RADIO DAYS 2002


9.移動運用その11/小山田緑地(2002.10.13)

快晴の連休中日、全市全郡コンテストに合わせて移動運用。

場所は東京都下町田市にある小山田緑地

JR中央線で立川へ。そこから多摩都市モノレールに乗り換え、多摩センターへ。因に多摩センターへのルートはもう一つあって、新宿に出て京王線を使う方法もある。時間的にはほぼ同じなのだが新宿経由の方が運賃は200円近く安い。ただモノレールを使うと武蔵野の景色とか楽しめるので無線運用のような場合はこちらを使う。

さて、小山田緑地へは多摩センターから「日大三高」行きのバスを使うのだが、これまた便数が少ない。特に休日は1時間に一本しかない。とても東京とは思えぬが・・。

連休のせいか老人クラブの集団と乗り合わせてしまい、バスは満員。15分程で最寄りのバス停「扇橋」に着く。ここから緑地への入り口が何処だか解らず、しばし迷う。周りは完全なる田園風景。丘陵の合間に田んぼがあって赤とんぼが飛び交う。地図とコンパス片手に歩く事10分。やっと小山田緑地の北側入り口をみつけた。公園内は整備されていて散策路は明るく、歩きやすい。しばらく丘の道を登ると「見晴らし広場」という開けた所に出る。西に視界が開けており遠くには奥多摩の山々も眺望出来る。残念ながら都心方面は臨むことが出来ないが、ロケーションとしては最良なのでここを運用場所とする。時間は午前11時過ぎ。

全市全郡コンテストはJARL主催なので参加局も多く、比較的交信局には恵まれる。といってもQRP運用だし、ここの標高もたかが知れているのでこちらからCQを出しても応答はなく専ら呼ぶだけである。

運用をつづけていると、いろんなグループがこの広場にやってきて、集会やら食事をはじめた。若干肩身が狭い。特に昼前後は人が多かった。自分は運用中、飲食は一切しないのだが側でお弁当を広げられると食欲を刺激されて気が散ったりする(笑)。

あと時たま、ジェット機の爆音がするのでふと見上げると、横田に降りると見られるB747が南からランディングしてきたり、厚木から飛来して来たと思われるFA18二機編隊が真上で急旋回したりと忙しい。都下での移動運用地上空でよく米軍機を見かけるのは何故だろうか?それにしても澄渡った真っ青な空に機体がキラリと輝き美しい。

そうこうするうちに15時を回ったので撤収を開始。

結局計45局(SSB30局、CW15局)と交信。その殆どがコンテストでのQSOであった。

一方、コミュニティーFMの受信情況は下記の通り。

やはり相模原市に隣接しているだけあってFM相模原は良好だ。同じ理由でFM多摩も良好。

84.1MHzに横浜青葉FMらしき局が聴こえていた。

東京都下町田市小山田緑地におけるFM放送受信リスト(コミュニティーFMのみ)

受信日/2002年10月13日・受信機/SONY SRF M100・アンテナ/付属ロッドアンテナ・受信地/町田市小山田緑地

周波数(MHz) 局名 信号強度(5段階)
77.6 FM多摩

4(ST)
79.1 川崎FM

3
83.9 FM相模原

4(ST)
84.1 横浜青葉FM?

2

さて15時を回ると、斜に差し込む陽射しがススキの穂の影を長く落しはじめる。絵になる風景である。来た道を戻りバス停へ。ところが運悪くバス停に着く直前にバスが行ってしまった。運行表を見てびっくり。次のバスは1時間10分後(爆)。

こういう時はじたばたしても始まらぬ。バス停横の原っぱに座り込んで時間を潰す。時間と共に丘陵の影が覆い始め、次第に暗くなっていくのを眺めながらラジオを聴く。例によってTBS伊集院光の番組。今日のお題は地方自治体の条例についての蘊蓄(うんちく)。暇つぶしにはなる。

16時54分、やっとバスが来る。結局待っている間、バス停には誰も訪れず乗ったのは自分一人だけ。ただバスは女子高生の集団で結構込んでいた。降車口のステップに座り込んでいた2人組の女子高生には驚く。スカートが汚れるという感覚がないのだろうか?

