『炎芸術』64号

美は乱調にあり
中島晴美 文・絵


 「色みたいな作品ばっかり作って。どうしてこんな子ができちゃったかな」
 20年も前の母の嘆きである。大きなお世話である。それを言うなら「なんで親父が源三郎で息子がはるみチャンなのだ」とひねくれてもみたくなる。
 ぼくのちょっとばかりエロティックな焼き物は、岐阜県の田舎町には刺激が強すぎた。そもそもぼくと土と火との関係は初めから艶かしい。ひねっているうちに、焼いているうちに、のたうち回ったり這いずり回ったり、いつのまにか切っても切れない仲となり、挙句の果てに「焼き物は有機的」との確信犯。だからこそ、せめて作者の名前ぐらい源四郎か源五郎であったなら三文小説みたいな色でなく、もっと高貴な色香にみえるじゃないか。
 おっかさん。そもそも場末のキャバレーのホステスみたいなややこしい名前が悪いのだ。
 そんな日々も今は昔。土と火とぼくとの関係を丸ごと飲み込み一体となって創ってみる。すなわち生きてみる。そんなこんなの今日この頃。