愛知県陶磁資料館
秋の特別企画展
「現代陶芸の若き騎手たち」 図録 コメント
中島晴美

 私は、始めから「素材は土だ」と決めています。
 それは土そのものが持つ質感と、土が陶へと変貌するプロセスに魅力を感じているからです。土は生きていて、制作の過程でいろんな表情を見せ、乾燥では変形します。焼成では縮むし、へたりもします。そして陶へと変貌するのです。
 私にとって、土と土から陶へのプロセスは、時に私を裏切り、私に媚び、私を誘い、断ち切ろうにも断ち切れぬ因果を生み、私をのみ込んで身動き取れぬほどの怪しさを放ちます。時にはクールな鏡のように、私自身の内なる苦闘を見透かし、ありのままの姿を映し出してしまいます。そういった土と自分とが味わう経験すべてを受け入れ、又は反発し、一体となって創ること、それが私の制作姿勢です。