多摩センターに着くと周りはすっかり暗くなっていた。駅からパルテノンに向かう大通りの明かりが幻想的。空には半月が昇って来た。サンリオピューロランド正面に向かう道側のクレープ屋で休憩をとる。こういったクレープ店に入ったのは初めてだ。女性店員が目の前でクレープを焼いているのは興味深い。

18時頃、モノレールで多摩センターを後にする。夜の多摩都市モノレールから見る車窓もまた幻想的。車内ではピューロランド帰りの母娘連れが何組か乗っていて、お土産片手に楽しそうである。でもこのモノレール、やたら速度が遅い。更にくねくねした路線上を走るので目眩がする。

立川でJR中央線に乗り換え。今度はタイミングよく特別快速に乗れた。三鷹まで10分ちょっとか。

三鷹で鈍行に乗り換え、帰宅。

使用RX/YAESU FT690Mk2単体 使用アンテナ/ミズホ製簡易6mDP


8.移動運用その10/滝山公園(2002.9.23)

9/23、秋分の日。久しぶりの移動運用。

場所は東京都下八王子市の北東に位置する都立滝山公園。秋川と多摩川が合流する西岸の高台。加住丘陵の断崖、標高200mの丘陵公園だ。戦国時代の古城、滝山城跡でもある。

考えてみれば、都内都下の無線運用適地は史跡が多い。平山城祉公園にしても八国山緑地にしても、中世の古城や古戦場跡だ。眺望が利く場所だから自ずと要所になるのであろう。

さて、9/23、どんよりとした曇り空の下、午前9時半頃自宅を出発、JR中央線にてJR八王子駅へ。ここから西東京バス「戸吹」行きバスにて滝山公園に向かう訳だが、いささか交通の便が悪い。バスは1時間に数本しかなく時間もかかる。JR八王子駅から公園最寄りのバス停「滝山城址下」まで約25分は掛かろうか?その上、この日は連休最終日で渋滞しており、なかなかバスは進まない。途中に中央高速八王子インターがありそこで詰まっているらしい。

ところで余談になるが、この路線は途中某大学正門を経由するらしく、そこの学生と思われる若い女性が多く乗り合わせていた。何か大学の催しがあるらしいのだが、その女学生のピンクや水色のスーツ姿がやけに目立っていた。こんな色とりどりのスーツは珍しい。この大学の制服だろうか?

にしてもこんな交通の便の悪い場所にいくつもの大学や高校が点在しており、通学の苦労が忍ばれる。私の通っていたT大も八王子市内の辺鄙な場所にあったがここよりはマシだと思う。

それはさておき、なんとか渋滞も抜け、バスは滝山街道へ。やっと「滝山城址下」に着いた時はすでに午前11時半を回っていた。バス停を降りるとすぐに公園に向かう道の入り口がみつかる。その道はこんもりとした丘の方へ続いていた。

古城の濠跡と思われる窪み等が残る小道をしばらく登る。結構急な坂。周りは鬱蒼とした林。いきなりエンジンの音が聞こえたかと思うとモトクロスバイクが向こうからやってきた。どうやらクロスカントリーにも適しているらしい。

20分程歩くと「中の丸址」という広場に出た。ちょうどこの丘の頂上付近だ。

するとここでもエンジンの音が..「ここにもバイク?」

が、今度はバイクではなく発電機であった。

そう、「先客」がいらしたのである。

広場の中央で固定機による本格的な移動運用をやっていた方が約1名。発電機を稼動させ、大きなダイポールアンテナを張っていた。どうやらHF帯での移動運用のようだ。ヘッドフォーンも使っていないので結構周りに音声が漏れていた。

広場には大して人がいなかったので「貸しきり」状態の様相であったが・・。

最近、都立公園内の無線運用に許可が必要だとかいろいろ面倒なことが多くなったが、これだけ場所を占有するとなると確かに他の人から見ると「何事?」と思われてしまうだろう。

