新型コロナウイルス対策として自宅待機を要請するのは根本的に誤っている

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 2020年3月24日現在、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。これに対して各政府がしているのは隔離政策である。外国人の入国を拒否する、学校を休校にする、大型イベントをやめる、外出を禁止する等の処置を取っている。保菌者との接触を避け感染拡大を食い止めようとしている。しかしこの政策は人の動きを止めるため、ものが売れなくなり、大きな経済的損失を招き大不況をもたらす。また感染拡大を防ぐことにおいても疑問符がつく政策である。おそらく根本的に誤った方法である。
 新型コロナウイルスの今までの報告を見ると、感染しても八割は軽症である。無症状の人も少なくない。死亡する人は高齢者や基礎疾患のある人が多い。Johns Hopkins大学のサイト(https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6)では、2020年3月24日現在、感染者数 367,457人、死亡者数 16,113人となっている。死亡率は4.4%である。症状のない人で感染者数に入っていない人がかなりいるだろうから、死亡率はもっと低くなるはずである。1%程度かもしれない。
 ウイルス性疾患は一度かかると免疫を獲得するものが少なくない。はしかがその一例である。一度はしかにかかり免疫を獲得すると二度とはしかにかからない。今回の新型コロナウイルスも一度ウイルスに暴露され、免疫を獲得すると、以後かかりにくくなるのでなかろうか。ウイルス検査に陽性で症状のない人は、すでに免疫を獲得した人と考えるべきでなかろうか。
 ウイルス疾患に対する主な対策はワクチンである。ワクチンはそのウイルスに類似したものを人に投与し、擬似的に感染させて抗体を獲得させ、後にそのウイルス疾患にかからないようにする方法である。ウイルス疾患に対する対策は、そのウイルスから逃げることでなく、むしろそのウイルスに類似したものを体に入れることなのである。このことはウイルス疾患に対する正しい処置法を示唆する。正しい処置とはウイルスから逃げることでなく、むしろウイルスに近づき、自分の体に抗体をつくらせ、発病しにくいようにすることである。
 どんな感染性疾患でも、単にその細菌やウイルスが体に入っただけでは発病しない。体に入った細菌やウイルスが体の中で増殖して始めて発病する。感染性疾患にかからないのに一番大事なことは、その細菌やウイルスを体に入れないことでなく、細菌やウイルスが体に入っても増殖しないようにすることである。体の免疫系がしっかりとしておれば、細菌やウイルスが体に入って来てもそう簡単に増殖しない。三分の寒と飢えを与えて体を鍛える、適宜な運動をする、足指を動きやすくし体の血流をよくする、日々を楽しむ。こういうささいなことが人間の免疫機能を高め新型コロナウイルスに感染しにくくなる。
 今の隔離政策では、イベントや人との交流がなくなり楽しみが少なくなる。これは免疫機能を低下させ病気になりやすくなる。外出まで禁止されると、体を動かすことが少なくなる。これも免疫機能を低下させ病気になりやすくなる。自宅にいると楽しみが少ないため食べることや飲むことを楽しみとし、食べ過ぎたり飲みすぎたりしがちである。これも免疫機能を低下させる。今の隔離政策はかえって人の免疫機能を低下させ、新型コロナウイルスをさらに流行させる。
 2020年3月24日時点で、Johns Hopkins大学のサイトによると、新型コロナウイルスによる日本の死亡者は41名である。警察庁によると2018年の交通事故の死者は3532名である。これは24時間以内の死亡者数だから、交通事故を原因とする死亡者数になるともっと増える。新型コロナウイルスによる死者が一年で交通事故死亡者数を上回るかどうかは、今の時点ではわからない。イタリアのように爆発的に患者数が増えれば交通事故死亡者数を上回るかもしれない。交通事故はこれだけの人がなくなっても、非常事態宣言を出したり、不要不急の外出をひかえるような勧告が出ることはない。できるだけ家の外に出ない、できるだけ自動車を使わないという生活をするなら、自動車事故は激減し3532人もの人が亡くなることはない。しかしこれを一生続けなければならないことになる。一生自宅からあまり外に出ず、一生あまり自動車に乗らない生活を続けなければならないことになる。そういうことは耐えられないと多くの人が思うだろう。だからほとんどの人は交通事故で死ぬ可能性があっても、自宅から出てあちこちへ行き、また躊躇なく自動車を運転している。
 今度の新型コロナウイルスもしばらくの間の我慢と思うから自宅待機を甘受している。これが一生続くとなると、そんなことは耐えられないと多くの人が思い、自宅にいることを継続しなくなる。だから今の隔離政策は長く続けることができない。長く続くと人々は耐えられなくなり、従わなくなる。人々の我慢が原型に近づくまでワクチンができるだろうか。
 私は健康な者は新型ウイルスから逃げることなく、むしろ新型ウイルスに近づき感染し免疫を獲得することを勧める。現在の所、この新型コロナウイルスに感染し免疫を獲得するのが唯一の対処法だからである。逃げるだけでは、他の病気にかかり体調の悪い時にこの新型コロナウイルスに初めて感染すると、死亡する確率が高くなる。
 健康な人も子供も一緒に隔離しようとする政策は間違っている。ワクチンができるまで隔離しなければならないのは、高齢者や基礎疾患のある免疫の弱い人々だけである。ワクチンができるまで死亡率が高いハイリスクの人々は隔離しなければならないが、多くの健康人は隔離すべきでない。
