない難治性躁うつ病になってしまう。
21 日本の場合、治験に参加する患者は、「治験ボランティア」と呼ばれ、報酬は交通費という名目でしか出ない。謝礼という名目で支払うことを法律で禁じている。
22 抗うつ薬にリチウムを加えることでとても強力な増強効果が期待できると言われている。
23 製薬会社の息がかかった医者は無批判に新しい薬のすぐれた所ばかりを繰り返し講演し、マスコミなどでも発言する。
24 2000年代にSSRIの特許切れを迎えた時に、アメリカの製薬会社は二つの戦略を取った。一つは薬の適用を広げることである。そうすると別の新しい特許が生まれる。SSRIはうつ病だけでなく、不安障害にも効果があると適用を広げた。二つめは外国にうつ病を広げることである。日本ではうつ病が増えているがこれはアメリカの製薬会社の戦略によるところが大きい。
25 外来のうつ病患者を対象にSSRIの効果を厳密に調べたところ偽薬とあまり変わらなかったという研究がNew England Journal of Medicineに発表された。
26 うつ病に対する抗うつ薬の反応率は服用した人の6割~7割で症状が半減するのが一般的でる。
27 日本の大半のカウンセリングはただ話を聞くだけである。
28 PTSDや強迫性障害、社会不安障害など、不安障害に含まれる症状に対しては、認知行動療法が薬よりも効果があるというのがイギリスやアメリカでは常識になりつつある。
29 日本にいるうつ病患者のうち、精神科に通院しているのはわずか五分の一に過ぎない。
30 外国の多くは最初に家庭医にかかることが義務付けられている。
31 妊婦と90歳以上の老人の精神障害患者は電気痙攣療法による治療が世界の常識である。
電気痙攣療法の対象になるのは、統合失調症、躁状態、うつ状態、強拍症状などである。
32 電気治療は難治性の患者でもおよそ8割に効果が出て、その効果もすぐに現れる。しかしその効果は数ヶ月しか続かない。
33 うつ病は一度治療すれば再発しないという単純な病気でない。一度うつ病にかかると、一年以内に約50%が再発する。
34 手術で前胸部に刺激装置を埋め込み、脳に電極を埋め込んで、電流によって刺激を与えていく脳深部刺激療法(DBS)がある。
35 セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は抗うつ薬に負けないくらいの効果が証明されている。
36 葉酸はビタミンMとも呼ばれ、メンタルによい影響をもたらす。
葉酸は抗うつ薬の効果を高める。抗うつ薬への反応が悪い患者が、葉酸を一緒に摂取することで、60%程度であった反応率が90%に向上したという研究データがある。
37 イギリスで最も有名な精神科病院であるモーズレー病院が作成し、精神科薬の世界的なバイブルと言われる「英国モーズレー病院処方ガイドライン」にはトリプトファンはうつ病にきわめて効果的であると書かれている。トリプトファンはセロトニンの材料となり、バナナに多く含まれている。
38 医療費の抑制に取り組むイギリスでは、患者はすべて病院で診てもらうのではなく、自分でできることは自分でやることが大事であるということを国がすでに政策として打ち出している。
39 「FEELING GOOD」、「Managing anxiety and depression」を対象とした読書療法と薬物療法を比較した調査があるが、軽度から中度のうつ病であれば、治療効果が期待できることが明らかになった。
読書療法で選ぶ本の基準はどれだけ気持ちが楽になるか、そして症状が改善するかである。
40 薬物療法やカウンセリングでつらい症状などはとれたが、パワーやモチベーションが上がらない症状が続くことがある。これを「無気力反応型」と言う。あるいは「無気力・疲労残遺型」とも言う。うつ病はよくなったのに、職場復帰しようとする時にいまひとつパワーが出ない、パワーが続かないというような人であり、こういう人は多い。こういう人にやる気を起こさせ、社会復帰を促進する(専門用語で行動活性化(Behavioral Activation)ものとして、運動療法がある。運動療法はウォーキングが代表的なものになる。