まあ込んでいない場所であれば誰も文句は言うまいが・・。

いやはや、流石にこれほどの機材を持ち込んでの移動運用は私の範疇外だ。とても真似は出来ない。

というよりQRPとは方向性が違う訳で・・。

ということで「先客」からちょっと離れた場所に屋根付き休憩ベンチがあったので、そこから運用することにする。北に眺望が開けており、秋川と多摩川の合流付近の堰が見下ろせた。

正午過ぎ、やっと運用開始。幸い「先客」は50MHzにはQRVしておらず、かぶり等は皆無であった。

この日は正午から「ふるさとコンテスト」というのがあり参加してみる。ただルールが今一つ解らず戸惑う。バンド別に時間制限があるのに気がついたのは暫くした後だった。結局、コンテストでの交信よりも一般移動局との交信の方が多かった。天候も今一つでそれほど移動局も居らず今一つ。あとロケーションが原因なのかは不明だがあまり電波が飛んでくれず呼んでも交信に至らない場合も多かった。

結局、15時30分までに交信出来たのは延べ22局(CW7局、SSB15局)。

さて、ここでもFMラジオでの入感情況を調べてみた。県域局に関しては殆どホームと変わらないのでコミュニティーFMのみリストアップする。

八王子市南側にある長沼公園と比べると入感する局が若干多いか?

この辺りだと距離的に都内より埼玉方面が開けており必然的にFM入間が最も強く入感する。不思議なのはFM市川だ。本来なら東に開けていないと受信が難しいのに何故か北からの伝播がある。アンテナの特性かは不明だが筑波山の反射波だろうか?以前強力だったFM江戸川は送信アンテナの向きを変えたらしく、この辺りではもう受信出来ない。

東京都下八王子市滝山公園におけるFM放送受信リスト(コミュニティーFMのみ)

受信日/2002年9月23日・受信機/SONY SRF M100・アンテナ/付属ロッドアンテナ・受信地/八王子市滝山公園中の丸址

周波数(MHz) 局名 信号強度(5段階)
77.7 FM入間

5(ST)
78.2 むさしのFM

2
78.4 渋谷FM

4
79.1 川崎FM

3
83.0 市川FM(市川)

2
83.4 FM世田谷

4(ST)
83.8 調布FM

2
84.2 FM西東京

2

さて、運用も終えて16時前頃に撤収開始。すでに「先客」も撤収していた後で広場は静かになっていた。

この頃になってやっと薄日が射してくる。

かなり涼しくなったにも拘らず蝉時雨が響く。空にはトンボの群れが舞っていた。更なる上空にはアメリカ空母の艦載機らしい早期警戒機が時折旋回している。近くの横田基地でタッチ&ゴーをやっているのであろう。

16時過ぎ、徒歩下山して滝川街道に出る。帰りは下り坂なので楽だ。幸いなことにバスがすぐ来た。1時間に3本位しかないのにラッキー。

渋滞もなく、20分程でJR八王子駅に到着。帰りのBGMはJ-WAVE。

使用RX/YAESU FT690Mk2単体 使用アンテナ/ミズホ製簡易6mDP


7.2002年ハムフェア−雑感(2002.8.24)

今年のハムフェア−は有明ビッグサイトに戻り、期間を1日短縮して2日間の開催となった。

私が行ったのは24日、午後2時頃。それほど天候は良くなかったが会場内は結構人がいて例年並という感じか。人が減っているというイメージはあまりない。

入場するとまず、1年間溜めたQSLカードをJARLコーナーのQSL転送受付に出す。それから新作QSLカードのデータ入稿のためオノウエ印刷のブースへ。いつもは1000部発行依頼するのだが最近はアクティビティーが下がっているので半分の500部に抑える。それを終えると例年と同じく付き合いのあるクラブコーナーのブースへ。いつもの『RANHANSHA』で掲載誌を受け取る。ここの主宰者と知り合ってもう10年は経つだろうか?ブースの大きさは小さくなったが継続されていることに敬意を表したい。

思い返せば、私が初めてハムフェア−に赴いたのは1986年だったか?

