Kenta's ... Nothing But Pop

Middle Of Nowhere
Hanson
(Mercury)


17th May, 1997



 平成のオズモンズってとこでしょうかね。

 久々にバカ・ポップな一枚だ。オクラホマ州タルサ出身のアイザック、テイラー、ザッカリーのハンソン兄弟によるバンドのメジャー・デビュー盤。ぼくは聞いたことないのだけれど、このアルバムの前に2枚ほど自主制作盤を出しているそうだ。全員まだティーンエイジャー。特に末っ子のザック君はロウティーンだって。ドラム叩きながら歌ってるらしいよ。いいね。

 で、音のほうは、昨今のオルタナ系ロック・グルーヴやらヒップホップ・イディオムなども盛り込みつつの堂々たるティーンエイジ・ポップ。なんとアルバムのノッケ2曲はダスト・ブラザーズのプロデュースだ。2曲目、ジャクソン・ファイブの90年代版みたいな「MMMBop」って曲とか、けっこうかっちょいい。残りの曲は、ブラック・グレープのアルバムとかにも参加していたキーボード・プレイヤー、スティーヴ・リローニがプロデュース。メロウなシンセ・ポップあり、ファンキーなミディアム・グルーヴあり、往年のジョー・コッカーとかスティーヴ・ウィンウッドを思わせるブルー・アイド・ソウル調あり。すごいです。

 でもって、さらにぶっとぶのが曲作り。ハンソン兄弟だけで書いたものが4曲。なかなか立派なソングライティング・センスを発揮している。残りはあれこれ有名なソングライターと彼らが共作しているのだけれど、マーク・ハドソン、エレン・シップリーといった顔ぶれに加えて、なんと、なんと、バリー・マン&シンシア・ウェイル! ダスト・ブラザーズとマン&ウェイルが共存しているティーンエイジ・バンドのアルバムだもの。なんだかくらくらしてきた。

 ちなみにミックスはトム・ロード・アルジェ。なんだか大物が勢揃いしちゃって。レコード会社の入れ込み具合が伝わってくる。

 なんでも、父親の仕事の関係でトリニダード、エクアドル、ベネズエラなどを転々としていた時期があり、そのころ兄弟はタイム/ライフの通販によるロックンロール・コンピレーション・レコードばっかり聞いて過ごしていたのだとか。若いくせにフィフティーズ、シックスティーズ感覚が横溢しているのはそのせいか。すりこみは大事だね、まじ。

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