厚生労働省専門部会の論理破綻
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 日本経済新聞の2022年1月22日の記事に次のように出ていた。
「3回目の副作用 重大な懸念なし 厚労省部会
 厚生労働省の専門部会は22日、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種後の副作用について「重大な懸念は認められない」との見解をまとめた。米ファイザー製は2日までに推定53万回分の接種があり、副作用の疑いは0.03%にあたる147件が医療機関から報告された。1、2回目での頻度は0.02%であった。
 重篤なケースは9件だった。死亡も1件あり、専門家は「情報不足などによりワクチンとの因果関係が評価できない」としている。米モデルナ製の3回目接種の副作用については未集計で頻度などは明らかになっていない。」
 死亡報告が1件あったのだが、「情報不足などによりワクチンとの因果関係が評価できない」としている。つまり情報不足などのために、ワクチンの副作用で死亡したのかどうかはわからないということだ。それにもかかわらず、ワクチンに「重大な懸念は認められない」と言い切っている。これは論理として明らかにおかしい。「情報不足などによりワクチンに重大な懸念があるかどうかは評価できない」と言うべきである。つまり「ワクチンに重大な懸念があるかどうかはわからない」と言うべきである。厚生労働省の専門部会という日本のこの分野のトップの機関が、こういう論理の破綻したことを言うとは信じられないことである。
 mRNAワクチンはまったく新しいワクチンであり、日本で使われ始めてまだ一年も経っていない。だからmRNAワクチンに人間に毒性があるのかどうか、まだはっきりとわからない。それがわかるには、まだ何十年も必要だろう。mRNAワクチンが人間に毒性があるかどうかは、現在ではわからないというのが実状である。
 放射線の測定でラジウムを発見したのはキュリー夫妻である。歴史に残る卓越した知能の持主である。夫のピエールは交通事故で亡くなったが、妻のマリ・キュリーは再生不良性貧血で亡くなった。放射線被曝が原因だろう。しかしマリ・キュリーは放射線被曝による健康被害を決して認めず、放射線同位体の入っている試験管をポケットに入れて持ち歩いたりしていた。生前に多くの病気で苦しみ、白内障でほとんど失明していた。これも放射線被曝によるものだろう。マリ・キュリーのような卓越した知能の持主でも、放射線という新しい物質が人間に毒であるかどうかはわからなかった。それで種々の病気で苦しみ、その病気の一つで亡くなった。
 放射線が人間にとって毒であることは、私たちは誰でも知っている。それは放射線が知られてから年月が経ったからである。放射線で病気になる人がたくさん出て来て、人間はその害に気付いたのである。新しい物質が人間にとって毒でないのかどうかは、長い年月を経て初めてわかるのである。今から数十年後にmRNAワクチンが人間にとって毒であることがわかったとしよう。しかしすでに日本人の8割の人がmRNAワクチンを打ってしまっている。その人達はただ病気に苦しむだけであり、それ以外の選択肢はおそらくないだろう。
 今の段階で厚生労働省専門部会がmRNAワクチンに「重大な懸念は認められない」と断言するのは、明らかに論理が破綻している。「mRNAワクチンに重大な懸念があるかどうかは、現在の段階ではわからない」というのが、正確な認識である。

作成日:2022年1月28日