その時は無線の免許取得のための資料や書類を集める目的だけだったが、免許を取った1987年から本格的にほぼ毎年会場を隈無く見て回るようになる。

盛況だった1990年代前半の晴海はアクティビティーも高い頃であったし、いろいろ楽しい思い出もある。会場周辺も無線機を担いだ数々の電波ボーイが群れていて異様な雰囲気があった。会場は1階が企業ブースで2階がクラブブースに分けられていてエスカレーターで行ったり来たりしたものだ。

そんな盛り上がっていた会場のクラブブース内に漫画やイラストを掲載した会報を発行するサークルがあった。それが『RANHANSHA』であった。20代前半のハムが多く、よく6mで移動運用の際QSOしたりしていたので空の上ではお馴染みだった。そのせいもあり、いつしか自分もこのサークルに参加するようになった。打ち上げまで出席していた頃もあったな。

他にもC大学無線部のYLさんとか、某無線雑誌の編集長さんとか無線やBCLでお世話になった方達との交流も意義深かった。アクティビティーが高ければ当然、人との交流も盛り上がる訳で90年代前半のハムフェア−が面白かったのも当然かもしれない。ハム全体の人口もその頃がピークで来場者も6万人を超えていたらしい。

それから10年、ハムフェアーの入場者も半減して当時の盛り上がりはない。

結局、新しいハムが入ってこないので過去のハムが現状を維持するのに精一杯という感じだ。クラブブースを見ても10年来、お馴染みのサークルばかりだし、斬新で活発なグループもいない。企業ブースも衰退の一途で、昔はクラブコーナーと同等以上のスペースがあったJAIAコーナーは僅か3社(1991年は15社がエントリーしていた)のブースが残るのみだ。

それでもハムフェア−は、総務省や文部科学省などの官庁やメディアが後援し、協賛企業も多い。にもかかわらず人が集まらない。因みに同じ場所で2週間前開催されていた某巨大漫画同人誌イベントには官庁やメディアの後援が一切ないにも拘らず3日間で延べ50万人近くが来場していた。

同じ趣味のイベントなのになぜこうも対称的なのか。

やはり根本的に若い人を引き付ける魅力がハムには欠けているのだろう。

さて話を今回のハムフェア−展示に戻そう。会場内を見て回ってもあまり興味をそそられる展示は少ない。アイコムや八重洲のブースにはコンパクトで移動運用にも耐えうる小型で高性能RXの新製品が展示されていたが今一つ興味が湧かず。一方ケンウッドのブースにはAPRSというコンピューター等を無線でネットワークする新システムの紹介があったがこれもよく解らない。

そもそもいろいろな情報のやり取りをパソコンに任せて送受信することに面白みがあるのだろうか?ログをデータ化してQSLの発送、受け取りまでネット上で自動化することが、趣味のアマ無線として楽しいのか?

溜まったQSL発送をあくせく手書きで処理するからこそ充実感がある訳で、本人の知らぬ内にQSL交換が自動的に成されるのであればそもそも交信する事すらも自動でやればよい。無線で交信する以前に相手局の情報がオンラインで全て解ったとして、その何処が面白いのか?

仕事なら効率が求められるが、趣味に効率を求めてどうする?

情報のネットワーク化が進めば進む程、アマ無線はつまらなくなる。未知とのコンタクトこそ無線の醍醐味であり、最初からすべて解っている相手であれば、そもそも交信する必要などないのだ。

だからこれからのアマ無線に求められる事は、いかに人為的ネットワークに組み込まれる事なく無線活動を維持出来るかが命題になるだろう。

地球大気の電離層や気象現象のみを媒体とし交信すること。

そして一切の自分の無線情報はネットワークに流さないのだ。こうすることによってアマ無線は本来の楽しみを取り戻すことが出来よう。

ただ現実問題としてそれが可能なのかは難しいところではある。事実こうして個人HPを作って自分の無線情報をネットに流している訳で・・。

ただいずれにせよネットで管理されるような無線方式にはまったく興味が湧かない。だから例によってミズホ無線とか電鍵を扱うブースの方が居心地がよい。あと無線ではないがAORのブースに気象観測装置が紹介されていた。以前、簡易タイプを購入したことがあるのだが扱いが煩雑で使い難かった。外国製品なのでどうも感覚的に日本人に合わない。国産にしてシステムを組んでくれれば購入してみたいのだが。