41 精神科医の中には、抗うつ薬を投与していて、日中に眠気が出ると、すぐに抗うつ薬の副作用と考えて処方量を減らしてしまう医者がいる。しかし眠気はうつ病の回復期でも出ることがある。
42 初めてうつ病を発症した場合、抗うつ薬を飲んで症状がよくなっても、副作用が出ていないならすぐに薬を減らさずに、最低半年、できれば1年間、同じ薬を飲みつづけるのが原則である。再発歴があれば、その期間は2~3年に伸びる。(アメリカ精神医学会の治療ガイドライン)
43 市民の人権擁護の会日本支部によると、1年間に日本の精神科医が抗不安薬を処方する件数は1億2000万件で、錠数だと18億錠になる。日本より精神科医の多い米穀、フランス、ドイツの6倍以上になる。
44 うつ病患者は原則としてアルコールは飲んではいけない。理由は、次のようなものである。
 1 アルコールはうつ症状そのものを悪くする。
 2 睡眠薬の代わりにアルコールを飲む場合でも、アルコールにより寝つきはよくなるが、眠りは浅くなる。
 3 アルコールと抗うつ薬の相互作用で抗うつ薬の効きが悪くなる。特にSSRIは飲み合わせが悪い。
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旧暦を使っているいろんな人の話を掲載したものです。少しまとまりがなくあまりおもしろい本ではありません。次のようなことが興味をひきました。
1 潮が満ちていく時に痛みを感じやすく、潮が満ちていく時に出血量が多いのが基本パターンである。
2 桜は新月から満月に向かって咲く。
3 自分に対しても新月からグーと力を入れて、満月でほっとして、そこからは徐々に抑えていく。
4 新月に種をまくと虫もつかず、病気もしない。
5 大潮の満ちてくるころが最も魚がよく連れる。
6 潮が満ちてくる時に人は生まれ、潮が引く時に人は死ぬ。
7 一枚に茶畑で旬はおおむね5日程度である。もっと厳密に言うと72時間である。
8 お茶のパックを開封したら、冷蔵庫でなく常温のまま茶筒に入れておく。
9 汚れのひどいものや大きなものを洗濯したりそうじしたりする時は、月が欠けていく時のほうが少ない労力で汚れが落ちやすい。
10 歯の治療や手術は満月から新月までの期間にすると、出血が少なく膿みにくい。
11 占有できるものしか商売にならない。
12 11月から2月くらいまでの閏月はたいへんな饑饉があると昔から言われている。
夏の閏月、特に4月、5月の閏月は豊作になると言われている。雨が潤沢に降るからである。
13 月が上がると満潮で、月が自分の頭の上に着たら干潮になり、月が落ちたら満潮になる。
14 不定時法は日が開ける時を明け六つ、日が暮れる時を暮れ六つと定めていたため、地域によって時間差が出てくる。
15 新月と満月の日は、必ず大潮で干満の差が大きく、8日と23日は前後は、小潮となる。
16 八十八夜は太陽暦2月4日の立春から数えて88日目である。
17 二百十日は太陽暦2月4日の立春から数えて210日目である。
18 閏は24節気の中気を含まない暦月に置く。
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気軽に読み流すことのできる本です。太陰太陽暦の知識が少し増えます。次のようなことが書かれています。私が少し補足した所もあります。
1 中国からの輸入は春節の前後10日はストップする。
2 太陰太陽暦は19年に7回閏月が入る。
3 太陰暦で19年に7回閏月を入れる理由。
 太陰暦の1年は354.36708日
 太陽暦の1年は365.2425日
 354.36708×19=6732.97452日
 365.2425×19=6939.6075日
 6939.6075日-6732.97452日=206.63298日
 太陰暦の1ヶ月は29.53日だから、
 206.63298日÷29.53日=6.99739180494414
 で約7回になる。
 19年に7回閏月を入れて1年を13ヶ月にすると、太陽暦との誤差がなくなり、季節がずれなくなる。