 よくテレビで感染者が出たからと消毒液をまき散らしたり手をアルコール消毒したりするのを見る。これはむしろ感染を加速化させていると思う。害虫を殺そうと田畑に農薬をまけばどうなるだろうか。農薬をまけば確かに害虫は死ぬ。ところが害虫を食べる益虫も死ぬ。益虫がいない所に少しの害虫が入って来ればどうなるだろうか。害虫を食べる益虫がいないから、害虫は一気に増える。害虫を殺そうと農薬をまけばかえって害虫を増やすことになる。消毒液をまいたり、手を消毒するのも同じことである。消毒をすれば少しの病原菌も死ぬだろうが、他の多くの菌も死ぬ。多くの細菌がいる所に少しの病原菌が入ってきても競業する細菌が多いから、病原菌はそう簡単に増えない。ところが消毒して細菌が少ない所に病原菌が入って来ると、競合する細菌が少ないから病原菌が一気に増える。消毒したがためにかえって病原菌が増えることになる。
 私たちが一番よくかかる疾患は風邪だろう。風邪に一度もかかったことのない人はほとんどいない。この風邪を引き起こすウイルスがライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなどである。今問題になっている新型コロナウイルスは風邪を引き起こすコロナウイルスの一種である。風邪にかかると風邪薬を飲む人が多い。ところが今の風邪薬にライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなどを殺したりその増殖を抑えたりする効果はない。風邪薬は症状を緩和するだけの薬である。熱を下げたり咳を抑えたりするだけの薬である。原因となっているウイルスをたたく能力は持っていない。風邪は最もありぐれた病気であり、毎年莫大な数の人が罹患する。もしライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなどをたたく薬がつくれれば、製薬会社は莫大な利益を得る。しかし今までそういう薬は出て来なかった。そういう薬はできなかったのである。これから見ると短期間に新型コロナウイルスをたたく薬をつくることは極めて困難なことと思われる。まだ可能性があるのは、ワクチンをつくることだろう。
 基礎疾患のある人、高齢者は新型コロナウイルス安全地帯をつくりきちんと隔離するが、健康な人の生活は何の制限もしないという政策を取るべきである。高齢者はすでに退職した人が多く、すでに社会での一線の活動から退いている。高齢者が隔離政策で抜けても、若い者が代わりにやればよいのだから世代交代を促すだけである。高齢者が隔離政策で社会活動から抜けても大きな問題とならない。基礎疾患のある人で社会の一線で活動をしている人は少なからずいるだろう。そういう人が隔離政策で抜ければ少なからざる影響があるだろう。しかし健康な者も全員隔離し社会活動が停滞してしまうのと比べると、ずっと小さな被害ですむ。基礎疾患があるのに仕事をしている人は、それなりに体に無理を強いているのだから、しばらく隔離して体をゆっくりち休養させることは、基礎疾患があるのに仕事をしている人にとっても悪い話でないと思う。
 基礎疾患のある人、高齢者のみ隔離し新型コロナウイルスにさらされない安全な場所に置く。健康な者は通常通り働き、動くようにする。そうすれば社会の受ける経済的損失は、今の政策よりは格段に小さなものとなる。今のように一律に人々の移動を制限したり、自宅待機を強制したり、商店を閉鎖したりする政策は、大きな経済的損失を招く。ものが売れないから倒産が続出し大不況となる。当然自殺者も急増することになる。自宅待機したがために新型コロナウイルスで死ななくても、自ら命を絶ち、結局は死ぬことになる。
 人を自宅待機させ感染の拡大を防げば、新型コロナウイルスはひとりでに終息するように思っているが、ひとりでに終息するかどうかははっきりしない。人が免疫を獲得しない限り、いつまでも人に感染することができ、感染を拡大することができるからである。短期間で新型コロナウウイルスをたたく薬をつくることは望み薄であり、短期間にワクチンができるかどうかもはっきりしない。ワクチンもできずに、ただ隔離して待つだけでは、この新型コロナウイルスが自然に終息することを期待しているだけである。それはそのようになることを希望しているだけであり、ものごとが希望通り動くとは限らない。
 東京オリンピックが一年後に延期になったが、私は一年でなく二年延ばすべきであったと思う。今の隔離政策を続けて一年後にオリンピックを開くことができる状態になることは望み薄である。
 ハイリスクの者のみ安全地帯を設け隔離する。安全地帯内での行動制限は何もしない。健康な者は従来と同じ生活を何の制約もなく続ける。これが取り得る唯一の道だと思う。
 3月26日に東京都の感染者が増大しているから、爆発的に増えることを懸念し、不要不急の外出を控えるようにと都知事が都民に要請した。この時点ですでに中国、韓国、イタリア、イラン、スペイン、アメリカ、ドイツ、フランスなどで感染爆発が起きている。日本のみが感染爆発を防ごうとすれば、これらの国の人々が日本に来ること、日本人がこれらの国に行くことを禁じなければならない。これは鎖国である。今は世界で分業してものを作る時代であり、鎖国して一国だけでものが作れる時代でない。世界中で頻回な交流がある以上、一つの地域で感染爆発が起これば、それは当然他の地域にも拡散する。それを防ぐ手段はない。大事なのは感染爆発を防ぐことでなく、感染爆発してもハイリスクの基礎疾患のある人、高齢者の命をきちんと守る手立てを打つことである。

作成日:2020年3月27日