一方、JARL75周年特別展示として戦前のアマ無線を紹介していたが、こちらの方がロマンを感じる。ああいった戦前の無線機を製品化すればよいのである。あの無骨なアナログ感覚が何とも美味しい。

最近よく解らないのは、ビジネスコーナーの中に無線に関係ない商品を扱うブースがあったこと。妙なアンケートを取っている企業や肩揉み椅子を扱っていた企業等、あれはいったい何なのだろう。

余談になるが、たまに知り合いの方とすれ違う時、気が付かない事が時々あった。年に一回の場なので顔を憶えていなかったり、展示物に気をとられていたりするのが原因。御容赦。

閉会後、特小無線クラブ有志と近くのファミレスで会合。最近のCFMの現状を語り合い、21時頃帰途につく。

いずれにせよ、来年もまたハムフェア−が盛大に開かれる事を願いたい。


6.パイオニアチューナーF-777(2002.8.19)

先日、FMDX用として新たなチューナーを導入した。

それがこのパイオニアF-777という機種である。各方面で、現行機種で最も高性能と謳われていたチューナーであったが、近々製造終了の噂があり、そうなる前に購入に踏み切った。

1992年にデビューしたチューナーであるが、オーディオ界の情況を考えるともはやこのような重厚長大なチューナーが今後、製造販売される可能性はなく、もしかするとFMDXに使える最後の機種かもしれない。

3段階切り替えIFスーパーナローとファインチューニングで隣接する混信局を見事にカット出来る機能を持つチューナーは現用機ではおそらくこのF-777だけであろう。シグナル強度計、アンテナ入力2系統、キーで打ち込むダイレクト選局、3段切り替えRFアッテネーター、ノイズリダクション、最良条件の受信状態を自動的に見つけるオートオペレーション機能、モノラル受信時に疑似ステレオ化するスペクトラムシュミレーテッドステレオ機能、ミューティングがかからないままで選局が出来るマルチプレックスモード、勿論AMもステレオ、基本性能もハイレベル。

これだけ贅沢な機能を盛り込んだチューナーはおそらくこの製品で最後だ。

さて、いままでFMDXにメインで使っていたケンウッドKT1100Dとの比較を行ってみた。

下の表はカタログからの抜粋である。

PAIONEER F-777

KENWOOD KT1100D

FM/受信周波数 76〜90MHz 76〜90MHz
FM/実用感度 モノラル:9.3dBf(0.8マイクロV/75Ω) DISTANCE:10.8dBf(0.95マイクロV/75Ω)
FM/実効選択度

75dB(400KHz.NOMAL)

90dB(400KHz.SUPER NARROW)

75dB(300KHz.SUPER NARROW)

70dB(400KHz.WIDE)

100dB(400KHz.NARROW)

FM/SN比

モノラル:100dB

ステレオ:92dB

50dB感度

モノラル:1.8マイクロV,16.2dBf(DISTANCE)

ステレオ:24マイクロV,38.8dBf(DISTANCE)

FM/IF妨害比 100dB 110dB(84MHz)
FM/イメージ妨害比 80dB 90dB(84MHz)
スプリアス妨害比 80dB 100dB(84MHz)
ステレオセパレーション

1KHz:70dB

20Hz〜10KHz:54dB

1KHz:70dB(WIDE)、55dB(NARROW)

50Hz〜10KHz:55dB(WIDE)、45dB(NARROW)

15KHz:45dB(WIDE)、40dB(NARROW)