4 ユダヤ暦も中国暦と同じく太陰太陽暦である。ユダヤ暦の正月は新暦の9月か10月になる点が中国暦と異なる。正月を穀物の収穫時期にしてある。
5 月の1ヶ月は29.53日である。太陽の1ヶ月は30.44日である。
30.44×32=974.08 29.53×32=944.96 974.08-944.96=29.12
30.44×33=1004.52 29.53×33=974.49 1004.52-974.49=30.03
32ヶ月たつと太陽の1ヶ月と月の1ヶ月に29.12日の差ができ、33ヶ月たつと太陽の1ヶ月と月の1ヶ月に30.032日の差ができる。32ヶ月たつと中気と中気の間、29.12日のの中に小の月、29日は、入ってしまい、33ヶ月たつと中気と中気の間、30.03日のの中に大の月、30日は入ってしまう。つまり中気を含まない月ができる。その月が含む中気によって月の名前を規定してあるから、中気を含まない月は名前のつけようがない。それで中気を含まない月は、中気を含まない月の前の月の名前をもう一度閏をつけて使う。例えば中気を含まない前の月が5月ならば、中気を含まない月は閏5月と呼ぶ。
6 彼岸は春分、秋分をはさんで、前後3日ずつのことを言う。彼岸の始めの日を「彼岸入り」と言う。春分、秋分を「彼岸の中日」と言う。
7 彼岸の日に先祖の墓参りや仏事を行うのは日本独特のもので、中国にはない。中国では24節気の清明の日を清明際として祖先のお祭りをする。
8 旧暦は5月が梅雨で6月はカンカン照りの盛夏であったため、6月を水無月と言った。
9 薮入りは、1月16日と7月16日のことで、奉公人が主人から休暇をもらい親元に帰る日のことである。
10 「五月雨をあつめて早し最上川」は学校で教えてもらったが、五月雨が梅雨の雨だとは教えれくれなかった。新暦の5月の雨と考えるとこの句は味わうことはできない。
11 実際の満月は16日の時も、17日の時もある。
12 今や日本全国に行き渡ったソメイヨシノは染井村で幕末近くになって生まれた新しい品種である。
13 満月や新月に交通事故が多い。
14 満月に殺人事件が多い。
15 満月の日に風邪をひくと治りにくい。新月の日に風邪をひくと少量の薬で2~3日で治る。
16 人間の体内の血液は月の影響を受けている。
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きれく見えるポイントを書いてあり、そのポイントが実際に練習できるようになっています。私はどのように書けばきれく見えるのかをほとんど知らずに書いていましたが、なるほどこういうことを意識して書けばきれく見えるのだとわかります。次のようなことが書かれています。
1 線と線の間の隣り合った空間を均等にするだけで、文字のバランスは一気によくなり、つぶれた文字の形が改善される。すき間を均等にするように意識して書いていると次第に文字のクセがリセットされてどんな文字でもバランスよく安定した形に書けるようになる。これがすき間均等法である。
2 横画は横の線の最後をピタと止めると落着きのある丁寧な文字に見える。
3 折る部分はカクとしっかり折る。そのために折れる部分で一度ペンを止めて、ペン先を進行方向に転換してから、折れる方向を見定めて線を引く。
4 くっつく部分はすき間をあけずにくっつける。くっつく部分にすき間ができると、文字がまとまりなく、不安定な印象になる。
5 横線はトンご軽くペンを押さえ、スーと横に伸ばし、力を入れてピタと止める。
6 左払いは、トンとペンを置いたら、左下に向けてシューと払い、徐々に力を抜く。
7 右払いは、右下に向けてスーと斜めに下ろし、一度ピタと止めてから、右へシュッと払う。
8 点は、スゥと入って下に短い線を書き、グッと止める。
9 曲がりは、トンと入ったらスピードを落としてなめらかにグルーと曲げて、右に線を伸ばした後ピタと止める。上にはね上げるパターンもある。
10 折れは、横線を書き、一度止めてからガクと折る。ペン先の方向をおしっかり変えて力をこめて強調する。
11 「下」の漢字の中にあるような縦画は、トンと軽く押さえてから、手の力を抜いてスーと下ろし、最後にピタッと止める。最後を止めずにスーと力を抜くパターン、止めてから上にはね上げるパターンもある。
