ishoken gallery 新里明士展 作家紹介

この度、活躍する多治見市陶磁器意匠研究所卒業生を市民に紹介することと、現役研究生への刺激となることを期待して、ishoken galleryを新設します。明治の初め市之倉の加藤五輔は、100念以上も前に精緻な染付磁器でパリをはじめとする海外の万博で高い評価を受け、すでに多治見は世界とつながっていました。陶磁器産業は名古屋港の輸出の6割を占めた時代を経て現在に至りますが、歴史と文化はこの町に深く根付いています。製造技術、上絵技法、そして、伝統に基づく文化を生かし「再び世界につながろう」との業界や行政の機運のなかで、若い意匠研の卒業生たちはすでに世界に羽ばたき活躍し注目を浴びています。その筆頭には新里明士さんがいます。彼は、研究生時代から現在まで、轆轤を中心とした制作を続けています。その作品は一貫して静謐で、神聖とさえいえるような緊張感のある空気を纏っています。日本の工芸の特質は「技術・技法的な要素を強調することで、表現としての強度を持つ」との信念で、ストイックに技術を高め、技法の追求をしています。そんな彼の制作姿勢と作品が今、世界で注目を浴びています。ishoken galleryの第1回展として新里明士展を企画しました。皆様の御来場を心からお待ちしております。

 
多治見市陶磁器意匠研究所 所長 中島晴美