AM/受信周波数 522〜1629KHz 531〜1602KHz
AM/実用感度 150マイクロV/m 10マイクロV;250マイクロV/m
AM/選択度 ±9KHz:40dB 30dB(WIDE)、50dB(NARROW)
AM/SN比 50dB 55dB
AM/イメージ妨害比 40dB 40dB(1000KHz)
AM/IF妨害比 60dB 60dB(1000KHz)
FMアンテナ入力端子
消費電力 14W 18W
重量 4.0Kg 4.6Kg
製造開始年 1992年 1987年頃
価格 55000円 68200円
その他特徴 独立した歪み調整回路により適性ポイントで作動する3ポジションのIF帯切り替え回路等。高精度4連フロントエンド入力3段切り替えRFアッテネーター。アナログ感覚ロータリーエンコーダー。疑似ステレオスペクトラムシュミレーテッドステレオ機能AMステレオ。 FM多局化に対応する独自の4Dシステム。ペンタクルサーキット。IF2段切り替え。AM帯域可変回路。RECキャリブレーター。

F-777の方がKT-1100Dよりも5年程新しい機種ではあるが、基本性能等はカタログ値ではそれほど変わらないように見える。感度等はこれ位の機種になると性能的に問題なく、要はしっかりしたアンテナを接続させれば十分な感度を得られるということ。

混変調、相互変調についてだが、この強電界域でも両機とも目立ったスプリアス等は発生せず、基本性能の良さを見せつけた。音質に関しても双方遜色ないレベルだ。

大きな差を見せたのが選択度であった。F-777には3段階切り替えIFスーパーナローが搭載されており、近接妨害局排除に威力を発揮した。KT-1100Dでは、83.0MHzの市川FMが83.2MHzのNHK水戸の近接妨害に遇い、やむなく82.9MHzで受信していたが、F-777の場合、スーパーナローに設定するとほぼクリアにステレオで83.0MHz市川FMが受信可能になる。

更にチューニング方法でもF-777が優った。テンキーでダイレクト選局が可能だし、ファインチューニングを使えば隣接する混信局を微妙ににカット出来る。

またF-777にはアンテナ入力が2系統あって、それぞれ使い分ける事が可能。アンテナを回す手間がかなり省ける。

その他の機能も豊富。ステレオ受信時に働くノイズリダクション機能。更にモノラル受信時にスペクトラムシュミレーテッドステレオ機能を使うと疑似ステレオが楽しめる。これが結構良くてステレオ受信時にノイズやマルチパスが気になってもこのモードで補完が可能だ。またこれらの設定もオートオペレーション機能を使えば最良条件の受信状態を自動的に見つけるし、マニュアルで自分好みの設定に組むことも出来る。

電界強度計も1dB単位でデジタル表示されるので入感情況が一目で解る。

またAM受信でもF-777が優った。

KT-1100Dは受信周波数帯域が若干狭い。更に感度も控えめで音声出力レベルも低く、妙な所にスプリアスがでる。基本性能が一般のラジオより劣っているようであまり遠距離受信には使えない。一方F-777は受信帯域も広く1620KHzの「ろそく」放送も受信可能。基本性能も良いようだ。もちろんAMステレオ受信可能。

プリセットもKT-1100Dが16局に対し、F-777は40局。更にF-777はリモコン遠隔操作が可能。デザインもシルバー基調で明るく美しい。フロントが金属製なので樹脂製のKT-1100Dより高級感がある。

こうしてみると、基本性能で同等、その他はあらいる面でF-777が優っていた。

確かにF-777のほうがKT-1100Dより5年近く新しい製品なので、AMステレオ、リモコン搭載等1990年以降にならないと搭載が難しい新機能がKT-1100Dにないのは仕方ないが。

とはいえ、F-777が新しいといっても1992年の話。今から10年も前の製品である。それが現行のFM/AMチューナーの中で最も性能が良いというのは複雑である。

10年前のパソコンに現在実用に耐えうる仕事をさせることが出来るか?と考えると、いかにチューナーが過去に置き去りにされた音響通信機器であるかが解る。というよりオーディオ機器が技術的にピークだったのはおそらく1975年〜1990年頃だろう。最もユーザーが多かったエアチェック全盛期。メーカーもお金を掛けて多彩なチューナーを世に送りだした。

そのようなムーブメントが終わった時、チューナーも過去の遺物となっていくだろう。

F-777はハイエンドチューナーの最後の生き残りと言えようか?

現在のチューナー事情はこちら


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