南の島へ(2000.9.3-5)

第1話 取り急ぎ南の島へ

朝6時。空には雲一つなく、陽射しは眩しいのに、空気はもう秋のように冷たい。外に出た瞬間身震いをする。

これから、季節外れの夏休みを活用して、2泊3日の予定で沖縄に行くところである。まずは羽田だ。

これまで、筆者は旅行というものに結構行っている方ではあったが、飛行機を使う旅行はまだ2回しか行ったことがない(いずれも海外)。今回の旅行では、国内とはいえ、目的地が目的地なだけに飛行機を利用したが、飛行機を使うとなれば当然飛行場まで行かなければならない。これが文章が一本書けてしまうくらいの大仕事である。

ともかく京急線で蒲田まで出て、羽田空港行きの電車に乗り換える。陽射しがまぶしい。そして暑い。松戸の自宅を出るときの冷え込みは何だったのか、沖縄の太陽のありがたみが減ってしまうではないか、と一瞬思った。ともかく、かくして一日が始まった。

 

さて、羽田空港到着。まず、集合時間までに団体カウンターに行って、航空券を入手しなければならない。空港のカウンターは一見結構空いてはいるように見受けられるが、端っこの団体カウンターだけは人だかりである。手際よくクーポン券を航空券と引き換え、荷物を預け、朝食を流し込み、機内用の文庫本を買い求める。

ここまでは良かったのだが、肝心の飛行機。飛行機の整備点検が手間取っており、離陸が遅れている。しっかり整備してもらうほかないが、タイトなスケジュールを組んでいるであろう他の乗客の人はイライラが募っている。窓際に座ったり寝ころんでいる人もチラホラ。筆者も、退屈しのぎのためノートパソコン(この旅行にはノートパソコンを持ってきた)を開いて文章を打っ・・・と、ここまで書いたところで1時間遅れの搭乗案内が流れる。待ちぼうけを食っていた乗客の顔が一気に明るくなってゆく。

ジャンボジェットの乗客(500人以上)が、わずか10分足らずで一気に飛行機に乗り込む。筆者が予約したは全日空の便では、離陸の様子をビデオカメラで流してくれる。離陸。飛行機は離陸時に7km/h/秒の加速度になるというが、それが結構長時間にわたって続き、さらに重力に逆らって上昇しようとするため、体の内蔵から下に引っ張られる感じがする。習慣性のある気持ちの悪さだ。

しかし、飛行機の窓から見る景色はどうだろう。今日は快晴。窓の下にはレインボーブリッジやつばさ橋が伸びる。三浦半島や伊豆半島、御前崎も分かる。見覚えのある風景でも新たな角度から見るのは、なかなか楽しいものである。

現在、この文章を機内で打ち込んでいる。雪原のような高い雲が眼下に広がる。上空は幻想的な青紫、手を伸ばせば宇宙まで容易に手が届きそうだ。

 

2時間半ほどで、飛行機は那覇空港に着陸。陽射しが眩しそうだ。構内を行ったり来たりして、機は到着ゲートに横付けになる。

南国の一歩を踏み締めての感想は「何とも開放的なロビーだなぁ」である。半島状に突き出たガラス張りのロビーだが、出発客も到着客も一緒くたになっている。ロビーはガラス張りで非常に明るい。

荷物を受け取って、市内まで出るバス乗り場に向かう。市内線はあまり本数が多くなさそうだし、郊外線乗り場はどこだ、と物色し始めていると、本数が少ないはずの市内線バスが入ってきた。

これ幸い、渡りに船・・・とばかり乗り込むが、何か変だ。車内の座席の並び方、座席や車内の色遣い、どこかで見たことがある。タネをあかせばこの車、東京で使っていたバスの中古車を、外装だけ変えて使っているのである。それでも、運転席の後には花飾りがしてあり、南国ムードを醸し出している。

しばらくしてバスは出発。強い陽射しと南国の植物が植えられている沿道、海辺独特の平べったい風景の中を走ってゆく。明治橋を渡り、10分ほどで那覇バスターミナル到着、バスを降りる。

 

暑い。というよりも陽射しが強い。日陰は結構快適だが、日なたに出た途端、刺すような陽射しが襲ってくる。浴びてるだけでクラクラしそうなこんな強い陽射し、東京では浴びることができない。南の島に来たんだな・・・という実感がこみ上げて来て、嬉しくなってくる。

第2話 南の島の「足」を眺める

戻る


現在の位置:トップページ - 旅行記 - かつて公開していた旅行記「南の島へ」 - 取り急ぎ南の島へ
※本体ページ内のリンクボタンは一部機能しない場合がありますので、ページ上下のリンクボタンをご利用下さい。
無断転載および無断引用はご遠慮ください/Link Free/・・・
Copyright(C) 2000-2006 WATANABE Tsuyoshi.

Established 2000.9.10 : Latest update 2000.10.28