12 「飛」の漢字にあるような反りは、右下に向かって線をスラーとカーブさせながら引き、一度ピタッと止め、上に向けてピョンご跳ねる。
13 横画が複数ある場合は、1本だけ思い切って長く書くと文字にメリハリが出る。
14 「成」や「先」のように、1文字の中に横画と反りまたは曲がりがある場合は、反り、曲がりの書き終わりを横画より右に長く伸ばして強調する。横画は短めに書く。これで堂々とした印象の文字になる。
15 「春」のように横画と左払い、右払いがある場合は、左払い、右払いを長く伸ばすと、安定感のある末広がりの字形になる。メリハリで長くした横画よりも、左払い、右払いを長くする。
16 目や国のような縦長の囲みは囲みの両脇の縦画をまっすぐ平行にしてすぼめないとバランスよく見える。
17 口、四などの横長の囲みはすぼめる。つまり両脇の縦画を内側に向けておろす。すると引き締まって見える。
18 口の下の横画は突き出す。
19 口以外の囲みは縦だしにする。間、町のように部分的に囲みが使われている場合も同じである。
20 へんとつくりの画数がほぼ同じ時は左右の幅を1:1にする。
へんよりつくりの画数が多い時は、左右の幅を1:2にする。
へんよりつくりの画数が少ない時は、左右の幅を2*1にする。
縦3つに分けられる時は1:1:1にする。
21 にょうは、点と2画目を離し、2画目、3画目、4画目、5画目をMのイメージで書き、にょうを長く伸ばし上の部分より右側に突き出す。
22 たれの中の部分は中心より少し右に寄せるとたれとのバランスがよくなる。
23 ひらがなの曲線部分は少し右上がりの角度をつける。
24 「ま」「よ」のようなひらがなの横結びは横長の結びである。横結びはへの字を書くように角を作って結ぶ。への字の手前で一度ペンを止めて、右上にしっかりと方向転換する。
25 「す」のようなひらがなの縦結びはくの字を逆順に書くように結ぶ。くの字を書く手前で一度ペンを止めて下からくを書くように角をつくりながら結ぶ。
26 「そ」のようにひらがなの折れのある文字は折れをしっかり角をつくって書く。
27 カタカナの払いは3種類ある。45度払い、横払い、途中までまっすぐ払いである。
45度払いは、払いが水平線と45度になるように払う。 「イ」、「ウ」 の払いはこれになる。
横払いは、45度払いよりも水平線に対して角度を寝かせて払う。 「チ」の払いはこれになる。
途中までまっすぐ払いは、まっすぐに下ろしたら最後に少し左に払う。 「リ」、「ル」の払いはこれになる。
28 文字の中心が直線の上になるように書くことである。罫線入りの罫線を中心線に見立てて練習するとよい。
29 漢字と比べて画数の少ないひらがな、カタカナは漢字より小さめに書くと見た目のつり合いが取れる。
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 著者は精神科全体にわたる広範囲な知識を持っており、精神科全体の概括的な知識を得るのに便利な本です。一度うつ病になると、抗うつ薬を使っても35%未満しか元の状態にもどらないという厳しい現実も述べられています。また精神科の薬は診断名で使うのでなく、症状に大して使うのだと言い、精神科の治療が対症療法に過ぎないことも述べています。次のようなことが書かれています。
1 従来うつ病はストレスなどの影響を受けずに発症する生物学的要因の大きい内因性うつ病と環境や出来事といったストレスの影響を受けて発症する心因性(神経症性)うつ病に分けられていた。内因性うつ病には薬が効き、心因性うつ病には薬が効かないとされ、心因性うつ病にはカウンセリングなどの精神療法が有効という考え方が1980年代まで主流であった。しかし最近になって、両者はこれまで言われていたほど明確な境目はなく、むしろ連続的であることが、さまざまな研究によって指摘されるようになった。
2 抗うつ薬や睡眠薬をいつ飲み始めるべきかに関しては、あくまでも原則的にという条件付きだが、「困った時が飲み頃」というのが答えかもしれない。
