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allein in Deutchland

97年9月27日 10日目
旅の余韻とオランダ王国

らしからぬ国際特急

9月27日土曜日、帰国まであと2日である。今日はアムステルダム行きの国際特急列車に乗ってドイツを脱する。ケルン中央駅の曲がったホームに立つと、先客がすでに何人か並んでいた。アムステルダム行きのEC142列車「Jan Pieren Sweenlich号」は乗客が多く、自分のコンパートメントの向かい側に母子連れが入ってきた。大曲りしてライン川に架かる鉄橋を渡るといよいよ加速。

特急も走る国際間線の割には冴えない車窓が続く。そう見えるのは旅行も終盤戦に入っているからだろうか。そんなこんなで意気が上がらないまま、国境の駅に到着、機関車がNS(オランダ国鉄)のものに変わる。そのまましばらく走るが、いつ国境越えをしたのか分からないままであった。わずかに、踏切や信号の形が変わったことでそれと分かるだけである。今でこそ平和そのもののこのルートだが、昔といっても半世紀前にに激戦が、少なくとも悲劇が繰り広げられたとはとても思えない。Arnhemの駅で、止まっている列車がことごとく黄色なのを見て、また青字に白文字の駅表示に「Spoor」なるオランダ語を見て、ようやくオランダ感が湧いてくる。向かいの席の母親からワッフルなどをもらっているうちにユトレヒト到着。

ユトレヒトと交通博物館

ユトレヒトでは鉄道博物館に出向く。駅からボルボの連接バスに乗って10分、静かな佇まいの廃駅がその博物館であった。建物の中は黄色い電車の模型やモックアップが並んでいてオランダ感を醸し出しているが、建物の外はまだ黄色くなる前のオランダ国鉄の電車・気動車・機関車が並んでいる。この博物館の中庭は線路が横切っていて、ご丁寧に柵や遮断機も着いている。でもそれにしては線路も鉄光りしており、その一角だけが「時間が止まっていない」感覚である。何か変だ・・・と思っていると、遮断機が突然下りてきて回送列車が通過していった。なるほどね。ニュルンベルグや神田須田町の交通博物館と比べると構内はこじんまりしているが、それがまたオランダらしくてよいと思った。

オランダと言えば「自転車」を連想する人が多い。自動車の普及にもかかわらず自転車の利用は昔から非常に多く、またそのため歩道・車道から分離された自転車道、専用信号など自転車の交通施設が大変よく整備されている。駅に戻る道路で、見かけたのは車道と同じくらいの幅はあるかと思われる、縁石付の立派な自転車道に自転車信号(自転車の絵が描いてある)を見かけた。日本と大きく異なる点として、国土が平坦で年間降水量が少ないことも普及の一因かもしれない。確かに自転車は排気ガスを出さず免許も要らず、事故を起こしても滅多に救急車沙汰にならないなど「人にやさしい」乗り物の代表格と言えるだろう(オランダでも「放置自転車」の問題が現れているが)。駅に戻って駅ビルのセルフサービスで昼食を押し込む。

自転車ニュータウン「ハウテン」(工事中)

オランダ国鉄

昼食後は「ドッグ・ノーズ」と呼ばれる鼻の突き出た「あの」電車に乗って、ユトレヒトの北にあるハウテン(Houten)と呼ばれるニュータウンを見てきた。その帰りの午後3時、これからDen Haag(ハーグ)に出てScheveningen(スケヴェニンゲン:日本人が聞くと爆笑ものの地名。他には「エロマンガ島」なる地名も地球上に存在する)海岸などを見ようと思いながら入ってくる電車に乗る。ここで写真を撮ろうとしたら・・・カメラがない。荷物を全部漁って見当たらなかったことから、カメラを昼食後に立ち寄ってきたハウテン駅の線路に落としてしまったらしい。幸い、ハウテンまで一旦電車で戻ったのち線路に降りてカメラを拾い上げ、事なきを得る。そのため時間がなくなってハーグ行きは断念、アムステルダムに直行。

ユトレヒトからは近鉄線を走らせたくなるような最新型の2階建て電車でに乗る。オランダというとよく「ドッグ・ノーズ」が連想されるが、この電車は旧型車(電車好きの人には「釣掛駆動車」と言えばどんな代物かわかっていただけると思う)であることもあって現在では大部分がローカル線用・普通列車用になっている。他には電気機関車(大部分はフランス風ゲンコツスタイル)、2階建て客車(プッシュプル運転用)、特急客車(ドアは両開きで、特急用というより近郊用)などがあるが、これらは全て黄色に青の塗色で統一されている。駅の構内案内も黄色と青で統一されている。

途中で幅の広い幹線運河を見たりしながら30分ほどでアムステルダム駅到着。入っている電車は全て黄色と青の電車である。そろそろ見飽きたな、と思っているとその影からグレーと赤の見覚えのない列車が出発して行く。これがパリ−アムステルダム間を結ぶTGV「Thalys」であると気づいたときに、既に赤い動力車は走り去っていった。続き(9.28:いよいよ帰国です)


更新日 2005.1.26
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