3 精神科の薬は診断名で飲むのでなく、症状に対して使うのが原則である。
4 本当のことを言えば、精神科の薬がなぜ効くのかということは、いまだにわかっていないのが現状である。
5 抗うつ薬の開発では、うつ病患者を対象に、本当の薬と偽薬を飲んでもらうという臨床研究をする。本当の薬は患者の6~7割の症状が改善するが、偽薬でも3~4割の人に効果が現れると言われている。
6 偽薬が3割から4割の人に効果があるという病気は精神障害以外にない。
7 精神科の診断は覆る可能性が十分にありうる仮説でしかない。
8 診断に原因との関係を持ち出すほど精神医学はまだ解明されていない。
9 ストレス性だからという理由で、医師から抗うつ薬を処方してもらえずに苦しんでいる患者はいまだに日本で少なくないと言われる。
10 躁うつ病はその45%が発症と治癒を繰り返す。
11 躁状態は怒りっぽさが1週間以上持続することがある。
12 強迫性障害は人口の2%弱の人がなる。
13 全般性不安障害はかつては病気と認められていなかったが、人口の3~8%がなる。
14 境界性パーソナリティ障害の有病率は、一般人口の2%である。
15 食事で何を食べたかを忘れるのは、良性のもの忘れの範囲だが、食べたという体験そのものを忘れてしまうと悪性健忘となり、認知症になる。つまり体験そのものを忘れるのが認知症である。
16 年を取り動脈硬化などによって脳の血流が落ちてくると、全体的に活力が落ちてきてうつ病のように見える。これを脳血管性うつ病と言う。このうつ病は普通のうつ病と違い、薬が効きにくく副作用も出やすい。
17 自律神経失調症は、自律神経症状が出現しても自律神経自体は正常であり、問題は自律神経にあるのでなく心にあるから、最近は身体表現性障害と言われる。
18 精神分析は、環境の影響によって無意識での葛藤が精神障害をつくるというのがセオリーである。
19 単一のうつ病遺伝子はおそらく存在しないだろう。
20 うつ病をはじめてとする精神障害すべての決定因子は多元的である。
21 「その精神疾患の原因はこれだけだ」とこだわり、一撃必殺的に治療するやり方は、シンプルでわかりやすいが、精神疾患はそんなに単純なものでない。
22 たとえ精神的な問題であっても、癌や心筋梗塞と同様に、自分の意思だけではどうしようもない脳の変調も存在する。
23 ギャンブルは冷静でリアリスティックな人はしないはずである。胴元がいるギャンブルは確率論的に損をするのがわかりきっているからである。
24 大うつ病の約三分の一はまったく治らないか部分的になおるだけである。
25 初発の大うつ病患者が一度よくなっても、再発する確率は約60%である。
過去に2回うつ病を経験している人が3回目の発症をする確率は約70%である。
過去に3回のうつ病を経験している人が4回めの発症をする確率は90%である。
26 入院した体うつ病の患者を15年以上フォローアップしたオーストラリアとイギリスの研究では、一度も再発しなかったのは5分の1に過ぎなかった。
27 一般の人はうつ病の反応率(Response Rate)を「ほとんど元通りにうつが治った状態」と解釈してしまっているが、これは違う。「うつ病の症状が元の悪い状態から50%以上減少したもの」を反応率と言っている。半分症状がなくなっただけでは、もとの健康な状態とは言えない。患者が望んでいるのは、ほとんど症状が無い状態である。これを寛解と言う。抗うつ薬の2ヶ月以内の反応率は70%である。しかし寛解が得られるのは、反応した70%の半分に満たない、つまり寛解率は35%未満である。
28 症状がよくなったからと抗うつ薬を飲むのをすぐにやめてしまうと、半分の患者は半年以内に元の悪い状態にもどる。
薬を飲み続けても15%~25%は再発する。3年の期間で見ると再発率は20%~30%になる。
29 適切な治療を受けても2割の患者は治りきらずに長期化し、半数以上の患者は20年近く経っても薬と縁が切れない。
30 アルコールのほうが精神科の薬よりも精神的依存、身体的依存が高い。
31 かつてノイローゼには、薬は効かないと信じられていて、薬は一切使われなかった。強迫性障害はノイローゼの一種だが、うつ病の約2倍近くの量の抗うつ薬を使うのが国際的な標準治療になっている。
32 認知療法では「そう考える根拠はあるのか?」「矛盾する事実はないのか?」「ほかの可能性は考えられないか?」というように自問自答する癖をつけ認知の転換をめざす。人に相談してみる、日記などに文字として書き出してみることを用いる。
33 認知療法でよくなった患者は薬でよくなった患者より再発率が低い。
34 行動療法の具体的なノウハウ
 1 段階的課題設定 自分にコントロール可能な部分に焦点をあてて、目標に段階を設けて少しずつ実行していく。そうすると自信もつき、スキルもアップする。
 2 暴露、反応妨害 苦痛や不安は中途半端に逃げてばかりでは、いつまでも引きずってしまう。一時的につらくても、逃げずにピークを経験すれば徐々に消えていく。
 3 オペラント技法 成功報酬があればモチベーションが高まるから行動に強化子を付加する。
 4 モデリング 同じような境遇から問題を克服した人を手本にする。
 5 セルフモニタリング 目標、出来事、気持ちの反応因果関係などを記録することで、客観的な行動分析ができる。
 6 主張訓練法 言いたいことを伝えられないと精神障害が悪化する。
 7 リハーサル 前もって考えられる状況に対するリハーサルするをしておく。
 8 腹式呼吸 腹式呼吸で冷静さを取りもどすことができる。
35 現代人が抱えるストレスの多くは対人関係の問題に起因している。
36 自分の考えや希望を相手に否定されたり、自分のやりたいことと相手の期待がずれていたりすると、大きなストレスになり、やがてうつ病になってしまうことがある。
37 小さく踏み出して駄目だったら、違う一歩を考えてみる。違った面からものごとを見つめてみる。こうした仮説、検証の繰り返しがよくなるために必要である。
38 精神科の診断は暫定的なものである。
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 精神科と精神科医に喧嘩を売る本である。
 早期介入、早期支援を、著者は「これは聞こえはいいが、大規模な詐欺に他ならない。要するに早く金儲けの対象である患者を見つけ、薬を飲ませることで長期患者を作り、それを福祉施設に入れることでさらにマージンと利益を得ることを目的としている。」と言う。精神科医の大半は早期介入、早期支援が患者のためによいと考えてしているのであって、患者をだまそうという詐欺の意図を持ってしているのではない。また「精神病院では男性スタッフが患者を羽交い締めにして薬を飲ませることが常態化している。」と言うが、たとえ羽交い締めにしても患者が薬を飲もうとしなければ、薬を飲ませることはできない。薬を飲ませることができないのだから、羽交い締めなどするはずがないのである。このような実際はありえないことを書き精神科医を中傷するのはどうかと思う。実際にありえないことを言うと他のこともありえないことでないのかと思ってしまう。
 しかし次のような主張は十分に意味のあることである。「不安に対して薬を飲むのは、薬によって不安をかき消そうとする行為である。不安を乗り越えようとしていない。成長や克服を先送りしているのである。」
次のようなことが書かれている。
1 リスパダールは認知症患者の死亡リスクを増加させる深刻な副作用があるにもかかわらず、ヤンセン社はそれを説明することなく認知症治療薬としてリスパダールの治療を促した。
2 うつ病はセロトニンの不足が関係していると多くの医師が言う。しかし医療現場ではセロトニンが不足しているかどうかを計測することさえ難しい。それにもかかわらずセロトニンを上昇させる薬が使われる。セロトニン濃度が低くないのに、セロトニンを上げる薬を使ったらどうなるだろうか。悲劇的な結果が待っている。
3 9508人のうつ病患者を対象にしたカナダの研究では、うつ状態にあった期間が投薬を受けた患者では年平均19週間であったが、薬剤を使用しない患者は11週間であった。
4 不安に対して薬を飲むのは、薬によって不安をかき消そうとする行為である。不安を乗り越えようとしていない。成長や克服を先送りしているのである。
5 気分変調症に抗うつ薬を投与すると、気分の上がった状態を脳が忘れられずずっとその薬を欲するようになる。気分を上げる薬だから気分変調のサイクルは増強され、波が大きくなる。
6 統合失調症はドーパミンが過剰になっているという仮説がある。この仮説に基づいて、統合失調症の薬である抗精神病薬は、基本的にドーパミンを押さえる薬である。ドーパミンが過剰になっていない患者に抗精神病薬を投与するとどうなるだろうか。これも仮説だが、脳はドーパミンが出ないからドーパミンレセプターを増やす、この段階で抗精神病薬をやめたり、減らしたりすると、レセプターは急に減らせないから擬似ドーパミン過剰状態になり、統合失調症に似た症状が出現する。
7 精神薬を使わない。たとえ使っても頓用程度に止める。
8 働きすぎは病気の源である。
9 農業や自然に親しむことは重要である。自然の中で一人暮らしをしたり、農作業に従事したりして精神症状のよくなった人がいる。
10 人生を生きていくうえでは、誰しもさまざまな精神状態になる。物への八つ当たりや喧嘩、ことによっては錯乱したりすることもある。一般人も精神科医も簡単にこのことを病気ととらえるが、その大半は脳の疾患とは何の関係もない。
11 精神科は主観の領域であるから、精神科医によって診断が変わる。
12 インスタント食品頼りの食事では必ず精神不調に陥る。
13 人は安楽を求め、トラブルを避けることだけを考え、臭いものには蓋をして学ぼうとしない。問題に対して正面から取り組むのでなく、ごまかしに走ろうとする。そのごまかしこそが精神科であり、精神薬である。飲めば気分はよくなるかもしれないが、それは覚醒剤を飲んで逃げているのとまったく同じだ。
14 精神薬を使わないと精神的な苦痛を感じる。それで根本的解決のために何をなすべきかを考える。苦労してでもよくなるために状況を変えようとする。それで改善する。
15 最も脳質量の減少(萎縮)が大きかったのは、集中的に抗精神病薬の薬物治療を受けた患者、つまり最も長期的かつ最大用量の投薬を受けた患者であった。
16 精神薬を減らしたりやめたりしても、患者自信の考え方が変わらない限り決して治るという状態にはならない。
17 精神薬の薬漬けの状態では、漢方薬は効能の弱い物質なので、ほとんど効かない。
18 抗うつ薬や抗精神病薬は女性ホルモンのバランスを狂わせることが多い。その副作用を改善させながら月経前症状を改善させるのは桃核承気湯を考慮すべきである。
19 甘麦大棗湯は、漢方薬の中で頓服として使える数少ない処方である。
20 10年以上にわたるPET研究、モノアミン枯渇に関する研究、およびモノアミン関連遺伝子の多型性を調べる遺伝子関連解析の結果、うつ病の病態生理において、セロトニン系、ノルアドレナリン性、またはドーパミン作動性神経伝達の実際の欠陥に関係すると思われるエビデンスはほとんど存在しなかった。
21 精神薬を飲み続けて保っている状態を「良くなった」とは言えない。それは改善ではなく依存だからである。
22 日常生活の中で普通に存在する精神症状をあたかも「精神疾患=医師が治療しなくてはいけない病気」と思わせるために、多くのチェックリストを作り、新聞やテレビ上でその疾患にあてはまるかもしれないと不安を煽り、精神科に受診させようとキャンペーンを張る。
 それらは一見思いやりに満ちた善なる行為に見えるが、真に人間をよくしたいという願いから来る行為でなく、人々にラベルを張り、不安を煽ることで、精神薬を売り上げようという、要するに精神科が儲けるための戦略なのである。
23 精神病や精神的に問題ある人を早く見つけ、早く精神病院に連れて行き、早く薬を飲ませて安定させる、早く福祉施設に入れて障害者として作業所などで働かせる。
これは聞こえはいいが、大規模な詐欺に他ならない。要するに早く金儲けの対象である患者を見つけ、薬を飲ませることで長期患者を作り、それを福祉施設に入れることでさらにマージンと利益を得ることを目的としている。
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更新日: 2019年4月24日